今年もこの時期だね!早速いってみよう!
【GK】
1 チョン・ソンリョン
■目立つようになったのは良いことなのか
ここ数年、川崎のGKは目立つ機会が少なかったことから、やってきた功績の割には評価されないことが多いと感じていた。個人的には他のチームのサポーターからの評判に一番違和感があるのがソンリョンだったりする。
そういう意味では今年は比較的、他サポからの評価のギャップを感じにくい年のようにも思う。言い換えれば、それだけ川崎にとって苦しい機会が増えており、ソンリョンに救われるシーンが数多くあったということでもある。
というわけで例年にも増してソンリョンは大忙しだった。特にジェジエウがいなかった前半戦は裏を取られての守備機会が多くてんやわんや。勝利がことごとくクリーンシートだったことからもソンリョンの貢献度は計り知れないといってもいいだろう。
加齢による衰えはほとんど感じられず、キックは抜群の速度と精度ではないものの、ビルドアップから失点に直結するようなミスは今年もほぼなかったといっていい。シュートストップとのバランスを考えれば、これだけ高水準で多くの能力を有しているGKはあまり多くはないはずだ。
逆に言えば負傷時以外にはカップ戦も含めてほぼフル稼働という状況は川崎のGK事情の難しさを表しているともいえる。年齢的には川崎はソンリョンの次を見据えないといけない段階にきているが、GKの次を見据える(そもそも難しい命題ではあるが)部分は棚上げになっている。
来年はおそらく大きな転換期を迎えるであろう川崎のプレーモデルがGKにどの能力を求めるのか?というところから、まずは整理したいところ。偉大な守護神の後釜選びは川崎にとって非常に重要なファクターになりそうだ。
21 安藤駿介
■記憶に残る浦和戦
せい!今年も出番はなかったぜ。ソンリョンがいない終盤戦においてはベンチ入りを果たしているので実質第3GKという位置づけなのだろう。
出ることこそできなかったが、今季はコロナ禍に見舞われまくった浦和戦でGKみんな仲良くベンチ入りという非常に印象に残る出来事も。GKだらけのベンチを見て「GKはコロナウイルスへの抗体でもあるんだろうか」と陰謀脳みたいなことも一瞬考えてしまった。フィールドプレイヤーとして準備を進めた一週間ということだが、どんな形であれ、チームに貢献するために前を向いて動いてくれるのは嬉しい。
個人的にはできれば引退まで安藤と共にという思いを強くした一年だった。
22 早坂勇希
■来季のプランは考えたいところ
実質1年目のルーキーは今年出番なし。まさかプロ初のベンチ入りでフィールドプレイヤーの準備をする羽目になるとは夢にも思わなかっただろう。
期待も大きいが、この年の年齢のGKが何年もプレーしないままというのは懸念が大きい。できれば、来季はプレータイムを増やしていく方針で何らかのプランを用意してほしいというのが本音である。
確かにクラブから離れるとディズニーはいきにくくなるけど!帰ってくれば行けるから!ね!
プライベートでも仮装はノリノリなんだな。
27 丹野研太
■継承されている準備の達人
膝を痛めてしまったソンリョン大先生に代わって絶賛稼働中である。川崎に入ってから先発した試合は無敗で引き分けも1つだけという驚異の勝率を誇る丹野。
終盤戦にゴールマウスを守るという非常にプレッシャーのかかる起用法になっているが、そうした状況も何のその。しっかりとした準備でチームを支えた。最終節の多摩川クラシコでもスクランブルで緊急出場。セービングできっちりチームを鼓舞してみせた。
さすがにフィールドプレイヤーに混ざってのビルドアップやロングキックなどの足元の部分では気になるところはあるが、セービングやDFラインの背後のケアなどGKの本文であるきっちりと守るということに関しては十二分の働きをしているといっていいだろう。
川崎の第2GKは準備の達人という先代からの流れを見事に継承。だが、まさかの今季でお別れである!マジか!無敗のままクラブを去るというある意味伝説的な形でクラブを去ることに。次のクラブでも活躍を心から祈りたい。
【DF】
2 登里享平
■プレーにも表れた懸念事項
率直に厳しいシーズンになったといえるだろう。リーグでのプレータイムはプロ2年目である2010年以来初めて1000分に満たないことが確定している。3月の浦和戦での負傷以降、セットバックも含めての長期離脱となったのが年間を通して響いた印象である。
それでもトータルで見れば現状の左のSBの一番手といえるだろう。ポジション取りやWGのサポートは相変わらず出れば無難にこなす側面もありさすがの貫禄といったところでもある。
