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「原点回帰で『いつもの』神奈川ダービーに」~2019.3.10 J1 第3節 横浜Fマリノス×川崎フロンターレ プレビュー

    今回も無料で全文読めるよ!!前節のレビューはこちら。

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第3節
横浜Fマリノス(2位/勝ち点6/2勝0分0敗/得点5 失点3)
×
川崎フロンターレ(11位/勝ち点2/0勝2分0敗/得点1 失点1)
@日産スタジアム

戦績

近年の対戦

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直近5年間の12戦で横浜FMの4勝、川崎Fの6勝、引き分けが2回。

横浜FMホームでの直近10試合の対戦成績

画像2

横浜FMの5勝、川崎Fの2勝、引き分けが3回。

Head-to-Head

 今回はデータに対してコメントを挟み込むスタイルで。
まずは通算成績にまつわるスタッツ。

・対戦成績は横浜FMの17勝、川崎Fの20勝、引き分けが7回。
・しかし横浜FMホームに限れば、横浜FMが11勝で川崎の8勝を上回っている。

 対戦成績としては川崎Fが上回っているが、横浜FMのホームに関して言えば、ひっくり返るというデータ。Jリーグにおいては必ずしもホームが有利とは限らないデータも多くあるが、このカードではホームが優勢であるという話である。しかし、近年の対戦成績の表からもわかるように、数年前から川崎Fが勝利するパターンが増えてきた。横浜FMの優勢が続いていた状況は、川崎Fの成績が上向いてきた近年変わりつつある傾向といえるかもしれない。

・通算23回の横浜FMホームの試合において、川崎Fが無失点を達成したのは2回だけ。
・日産スタジアムでのリーグ戦の川崎F戦が日曜に行われたのは過去3回。川崎Fはそのいずれも勝利できていない。
・昨シーズンの日産スタジアムでの対戦も川崎が上海上港とのアウェイゲームを戦った直後だった。試合は1-1のドローで終わっている。

    次に日産スタジアムでの対戦にまつわるデータ。川崎Fは勝てば日曜開催の日産でのリーグゲームで史上初めての勝利となる。また、この試合は昨年と全く同じく川崎が上海上港とのアウェイゲームを戦った直後に組まれている。全体的に横浜FMに有利なデータがそろっているが。

 最後にこのカードの特徴として以下のようなデータを。

・2011年9月のナビスコカップでの対戦以降、先制したチームが負けたことはない。

 このナビスコカップで川崎Fの山瀬功治が決勝点(この試合単独。トータルスコアでは横浜FMが勝ち上がり)となる逆転弾を決めて以降の18試合の間で、先制したチームがリードを許した時間は1秒もない。先制したチームが有利なのは当たり前だが、ダービーマッチで起こりやすいイメージの逆転劇はこの試合では起こりにくいようだ。

Pick up data~横浜Fマリノス~

【選手情報】
・三好康児は契約上の理由で出場不可。
・松原健は肉離れで3週間の離脱。

マリノスのMatch Facts①
【シーズン序盤に関するデータ】

・00年以降、リーグ戦を開幕連勝で飾ったのは今回で5回目。直近4回の2連勝のうち、ホームで3節目を迎えた2回は連勝を継続しており、3節目がアウェイの2回はいずれも敗れている。
・リーグ戦開幕2節で3得点を挙げたのはエジガル・ジュニオでクラブ5人目。新加入選手としては05年の大島秀夫以来2人目。

 まずは開幕直後の成績に関するデータ。上のデータに基づけば、今節は勝利の見通しとなるが果たして。エジガル・ジュニオは新加入選手としてはロケットスタート。彼以外に開幕2戦で3ゴールを達成しているのはビスコンティ(95)、大島秀夫(05)、マグロン(06)、マルキーニョス(13)の4名。ちなみに川崎Fで同様の記録を持っているのはジュニーニョ(06) 、我那覇和樹(06)、小林悠(16)の3名。

マリノスのMatch Facts② 
【ホームゲームに関するデータ】

・3月のリーグ戦ホームゲームは直近11試合で8勝1分2敗。
・直近22試合のホームでのリーグ戦において無失点は一度だけ。最後の無失点は昨年4月の鹿島戦で、これが昨季ホームでの唯一のクリーンシート。
・しかし、昨季のホームのリーグ戦で無得点に終わったのも1回のみ。11月のFC東京戦で記録が止まるまで、27試合連続でホームゲームで得点していた。

