ブレントフォード、23-24シーズンの歩み。
第1節 トッテナム戦(H)
後半の優位を勝ち越し弾に繋げられず
2桁ゴールで牽引するエースの不在、GKの入れ替わり。同じロンドンに居を構える両雄は似たような境遇で開幕戦を迎えることとなった。ただし共通点はあるものの、監督人事は対照的。トーマス・フランクのものでベースを熟成させているブレントフォードに対して、アンジェ・ポステコゴルーを招聘したトッテナムはチャレンジの1年になる。
試合はブレントフォードが速いテンポのプレスでトッテナムを追い込むところからスタート。トッテナムのバックラインは速いペースでプレーすることにまだ慣れていない感じ。パスワークやポジションの取り直しなどに相当ドタバタしていた。ブレントフォードからすればプレスのかけがいがあると感じただろう。
ただし、トッテナムは自陣を脱出さえできればそれなりにやれそうではあった。中央に縦に刺すパスからブレントフォードのブロック守備を縫うようにチャンスを作っていく。主役はもちろんマディソンである。押し込む状況から手応えを得たトッテナムはセットプレーから先制。ロメロがヘディングからゴールを決めるが、直前のプレーの頭部のダメージが残っていたか、ここで負傷交代となる。
追いかけるブレントフォードは相対的に速いテンポでのプレーに慣れていた感があった。プレス回避、そして中盤から外に流れる2トップで加速。サイドで深さをとったところから逆サイドへの展開かそのままのクロスでスピーディーにトッテナムのゴールに迫っていく。
試合は全体的にハイテンポな状況に。その中でトッテナムのWGにボールが入った時はスローダウンする形で試合は進む。クルゼフスキにボールが入った時は、外→中にスムーズに侵入ができるかどうかという少し違うリズムで攻撃が動いている感じだった。
速いテンポで動く試合はブレントフォードが立て続けにゴールを決めて逆転。右サイドからソンのPKを誘発して追いつくと、左サイドからはヘンリーがエメルソンをぶち抜いてウィサがゴールをゲット。あっという間に試合をひっくり返す。
前半は11分という長い追加タイム。この間に発生したイベントはエメルソンの名誉挽回のミドルシュートだった。マディソンから溢れたボールをミドルで押し込み試合をハーフタイムまでに振り出しに戻すことに成功した。
後半の主導権争いを制したのはトッテナム。前半の焼き直しのような落ち着かない展開が続いた中で押し込むことに成功する。リシャルリソンはボールサイドのペナ角付近に顔を出して積極的にポストしたり、マディソンやクルゼフスキがボールをもてば前線が動き出したりなど、それなりにチャンスができていた。ただ、立ちはだかったのはGKのフレッケン。角度がついたところからのシュートをセーブし、ブレントフォードにとって一番苦しい時間を凌ぎ切る。
イェンセンの負傷、ブロック守備の強度がやや怪しいなど後半のブレントフォードはややらしくないところを見せたが、交代選手が入ると再びカウンターが活性化。徐々に押し返す機会が出てくるようになる。
反対にトッテナムは代えられない選手が多く、時間の経過とともにエネルギーがダウン。オフザボールの動き出しが減少し、崩しの頻度が下がる。交代で入ったペリシッチが左サイドでロストを繰り返したのも停滞の要因となった。
最後は組み合った状態で引き分けで決着。互いに勝ち点1を分け合う開幕戦となった。
ひとこと
ビスマやリシャルリソンなど、これまでなかなか輝けなかった選手に兆しが見えたのは朗報だろう。キャプテンがこの流れに乗れるかどうかは大きなポイントになりそうだ。
試合結果
2023.8.13
プレミアリーグ 第1節
ブレントフォード 2-2 トッテナム
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:26′ ムベウモ, 36′ ウィサ
TOT:11′ ロメロm 45+4′ エメルソン
主審:ロベルト・ジョーンズ
第2節 フラム戦(A)
もがくフラムとセットプレーとカウンターで沈める
今節は3つあるロンドンダービーのうちの1つ。クレイヴン・コテージにブレントフォードが乗り込む一戦だ。
ブレントフォードは前節と異なる4-1-4-1の形を採用。昨シーズンのこの形のブレントフォードといえば、省エネ落ち着きモードだが、今季は様子を見つつフラムに積極的にプレスに出ていくなど、ややモデルチェンジの様相を見せる。
フラムは前節と同じくポゼッションからのスタート。ブレントフォードがCBに枚数を合わせに出てこないうちに、WGの背後からボールを運んでいきたい算段。SBのテテがインサイドに絞るなど、あまりこれまでにない工夫をみせているのが印象的だった。前節ビルドアップに関与しなったウィリアンの動きも踏まえるともしかすると、前線が降りずにビルドアップができるか?というテストを行っているのかもしれない。
しかしながら、前線が助けに来ない状態ではビルドアップはジリ貧。1人で運べる選手もはがせる選手もいないため、ブレントフォードが強気でくるシーンにおいては圧力をもろに食らってしまうように。
ブレントフォードのボール保持は割り切ってロングボールから前に当てると、セカンドボールを拾いながら前進を狙っていくスタンス。こちらもWGは特にビルドアップには関与しない。
その分、最終局面にはどんどん出てくるのがブレントフォードのWGの特徴。斜めのランで長いボールを引き出しつつ、フラムのDF陣の背後を取りに行く。
いけると踏んだかブレントフォードは少しずつ圧力を高めるように。すると、ディオプがまさかのミスから相手にプレゼントパス。これをウィサが冷静に沈め、ブレントフォードが先制する。セットプレーから少しずつ地道にゴールを狙っていたフラムを尻目に、ブレントフォードはあっさりとゴールを手にする。
後半はブレントフォードががっちり守るスタート。フラムのポゼッションを受け止めて自陣の深い位置で相手の攻撃を跳ね返す。
フラムは右サイドから人数をかけた組み立てにトライ。出張に出てきたボビー・リードの左足など惜しい場面もないわけではない。
それだけにセットプレーからブレントフォードが数的有利とゴールを一挙に手にした時の脱力感は半端なかっただろう。バックラインで最も落ち着いてボールを持てるリームをDOGSOで失い、ムベウモに突き放されてしまう。
10人になって完全にテンションが下がってしまったフラム。ウィリアンのFKなど限られたチャンスから反撃を狙う。だが、構えてカウンターに専念したブレントフォードの方が得点には近い雰囲気が出てくる。
落ち着いたリトリートで試合を眠らせるブレントフォードは終了間際にカウンターから追加点。またしてもムベウモのゴールで試合を完全に決め切る。
波に乗ろうともがくフラムを要所を抑えたブレントフォードが一蹴。ロンドンダービーを制し、好調なシーズンの幕開けを飾った。
ひとこと
トニーがいなくなったことでムベウモに少し本格覚醒の予感が漂っていてうれしい。
試合結果
2023.8.19
プレミアリーグ 第2節
フラム 0-3 ブレントフォード
クレイヴン・コテージ
【得点者】
BRE:44’ ウィサ, 66‘(PK) 90+2’ ムベウモ
主審:ティム・ロビンソン
第3節 クリスタル・パレス戦(H)
雨とガス欠で終盤はグロッキーに
どうやら、ビッグマッチには5-3-2で同格の相手には4-3-3というブレントフォードのスタンスは今年も変わりはないようだ。フラムと対戦した前節に引き続き、クリスタル・パレス相手にもトーマス・フランクは4-3-3を選択した。
パレスは4-4-2ベースで2トップがCBに交互にプレッシャーをかけていく形。というわけでブレントフォードは空いているCBから持ち運び、パレスのSHを引き出しながらその裏のSBにボールを届けることを狙っていく。
しかしながら、シュラップとアイェウという守備に抜かりない百戦錬磨のSHにこういった揺さぶりは簡単には通用しない。SBをきっちり捕まえることでブレントフォードに楽に前進をさせない。もしかしたらラヤのようにGKから直接届けられれば外せたかもしれないけども。
ただし、パレスもパレスで攻撃に転じれば苦戦。ミドルゾーンでブレントフォードの攻撃を止めた後のカウンターがやや単騎気味。エドゥアールは根性で持ち運んでいたが、やはり独力で壊していくには限界があるタイプなのでザハとは勝手が違う。
そういう意味で違いを見せたのはブレントフォードのシャーデ。左サイドを独力で切り拓いてのゴールで先制点をもたらす。
失点後は少し強気のプレスに出てきたパレス。そうしたパレスのスタンスや、30分を境に振り出した豪雨により、試合は徐々に大味な展開に。足元になかなかボールが収まらない状況が続き、肉弾戦のような流れにシフトしていく。
後半もその流れは継続。その中でも徐々にパレスが押し返していく状況が出てくるように。ブレントフォードは徐々に自陣にくぎ付けになる。
ブレントフォードは実直なチームというのは変わらないのだが、やはりラヤからトニーへの一発のロングボールからの陣地回復という武器がないのは押し込まれたときに厳しい。さらには前線をリフレッシュする交代策もないので、流れを変える一手を打つこともできない。
押し込むパレスは意外な形で同点ゴールをゲット。右サイドから強引にエグる形で攻め上がり、角度のないところから根性でフレッケンの守るゴールを破る。ここまでいい守備が続いていただけにフレッケンとしては非常に悔やまれる失点となった。
一気に反撃に出ていきたいかと思われたパレスだが、実は前線の交代カードがないのはブレントフォードと同じ。マテタとアーマダは投入したが、活性化しきらずに試合は膠着していく。
両チームともアタッカーのガス欠具合が際立つ終盤戦。マークを外すフリーランが生まれないため、ひたすら肉弾戦が続く展開となった。
やや、グロッキーさが際立つ展開となったこの一戦は痛み分けで決着。両軍勝ち点1を分け合う形で幕を閉じた。
ひとこと
両チームとも前線は補強した方がいいと思う。特にブレントフォードは。
試合結果
2023.8.26
プレミアリーグ 第3節
ブレントフォード 1-1 クリスタル・パレス
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:18′ シャーデ
CRY:76′ アンデルセン
主審:ピーター・バンクス
第4節 ボーンマス戦(H)
帳尻があったエースの決定力
まずはボーンマスのボール保持が目立つ立ち上がり。列落ちするビリングを筆頭に4-1-4-1をベースポジションとして、IHとSHがかなり縦横無尽に動き回ることで守備の基準点を作らせない動きを見せていた。
ボールを持つボーンマスが先制攻撃を仕掛けるが、先にゴールにボールを入れたのはブレントフォード。サイド攻撃からシンプルにクロスを上げていくと、ファー寄りのクロスに対してネトが対応ミス。するとこの流れで得たFKを角度のないところからズドン。あっという間に先制点を手にする。
これ以降もブレントフォードの動きはボックス付近でフリーマンを作ってサイドからのクロスが中心。左右に大きくスウィングしながらのゲームメイクで確実にボールを敵陣まで運んでいく。それ以外にもシャーデに抜け出しての決定機があるなど見どころがあったブレントフォードだった。
一方のボーンマスはソランケが流れに乗れずに苦戦。カウンターやクリスティと動線がかぶってしまい、決定的なチャンスを棒に振ってしまうなど、なかなかチームに貢献できない。
それでも高い位置からのボール奪取をあきらめないボーンマス。この日のブレントフォードはなかなかに撤退守備の怪しさもあったので行ける感も選手の中であったはずである。
すると、ようやくカウンターからソランケがゲット。このゴール以降も引き続き優勢に進めたボーンマス。リードは叶わなかったが前半のうちに追いつくことに成功する。
後半は前半以上にオープンな展開。後半早々に決定機を迎えたのはブレントフォード。シャーデの抜け出しから左サイドをとっぱすると逆サイドで待ち受けていたムベウモがこれを枠に飛ばせず。さらにはウィサ、ルイス-ポッターといった面々もなかなかシュートがネットを揺らさずに苦戦がつづくこととなった。
このオープンな展開に乗じることに成功したボーンマス。相手のパスミスからカウンターを放つと、最後はヘンリーの処理ミスからカウンターを完結。ついに逆転のゴールを手にする。
以降は5バックで安全に逃げ切りを図るボーンマス。ここからは捨て身で臨まなければいけないブレントフォード。ムベウモの外を押し込むような選手を作ることでカットインのフォローをしつつ、少しずつ攻撃に出ていく。
