エースがもたらすオウンゴールと奥行き
すでにEURO予選では決着がついているイングランド。コンペティション的なグループCの見どころはこの試合ではなく雌雄を決するウクライナとイタリアの決戦であることは火を見るより明らかだ。
ボールを持つのはイングランド。北マケドニアは5-2-1-2という形。2トップとトップ下を軸に同サイドに追い込む形でプレスに出ていく。イングランドは縦パスを差し込んでからサイドへの展開から横断で勝負を仕掛けていく。
出口としては大外のWGを活用した1on1勝負に持っていきたいイングランド。だが、北マケドニアはイングランドがサイドに出口を求めることは織り込み済み。サイドにヘルプを置きながらプレスを強めていく。イングランドはサイドで深さを作ったことをフリにしてライスのミドルなどを活用するなどブロックの外からの仕掛けを見せていくが、なかなかこじ開けることができない。
カウンター一辺倒になっている北マケドニア。少し苦しい戦いになっているようにも思えたが、カウンターから絶好の先制点のチャンスを獲得。競り合いからミオフスキーが倒されてしまいPKを奪取する。先発に抜擢されたリコ・ルイスにとっては苦渋を飲まされる試合となった。パルティのPKは一度は防がれたが、押し込むことで先制点を獲得する。
後半、イングランドは反撃に出ていく。サカの突破とグリーリッシュのラインブレイクからスタートしたイングランドの攻撃。後半の攻め手は右のサカ、もしくは左のライスやルイスのキャリーからズレを作っていく形。しかしながら、イングランドの攻めは決め手にかける。北マケドニアが保持に回ると落ち着いてポゼッションしたこともあり、イングランドはなかなか攻めきれない展開が続く。
それを一撃で解決するのだからエースは偉大である。記録はオウンゴールだが、ケインは投入された直後にイングランドは試合を振り出しに戻すのだから、インパクトは抜群。流れの中からも奥行きを作るなどさすがのパフォーマンスを見せた。
逆に苦しんでいたのはフォーデン。前節が良かっただけにターンがなかなか冴えないのは苦しいところ。攻撃の加速に一役買うことができなかった。
対する北マケドニアもポゼッションはできてはいたが、運ぶところまでで一杯の感じ。得点につながるチャンスを生み出すことができなかった。
試合は痛み分けのまま終了。1-1のタイスコアで北マケドニアがイングランドからの勝ち点奪取に成功した。
ひとこと
イタリアが面倒なことに巻き込まれることを見ると、毎回予選を苦労せずに通過するのはなんだかんだ優秀である。
試合結果
2023.11.20
EURO 2024 予選 グループC 第10節
北マケドニア 1-1 イングランド
トシェ・プロエスキ・アレナ
【得点者】
MKD:41‘ パルティ
ENG:59‘ アタナソフ(OG)
主審:フィリップ・グロバ