 直近のホームゲームは好調を維持しているようだ。得点も失点もガンガンしながら、殴り勝てる試合を重ねている。ぶん殴りあいながら勝つっていうのはお客さん楽しいでしょう。一時代前の守備的なイメージはすっかりどこへやらである。そんなチーム状況に合わせるような個人データが次である。

マリノスのMatch Facts③
【個人のデータ】

・畠中槙之輔は加入後のリーグ戦7試合でクリーンシートがないが、うち5試合は勝利していて、出場した試合は必ずチームも得点を挙げている。

 攻撃の起点として最終ラインから存在感を発揮している畠中だが、彼の先発した試合でのクリーンシートはまだない。相棒としてこの試合も先発が濃厚なチアゴ・マルチンスも加入以降の15試合のリーグ戦で無失点は2つのみ。日産スタジアムでのクリーンシートは両者ともに未経験だ。今季のプレーを見る限りだと、ハイラインは苦にしている様子はない。ビルドアップも含めてポテンシャルは高く、リーグ屈指のCBコンビになる可能性も秘めているのかなと。それだけにホームでの無失点は早めに達成したいところ。

マリノスのMatch Facts④
【神奈川ダービー】

・直近7試合の神奈川県のチームとの公式戦は2勝のみ。

 比較的ポジティブなデータが多いマリノスのデータ面での数少ない懸念点だ。宿敵川崎相手に連勝を伸ばすことで、マリノスが本物であることを示したい。

Pick up data~川崎フロンターレ~

【選手情報】
・馬渡和彰はACLで負傷交代。出場が不透明。

フロンターレのMatch Facts①
【シーズン序盤に関するデータ】

・開幕2試合のリーグ戦で勝利を挙げられていないのは、ここ10年で3回目。過去2回はいずれも3試合目は敗れている。
・小林悠がリーグ戦開幕2試合で無得点だったのは2013年以来のこと。この年は3節目で初ゴールを決めている。
・3月の公式戦は直近13試合で3勝のみ(D6L4)

 勝ち点でいえば近年ではうまくいかなかった開幕2戦である。この段階では勝利を挙げているケースがほとんど。開幕戦に強いといわれる小林悠が未だに無得点なのも近年では珍しい。3月は例年苦しむ時期。序盤に耐えてGW以降に巻き返すというのが、ここ数年のお決まりパターンだ。

フロンターレのMatch Facts②
【この試合のシチュエーションに関するデータ】

・昨季のACL遠征後のリーグ戦はいずれもアウェイゲームだったが3戦無敗(W2D1)。
・日曜日開催のリーグでのアウェイゲームは17年開幕以降の12試合で4勝6分2敗。

 ACL組にとっては最も困難とされる遠征直後のリーグ戦だが、意外にも昨季の成績はよかった。ただし、日曜開催のアウェイゲーム自体は得意なわけではない。負けも多いわけではなくドローが非常に多いのが特徴だ。ちなみに、昨季のACL遠征後のリーグ戦3試合のうち、唯一の引き分けに終わったのがマリノス戦だ。

フロンターレのMatch Facts③
【神奈川ダービー】

・直近5回のマリノスとの対戦のうち、勝利した3試合はいずれも小林悠が得点を決めた試合。
・直近6試合の神奈川県のチーム相手の公式戦で無敗(W3D3)。

 マリノスと対照的に近年の神奈川ダービーは好調。前々回の日産のゲームでマリノスに敗れて以降は無敗になっている。キーマンになるのは小林悠。彼が得点を決めた試合で川崎が勝利するというジンクスを持つラッキーボーイ。今季は湿りがちなエースから、初勝利を決めるゴールが生まれれば、日産に集う川崎サポにとっては歓喜の日曜日になるだろう。