すると、最後はそのムベウモが大仕事。後方からのロングボールをピタリとしたコントロールで完全に相手を置き去りにすることに成功。そのまま自らが運んであっさり同点ゴールを手にする。これはファーストタッチで勝負ありだ。
決定力で苦しんだ前半のブレントフォードだったが、後半になんとか帳尻合わせ。またしても引き分けで無敗のまま中断期間に突入する。
ひとこと
両チームとも結局エースが仕事をする見事な帳尻合わせでした。
試合結果
2023.9.2
プレミアリーグ 第4節
ブレントフォード 2-2 ボーンマス
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:7‘ イェンセン, 90+3’ ムベウモ
BOU:30‘ ソランケ, 77’ ブルックス
主審:ロベルト・マドレー
第5節 ニューカッスル戦(A)
「強豪認定」を乗り越えターンオーバーと結果を両立
リーグ戦は3連敗中。リバプール、マン・シティ、ブライトンと強い対戦相手が続いた感触はあるが、ニューカッスルとて実力者であり、この屈辱から1日も早く抜け出したいところだろう。
ブレントフォードは4-3-3と3-5-2を使い分けているが、この日は強豪と対戦する際によく用いる3-5-2を採用。ニューカッスルを「強豪認定」しての一戦に臨む。
一方のニューカッスルは中盤と前線にある程度CLを意識したターンオーバーを敢行。ここまでセカンドユニットの出力不足が課題になっているが、バック4が揃ったことである程度踏ん張れるという打算があったのかもしれない。
互いに強度を生かしながら縦に早く攻めていく立ち上がりを見せる序盤戦。優位を取ったのはブレントフォード。マンツーでのプレッシングで高い位置からの制限をかけつつ、ニューカッスルのWGには前を向かせない。ターンオーバーをしたニューカッスル相手に強度で上回る形で押し込んでいく。
押し込むブレントフォードは右サイドでコリンズが列上げのサポートを行っての崩しを行うなど、アタッキングサードにおいては工夫もちらほら。敵陣での保持から有効打を打ち込んでいく。
ニューカッスルは25分くらいから押し返すことに成功。サイドから少しずつチャンスを作り、エリア内でもクロスにフリーで合わせられるように。しかし、ヘディングはことごとく枠外。なかなかフレッケンが守るゴールマウスを脅かすことができない。
ブレントフォードはロングカウンターから巻き返していきたいところだが、ラインが下がった分なかなかひっくり返せない時間帯が続く。その上、ヘンリーが膝を負傷してしまい交代。推進力という意味でもブレントフォードにとっては大きな痛手である。
後半も流れは同じ。ロングカウンターの起点として2トップは踏ん張りたいところだが、ムベウモのターンもシェアとボットマンの2人を相手にすればあまりにも分が悪い。
というわけでニューカッスルがブロック崩しのターンが長く続くことに。ニューカッスルは右サイドからトリッピアーのクロスをメインに攻め立てている。その甲斐あってかようやくウィルソンがネットを揺らす。だがこれは直前の自身のファウルでノーゴールに。
しかし、その直後に正真正銘の先制点を手にするニューカッスル。ヒッキーとフレッケンの連携ミスを突いたゴードンがPKを奪取。接触自体はソフトであり際どい判定であったが、これでようやくブレントフォードをこじ開けることに成功した。
直後に再びPKの判定を受けるブレントフォードだが、ムベウモのハンドは不可抗力という判断で取り消し。なんとか首の皮1枚が繋がる。しかしながら、ロングカウンターの発動のためのアタッカーの加速はことごとくニューカッスルの守備陣に捕まっていく。
その後もPKの一点を堅実に守り切ったニューカッスル。なんとか終盤まで粘りきり、ブレントフォードに今季初黒星をつけた。
ひとこと
やや渋い内容ではあったが、リーグ的にもCL的にもターンオーバーしての勝利は100点と言える。メンバーを入れ替える賭けにハウは勝ったと言えるだろう。
試合結果
2023.9.16
プレミアリーグ 第5節
ニューカッスル 1-0 ブレントフォード
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:64′(PK) ウィルソン
主審:クレイグ・ポーソン
第6節 エバートン戦(H)
ついに手にした初勝利とブレントフォードの苦悩
キックオフ前のアップでシャーデが負傷し、ルイス-ポッターがいきなり先発に抜擢されることに。これでブレントフォードは前線の控えがベンチからいなくなってしまいという苦しい状況だった。
立ち上がり、ボールを持ったのはブレントフォード。エバートンはボールを持たせつつ中盤をきっちりマークする方を優先。となるとブレントフォードが保持でどれだけ動かせるの?という展開になる。
この部分が定まらなかったブレントフォード。ルイス-ポッターにボールを頑張ってつけてもバックラインまでボールを下げてしまうなど、なかなかWGへボールを預けることが仕掛けにつながらなかった。
そうなれば、エバートンはラインを上げてボールを奪い、そのままカウンターを打つことができる。前線のベトはアーセナル戦と違い簡単にボールを収めることができるので、ドゥクレが前を向いて推進力を発揮するのは絶好の状況。ドゥクレはセットプレーから先制点までゲット。動き直しでオフサイドを回避するストライカー顔負けの振る舞いから貴重な先手を奪うゴールを手にする。
その後もしばらくは前線の預けどころが見つからないブレントフォードにエバートンがカウンターから有効打を放っていく構図が続いていく。しかし、深さを作ったウィサのポストプレーからイェンセンが一撃でゴールを仕留める。
このゴールで試合の流れは変わった。左サイドではルイス-ポッターが仕掛けられるようになり、ウィサへの縦パスを入れることもビビらなくなった。さらにはゲイェを狩りどころにしたショートカウンターなど自信を持ってプレーができるように。
一方のエバートンはレイオフの関係性からフリーマンを作る工程をすっ飛ばして、直線的に抜け出す楽な道を選び始めた感があった。試合は1-1でハーフタイムを迎える。
後半は前半以上にボールが行ったり来たりする展開に。ブレントフォードペースの流れにリセットがかかり、ロングキックでひたすら前に急ぎながらピンボールのように忙しく動くボールに合わせて選手たちが上下動を繰り返す。
すなわちチャンスの少ない展開になったということであり、そういう状況を分けるのはセットプレーというのは世の常。必勝パターンであるファーサイドのターコウスキでエバートンが前に出ることに成功する。
ブレントフォードにも直後にセットプレーからの決定機があったが、こちらはゴールに捩じ込むことができず。すると一気に畳み掛けたいエバートンがキャルバート=ルーウィンのゴールでリードをさらに広げる。
前線の代えがいないブレントフォードはこの流れに抗うことができず。そのまま試合は終了し、エバートンがついに今季初勝利を挙げることとなった。
ひとこと
一番欲しい人にゴールが生まれ、悲願の勝ち点3を手にしたエバートンと松葉杖で歩くシャーデが映し出されたブレントフォード。対照的なチーム状況が浮き彫りになった一戦だった。
試合結果
2023.9.23
プレミアリーグ 第6節
ブレントフォード 1-3 エバートン
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:28′ イェンセン
EVE:6′ ドゥクレ, 67′ ターコウスキ, 71′ キャルバート=ルーウィン
主審:マイケル・オリバー
第7節 ノッティンガム・フォレスト戦(A)
10人の危機にギブス=ホワイトが立ち上がる
CL組とEL組が土曜に先行開催した結果、日曜のゲームはこのカードただ一つだけ。ホームのフォレストがミッドウィークにカップ戦を戦ったブレントフォードを迎え撃つ試合だ。
試合は非常に手堅い展開となった。中盤を抑えつつ、相手のバックラインは枚数を余らせるようにボールを持つプレスが両チームの基本線。どちらかといえば僅かにフィーリングが良かったのはブレントフォードだろうか。ムベウモとアイエルで相手のサイドをピン留めしつつ、右の大外に顔を出すイェンセンからズレを作り出す。
フォレストはカウンターからトランジッション主体の迎撃で対抗。エランガのスピード、右の大外から裏抜けするオーリエ、そして左に流れるアウォニイなど前線にポイントを作り続けることで、ボールを奪ってから素早く攻勢に出る。
その分、ポゼッションはやや苦戦したフォレスト。ウィサを先導役とするブレントフォードの誘導に対して、片側サイドに閉じ込められてしまい、バックラインからのキャリーができなくなってしまう。しかし、これもドミンゲスの列落ちからの叩きで圧縮のプレッシャーを逃すことに成功していた。
よってプレスの位置を下げるブレントフォード。その結果、試合は堅い展開に流れるように。どちらのチームもそこまで大きなズレを見せることはなく、保持側が限られたチャンスから機会を伺う展開に。ブレントフォードは左のヒッキーとルイス-ポッターでエランガとオーリエを振り回したが、逆サイドのムリーリョの危機察知能力の高さに潰されてしまう。
フォレストは右サイドにおいて単体ではいい動きをするのだが連携面で苦戦。エランガのサポートの仕方をオーリエもサンガレも悩んでいるようで、一発で抜け出すくらいクリーンな形でなければチャンスにはならなかった。
セットプレーからフォレストはネットを揺らすが、これはアウォニイがオフサイド。前日のオフサイドの誤審のこともあり、いつもよりもチェックが慎重に時間をかけて行われていたのが印象的。ちなみに4thレフェリーはダレン・イングランドからクレイグ・ポーソンに割り当てが変更されている。
迎えた後半、両チームともにプレスを強める立ち上がり。積極的に試合を動かそうという姿勢はボールを奪いにいくスタンスから読み取ることができた。
しかしながら、その姿勢が裏目に出てしまったフォレスト。ニアカテはすでに警告を受けていたにも関わらず、複数回ファウルまがいのアプローチを連続で行ってしまい、お目こぼしを受けることができなかった。
ブレントフォードはこのセットプレーの機会を生かして先制。イェンセンのプレースキックをノアゴールが仕留めて先行する。もちろん、オフサイドチェックは入念に。
だが、メンバーを交代したフォレストはすぐに追いつく。左サイドから味方を追い越す形で抜け出した交代直後のトフォロのクロスをインサイドでドミンゲスが合わせて同点。中にはDFの枚数はそろっていたが、おそらくファーのアウォニイにボールが来ると予測していたコリンズは全くドミンゲスにアプローチができなかった。
追いつかれてしまったブレントフォードは前線の枚数を増やす3-5-2を採用。プレスの圧力を高めるところからゴールを奪いに行く。
なかなか退場者が出たとは思えないフラットな展開が続く中で、85分が過ぎたあたりからようやくブレントフォードが数的有利らしい攻め込み方を見せるようになってくる。
劣勢のフォレストの中で光ったのはギブス=ホワイトの奮闘。チャンスメイクでの貢献はまぁ想定内ではあったがムベウモの独走裏抜けを食い止めた守備はしびれるものがあった。
ブレントフォードはボックス内に人を用意しつつ最後まで攻め続けるアクションを見せるが、フォレストの守備陣が何とか切り抜けに成功。数的不利に陥りながらも意地を見せて勝ち点1を守りぬいた。
ひとこと
痺れるぜ、ギブス=ホワイト。
試合結果
2023.10.1
プレミアリーグ 第7節
ノッティンガム・フォレスト 1-1 ブレントフォード
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
NFO:65′ ドミンゲス
BRE:58′ ノアゴール
主審:ポール・ティアニー
第8節 マンチェスター・ユナイテッド戦(A)
セットプレーでチームを救うカルトヒーロー
怪我人が非常に多く、スカッドのやりくりに苦しめられているチーム同士の一戦である。試合は互いにGKへのプレッシングからスタート。繋ぎからのミスが狙われているオナナ、プレミアデビューとなったストラコシャとどちらのGKにも守備側はハイプレスをかけたくなる動機がある状態。ハイプレスの連動自体はブレントフォードの方が上だったが、どちらかといえば立ち上がりのビルドアップで不安定感があったのはストラコシャの方だった。
ボール保持でもユナイテッドの方が前進のルートを見つけた感がある。左のSBに入ったリンデロフからのサイドチェンジや、右サイドから裏を狙うブルーノ、トップに入ったホイルンドなどいくつか起点になりそうな箇所はあった。特にロングボールを収められるホイルンドはリサマル不在によるショートパスでの組み立て放棄を正当化する存在だったと言えるだろう。