しかしながら、その一方で繰り返しのスプリント能力には疑問符が残る。実際のところはどうかわからないので想像ではあるが、負傷の影響はプレーにも表れたように思った。サイドの崩しには顔を出す。そこから動き出して、エリア内にえぐるように入ってくる走り出しは明らかに減少。得点を決められないのは仕方がないが、ここ数年は貢献していたアシストまでなくなったしまったのは、明らかにエリア内に入ってくる動きに鋭さがなくなったからだろう。ダミアンとプレータイムがほぼ被っていないという外部要因もなくはないけども。
キック精度にめちゃめちゃ長けているわけではない登里にとって、この抉る動きはラストパスを入れるための大事な下準備である。それができないのであれば、アシストが出なくなってしまうのは当然だ。
苦しくなったのは守備面も。身長差をモノともしない鋭いカバーリングは鳴りを潜め、クロスのターゲット以外の平面においてもややマッチアップが押され気味のシーンは例年よりも多かったように思う。
間隔が空いたことでオーバーラップが増えた神戸戦などの様子を見れば、今季が例外的にコンディションが整わなかったとすることもできなくはない。来季はどこまでコンディションを戻せるかの勝負の年になる。みんなエリアにガンガン顔を出す登里を待っている。顔を出さないのはハロウィンの仮装だけにしてほしいものである。
今年は仲間が増えました。
4 ジェジエウ
■出場時は大怪我を感じさせないクオリティ
昨年末の鳥栖戦で負傷し、シーズン半分は休養。7/30の浦和戦で復帰した。負傷が負傷だけに、復帰後も元の水準にプレー強度が戻るのか?という不安は本人もチームもファンもあったはずだが、そうした心配はどこ吹く風。広大な守備範囲をカバーすべく、ピッチを掛け回す姿は負傷前と変わらない姿であった。
横浜FM戦で足を攣りながらも、前線に残って劇的ゴールを決め、逆転優勝の望みをつなげたのも彼。守備だけでなく、チームの勢いを復活させる得点でチーム全体を勢いづけた。
彼がいるいないでは、今の川崎のバックラインにできることは全く違う。それくらい重要な戦力なのは間違いない。しかしながら、負傷の影響もあってか、例年以上に途中交代、途中出場の試合が増えたのは懸念である。終盤のタイトル争いの事情から無理をさせることもあったが、なんとか応えてくれたのはとても心強い。
保持においては相変わらずパスワークに課題があり、プレスの狙い所にされては危険なショートカウンターのきっかけを作ってしまうのは確か。ただ、トータルで見れば、それを補って余りある働きをしているのは間違いない。ちなみに、ボール保持においてもスペースが空いている時の持ち運びは意外とうまかったりする。
ただ、来季はそうしたプレー面での上積みよりも、1年間コンディションを整えることを最優先に考えることがベターかもしれない。1年間共に戦うことができれば、川崎にとってこれ以上心強いことはない。
5 谷口彰悟
■苦しいチーム事情の中で高水準のパフォーマンスを見せてカタールへ
勤続疲労によるパフォーマンス低下と負傷離脱が蔓延し続けた2022年の川崎。その中で例年通りの高パフォーマンスでチームを牽引し続けたのが今季の谷口である。
特に今年は代表活動が非常に活発になった年でもある。9月の欧州遠征をこなしたことも踏まえれば、例年以上に今年のパフォーマンスには大きな意味がある。高い評価を受けて然るべき存在と言っていいだろう。
高い位置でのチャレンジや、バックステップを踏みながらのクロス対応など谷口らしい強みはより一層磨かれた印象。当たり前にクロスを跳ね返し続ける姿は頼もしいことこの上ない。その上で、今季は得点を決めるという大きな役割も果たすこともできた。終了間際の決勝点になった神戸戦や、セットプレーでの先制ゴールなど、ゴールを決める局面が重要だったのもポイントが高い。
ミドルパスや対角パスなどのチャレンジは今季も散発的に見られたが、トライする頻度はそこまで高くないのは例年と同じ。対角パスを武器にした!というためには、もう少し通年を通してこの形を生かした展開を使っていきたい。ただ、保持面トータルで見れば無理な縦パスが減り、ライン間に前を向かせる楔が増えた分、向上しているように見える。
苦しいチームを支え続ける姿や頼もしい発言など、キャプテンらしさは日を追うごとに増していっている印象だ。自己研鑽とコンディション管理にはかなり気を遣っているはずだが、持ち前のストイックさを生かして長年川崎のユニフォームで活躍して欲しいところだ。W杯行ってらっしゃーーーーい!!!!!!!!!
