押し込む機会を確保した水戸が堂々の逆転劇
3試合勝ちなしの水戸の今節の対戦相手は4試合負けなしの徳島。対照的な戦績に見えるが、徳島も直近3試合は全てドローであり停滞感があるのは同じという感じだろう。
序盤の展開は非常にはっきりしたものだった。ボールを持つのが圧倒的に長かったのは徳島。水戸のトップのCBにはボールを持たせてOKというスタンスは明確。徳島はバックライン3枚+GKを使いながら前進を狙っていく。
徳島の狙いはライン間にパスを刺して前進すること。特に上下動する杉本にボール入れてターンしてフリーにする形を狙っているように見えた。ただし、水戸もプレスには行かない分、中央には網を張っておりなかなか杉本がブロックの中で自由にボールを持てるわけではない。大外のWBへのピン留めを利用し、サイドの裏に抜けるなど受ける側の杉本も工夫を行う必要があった。
徳島が中央にパスをつけられないことで、水戸は徐々に強気にプレスをかけるように。しかしながらこの水戸のプレスは徳島のポゼッションに丸め込まれた感がある。やり直しも多く自陣の深い位置まで使うビルドアップや、バックラインから対角のWBへのフィードを飛ばすなど、プレスをいなす方策は十分にあった。
水戸のプレス回避に勤しむ過程で徳島は先制。安部から放たれた対角フィードを西野がダイレクトに折り返す。遅れてエリア内に入ってきた坪井が叩き込む。徳島はポゼッション重視型のチームが喉から手が出るほど欲しい先制点を手にする。
対する水戸は反撃に出たいところだが苦戦。後方のパス回しはフリーでボールを持つ選手を作れるが、前にどうつけるか?のところが迷っている感じ。押し込むことができれば徳島のエリア内のクロスの対応が怪しかったので、付け入る隙がありそうな水戸。ただし、そこまでたどり着くのにかなり苦労した印象。39分の左サイドの長井の抜け出しまでクリーンな前進はなかなか見られず。なお、このシーンとは関係ないけども水戸はよくバックラインの左右の配置を入れ替えるチームですね。
水戸が苦労して敵陣に到達する間にも徳島はボール保持からチャンスを作り続ける展開に。セットプレーや押し込んでからのコンビネーションで主導権を握ることができた。水戸は山口のセービングがなければより難しい試合の展開になっていただろう。
後半、追いかける水戸は高い位置からのプレスでハメきるトライを行っていく。ボールを奪うと、前線は裏抜けの頻度を増やしていく。草野、梅田の裏抜けなど前線のキッカケになる動きが出てきたことで、試合は徐々に水戸ペースに。
同点ゴールはセットプレーから。ファーで競り勝った松田の長いボールをスアレスが処理仕切れずにゴールを許してしまう。押し込む水戸の勢いは早々にスコアに反映されることになった。
さらに勢いに乗った水戸はあっという間に勝ち越し。同点ゴールは杉浦で長谷川を釣り出す動きと草野の裏を取る動きを掛け合わせたもの。水戸の後半の狙いと、徳島のバックラインが交代で入れ替わったところの連携の怪しさが見事に噛み合った形。破壊した左サイドから最後は安藤が詰めて勝ち越す。
さらにさらにセットプレーでこの日2点目のゴールを松田がゲット。あっという間に突き放すことに成功する。
あっという間に飲み込まれてしまった徳島は保持の機会が終盤に再び増える。前線を入れ替えてボールを収められるようなアプローチを施していたが、なかなか水戸の守備を崩すことはできず。2点のリードを守り切った水戸が4試合ぶりの勝利を挙げた。
ひとこと
徳島は押し込まれた時の脆弱さが気になる。GKを含めたバックラインの対空性能の怪しさから保持の時間を増やすことはある意味守備を考えてのプランでもあるのかなと思った。
試合結果
2023.7.5
J2 第24節
水戸ホーリーホック 3-1 徳島ヴォルティス
ケーズデンキスタジアム水戸
【得点者】
水戸:52′ 73′ 松田佳大, 70′ 安藤瑞季
徳島:7′ 坪井清志郎
主審:高崎航地