サイドからのクロスでアタッキングサードに迫っていくが、ピノックの高さがファーを狙うユナイテッドのクロスの邪魔に。この山を越えられないクロスが山のようにピノックに跳ね返されることとなる。
攻撃の決め手がない中でユナイテッドは後方にミス。パスミスをしたカゼミーロ、中途半端なクリアをしたリンデロフ、そして触れたのに弾けないオナナと最近のユナイテッドの悪いところの詰め合わせという感じの失点を喫する。
プレスに出ていくことで解決したいユナイテッドだが、ストラコシャがポゼッションを落ち着いてできるようになったため、ユナイテッドは取り所を見つけられず。ブルーノの背後で受けたヒッキーから逆サイドのローアスリウまで正確につけられればさらにいいという感じだった。
後半、ユナイテッドはカゼミーロに代えてエリクセンを投入。守備範囲と引き換えにポゼッションの安定化を図っていく。ブレントフォードは5-3-2でブロックを固めて迎撃。ウィサとムベウモのロングカウンターに賭ける構えで引いて受けることを選択する。
サイド攻撃が安定しなかったユナイテッドはアントニーとガルナチョの投入からサイド攻撃の基準点をはっきり示す。両CBの攻撃参加も増えており、特に右のCBのマグワイアからファーを狙うクロスはブレントフォードの脅威になっていた。もっとも両WGのプレーには疑問が残るところ。右のアントニーはまだ精度不足を感じるし、左のガルナチョは後から入ったマルシャルとの連携が合わず、チグハグな密集打開を強いられていた。
それでもブレントフォードの前線に疲れが見える終盤戦はほぼユナイテッドが押し込んでのワンサイドゲームに。クロスゲーになったチームを救ったのはマクトミネイ。後半追加タイムの2つのゴールを仕留めて一気に逆転まで持っていくことに成功。1つ目はガルナチョのマイナスのクロスからの混戦で、2つ目はマグワイアのファーのヘッドに飛び込んでの2ゴール。まさしくカルトヒーローというべき活躍で試合をひっくり返す。
代表ウィーク前に大きな逆転劇を手にしたユナイテッド。ホームでの公式戦連敗を中断期間前に止めることに成功した。
ひとこと
マクトミネイ、よくやった。
試合結果
2023.10.7
プレミアリーグ 第8節
マンチェスター・ユナイテッド 2-1 ブレントフォード
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:90+3′ 90+7′ マクトミネイ
BRE:26′ イェンセン
主審:アンディ・マドレー
第9節 バーンリー戦(H)
後半は兆しが見えるもロバーツの退場で白旗
立ち上がりにいきなりチャンスを掴んだのはブレントフォード。ムベウモのラインブレイクから決定機を迎えるが、これはオフサイド。さらにはセットプレーからファーに構えていたアイエルのアクロバティックでネットを揺らすがこちらもオフサイド。ムベウモを中心にチャンスを作っていくが、先制点を決めきれない。
一方のバーンリーはいつのように後方から人数をかけたビルドアップを敢行。しかしながら、なかなか後ろの重たさが取りきれず。前線の負荷は相変わらずで前節に引き続き抜擢されたオドベールがなんとか時間を作ろうとしていた姿が印象的だった。
右サイドから抜け出すフォスターの加速からトレゾールが決定機を迎えるなど、少しずつ前線の噛み合わせは良くなっている感じはするバーンリー。2トップの連携もほんのり良くなっており、この日はベンチだったコレオジョがいなくともチャンスを作れる予感はするように。しかしながら、前線に運んでそうした好機を迎えること自体が少なく押し込まれてしまう展開が続く。
押し込むブレントフォードは左右のクロスから空中戦を軸に決定機を作り続ける。トラフォードは大忙しの展開だ。アシストを最終的に決めたのは右サイドでチャンスメーカーに徹していたムベウモ。ウィサの動き出しに合わせる技ありのクロスからようやくゴールをこじ開ける。
その直後もブレントフォードはウィサとのプレスの連携からモペイが決定機を迎えるが、これはゴールラインの手前でクリア。追加点こそ逃すが引き続きペースを握っていたのはブレントフォードの方だった。
だが、後半はバーンリーが勝負に打って出る。左サイドに交代で入ったコレオジョを軸に攻め立てていく。53分手前にはトラフォードから相手のプレスの裏をかくような奥につけるフィードが見られるなど、ビルドアップの可能性も感じる場面もあった。
ブレントフォードは前線に起点を作れずに苦戦。ペースとしてはバーンリーが主導権を握った後半と言えるだろう。しかし、そんな展開を覆したのはまたしてもムベウモ。右足で相手を黙らせる一撃をお見舞いし、2点のリードを奪う。
前線を交代してからはカウンターから反撃の気配も見えたバーンリー。だが、ロバーツの退場で万事休す。ラーセンのインアウトでCB投入をしたコンパニは完全に白旗を上げた状態だろう。
ブレントフォードは逃げるバーンリーの背中を刺すようにゴドスが3点目をゲット。トドメの一撃を決めて3点差をつけての完勝だった。
ひとこと
もちろん、バーンリーはしんどいはしんどいんだけど前線の連携の向上とかトラフォードのパントとかほんのり良化のニオイはした気がする。
試合結果
2023.10.21
プレミアリーグ 第9節
ブレントフォード 3-0 バーンリー
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:25′ ウィサ, 62′ ムベウモ, 87′ ゴドス
主審:ジョシュ・スミス
第10節 チェルシー戦(A)
こじ開けられずに代償を重ねる
フラム、アーセナルとロンドンのチーム相手に着々と勝ち点を稼いでいるチェルシー。この試合ではややメンバーから外れている選手がいるが勢いにのってさらに勝ち点を積み重ねていきたい。
立ち上がりにロングボールから縦に速く攻め込んでいたのはブレントフォード。チェルシーのプレスに追い立てられるように前線に早い段階でボールを預けていく。ブレントフォードはロングスローなどジリジリとしてはいるが、ボックス内にクロスを放りこんていく。
チェルシーは自陣の深い位置からでもロングカウンターを発動。スターリング、ジャクソン、パルマー、マドゥエケの4枚の前線で攻撃を完結させにいく。
10分もするとチェルシーはようやくゆったりとしたポゼッションに移行。ブレントフォードは中央を噛み合わせるように迎撃していく。そのため、チェルシーは右のマドゥエケの1on1とハーフスペースから逆サイドにクロスを放り込んでいくパルマーからチャンスを作っていく。
特にトップ下のパルマーは好調。中央からもアタッカーに時間を供給し、チャンスを作り出していく。だが、これをアタッカー陣がなかなか枠に持っていくことができない。
前半の終盤には再び縦に速い展開の応酬に移行。しかしながらどちらも決め手に欠き、前半はスコアレスのままでハーフタイムを迎える。
迎えた後半、チェルシーはゆったりとしたポゼッションから攻略を狙うフェーズに移行する。前半と少し違ったのはブレントフォードもボールを持つ側に回るとゆったりとしたポゼッションで手数をかけて攻撃を行なっていたこと。これにより、前半と異なり試合は攻守の切り替えが少ない展開となった。
押し込むフェーズで仕事をしたのはブレントフォード。イェンセンのロングスローにスムーズに移行できる右サイドを軸に攻めていくと、サイドを抜け出したのはムベウモ。前節もアシストをした右足からこの日も見事な軌道のクロスで先制点を演出。ピノックが押し込んでブレントフォードがリードを奪う。
その後はスムーズに撤退守備に移行するブレントフォード。チェルシーはブロック守備の攻略に挑むこととなるが、サイドからブレントフォードの守備の重心を崩すことができずに苦戦。交代した前線の選手たちもなかなか試合の活性化をすることができない。
サンチェスの上がりで文字通り全てを投げ打ったチェルシー。だが、その賭けの結末はロングカウンターからのブレントフォードの追加点。ムベウモは2試合連続の1ゴール、1アシストだ。
ブレントフォードをこじ開けられなかったチェルシーは最後に更なる失点の代償を支払うことに。続いていた公式戦無敗の記録もひとまずここで打ち止めとなった。
ひとこと
やはりキーポイントは前半だろう。パルマーを軸にチャンスメイクが効いていた時間帯にチェルシーは先制点が欲しかった。
試合結果
2023.10.28
プレミアリーグ 第10節
チェルシー 0-2 ブレントフォード
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
BRE:58′ ピノック, 90+6′ ムベウモ
主審:サイモン・フーパー
第11節 ウェストハム戦(H)
波に乗ったブレントフォードがシーソーゲームを制する
ボールを持ちたいスタンスを見せたブレントフォードだが、ウェストハムのプレスに立ち上がりからいきなり冷や汗をかくことに。寄せられたフレッケンはボールコントロール中に足を取られてしまい、何とか掻き出す格好に。アントニオからすればあと一歩でボールが取り切れる惜しいシーンだった。
このようにウェストハムは立ち上がりから非保持で積極策が目立つ珍しいスタート。前節のエバートン戦の敗戦で気合が入っているのだろうか。ブレントフォードは落ち着きを取り戻したフレッケンを軸にバックラインから左右に振る形でウェストハムのプレスをいなしていく。
このブレントフォードのサイドを変える動きが決まるかどうかが前半の生命線となっていたといっても過言ではないだろう。もしうまくいけば先制点のようなシーンを生み出すことができる。ハイプレスの意識が高いウェストハムはサイドからのクロス対応に後手に回ることとなり、ブレントフォードに失点を許してしまう。先制点となったモペイのゴールは非常に美しいブレントフォードのパスワークが見られた場面だった。
一方、ウェストハムもボールを奪い取ることができればチャンスは出てくる。特に左サイドからWGのベンラーマの外を回る補佐役が出てくればクロスからチャンスを作ることができていた。
ターゲット役として猛威を振るっていたのはファーに構えていたクドゥス。アクロバティックなシュートで同点ゴールを生み出す。ファーへのクロスは追加点の場面でも効果的。折り返しを沈めたのは好調を持続するボーウェン。ウェストハムは左サイドからのクロスから一気に逆転まで試合を持っていく。
リードをしたのでプレスを落ち着かせるウェストハム。自陣深い位置の守備もこれで安定。ブレントフォードとしては攻め手をもう一度探さなくてはいけない展開となってしまう。
後半、ブレントフォードはオンエカをサイドに引き出す3-4-3に変化しながらウェストハムに対してズレができやすい布陣を作る。これによって、安定した前進を見せるようになったブレントフォードは右サイドからのムベウモのクロスから同点のオウンゴールを誘発。オウンゴールをしてしまったマヴロパノスにとっては直後に警告を受けるなど、どこか波に乗れない夜となってしまった。
逆に波に乗るブレントフォードはセットプレーから逆転ゴールをゲット。コリンズが空中戦を制して大きな勝ち越しゴールを奪い取る。
失点後にポゼッションを回復したウェストハムだが、むしろブレントフォードの精度の高いカウンターを受けるなど返り討ちに合う場面が目に付くように。
シーソーゲームを制したのはブレントフォード。ウェストハムはエバートン戦に続き、またしても肉弾戦に強いチームに連敗を喫することとなってしまった。
ひとこと
野戦病院的な苦難は続くがブレントフォードはブレントフォードという勝利を時折持ってくるのがトーマス・フランクのすごいところ。
試合結果
2023.11.4
プレミアリーグ 第11節
ブレントフォード 3-2 ウェストハム
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:11′ モペイ, 55′ マヴロパノス(OG), 69′ コリンズ
WHU:19′ クドゥス, 26′ ボーウェン
主審:トーマス・ブラモール
第12節 リバプール戦(A)
ラッシュの先の2点目で2位浮上を手にする
ここにきて公式戦2試合と少し流れが悪いリバプール。前節に続きトッテナムが敗れたため、勝ち点を積むことができれば順位を上げるチャンスとなる。
ブレントフォードは強豪との一戦でお馴染みの3-5-2型を採用してこの試合に臨む。しかしながら、WBのキャラクターがCB的なことを考慮してか、はたまたリバプールの強力なアタッカーに対しては後ろを余らせた方が得策と考えたのかはわからないが、3-5-2というよりは5-3-2という方がしっくり来るイメージである。
