Fixture
プレミアリーグ 第16節
2022.11.12
ウォルバーハンプトン(19位/2勝4分8敗/勝ち点10/得点8 失点22)
×
アーセナル(1位/11勝1分1敗/勝ち点34/得点31 失点11)
@モリニュー・スタジアム
戦績
過去の対戦成績
過去10回の対戦でウルブスの3勝、アーセナルの4勝、引き分けが3つ。
モリニュー・スタジアムでの対戦成績
過去10戦でウルブスの2勝、アーセナルの8勝。
Head-to-head from BBC sport
スカッド情報
【Wolverhampton】
・ネルソン・セメドは1試合の出場停止をEFLカップで消化し復帰。だが、ジエゴ・コスタは引き続き出場停止。
・フレン・ロペテギは金曜にクラブで初日を迎えたが、土曜は指揮を取ることはできない。
【Arsenal】
・チューリッヒ戦で負傷した冨安健洋は引き続き経過を評価する。
・エミール・スミス・ロウは引き続き鼠蹊部の負傷で離脱中。
Match facts from BBC sport
【Wolverhampton】
【Arsenal】
予想スタメン
展望
■センターラインの駒不足は頭の痛い問題
21-22シーズンのアーセナルにおいて、最も印象的だったシーンはあなたにとっていつになるだろうか?地獄の序盤戦を振り払うきっかけになったノース・ロンドン・ダービーが真っ先に思いつくだろうか?終盤の3連敗から脱し、終盤の追い上げのきっかけになったスタンフォード・ブリッジを挙げる人もいるかもしれない。
昨シーズンにおけるインパクトで言えば、個人的には今節対戦するウルブスとの2試合も外せないカードになる。マルティネッリがワンプレーで2つの警告を受けるというトリッキーな退場劇で10人でウルブスの攻撃を跳ね返し続けたモリニューでの第1ラウンド、そして終盤にぺぺ、エンケティア、ラカゼットを主役とした猛攻で終盤に逆転劇を演じたエミレーツでの第2ラウンド。日程変更の関係でどちらも2月に開催された昨季のリーグ戦2試合はアーセナルファンにとっては色濃く記憶に残る一戦だった。
今季のウルブスに話を移していく。現在は19位。降格圏という現状が示しているように明らかに苦しい戦いをしている。元々、スロースターターの気質があるチームであるため、勝ち点だけで言えば例年通りと言えなくもない。だが、今年は例年と違う苦しい部分が見える。
まず、頭数が明らかに足りていないポジションがいくつかある。まずはCFだ。エースとして君臨しているヒメネスは現状では復帰の目処が立っていない状態で離脱が長引いている。新戦力として期待されていたカライジッチはデビュー戦で大怪我により長期の離脱。緊急補強したジエゴ・コスタは蛮行に及んだせいで出場停止の真っ最中だ。CFの選択肢は実質ファン・ヒチャン一択になっている。WGではネトも離脱しており、前線のメンバーのやりくりは非常に苦しい。
一方でそもそも選手がいないのがCB。実質計算できるのはコリンズ、キルマンの2人だけ。次に名前が出てくるゴメスは、コリンズの出場停止時にはネベスをバックラインに入れる選択肢を優先する程度の序列である。ボリー、コーディを失ってしまったバックラインは厚みに欠けており、コリンズとキルマンのどちらかが失われてしまえば、かなりの戦力ダウンは否めない。W杯中断前に正式就任(11/14から)が発表されているロペテギにとってもこれらは頭の痛い問題になる。
バックラインは足元に優れており、特にキルマンは精度の高いキックで攻撃を後ろから組み立てることができる選手である。だが、前線のキャラクターはあまりバックラインからの縦パスを活かした組み立てができるタイプは不在。どちらかといえば、背負って反転して突っ込む!みたいな縦に強いタイプが多い。なのでバックラインはショートパスというよりは、大きな展開一発でなんとかすることが求められる。特に前線の負傷者が増えてからはアダマ・トラオレが猪突猛進的に突っ込むことが増えた。まぁ、他に選択肢があまりないのはわかるのでいいのか悪いのかはわからないところだけど。