予想スタメン

画像3

展望

 この試合の展開を握るのは両チームとも相手の陣地でボールをどれだけ持てるか。というわけで非保持の時は、相手に自陣でボールをいかに握らせないかについて考えないといけない。川崎Fのボールスキルの高さや横浜FMがビルドアップの仕組みを考えると、ビルドアップ時に互いのプレス隊につかまりまくるという展開は考えにくい。どちらも互いの1stプレスは外せるスキルを持っていると考えるのが妥当だろう。そのうえでキーになるのは中盤が防波堤になれるかどうか。大島と守田がチャレンジアンドカバーのようなスタイルをとる川崎Fとボジショニング感覚に長けた喜田を軸に跳ね返す横浜FMの中盤は要注目。互いに高いラインを志向するため、被カウンター時はCBとMFの関係性も大事になってくるはずだ。

 横浜FMがボールを持って押し込む展開になれば、得点の可能性はかなり高いはずだ。ボールを前後に動かし、相手のMFをおびき寄せながら間と裏と幅を使って侵入し、チャンスを量産するのが今季のマリノスのスタイル。川崎のブロック守備はやや不安定でCB-SB間の裏のスペースに侵入を許すことでラインを下げられる場面は鹿島戦でも見られた。このスペースは天野や三好だけでなくSBの高野や広瀬も虎視眈々と侵入を狙うスペース。川崎Fがラインを下げられてしまうと中央には絶好調のエジガル・ジュニオが使えるスペースが出てくる。大外の仲川と車屋のマッチアップも互いのコンディションを考えるとねらい目になるかもしれない。

   となると、マリノス圧倒的優勢?となりそうだが、これはあくまで2節までの話。三好康児の不在はマリノスの設計図に大きな穴をあける可能性がある。相手のMFをおびき寄せる、スペースで受ける、ドリブルで加速するなど彼の存在がマリノスの攻撃を一味も二味も活性化しているのは間違いない。組み立て、前進、フィニッシュにおいて三好はチームを数段上に引き上げるパフォーマンスを見せていた。おそらくこの試合のプレビューを書く誰もが触れるポイントだろうが、三好の代役の人選とその選手にポステコグルーがどのような役割を持たせるかがマリノスの最重要な部分であることに疑いの余地はないだろう。

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 川崎Fは得点力不足に苦しんでいる。流れの中からは公式戦では300分無得点。ボールは握れるが、決定機はそれほど多くはないという苦しい試合が続いている。大事なことは原点回帰。ボールをいかに握って相手を押し込むかだろう。マリノスは前からプレスに来る可能性もあるだろうが、後方のプレス回避はフロンターレのナンバーワンストロングポイントなはず。ボールを前に進めたら狙いたいのは喜田の両脇のスペース。3センターの泣き所である、このスペースを広げて有効利用ができれば、フィニッシュまでの道は開けてくるはず。マリノスはアンカー脇に入ってくる選手を誰が捕まえるのか。共にプレーを初めて日が浅いマリノスの最終ラインを混乱させたいところ。例えばこういうボールの動かし方ができれば、マリノスの守備は後手に回るかもしれない。

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 狙うべきポイントはもう1つ。川崎のCFと横浜FMのCBの個人の駆け引き。今季はハイパフォーマンスを見せている畠中とマルチンスだが、昨季までは前者はまだJ1での距離感がつかめず、後者は予測を見誤るシーンも見られたよう。駆け引きからの抜け出しでいえば、小林悠はJでもトップクラスのタレント。キャプテンがゴールを決めれば数字的にも勝利はぐっと近づく。ちなみにダミアンも駆け引きはうまいはず。彼がCFを務める際には空中戦一辺倒にならないように注意が必要。畠中とマルチンスは空中戦に強さは見せているので、固執するようだと逆に迷子になる可能性も。ダミアンがいてもフロンターレらしく丁寧に。ボールを握られ続ける展開は今季のマリノスは未経験なはずで、なれない展開のマリノスをボールを保持で疲弊させれば、空いたスペースへのスライドもルーズになるはずだ。

    川崎Fがボールを持ち、横浜FMがブロックを敷いて跳ね返すという神奈川ダービーでおなじみだった光景はすでに変容した。今はこのカードはボールをどちらが握って敵陣に押し込むかの争いになっている。川崎Fはその部分には一日の長があるはず。彼らが狙うべきは、ボールを握り相手を自陣に押し込み横浜FMにブロックを敷くことを強いる展開ではないか。神奈川ダービーを「いつもの」展開にしてしまうためのボール保持による原点回帰こそ、絶好調の相手を止める最高の方策かもしれない。

参考transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)

画像引用
https://soccer.skyperfectv.co.jp/s/info/50

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