よって、リバプールはSBに時間を与えられる形になっていたし、遠藤やアレクサンダー=アーノルドの移動はフリーになるという意味では有効ではあった。しかしながら、リバプールもまた選手選考のカラーが前に出ているというべきか、こうしたズレを前面に押し出しながら前進することはなく、アバウトに前線の裏をとるランに合わせて勝負する場面が多かった。
ヌニェスの裏抜けの精度を考慮してもこの狙いは合理的だったと言えるだろう。さらには遠藤やアレクサンダー=アーノルドをはじめとする自陣の危ういカウンター対応を見る限り、ショートパスで繋ぎながらのトライに挑むのはリスキーに思える。マック=アリスターやグラフェンベルフがいるときと同じ尺度で挑むのは危険である。ブレントフォードの2トップは直線的なカウンターでシュートチャンスまで持っていけるのだから流石である。
しかしながら、先行したのはチャンスの数で優っていたリバプール。オフサイドでゴールを取り消され続けたヌニェスがアシスト役として活躍。アレクサンダー=アーノルドの縦パスに合わせて、見事にサラーの抜け出しにラストパスを合わせた。
ブレントフォードは後方に選手を余らせている分、少し出ていくのが遅れたように思えた。この辺りはマンツー勝負を選ばなかった故のファジーさを感じるところはある。
迎えた後半もブレントフォードはリスクをかけないプレッシングをキープ。リバプールの保持を軸に試合は進むことになる。
マティプの2枚目、さらには遠藤の退場などいくつかの危ういシーンでお目溢しをもらったリバプール。ブレントフォードのゴール前での猛攻を何とか凌ぐと、左サイドを抉ったツィミカスからサラーにラストパスが決まって追加点を奪う。
実質、このゴールで試合の大勢は決着したと言えるだろう。最後の仕上げとして豪快にジョタがミドルを決めたリバプール。3-0の大勝で怪我人だらけの一戦を乗り切ることに成功した。
ひとこと
ブレントフォードのハイプレス殺法が出てこなかった理由は気になる。遠藤、ボールハントのフィーリングは早いところで掴んでおかないと出番が増えてこないかなと思う。
試合結果
2023.11.12
プレミアリーグ 第12節
リバプール 3-0 ブレントフォード
アンフィールド
【得点者】
LIV:39‘ 62′ サラー, 74′ ジョッタ
主審:ポール・ティアニー
第13節 アーセナル戦(H)
新戦力と苦戦する右サイドの融合でダービー無敗を継続
レビューはこちら。
ホームチームは14戦、アウェイチームは16戦。共にロンドンダービーの無敗記録が継続しているダービーキラーの両チームの一戦である。
負傷者続出のブレントフォードは高い位置からのプレスを仕掛けながら、ラムズデールが久々にゴールマウスを守るアーセナルの出方をうかがう。そのラムズデールはいきなり決定的なミスから致死性のピンチを招くなど、不安定な立ち上がりに。ブレントフォードはこれ見よがしに積極的にプレスを仕掛ける流れにもっていく判断をした。
しかしながら、ラムズデールの決定的なミスを除けばアーセナルはそこまで危険なロストはせず。ムベウモの右サイドの裏抜けという前進の手段もガブリエウに先読みされて潰されてしまった感がある。
20分を過ぎるとアーセナルの保持の時間が長くなる。ブレントフォードは5-3-2のリトリートでの守備に切り替え。DF-MF間をコンパクトに維持し、WGにはダブルチームを結成する形でアーセナルに対抗する。
左サイドのマルティネッリとジンチェンコのペアはパス交換やオフザボールの動きで相手の右サイドを動かすことができており、抜け出してのクロスやPAやや手前からの斜め方向のパスを入れるなど有効打を打っていた。
その一方で右サイドは機能不全。サカが集めるマークを利用することができず、窮屈な攻めに終始。良い位置にいてもボールを引き出すことができない冨安はサカとウーデゴールからやや信頼を置かれていないように見えた。
スコアレスで迎えた後半、ブレントフォードは再びプレスをスタートする。このプレスは前半よりも長い時間持続。後半はアーセナルが一方的に押し込むような展開ではなく、ボールが両軍の陣地を行き来するような展開になる。
一見押し込むフェーズを解消したブレントフォードに流れが来たように見えるが、ファストブレイクの方がWGのマークが軽いことからアーセナルもまたこの状況からスムーズにアタッキングサードの攻略に移行することができていた。
それでも得点が入らない両チーム。スコアが動かないまま80分を過ぎるとアーセナルが再び押し込むフェーズに突入する。
左右からのクロスを跳ね返し続けるブレントフォードだったが、後半AT前に決壊。ウーデゴールのドリブルの動きを利用してフリーになったサカがクロスを上げるとファーサイドに飛び込んだのはハヴァーツ。
値千金の先制点は流れの中からの初ゴール。機能不全だった右サイドと得点に絡めなかった新戦力の2つが融合した決勝点でアーセナルがロンドンダービーの無敗記録継続と首位浮上を決めた。
ひとこと
ライスとジンチェンコのゴールライン上クリアは全ブレントフォードサポーターがトーマス・フランクと同じくらい頭抱えたと思う。
試合結果
2023.11.25
プレミアリーグ 第13節
ブレントフォード 0-1 アーセナル
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
ARS:89‘ ハヴァーツ
主審:ティム・ロビンソン
第14節 ルートン・タウン戦(H)
先輩が威厳を見せつける完勝
ルートンが今節胸を借りるのは同じ系譜の先輩であるブレントフォード。ルートンからすれば何かきっかけをつかむための一戦にしたいところだろう。
ロングボール一辺倒ではなくなった先輩はショートパスからスタート。ブレントフォードはルートンのプレスに対してCBで幅方向を使っていなしながらボールを動かしていく。
敵陣に侵入することができたら、サイドに枚数をかけて崩しに行く形を作るブレントフォード。特に手ごたえがあったのは右サイド。ムベウモを軸に旋回をしつつ、エンドライン側からクロスを上げていく。
そうしたブレントフォードのスタンスを理解したルートンはシャドーがサイドの守備に奔走。特に素晴らしかったのは右サイド。カボレとチャンの連携からサイドを封鎖し、ブレントフォードにクロスを上げることを許さない。
自陣に押し下げられてからのロングカウンターについてもオグベネのリカバリーから陣地回復ができたルートン。右サイドの旋回を武器に勝負を仕掛けるブレントフォードにローラインで対抗する形を作っていく。
ただし、ブレントフォードもまた大外にこだわり過ぎずに、外につられたルートンのMF陣の裏をかくようにインサイドに入り込んでいく動きを見せるのがニクい。この辺りはムベウモのセンスがさえわたっている部分だといえるだろう。
ハーフタイムには前半に負傷したロッキャーが交代し、WBにブラウンを投入。選手を1列ずつ後方に送り込む形で5バックを継続する。
依然同じテンポで攻め続けていたブレントフォードは左サイドのクロスから先制。チョンのロストから一連の流れが始まり、あらゆるところに跳ね返りながらも最終的にはブレントフォードの足元にボールが転がってきた。
さらにブレントフォードはセットプレーで追加点をゲット。またしてもボックス内での跳ね返りがブレントフォードのもとに転がり、ルートンは失点を喫することとなる。
ロッキャーに続き、メンジも負傷してしまい、5バックは火の車になっているルートン。立て続けの失点はつらいものがあったが、中盤で一瞬のタメを作り出したバークリーのチャンスメイクから、ルートンは1点を返すことに成功する。
しかしながら、その5分後にブレントフォードはバプティストが再び2点差に突き放すゴールをゲット。これで勝負は完全に決することになる。
押し込むフェーズでの器用さを見せた先人にレッスンを受ける形になったルートン。プレミアの洗礼をきっちり浴びる形での完敗となった。
ひとこと
跳ね返りはたまたま感があるかもしれないが、まぁそこにボールが転がってくるというのはそれだけボックス内に人を送り込めている裏返しでもある。
試合結果
2023.12.2
プレミアリーグ 第14節
ブレントフォード 3-1 ルートン・タウン
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:49′ モペイ, 56′ ミー, 81′ バプティスト
LUT:76′ ブラウン
主審:アンソニー・テイラー
第15節 ブライトン戦(A)
感触を取り戻しつつある三笘と柱を失ったブレントフォード
少ない人件費ながらスタイルを確立しつつ、魑魅魍魎のプレミアリーグを生き抜いている両チーム。だが、今季はどちらのチームも非常に怪我人に苦しめられており、深さに限界のあるスカッドに頭を悩ませている状態である。
どちらが仕掛けたのか、どちらも仕掛けたのかはわからないが共に両チームとも普段着とは違う装いのスタートだった。より分かりやすいのはブレントフォードの方だろう。ブレントフォードは基本的には強豪相手用の3-5-2と同格以下の相手用の4-3-3の併用でさいくのだが、この試合ではどちらでもない4-4-2を採用した。
この方策を読み解くとすればCBとCHでボックス型でのビルドアップをするブライトンへの対策と取ることができるだろう。しかしながら、この形にブライトンはバレバをサリーする形で対抗。これを対策と取るか、あらかじめ準備していたかを判断するのは難しいが、基本的にはブライトンのビルドアップでサリーはあまり見ないので少し意外だった。
後方で外すことができたらブライトンは左サイドの三笘にボールを届ける。SBに入ったグロスはインサイドのレーンを駆け上がっており、この辺りはかなりきっちりとレーンが棲み分けられていた。ちなみに逆サイドは大外がSBのヒンシェルウッドで、ハーフレーンがSHのアディングラ。左とは逆の形が重用されていた。
プレスの形は外されてしまい、押し込まれることになったブレントフォード。しかしながら、中盤でスペースを得たジャネルトのドリブルに後手を踏み続けたブライトンはファン・ヘッケがPKを献上。ワンチャンスをムベウモが仕留めて先行する。
しかしながら、あっという間にブライトンは同点。三笘が2枚のマークを引き付けた恩恵を受けてグロスがミドルで打ち抜いて追いつく。
痛い失点を喫したブレントフォードはさらにムベウモが負傷離脱。トニー不在の前線を支え続けていた大黒柱がいなくなったことで、ブレントフォードは窮地に追い込まれる。
後半もボールを持って攻め立てるのはブライトン。中央に目線を集めてサイドに展開するなど少しずつ余裕が出てくるように。
そして、またしてもゴールは三笘がきっかけになったところから。三笘、グロスのストロングサイドからファーに飛び込んだヒンシェルウッドがゴール。試合をひっくり返す。今日は周囲にグロスがいたこともあるが、三笘のコンディションは底を脱したように見える。
ブレントフォードは前半から少し不安定だったグロスのサイドからカウンターを仕掛けるが、なかなか形にならずに苦戦。やはりサイドに流れても質が高いムベウモの不在の影響は大きい。
最後まで攻め続けることで主導権を離さなかったブライトン。対策してきたブレントフォードを返り討ちにし、ホームで勝ち点3を積み重ねた。
ひとこと
ただでさえ負傷者が多い両チームの一戦においてさらに試合中の負傷者で流れが変わってしまうのは切ない。
試合結果
2023.12.6
プレミアリーグ 第15節
ブライトン 2-1 ブレントフォード
アメリカン・コミュニティ・エキスプレス・スタジアム
【得点者】
BHA:31‘ グロス, 52’ ヒンシェルウッド
BRE:27‘(PK) ムベウモ
主審:ピーター・バンクス
第16節 シェフィールド・ユナイテッド戦(A)
スーパーゴールがワイルダーに初勝利をプレゼント
監督解任後の初戦はリバプールに敗れてしまったワイルダー。2戦目の今節はブレントフォードをホームに迎えての一戦である。
そのリバプール戦でもそうだったように立ち上がりは良好だったブレイズ。左右にボールを揺さぶりながら敵陣にスムーズに侵入していく。保持においては存在感があったのはブルックス。ここまでのプレータイムはあまりない選手だが、ボールタッチが多く左サイドでのゲームの組み立てに貢献している。
プレッシングも非常に積極的。特にサイドは高い位置で止めることを意識しており、SHもSBも前へのスライドでブレントフォードのパスの受け手を阻害する。ボールを奪ったら素早くカウンターに移行するなど攻守の接続がうまくいっている序盤戦だったといえるだろう。
時間の経過ともにブレントフォードは少しずつボールを持てるようになる。ブレントフォードは保持において3-2-5気味に変形。左の大外に立つジャネルトに対しては右のSHのマカティ―が列を下がりながらスペースを埋めていく。