7 車屋紳太郎
■課題はコンディション以上に・・・
難しい1年になってしまった。度重なる負傷でコンディションが満足に整わなかったシーズンであることは間違い無いだろう。しかしながら、それであっても実質チーム唯一の左利きのCBであり、SBもこなせるとなれば現状のスカッドにおいては貴重な存在であることは間違いない。
保持においてはキャリーするドリブルで相手の1stDFラインを超えて、相手の中盤から相手を引き出したり、アクロバティックなクリアでピンチの芽を摘むことができていた。
しかしながら、CBというポジションの特性と照らし合わせるとあまりにパフォーマンスの波が大きいのは無視できない。前に出ていって相手を捕まえるという川崎のCBに求められる基本的なタスクにはトライしているものの、簡単にボールを捌かせてしまうこともしばしば。サイドに流れた際もCBに穴を開けた割にはクロスをやすやすと上げることを許容してしまう場面が目立つ。この辺りは潰し切れる谷口やジェジエウとの差になる。
出ていくならば潰す、そうで無いならば背後をケアする。それができなければアウェイ札幌戦のPKのように味方がババを引いてしまう対応をせざるを得なくなってしまう。
CBとして通年プレーするにはこうした安定感は不可欠。プレータイム以上に、出ている時間のパフォーマンスを落ち着かせたいところ。アタッカーなら波の大きさは許容できるが、CBはそうした波を許容しにくいポジションである。
13 山根視来
■苦しみながらもトライする姿勢が導くカタールへの道筋
鉄人・山根といえど、週2日ペースでの試合が続くハードスケジュールと代表活動の併用の中での実質専任1人のポジションというのは無理があるということがわかった1年だった。ポジションを手放すことはしなかったものの、例年よりも明らかにパフォーマンスが低下してしまう場面がしばしばだった。
特に、対人守備の精度の低下と高い位置でのパス交換でのミスは顕著。後者に関しては本人がチャレンジングな選択を辞めなかったことも大きいだろうが、いずれにしてもファンがあまり見たことない山根の姿を見た一年だった。
もちろん、そうなることは当然だろう。フル代表はもちろん、世代別代表とクラブの掛け持ちもやってこなかったタイプであり、山根からすると未知の領域の一年だったのではないか。
代表活動では得点にも失点にも絡むという形でいい面も悪い面も見せた。特に、クラブ単位ではむしろ超過労働時も頼りになる部分だったクロス対応が、アジアを一歩出ると弱みになるという部分は海外の壁の高さを感じざるを得ない場面だった。
それでも久しぶりにまとまった休みがとれた直近の神戸戦ではハイパフォーマンスを披露。そして、見事にカタール行きの切符を獲得して見せた。
それなりに代表を追ってきた身から推察すると、山根が選ばれた理由は4バックの中でSBから得点に絡む意識である。SBとしては本分というよりも付加価値になる部分かもしれない。しかし、山根は今季コンディションに苦しみながらもそこのトライだけは止めることはなかった。前に出ていく、得点に絡む、FWへのお膳立てを行う。それだけは継続していた。その部分がカタールの道へつながっていたと思うと、非常に感慨深い。
川崎からW杯へ。その道筋を見せてくれた功績は、紛れもなく川崎の右サイドを支え続けた彼の実力により勝ち取ったものである。
15 佐々木旭
■2年目は「選んでもらう」べく殴り込みを
これまでの大卒一年目とは異なり、非常に紆余曲折があるルーキーイヤーとなった佐々木。頭角を表すのはとても早かった。登里、車屋とレギュラークラスのSBがコンディションが整わない中、3節の鹿島戦で先発デビュー。いきなりゴールという結果を残しつつ、肝心の守備も高い水準でこなし、一躍ファンの期待は高まった。
しかしながら、これ以降は波のあるシーズンになってしまった。粘り強い対人守備は魅力の一つだが、深追いして無理な体勢になるあまりファウルを犯してしまうシーンもしばしば。保持では高い位置でインサイドに入り込む積極性が魅力だが、そうした機会を披露できることは限定的だった。
正直にいえば、この1年間は佐々木じゃなきゃ!というよりもレギュラーメンバーに不測の事態が出たことによって出番が回ってきた要素が強かった。よって来季以降目標とすべきは佐々木の特長を生かす形でレギュラー争いにきっちり殴り込みをかけることになるだろう。
具体的な目標を述べれば、左SBのレギュラークラス定着および右SBのバックアッパーとしての立ち位置確立が求められることになるだろう。兆しは見せた、あとはきっちりと輝くこと。飛躍の2年目に期待したいところだ。
29 高井幸大
■まずは国内初出場を狙いたい
昨年夏に2種登録、今年の頭にプロ契約締結と順調にステップアップを続ける高井。アンダーカテゴリーの代表に、カタールW杯のトレーニングメンバー入りなど充実した成長を見せる一年だった。
ただし、出番はここまで広州戦1試合のみ。国内でのデビューはまだであるが、親善試合とはいえPSG相手にいきなり投入されるという鬼のような経験値の積ませかたをしていた。
バックラインは今季、1年を通して懸念が残るポジションだった。来季は国内での初出場を果たすことと、実用的な戦力としてベンチ入り争いに加わることが目標になるだろう。
つづく!