パスワークで攻撃を加速することができるのはネベスとポデンス。前者は大きな展開でサイドに逃すことが得意としており、後者はボールを鋭くサイドに刺すより仕上げに近い仕事を託されている。薄いサイドを作って、単騎でアタッカーが突破に挑む舞台を整える役割だ。
非保持においては前から強引にはいかずにがっちりと相手に持たせることが多い。その分、中盤中央はきっちり枚数を噛み合わせて相手を捕まえる。
相手を捉えて、トランジッションに移行するという流れで存在感を少しずつ増やしているのがブバカル・トラオレ。今はウルブスのトラオレといえばアダマの方ではあるが、ここ数試合でブバカルのほうもスタメンに定着。コンパクトに守って高い位置で跳ね返してショートカウンターに移行したい。
リーグ最下位の8得点というパンチ力不足を解消するためにはまずは得点に迫る機会を増やすこと。守備からブバカル・トラオレがリズムを作れれば、貧打解消の糸口になる可能性もある。
■アーセナルの強みの源を押し出したい
アーセナル目線で言えば、ウルブスはハイプレスを食らう心配は少ない相手。むしろ、バックラインから作り出した時間をどのように前に繋いでいくか?が問題になる相手になるだろう。
アタッキングサードにおいて狙い目になるのはSB。ブエノ、セメドが主に使われているSBは撤退志向のチームにしては攻撃的な人選。先日、三笘にセメドがやられたように対人守備にはなんがある。マルティネッリ、サカの2人を軸にSBとの連携で崩していきたいところ。復帰して間もないジンチェンコには敵陣深い位置での貢献による結果を求めていきたい。
中央においてはチェルシー戦のようにジェズス、ウーデゴールの2人が左右に動きながら縦パスを受けるところを探したい。ウルブスが3センターを採用するならば、アンカーの脇は狙い目。特にジンチェンコの登場でポジションチェンジの頻度が増している左サイドは、マルティネッリとジェズスのレーンの入れ替えなどを含めてブバカル・トラオレの背後を狙う立ち位置をとっていきたい。
非保持においてはウルブスどうこうというよりもまずはアーセナルが自分たちの持ち味を前に出すことを優先したい。ブライトン戦で学んだのは流麗なパスワーク以上に高い位置からのプレッシングが今のアーセナルの生命線であるということ。リズムを生み出していくのはハイプレスである。
ブライトン戦のようにうまくいかなかった試合でもそれを感じることはできる。逆にチェルシー戦やリバプール戦のような最小得点差での試合でも強さを見せつけることができたのは、ゲームクローズ時にもハイプレスを弛まず行い、引きこもり以外の逃げ切り方を見せることができたからである。
ジェズスがいくら得点感覚が鈍っていたとしても、今のチームで外せないのはネガトラをサボらずに終盤でも守備のスイッチを入れることができるからだ。カラバオカップは敗退してしまったが、中断直前の最後の試合でアーセナルの強さの源をきっちりと押し出したい。
ウルブスに関して話をすると、やはりネベスのマークは重要。チェルシー戦におけるジョルジーニョのようにきっちり受け渡しながら対応したいところである。ポデンスの降りる動きもサリバとホワイトできっちりと牽制したい。逆に彼らが時間を作ることができれば、攻撃的なウルブスのSBの人選が強みになることがある。ブエノはアタッキングサードでもタッチも良好。彼らの持ち味を出させないようにしたい。
昨季の2試合のような劇的さは今季は不要。相手のスカッドは例年以上に苦しい。彼らの苦しいところにつけ込み「アーセナルは強い」という昨年とは異なる記憶を残せるような一戦にしたいところだ。