ブレントフォードが配置を外してきたことで徐々に後手に回るブレイズ。前半は効いていたサイドの守備に関してもトラスティがあわや一発退場のタックルを見舞うなどスレスレの対応が続く。やはり、プレースピードが上がると両チームの強度への対応力には差がある印象。この点でブレントフォードが優位に立ったのはこれまでのプレミアの経験値の差だろう。
しかしながら、前半の終盤にその状況をひっくり返すスーパーゴールが生まれる。右のSHであるマカティ―がブレントフォードのブロックの外側から放ったシュートはすっぽりそのままゴールイン。前半終了間際に大きな1点を手にする。
先制点を手にしたこともあり、ブレイズはバックラインが位置を下げて後方のスペースを埋めることに終始。時には最終ラインに6枚が並ぶ形でスペースを埋めることもしばしば。よって、ブレントフォードはボールを持ちながら攻略をすることを強いられることに。
アタッキングサードまではボールを運ぶことは安定していたブレントフォード。しかしながら、エースであり前線の崩しのきっかけであるムベウモがいないのは重たくのしかかっている。右の大外にたつルイス-ポッターは現状での定点攻撃の担い手としてはやや物足りない部分だともいえるだろう。
ブレイズは保持から追加点を狙ったり、あるいはカウンターからアーチャーが攻め立てることができたりなどうまく時間を使いながら残り時間を消費。何とか逃げ切りに成功したブレイズは今季2勝目をゲット。ワイルダーは就任2戦目にして早くも初勝利を挙げることとなった。
ひとこと
本当にマカティ―のゴール様様。
試合結果
2023.12.9
プレミアリーグ 第16節
シェフィールド・ユナイテッド 1-0 ブレントフォード
ブラモール・レーン
【得点者】
SHU:45+1‘ マカティー
主審:スチュアート・アットウェル
第17節 アストンビラ戦(H)
破る側に回った要塞
たアストンビラ。そんな彼らの今節は要塞に乗り込む側に回る一戦。プレミアにおける難所の1つであるブレントフォードのホームスタジアムに挑むことになる。
互いにフォーメーションは3-5-2。機を見たハイプレスで鋭さを見せる形でそれぞれのプレス隊がバックラインに襲い掛かるスタートとなった。
よりプレスに力を入れていたのはブレントフォードの方だろう。7分の鋭いカウンターはゴドスのボール奪取からジャネルト、ルイス-ポッターまでの流れるようなパスワーク。マルティネスの落ち着きを前に屈することとなったが、一連のプレーの流麗さはいい意味でブレントフォードっぽくはなかった。
しかしながら、10分もすればアストンビラはブレントフォードのハイプレスを見切りだすようになっていく。GKを噛ませて2CBが広がりブレントフォードの2トップを横に広げることでプレッシャーを分散。バックラインを押し下げていく。
これでプレスをかけることは難しくなったブレントフォード。ブロックで構えるようになった相手に対して、アストンビラはバックラインからの裏狙いで攻勢に出る。見事な抜け出しを見せていたのは久しぶりの先発となったラムジーである。
ハイプレス合戦でも後手を踏んだ感があるブレントフォード。背後を狙ってもそこは織り込み済みという感じでアストンビラに対応される場面が続くことになる。
しかしながら、劣勢でもブレントフォードはセットプレーから先制。セットプレーから跳ね帰ったボールを抜け目なくルイス-ポッターが押し込んで先行する。
後半はファストブレイクにシフトしたブレントフォード。アストンビラがブレントフォードのブロックを崩す流れになる。堅さを見せるブレントフォードは時にはボールを持ちながら順調に時計の針を進めていく。
しかしながら、ブレントフォードに予想外のアクシデントが発生。ベン・ミーの退場により10人に追い込まれることとなる。
5-3-1にシフトしつつ押し込まれることを許容せざるを得なかったブレントフォード。アストンビラは前線に枚数をかけながらガンガンサイドから切り崩しにかかる。同点ゴールが生まれたのはミーの退場から6分後のこと。右の大外のベイリーから逆サイドのモレノまでボールを届けて叩き込むことに成功する。
一方的に押し込むアストンビラが勝ち越しゴールを奪ったのは終盤のこと。セットプレーからワトキンスが仕留めてついにこの試合はじめてのリードを奪う。
それ以降は小競り合いが中心になったこの試合。モペイとマルティネスを軸に小競り合いが盛り上がり続ける。マルティネスが因縁を吹っ掛けた結果、カマラが退場することになったことは非常に余計である。難所攻略には成功したビラだが中盤の大黒柱不在で年末年始に挑むこととなった。
ひとこと
モペイはモペイだし、エミマルはエミマル。
試合結果
2023.12.17
プレミアリーグ 第17節
ブレントフォード 1-2 アストンビラ
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:45‘ ルイス-ポッター
AVL:77’ モレノ, 85‘ ワトキンス
主審:デビッド・クート
第19節 ウォルバーハンプトン戦(H)
コリンズに訪れた悪夢
試合はゆったりと保持側が持つ展開でスタート。バックラインの3枚でボールを順調に回していたウルブスの方が保持の時間は長かっただろうか。しかしながら出口はアバウトに前線に蹴る形であり、あまり効果的な前進は見られなかった。一方のブレントフォードはボールを持ったら結構ルイス-ポッターに預けるシーンが目立っていた。
ウルブスは前線の動きだしが徐々に活性化。ヒチャンやサラビアといった選手たちがハーフスペースに突撃することで、相手のバックラインを押し下げる。
セットプレーから先制したのはウルブス。レミナのヘッドで先行する。ブレントフォードはこの失点に連鎖するような形でミスを重ねてしまう。リスタートをコリンズがプレゼントパスしてしまい、ヒチャンがこれを仕留めて2プレーで2点のリードを手にすることに。
ブレントフォードもこの流れに乗る形でウィサが抜け出しから追撃弾。直後にジャネルトも決定機を迎えるなど、得点の可能性がハレーションしている時間帯だった。
どちらのチームも前線の裏抜けが攻撃のベースになっていた。ブレントフォードはウィサ、ウルブスはヒチャンとサラビアの両サイドから仕掛けを見せていく。
そうした中で見られたのはまたしてもミス。コリンズの雑な縦パスに加えてピノックの押し上げが遅れてしまったことであっという間にウルブスに裏を取られてしまい、ブレントフォードは前半にさらに失点を重ねる。
ブレントフォードは後半、巻き返しを図るべくバックパスを狙い撃ちする形から右のハーフスペースに侵入。この流れから後半戦はブレントフォードが押し込む展開を飲み込んでいく。
ウルブスは押し下げられる展開が続きながらもブレントフォードの攻撃をきっちり受け切ることに成功。ブレントフォードは左右からの押し下げてのクロスとセットプレーを織り交ぜた形のチャンスメイクでウルブスのゴールに迫ろうとするが、ネットを揺らせるようなクリティカルな展開を見出すことができない状況が続く。
すると、またしてもミスで失点に絡んでしまったのがコリンズ。この日2回目のプレゼントパスでまたしても古巣ウルブスに決定機の贈り物をしてしまう。これを仕留めてウルブスは4点目を決める。
コリンズをはじめとしてミスに呪われる形で失点を重ねてしまったブレントフォード。要塞なはずのホームで大量失点となり、ウルブスに勝ち点を献上することとなった。
ひとこと
コリンズ、この日のことはとっとと忘れよう。
試合結果
2023.12.27
プレミアリーグ 第19節
ブレントフォード 1-4 ウォルバーハンプトン
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:16‘ ウィサ
WOL:13‘ レミナ, 14’ 28‘ ヒチャン, 79’ ベルガルド
主審:アンディ・マドレー
第20節 クリスタル・パレス戦(A)
順当な逆転勝利を手にしたパレス
手堅い2チームのロンドンダービー。しかしながら、試合はその看板とは異なる立ち上がりとなる。ハイラインを破ったブレントフォードは右サイドからローアスリウが抜け出して先制。ルイス-ポッターが仕留めたゴールはわずか2分に生まれたものだった。
この試合の序盤戦は思ったよりもオープンな展開で推移。なぜかハイプレスモードに開花したクリスタル・パレス主導でテンポアップした展開にブレントフォードが釣られる形で落ち着かない流れの連続に。
その状況における主導権の命運を分けたのは前線に収まりどころがあるかどうか。背負って受けることができるマテタの存在が心強いパレスとは対照的に、トニーもムベウモもいないブレントフォードには同様の収めどころは存在しない。
これによって試合の主導権はパレスのもとに転がり込むことに。ボールを失った後の即時奪回も機能しており、パレスはブレントフォード陣内で時間を進めていく。
パレスは前半のうちに同点に追いつく。左サイドからファーを狙ったクロスに合わせたのはオリーズ。クロスに飛び込むという結構珍しい形から追いつくことに成功する。
それ以降も一方的に押し込む展開を続けるパレス。追加点を決めて前半で試合をひっくり返す。決めたのはエゼ。マテタのポストを使ってボックス内に侵入し、足を振りぬいたシュートで追加点を決める。主導権だけでなく攻撃の構築の観点でも背負えるCFの存在は決め手になった。
ブレントフォードはサイドからの裏抜けを出口として狙うが、パレスのバックスの厳しいチェックに起点を作ることができず。前にポイントを置くことができず一方的に押し込まれたままハーフタイムを迎えることとなった。
雨が強まった後半もパレスは強気のハイプレスの姿勢を崩さず。セットプレーを含めて多くのチャンスを作り出し、ブレントフォードを押し込み続ける展開を作り続ける。
そして、さらなる追加点を決めたのはオリーズ。1点目のゴールとは違って今度は彼らしいスピードに乗ったドリブルからのゴールで試合を決定づける3点目を手にする。
3-1になったところでブレントフォードはフォーメーションを4-3-3に変更。前線の枚数を増やして劣勢を覆しに行く。しかしながら、主導権はほとんど動かず。ブレントフォードの反撃は中央でごちゃごちゃっとした形で作った隙からのシュートにとどまることとなった。
試合はそのまま終了。先制点以降、落ち着いて主導権を握りなおしたパレスがブレントフォードを順当に逆転で下した一戦となった。
ひとこと
オリーズ、飛び込んでせりかけられるのはいいなぁ。
試合結果
2023.12.30
プレミアリーグ 第20節
クリスタル・パレス 3-1 ブレントフォード
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:14’ 58‘ オリーズ, 39’ エゼ
BRE:2‘ ルイス-ポッター
主審:ロベルト・ジョーンズ
第21節 ノッティンガム・フォレスト戦(H)
ストライカーが順々に覚醒した撃ち合い
ついにブレントフォードのメンバー表にはトニーの名前が。ムベウモの負傷、そしてウィサのAFCONによりカツカツもカツカツになっていたブレントフォードの前線には助かる以外の何者でもない復帰である。
しかしながら、先に主導権を握ったのはフォレスト。高い位置からのプレスから敵陣で圧力をかけて押し込むと、ボールを奪った流れからダニーロが仕留めて3分で先制。相対的におとなしい流れになったブレントフォードに先制パンチをくらわせる。
失点で尻に火が付いた感があるブレントフォード。プレスの強めることによって少しずつ高い位置でのプレータイムを増やしていく。パス交換からダニーロをおいていく形で侵入したダムズゴーはファウルを奪うと、このFKを仕留めたのはトニー。フォレストの壁の薄いところを鋭い弾道で撃ち抜き、復帰後初ゴールをゲット。試合を振り出しに戻す。
以降もトニーは存在感抜群。ロングボールのターゲットとしてボールの預けどころとして機能するのはもちろんのこと、セットプレーからファーサイドに合わせる形で決定機を生み出すなどあらゆる局面で活躍。ギブス=ホワイト不在で前線に預けどころのないフォレストとは対照的だった。
前半の終盤はプレッシャーの弱いSBからボールを進めることでフォレストが前進。スペースがある中でタヴァレスがスイスイドリブルを行う。しかしながら、ここからゴールまでの道のりはなかなか開かず。試合は1-1のタイスコアで前半を折り返す。
後半もフォレストはボールを持ちながら押し込んでいくスタート。しかしながら、トニーが前半に引き続き存在感を発揮。右に流れながらロングボールの起点になり、左サイドからボックス内に飛び込むルイス-ポッターのチャンスメイクをする。
