頭とおしりのケイン、中押しのサカでゴールショー
マルタをアウェイの地で倒し、ホームに戻ってきたイングランド。北マケドニアを迎え撃つのはいつものウェンブリーではなく、夢の劇場であるオールド・トラフォードだ。
立ち上がりから試合の展開は非常にはっきりしていたといえるだろう。5-3-2できっちりと布陣を組む北マケドニアに対して、イングランドがボール保持から攻めていく形になった。
CBへのマークは放棄して、トップの守備位置は中盤。中央を固める北マケドニアへの攻略法としてイングランドはサイドに策を見出しに行く。
起点となるのは大外。特に右サイドのサカを活用することが多かった。押し込んだ後でのボールを預け先としてはもちろんだが、北マケドニアは保持においては4バック変形から自陣でのポゼッションや右WBのアシュコフスキを活用した攻め上がりもあったため、高めに陣を取り直した最終ラインの背後をとる駆け引きもサカには求められていた。
右サイドが主戦場になった理由はサカだけでなく、アレクサンダー=アーノルドも右の大外に出ることができるからだろう。中盤を含めてレーンを変えながら勝負できるというのは逆サイドにはない強みということができる。
時間の経過と共に北マケドニアは攻め込みにくくなっていく。そのため、初めはWBと1on1だったサカも徐々にヘルプも含めた1on2での形でマッチアップをしなければいけなくなる。
そうなれば重要なのは連携である。周りと協力して空いているコースを作って打開することができるかどうか。そのやり方で先に答えを出したのはイングランドの左サイドだった。
大外のラッシュフォードのタメから、オーバーラップしたショウをかませて、エリア内のケインにラストパス。30分手前でようやく均衡を破ることに成功する。
この得点はゴールショー開幕の号令だった。2点目はサカの強烈なシュート。抜け出し切れずとも打ち抜いてしまうあたり、シーズンの調子の良さをキープしている形である。
勢いに乗るイングランドは前半のうちに3点目。ケインを先頭にしたハイプレスからラッシュフォードが追加点を決めて前半のうちに試合を決める。
高い位置から出てきた後半の北マケドニア。こうなれば前節も見られたアレクサンダー=アーノルド→サカの一瞬の裏取りラインブレイクが通りやすくなる。
後半の頭はこの形からチャンスを量産。左サイドではラッシュフォードも裏抜けで同じやり方を使いまわしていた。
ここからサカは後半だけで2点をゲット。アレクサンダー=アーノルドのエスコートからキャリア初のハットトリックを決めて、拍手で称えられながらベンチに下がっていく。
交代で入ったメンバーもアピールしようと躍起。なぜかフィリップスがゴール前に詰めるという謎の多い形で6点目が入る。ゴールショーのトリはケイン。PKを決めてこの日自身2得点目のゴールで7点差となった。
ケインにはじまり、ケインに終わった大量得点での勝利。サカの中押しで試合を決めたスリーライオンズが予選4連勝で危なげなく首位をキープした。
ひとこと
6月シリーズは相手との力が違ったなという感じ。魑魅魍魎のプレミアリーグで活躍している選手たちなだけある。
試合結果
2023.6.19
EURO 2024 予選 グループC 第4節
イングランド 7-0 北マケドニア
オールド・トラフォード
【得点者】
ENG:29‘ 73’(PK) ケイン, 38‘ 47’ 51‘ サカ, 45’ ラッシュフォード, 64‘ フィリップス
主審:イシュトバン・コヴァーチ