フォーデンの反転加速が崩しのトリガーに
すでに本大会出場を決めているイングランド。ホームでの予選最後の試合はマルタを迎えての一戦。相手的にもグループテーブル的にも主力を休ませながらの一戦となった。
意外にもファーストシュートはマルタ。スローインから相手のスリーセンターの脇をとり、ラウスがミドルシュートを放つ。非保持においても積極性が目立つ立ち上がり。5バックながらも前の5枚でイングランドの保持を跳ね返す狙いを見せていた。
バックラインが深さを取っていたため、ハイプレスで窒息することなかったが、そのバックラインからボールを受ける選手が厳しいプレッシャーにさらされるイングランド。コンパクトな中盤の守備に苦しむ中で違いを作ったのはフォーデン。相手を背負って受けながら自らが反転しつつ加速していく得意なムーブでマルタの選手を置き去りにするようになっていく。
先制点もこの形から。右サイドからのフォーデンの加速からの攻撃がペペのオウンゴールを生み出すことに。フォーデンの反転加速は序盤のイングランドの武器としては相当相手に刺さっていた。
その一方で左サイドはやや停滞気味。後方にCB色の強いトモリがおかれたこともあり、ラッシュフォードは孤立無援。1人で2人を置き去りにするほどのコンディションでないのはクラブでも明らか。フォーデンが猛威を振るっていた右に比べると物足りなさがあったのは事実だろう。
それでもマルタを押し込むというミッションができていたため、先制点を奪っているイングランドとしては特に大きな問題にはならなかった印象である。マルタは右の大外のムボングで勝負できる形を作ることができれば面白そうではあったが、そうした機会をあまり作ることができず。勝負に出ようとラインを上げたマルタのプレスもあまりイングランドには刺さらなかった。
後半の頭のマルタは原点回帰。無理なプレスではなく、ミドルゾーンできっちり構えてのカウンターを狙う。まさに序盤の彼らの入りのトレースである。
しかしながら、後半に主力組を投入してきたイングランドは少しずつ押し返しての攻撃の時間が増えていく。好調のフォーデンがいる右サイドに新たに加わったサカは静止しての1on1とバックドアでの裏抜け活用の二段構えでマルタの左サイドを壊していく。
この形からイングランドは追加点をゲット。右サイドのフォーデン→サカのコンビネーションからエースのケインにゴールのおぜん立てをして見せた。
その後も保持で安定した試合運びを見せたイングランド。負荷の少ない試合運びから堅実に勝利を収めて、2位をさらに引き離した。
ひとこと
突破口になったフォーデンの躍動が光ったし、後半にサカで右サイドの火力をさらに上げるのもとてもいいアプローチだった。マルタの積極的なスタイルも見ごたえはあった。
試合結果
2023.11.17
EURO 2024 予選 グループC 第9節
イングランド 2-0 マルタ
ウェンブリー・スタジアム
【得点者】
ENG:8‘ ぺぺ(OG), 75’ ケイン
主審:ルイス・ゴディーニョ