チャンスメーカーのトニーの存在によって押し込む機会を得たブレントフォード。セットプレーから勝ち越しゴールをゲット。ニアに入り込んだミーには誰もマークにいくことができず。あっさりとリードを奪う。
しかし、今度はウッドが躍動する番。セットプレーの流れから同点ゴールを奪うと、直後にクロスを華麗にポストし、マンガラのミドルをエスコートする。
このストライカーの覚醒の流れに乗ったのはモペイ。らしくない反転からの左足を振り抜くスーパーゴールで再びブレントフォードにリードをもたらす。
フォレストにはもう一度流れを引き戻す力は残っていなかった。縦に速い展開をブレントフォードがイケイケで行っていたため、速い攻撃を仕掛けられればチャンスをありそうだが、ギブス=ホワイトの不在が重石になりなかなか加速することができない。
最後の望みをかけたクロスも跳ね返されてしまったフォレスト。復活したトニーの大活躍でブレントフォードが久しぶりの勝利を挙げた。
ひとこと
トニー、ここから頑張って。
試合結果
2024.1.20
プレミアリーグ 第21節
ブレントフォード 3-2 ノッティンガム・フォレスト
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:19‘ トニー, 58′ ミー, 68′ モペイ
NFO:3‘ ダニーロ, 65′ ウッド
主審:ダレン・イングランド
第22節 トッテナム戦(A)
ファストブレイクからの得点ラッシュで勝ち逃げ成功
週末のFA杯ではお得意様のシティに敗戦。これで狙うことができるタイトルはリーグ一本。ソン・フンミンの不在が続くトッテナムはなんとか踏ん張りながら勝ち点を積んでいきたい状況である。
ブレントフォード相手に一方的にボールを持つ立ち上がりとなったトッテナム。ブレントフォードの2トップの脇に立ちながらサイドでの破壊を画策。大外レーンにボールを運び、そこからブロックの背後を狙う形を作りながらゴール前に折り返しを入れていく。アクセントになっているのはSBの攻撃参加。ウドジェとポロはオーバーラップから積極的にボックス付近に顔を出していく。
一方のブレントフォードはカウンターからファストブレイクを狙っていくスタンス。人数はかけずにカウンターは2トップと左WBのルイス-ポッター、そしてIHのイェンセンで完結させるイメージである。
先行したのはブレントフォード。ウドジェを捕まえてのカウンターを発動し、トニーとモペイの2トップで攻撃を完結。トッテナムは2トップの脇という狙いどころを襲撃されてあっさりとカウンターから失点をすることとなってしまった。
以降もブレントフォードはトッテナムの保持のリズムを破壊。セットプレーと右サイドからの裏抜けを軸に散発的に敵陣でのプレーを増やしていく。トッテナムがボールを持つことになれば、素早くブレントフォードはリトリートとメリハリのある守備を見せる。トニーとモペイを軸に時折小競り合いを仕掛けていくのはいかにもという感じだろう。
しかしながら、トッテナムは後半早々に同点。左サイドの2人で押し下げてあっさりとウドジェが仕留める。すると、間もなく全く同じ形で逆転。今度はファーサイドで待ち構えていたジョンソンが起点となり、あっさりと逆転に成功してしまった。
後半のブレントフォードは反撃の攻め筋が全く見えなくなってしまった。トッテナムの勢いのあるファストブレイクにかなり苦戦。2点目はプレゼントパスを渡してしまうなど、保持からいいリズムを生み出すことができず苦境に追い込まれる。トッテナムはさらにファストブレイクから3点目をゲット。ヴェルナーを囮にマディソンとウドジェを絡めて最後はフリーになったリシャルリソンがゲット。
70分前にはようやく押し込みながら左右のクロスを入れていくが、逆にこれはトッテナムのファストブレイクを促進してしまうという側面もあるのが難しいところ。それでもトニーのゴールで1点差に迫り、終盤にはトッテナムを追い詰める。
バプティストの決定機が決まっていれば勝ち点を落としていたトッテナム。最後は冷や汗をかくこととなったが、なんとか逃げ切りに成功し勝ち点3の積み上げに成功した。
ひとこと
終盤のバタバタ感はいかにもトッテナム。ドラグシンを入れての後方のテコ入れしてもなおクローズの不安は残る印象だった。
試合結果
2024.1.31
プレミアリーグ 第22節
トッテナム 3-2 ブレントフォード
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:48‘ ウドジェ, 49’ ジョンソン, 56‘ リシャルリソン
BRE:15’ モペイ, 67‘ トニー
主審:デビッド・クート
第23節 マンチェスター・シティ戦(H)
曲者2トップのトリックプレーをフォーデンでひっくり返す
シティがクラブW杯の出場の影響でエティハドでの対戦は延期となったこのカード。つまり、この試合がプレミアにおける今季最後の未対戦カードということとなる。
立ち上がりはブレントフォードがハイプレスに出ていくスタート。リトリートと使い分けるという聞き分けの良さは見せていたが、強豪相手に3-5-2ハイプレスで立ち向かうブレントフォードはちょっぴり懐かしい。最近はそんなことをする余裕はなかった。
しかしながら、ブレントフォードが積極的な姿勢を取り戻したこととシティがそれに対応できるかどうかは別問題。ハーランド、アルバレスといった面々が縦パスのレシーバーとなり攻撃は一気に加速。そこからゴール前まで一気に顔を出していく。リトリートよりの姿勢を見せたとしても2トップの脇から3センターの逆サイド脇を取るような横断を見せたり、あるいはアケがドリブルで相手のDFライン付近まで迫っていったりなど、あらゆる手段でブレントフォードの最終ラインに迫っていく。
ブレントフォードは前を向く機会が少なく苦戦。偶発的にでもカウンターに移行できれば流石の鋭さを見せてはいたが、そうした機会を作ることに頭を悩ませていた印象だ。
だが、そうした苦境を打破したのがブレントフォードの曲者2トップ。ゴールキックからのリスタートから先手を奪う。フレッケンが放ったロングキックに対して、トニーがアケをスクリーンしたことでモペイがGKと1対1の状況を作り出すと、これを冷静に流し込んで先制。ブレントフォードが2トップの連携で何もないところから得点を作り出してみせた。
シティはパスミスを掻っ攫ったハーランドの1on1やグバルディオルのミドルなどゴールに迫っていくが、ここはフレッケンがファインセーブの連発で回避。なんとかリードをキープする。
だが、そんなフレッケンの健闘も虚しく前半終了間際にシティは同点に。デ・ブライネのクロスへの跳ね返しが不十分なところをフォーデンにしたたかに沈められて試合はハーフタイム前に振り出しに戻る。
後半も構造は同じくシティが保持で、ブレントフォードがカウンターでゴールを奪いにいくスタイル。後半はWBの攻め上がりのタイミングが早くなり、ブレントフォードのファストブレイクにはそれなりに迫力が出てきた。
しかしながら、後半の主役はフォーデン。デ・ブライネのクロスからマークを外して追加点を奪うと、その後もゴールを仕留めてハットトリック。一気にブレントフォードを突き放す。
1点差の段階ではトニーをフィニッシャーやチャンスメーカーとしてゴールに迫る機会もあったブレントフォードだが、シティの3点目で完全に勢いは停滞してしまう。
またしてもモペイの先制ゴールを勝ち点に結びつけられなかったブレントフォード。シティが貫禄の逆転勝利で首位リバプールとの勝ち点を2に縮めた。
ひとこと
トニーがいるとモペイが生き生きしていて見てて面白い。
試合結果
2024.2.5
プレミアリーグ 第23節
ブレントフォード 1-3 マンチェスター・シティ
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:21′ モペイ
Man City:45+3′ 53′ 70′ フォーデン
主審:ジャレット・ジレット
第24節 ウォルバーハンプトン戦(A)
頼れるエースと強固な守備ブロックで連敗ストップ
トニーが帰ってきてようやくすがるものができたブレントフォード。この2試合は先制点を決めながらも、トッテナムやマンチェスター・シティといった力のあるチームに逆転負けを喫している。後方の状況を踏まえても、そろそろ勝利が欲しいところである。
立ち上がりから仕掛けたのはブレントフォード。ウルブスのバックラインに対して、強豪仕様の3-5-2でのハイプレスを敢行。ウルブスは何とか陣地を押し返す手段を探す。立ち上がりはロングボールを軸にしていたが、ショートパスから2トップのプレスを外す手数をかけたアプローチの方が有効と感じていたようである。
2トップを外すと降りるクーニャがボールの収めどころに。ここからファーサイドの大外に蹴るなど、中盤のボールの預けどころとして十分に時間の作れるクーニャは非常に頼りになる存在である。
敵陣に追い込むことができたら、今度はウルブスがハイプレスを敢行。互いに陣地回復の手段をどのように使うかの一戦となっていた。ブレントフォードはシンプルなトニーへのロングボールから前線にボールを運ぶ。やはり頼れるのはトニーである。
ウルブスは前進の手段の1つになっていた左サイドのクーニャの負傷が痛恨。自陣への戻りもブレントフォードは非常に速くコンパクトだっただけに、ボールを預けてスピードアップが期待できるクーニャの不在は痛い。
そうした中で先制点を決めたのはブレントフォード。セットプレーからあっさりとゴールを奪うことに成功する。ジョゼ・サは落下点の目測を誤ったのか、キャッチの動きの手前で相手に触られてしまい、無人のゴールにシュートを叩き込まれてしまう。
ビハインドとなったウルブスは3バックを維持したまま人選を攻撃的に変更。速攻でいけるときはネトに。そうでないときは右サイドを中心にクロスを上げるルートで戦っていく。
ブレントフォードは前半よりも低い位置で構えながら強固なローブロック5-3-2を披露。堅い中央と高さのあるボックス内を前に、なかなかウルブスは得点を奪う糸口を見つけることができなかった。
どうしたものかと迷いが出てきたウルブス。すると、その瞬間にジャネルトがフイにプレスのスイッチを入れて一気にショートカウンターに移行。そのままトニーのゴールを演出する。
残りの時間は見事にブレントフォードに寝かされてしまったウルブス。頼れるエースの奮闘がようやく勝ち点に繋がったブレントフォードはついに連敗がストップした。
ひとこと
トニーは偉大。プレー面は安定で信頼ができる。
試合結果
2024.2.10
プレミアリーグ 第24節
ウォルバーハンプトン 0-2 ブレントフォード
モリニュー・スタジアム
【得点者】
BRE:35‘ ノアゴール, 77’ トニー
主審:サイモン・フーパー
第25節 リバプール戦(H)
負けちゃダメなところで負けてしまう
25節の開幕を飾るランチタイムキックオフはいきなり首位のリバプールが登場。プレミア名物の難所であるブレントフォードのホームに乗り込んでの一戦を迎える。
ブレントフォードのフォーメーションは3-5-2。強豪仕様の形に加えて、オールコートマンツー気味の強気なプレスでリバプールのバックラインに積極的にプレッシャーをかけていく。
一方のリバプールも非保持に回れば強気のスタンス。3バックに対して3トップがプレスに行き、WBに対してSBが出ていくことでプレッシャーをかけていく。
よって、互いにボール保持側は非保持側の強気のマンツーマンに対して、どのように対応するか?という部分が求められる立ち上がりになっていた。個人的にはより効果的な回答を示していたのはブレントフォードに見えた。WBでSBを手前につり出しつつ、2トップで2人のCBをピン留めしているところに中盤から1枚が飛び出してくるという形を作ることでボックス内にフリーマンを作る。
中盤の走力で言えばブレントフォードにも勝負になるタフさは存在するし、ハイプレスも回避できるくらいのパステンポはあったため、この動かし方は効果的。惜しむらくは駆け上がってフリーになったブレントフォードの中盤のシュートがことごとく足につかなかったことである。
リバプールはより前線の裏へのよーいドンを積極的に行うことで対抗するという根性仕様。どちらかといえば、トランジッション合戦を軟着陸させつつ、自分たちの保持に盤面を引っ張ってきたいというのがリバプール側の狙いだったといえるだろう。
やり直しを繰り返してプレスを退け、ブロックの外のフリーマンから裏抜けする前線にボールを渡す形で少しずつリズムを作っていく。ブレントフォードもそれに合わせて保持ムーブにシフト。リバプールを狭く守らせないための幅を使った動かし方で勝負をする。
互角な展開で先行したのはリバプール。セットプレーからのカウンターで先制。やりすぎてしまったリバプールのDF陣に対して抜け出したヌニェスが先制ゴールを仕留める。
このゴールのようにブレントフォードはこの試合において「そこは負けちゃだめだろう」という部分であっさりとリバプールにスキを許していた印象である。特に顕著だったのが後半である。リバプールの2点は非常に見事な流れるようなカウンターだった一方で、ロングボールを追い込まれて蹴らされた挙句にあっさりと跳ね返されてしまうというのは彼らのアイデンティにかかわる話である。
3失点目も4失点目も同じ。ロングボールへの対応はブレントフォードの土台の話である。リバプールは手数の少ない攻撃から効率よくゴールを重ねていくことができていた。
75分にトニーの1ゴールにブレントフォードの反撃を抑えたリバプール。今節も首位で週末を過ごすことを早々に決めてみせた。
ひとこと
これではブレントフォードは勝てない。
試合結果
2024.2.17
プレミアリーグ 第25節
ブレントフォード 1-4 リバプール
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:75‘ トニー
LIV:35’ ヌニェス, 55‘ マック=アリスター, 68‘ サラー, 86’ ガクポ
主審:マイケル・オリバー
第18節 マンチェスター・シティ戦(A)
ミスに漬け込んだファストブレイクでシティが2位浮上を果たす
クラブW杯で延期されていた第18節の対戦がミッドウィークに実現。短いスパンでの連戦となった。
トニーが復帰したブレントフォードは高い位置からのプレスでスタート。強豪対策の3-5-2ハイプレスからシティのバックスにプレッシャーをかけていく。
しかしながら、シティは数分でこのハイプレスを制圧。2トップ脇からボールを運ぶストーンズを止める術がブレントフォードにはなかったように見えた。ただ、もちろんブレントフォード側も制圧されることは織り込み済みで素早くリトリートに移行。5-3-2での自陣ブロックで耐える方策に移行する。
リトリート時のサイド封鎖に関してはブレントフォードは非常にお見事。おそらくリーグ1と言っていいだろうクオリティでサイドのスペースを潰していく。IH、WB、CBの関係性は非常に美しかった。
シティは右のWGのフォーデンを中央にスライドさせる形で密集を形成。ミクロなスペースで3センターを外してアルバレスがミドルを打つためのスペースを作るなどのアプローチを見せる。大外を任されたウォーカーはロドリのロブパスという翼を授かってWG化。決定機を生み出す。
ドクをベンチに追いやってスタメン抜擢されたボブも好調。ミーが済んでのところでクリアしていなければ、この試合の先制点は彼のものであった。
ただ、ブレントフォードも保持に回れば充実。結局前線には蹴るのだけども、自陣で手数はある程度かけて、できればシティのWGを外して前を向いた状態で裏を狙いたいという工夫が見られたのはとても良かった。
ファストブレイクに関しては2トップに加えてIHのオンエカの3枚が飛び出す格好でロングカウンターを成立。あわやというシーンを二、三度作るなど十分に手応えのある前半だったと言えるだろう。
後半も展開は大きくは変わらず。シティはストーンズの右サイドの出張を増やして攻撃を増員気配。少しでもズレてからクロスを上げるためにポイントを多く作っていく。左サイドはWGを軸とした攻めを継続。60分過ぎにはドクを入れてこちらもテコ入れを図る。
ブレントフォードも傾向は継続。トランジッション時の攻め上がりの人数の多さはさすがであり、ロングカウンターは後半も鋭さを維持したままだった。
そうした均衡した展開でミスが出たのはブレントフォード。シティの中央ユニットの流れるようなカウンターに対してアイエルがバランスを崩して転倒。抜け出したハーランドがフレッケンとの1on1を制してようやく先制点を手にする。
以降もシティが追加点に迫る展開を見せるが、オフサイドやシュートが枠外に外れるなど2点目は決まらない。ブレントフォードとしては最後まで希望を残しはしたものの、ゴールをこじ開けることはできず。シティは苦しみながらもファストブレイクからのチャンスをものにして、アーセナルを交わして2位浮上を果たした。
ひとこと
敗れてはしまったがブレントフォードのローライン5-3-2は見事。めっちゃ綺麗。
試合結果
2024.2.20
プレミアリーグ 第18節
マンチェスター・シティ 1-0 ブレントフォード
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:71′ ハーランド
主審:ダレン・イングランド
第26節 ウェストハム戦(A)
パケタの復帰とボーウェンのハットトリックで蘇ったウェストハム
ようやくパケタがスタメンに復帰したウェストハム。3連敗という苦しい停滞からなんとかチームを救うべく、このタイミングでスターターに名を連ねた。
同じく苦しい戦績のブレントフォードはロングキックからスタート。ウェストハムはこれを跳ね返すとサイド攻撃からスタートする。左右のクロスから決定機を生み出したウェストハムは早々に先制。左サイドから突破したエメルソンのマイナスのクロスを仕留めたのはボーウェン。5分にリードを奪う。
さらに、その2分後にウェストハムは追加点を手にする。まるで先制点を左右反転させたかのようなゴール。抜け出したのは今度は右のSBであるコファル。彼のクロスを再びボーウェンが仕留めてあっという間にリードは2点に。
ブレントフォードは保持から反撃のタイミングを図る。ウェストハムは2点のリードを手にしたが、下がりすぎずにミドルゾーンをキープ。それなりの高さのラインを保ちながらコンパクトに跳ね返していく。
裏をとることで打開を図りたいブレントフォードは右サイドから突破に成功。キーになったのは右に流れるトニーと入れ替わるように内側に入って行ったルイス-ポッター。見事な位置どりでモペイのスーパーゴールをアシストする。
ここから一気に追いつきたいブレントフォードだが、立ちはだかるのはパケタ。左サイドに君臨してボール保持に安定感をもたらすことに成功する。ブレントフォードはロングボールが思ったよりも収まらずに苦戦。前半の終盤はややウェストハムのラインが下がったように思えたが、特に攻め切る手助けにはならない。
ウェストハムは後半も同じ流れを洗濯。なるべく高いラインをキープすることでブレントフォードを跳ね返していく。ブレントフォードは大外のルイス-ポッターからのシンプルなクロスからエリアに迫るが、要所でボールを落ち着かせてファウルを奪うパケタがうまくブレントフォードのリズムを乱していた。
縦に早い展開とセットプレーでのチャンスがサンドイッチのようにやってくる流れになった展開でゴールを決めたのはウェストハム。クドゥスからのクロスを仕留めたのはボーウェン。この日3点目のゴールでリードを広げる。すると、直後にエメルソンが距離のあるシュートを決めて試合を決定づける。
ブレントフォードは縦に早いパスから推進力を出していたダムズゴーの手を借りてウィサのゴールを生み出して反撃。以降もゴールに迫る終盤戦を迎えるが、後半追加タイムはウェストハム名物のアレオラの超反応の独壇場。2点のリードを守り切り、連敗を3で止めた。
ひとこと
パケタの復帰は相当大きい。SBが上がる時間ができる。
試合結果
2024.2.26
プレミアリーグ 第26節
ウェストハム 4-2 ブレントフォード
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:5‘ 7’ 63‘ ボーウェン, 69’ エメルソン
BRE:13‘ モペイ, 82’ ウィサ
主審:サイモン・フーパー
第27節 チェルシー戦(H)
前半はチェルシー、後半はブレントフォードが勢いに乗る
トニーの復帰以降も思ったようにV字回復とはいかないブレントフォード。特に響いているのは失点の多さ。ピノックに加えて、前節ベン・ミーが離脱してしまったことで、バックラインの人で不足にはさらに拍車がかかっている。対するは先週カップ戦タイトルを逃してしまい、難しい1週間を過ごしたであろうチェルシーだ。
まずはロングキックをベースとして試合はスタート。試合が落ち着くとボールを持ったのはアウェイのチェルシー。ブレントフォードの3-5-2を鎮圧し、バックラインからボールを動かしていく。左落ちするエンソなど外循環の方策からの前進を狙っていく。
ミドルブロックで何とか踏ん張りたいブレントフォードはWBが高い位置から奪いに行くなど積極的なアクションを見せる。だが、こうした部分は逆にチェルシーに利用された印象。高い位置を取るWBの背後にジャクソンが抜け出したり、プレスで間延びしたライン間に入り込むパルマーに縦パスのレシーバーになられたりと怪しい動きは満載であった。
しかしながらジャクソンがなかなかアタッキングサードでもたついてしまい、攻撃を仕上げることができないチェルシー。抜けた後のコントロールが乱れたり、ファーにてフリーで待つチルウェルのことを認識できていなかったりなど、いくつかのプレーでチャンスをフイにしてしまう。
チェルシーの先制点はジャクソンのフィーリングが合ったタイミングでようやく。右サイドのクロスにばっちり合わせたジャクソンが35分に先制ゴールを手にする。ブレントフォードからすると、クロスのレシーバーは1枚だったのでここまでフリーにしてしまうのは頭が痛いところだろう。
しかしながら、後半はブレントフォードが反撃。ややアバウト感を残す感じで入ったチェルシーに対して、カウンターを中心に攻勢に出ていく。同点ゴールを決めたのは50分。インサイドに入っていくローアスリウがゴールを仕留めて試合は振り出しに。前節のルイス-ポッターもそうなのだが、最近のブレントフォードのWBはインサイドに入っていきながら得点に絡む動きが多い。
さらに70分手前にはウィサがアクロバティックなゴールをゲット。今節はもちろん、今季でも指折りのスーパーゴールで一気にチェルシーを逆転する。
バックスのバタバタ感から逆転を許してしまったチェルシーだが、何とかそのバックスがカタをつけて試合をフラットに。ディザジのヘディングで再び同点となる。
シーソーゲーム感があった試合は引き分けで終了。互いに勝ち点1を分け合う結果となった。
ひとこと
チェルシー、前半まではよかっただけに勝ち切っておきたいゲームだった。
試合結果
2024.3.2
プレミアリーグ 第27節
ブレントフォード 2-2 チェルシー
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:50‘ ローアスリウ, 69’ ウィサ
CHE:35‘ ジャクソン, 83’ ディザジ
主審:ジャレット・ジレット
第28節 アーセナル戦(A)
焦れずに耐えて殴り続ける
レビューはこちら。
日曜にリバプール×マンチェスター・シティという大一番を控える今節のプレミアリーグ。3位のアーセナルはこの試合に勝利すれば少なくとも2位への浮上が保証される状態で迎えるのは昨年ホームで引き分けたブレントフォードとの一戦である。
立ち上がりはハイプレスで始動したブレントフォード。バックラインへの積極的なプレスで久しぶりの先発になったラムズデールを中心にプレスをかける。アーセナルはラヤが不在な分、ロングキックの精度は割引ではあったが、SBを使いながらのプレス回避で効率的に相手を外していく。
よって、ブレントフォードは素早く撤退のフェーズに移行。アーセナルはブロック攻略にいそしむこととなる。
キーになるのは右サイド。IHのジャネルトとWBのルイス-ポッターの2人の視線を集めることができるサカの存在である。これにより、攻めあがるホワイトのマーカーは不在に。フリーランをするホワイトに加えて、ウーデゴール、ハヴァーツ、そして逆サイドへの出張を行うトロサールでブレントフォードの守備を攪乱する。
ニアのポケット周辺を中心に突っつかれたブレントフォード。そのため、ポケットのケアに意識が言ったところでホワイトはファーへのクロスを選択。ライスがミスマッチとなったエアバトルを制して先制する。
押し込みながらその後も順調にプレーするアーセナル。だが、ブレントフォードもトニーを軸としたロングボール攻勢で時折陣地回復に成功。確実にアーセナル陣内に迫る機会を作る。
すると、前半終了間際にハイプレスが成功。ラムズデールのミスを誘ったウィサが3試合連続のゴールを決めた。
後半も試合の展開は変わらず押し込むアーセナルと受け止めるブレントフォードの関係性は継続。互いにセットプレーからチャンスを演出するスタートだったが、どちらも守備側の素晴らしいプレーで得点には至らず。前半はミスを犯したラムズデールも2つの決定的なセービングでブレントフォードにリードを許さない。
選手交代を行いながらサイドのテコ入れを図ったアーセナル。結果を出したのはトライを繰り返していた右サイド。ホワイトの抜き切らないクロスをニアでハヴァーツが仕留めて86分に決勝ゴールを決める。
アウェイでの89分のゴールに続き、またしてもブレントフォードを仕留めることに成功したハヴァーツ。ブレントフォードを下し、8連勝でCLのポルト戦に向かうこととなった。
ひとこと
焦れずに、耐えて、殴り続ける。CLでも同じことをやるだけだ。
試合結果
2024.3.9
プレミアリーグ 第28節
アーセナル 2-1 ブレントフォード
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:19‘ ライス, 86’ ハヴァーツ
BRE:45+4′ ウィサ
主審:ロベルト・ジョーンズ
第29節 バーンリー戦(A)
全てを投げ打った10人相手の防波堤
立ち上がりにボールを持つ立ち位置になったのはバーンリー。ボールを動かしつつ、受けて跳ね返す構えのブレントフォードに対して、構造的に空きやすいサイドからボールを動かしながら勝負を仕掛けていく。
ボックス内での跳ね返しのフェーズは得意なはずのバーンリーだが、あっさりとミスをしてしまったのはレギロン。裏を取られたヴィチーニョを後ろから引き倒してしまいPK献上と退場のコンボ。80分以上を残して数的不利に陥ってしまう。
10人になったことでブレントフォードは高い位置からのプレッシングをスタート。自陣に引きこもるよりもハイプレスという捨て身の手段を取ることを選ぶ。
このプレッシングはシンプルにバーンリーに効いていた。バックラインの時間を奪われたバーンリーは一気にポゼッションが不安定に。オシェイのバックパスなどあわや!という場面も出るようになり、数的優位に経ってから逆に押し込まれる立ち位置になってしまう。
それでもなんとか右サイドから奥をとることからのチャンス構築に成功したバーンリー。しかしながら、この決定機をフォファナが決めきれずにリードを広げる決定機を逃してしまう。
後半の頭は再びペースを握ったのはバーンリー。4-3-2のブレントフォードに対して、サイドからボールを運ぶことで安定したポゼッションから押し込む展開に持ち込むことに成功する。
追いかけたいブレントフォードはローアスリウとジャネルトが負傷。逆に開き直ってアタッカーを増員するというのはこの試合のトーマス・フランクらしい強気なプランである。
少しずつ前に出てくるブレントフォードに対して、バーンリーはカウンターからひっくり返す形で追加点をゲット。リベンジのフォファナがゴールを仕留めてさらにリードを広げる。
しかしながら、ここからはアタッカーを増員したブレントフォードの独壇場。10人であることを忘れる猛攻で左右からのクロス爆撃からガンガン仕掛けていく。圧をかけた一撃で1点差に迫ると勢いはさらに増すことに。
ネットを揺らしながらもトニーのファウルで取り消しになるなど、ムリッチにとってはギリギリの戦いが続くことに。コンパニもアムドゥニのインアウトを使って中盤を強化するなど、手段を選ばない形で防衛策をとる。
10人のブレントフォードに意地を見せたバーンリーが紙一重の逃げ切りに成功。悲願の勝ち点3を手にした。
ひとこと
アムドゥニのインアウト、失敗したら全てを失ってしまいそうな交代策だったので実って良かったという気持ち。
試合結果
2024.3.16
プレミアリーグ 第29節
バーンリー 2-1 ブレントフォード
ターフ・ムーア
【得点者】
BUR:10′(PK) ラーセン, 62′ フォファナ
BRE:83′ アイェル
主審:ダレン・ボンド
第30節 マンチェスター・ユナイテッド戦(H)
ゴリゴリの削り合いの結末は
立ち上がりはロングボールからスタート。この流れで優位を取ったのはブレントフォード。前線の空中戦で競り勝ち主導権を握る。インサイドで競り勝てるので左右からのクロス選択もカジュアル。ブレントフォードの攻撃のプランは非常にシンプルであった。
一方のユナイテッドはロングボールだと前線に起点を作るのは難しい。なので自陣からボールを繋ぐアクションをしていく。ブレントフォードのプレスはハイプレス一辺倒ということではなく、5-3-2のリトリートを組み合わせる形だった。よって。まずは2トップの脇に起点をとってサイドから押し下げていく。
ただし、押し込むこと=主導権を握ることではない。ゴリゴリとしたブロック崩しを求められるわけだけども、当然インサイドでの空中戦では競り勝てないので、運べたサイドからただクロスを入れるだけではアウト。だが、それ以外の手段を提示することができずに苦戦。中盤や狭い範囲でしか動かせず、全体が後ろ重心。スペースに走り込むような選手もおらず、ただただ跳ね返される時間が続いてしまう。
ゴリゴリ削るという意味では肉弾戦で優位に立てるブレントフォードが有利。さらにはユナイテッドのクロスを跳ね返したところからサイドの裏にカウンターを走らせてファストブレイクを狙うこともできており、全体的にブレントフォードが優勢だったと言えるだろう。
後半もブレントフォードがモメンタムを握るスタート。左右からのクロス、そしてそこからハイプレスで押し込むフェーズが機能してユナイテッドを押し込んでいく。
この試合のブレントフォードはボックス内でのタッチ数80という驚異的な数字を記録したけども、これはシンプルにユナイテッドのラインが下がって受けてしまっている上に、ボールを跳ね返すことができないことが起因のように思える。ユナイテッドのボックス内ではまるでラグビーのような攻防が繰り広げられており、一般的なボックス内でのボールタッチ数が生み出す優位とはちょっとテイストが違うなと思った。それでも優位なのは違いないのだけども。
ユナイテッドは前半以上に押し上げられない展開に苦戦。それであればとプレッシングにいくのだけども、今度はフレッケンのフィードを軸としたブレントフォードのポゼッションからひっくり返されてしまう。ボックス内ではトニーが強さを発揮。引きちぎるような動きだしとシンプルな競り勝ちで主導権。ネットを揺らしたシーンこそオフサイドで取り消されてしまったが、存在感は十分だった。
暗中模索のままユナイテッドは0-0で突入した後半追加タイムで劇的なゴールをゲット。カゼミーロとマクトミネイが体を張って捻り出したスペースから見事なゴールを決める。
だが、この劇的ムードを掻き消すようにブレントフォードは同点ゴール。サイドから押し下げたトニーに気を取られてしまったユナイテッドの守備陣はマイナスのアイエルをガラ空きに。あまりにもあっけない形で劇的ムードをかき消されてしまう結末となった。
ひとこと
事前に想像していたほどはブレントフォードが圧倒していたとは言わないけども、ユナイテッドはどうやって点をとったんだろうと思った展開にはなっていた。
試合結果
2024.3.30
プレミアリーグ 第30節
ブレントフォード 1-1 マンチェスター・ユナイテッド
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:90+9′ アイエル
Man Utd:90+6′ マウント
主審:サイモン・フーパー
第31節 ブライトン戦(H)
オープンでもクローズでもこじ開けられずにスコアレス
ボール保持がベースになっているのはアウェイのブライトン。ブレントフォードは5-3-2でブロック守備を組んで自陣でまずは構える形である。
というわけでまずは2トップ脇から突っついていくブライトン。グロスが左サイドに流れることで組み立ての主役となっていく。外一辺倒になってしまうとインサイドに高さがないし、大外で1枚を剥がすことができない状況だと押し込む状況を壊すのは難しい。
だが、インサイドにジョアン・ペドロが帰ってきたことでパスワーク自体は非常に滑らかに。ララーナとグロスもいたことによりパスワークのリズムという意味では十分にいい時期のクオリティになってきた感がある。しかしながら、ブレントフォードの守備のブロックは非常に強固。なかなかこじ開けることは難しい。
さらにはブレントフォードは自陣からの縦パスを繋いで敵陣まで繋ぐことができる。ロングボール一本というイメージはあるかもしれないが、この日はライン間を繋いで起点を作ることよりオープンな状況を2トップに受け渡すことができていた。この縦に出ていくシャープさにより、ブレントフォードは構えて守る自信が出たことだろう。
ブレントフォードはプレッシングでもブライトンを引っ掛ける成功体験を経験したことで徐々にプレスを強化。これに伴って展開はオープンな状況に。だが、それでも試合は動かず前半はスコアレスでハーフタイムを迎える。
ブライトンはプレスのラインを上げて勝負に出た後半。これに対して、ブレントフォードはコンパクトなライン間の繋ぎからの前進で対抗。リバプール戦と同じく、この辺りはブライトンの守備ブロックのコンパクトさの欠如が目立つこととなっていた。
保持でも解決策が見えないブライトン。特に逆サイドが見えないことが多く、同サイド圧縮が大好物のブレントフォードにとってはこうした狭いスペースをこじ開けようとするブライトンのスタンスはありがたいものだったと言えるだろう。
押し下げたケースにおいてはブロックの外から殴れるスーパーが武器がないブライトン。よって、ブレントフォードが強気なプレスで作り出すオープンな展開はチャンスメイクという観点ではむしろありがたいという感じだろう。
ブライトンは87分に決定機を迎えるが、これを沈めることができず。苦戦が続くブライトンに訪れた千載一遇のチャンスを逃してしまう。同じく強気に出ていったブレントフォードも最後までゴールを生み出すことができず、試合はスコアレスで試合を終えた。
ひとこと
ともにらしさはあったけどもネットを揺らせず。ただ、仕上げのフェーズはクオリティがもう一つという感じだろうか。
試合結果
2024.4.3
プレミアリーグ 第31節
ブレントフォード 0-0 ブライトン
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
主審:アンディ・マドレー
第32節 アストンビラ戦(A)
優勢に進める中での10分間の集中砲火
ブレントフォードは立ち上がりから強気のプレス。広さを取るアストンビラのバックラインにもまったくおかまいなし。深い位置まで追い回してコーナーフラッグ付近まで相手を追い込んでいく。
アストンビラはそれでも深い位置からつなぐトライを行う。パウ・トーレスを軸に左右に揺さぶるポゼッションからブレントフォードのプレスを回避。ブレントフォードの同サイド圧縮に逆らっていく。
押し下げる機会が増えることでブレントフォードは5-3-2ブロックでリトリート。自陣の深い位置にブロックを組む二段構えの形でアストンビラに対抗する。
立ち上がりはブレントフォードに押し込まれる場面も多かったが。15分以降はほとんどアストンビラが一方的に押し込んでいく形に。ローブロックに対して左右にボールを動かしながらのアクション。コンサとトーレスがそれぞれ後方支援役に回ることでブロックの攻略に移行していく。もちろん、ここからブレントフォードはカウンター狙い。自陣からの縦に速い攻撃でビラに反撃を仕掛ける。
しかしながら、先行したのはアストンビラ。右サイドからのマッギンのクロスにワトキンスが合わせて先制。ブレントフォードの守備ブロックをこじ開けることに成功する。
勢いに乗るビラは後半早々に追加点をゲット。前半と同じく押し込む流れになる前にあっという間に2点目。右サイドに流れたロジャーズがティーレマンスからの縦パスを受けて、一気にゴールを陥れる。
2点のビハインドを背負ったブレントフォードは2トップがそれぞれ左右に流れることでチャンスメイク。アストンビラのSBの背後を取る形で地道に陣地回復を図る。
すると、このサイドの裏からブレントフォードはゴールをゲット。セットプレーの二次攻撃の流れからクロスをあげると、これを前線に残っていたイェルゲンセンが仕留めて1点差に追撃する。
さらには直後にも左サイドのクロスから同点に。追撃弾からわずか2分。ブレントフォードは試合を振り出しに戻す。
勢いの止まらないブレントフォードはあっという間に逆転。以降もデュエルでアストンビラ相手に優位を取ると、同点ゴールと同じくレギロンが左サイドを出し抜いてついに試合をひっくり返した。この間わずか9分である。約10分でブレントフォードは一気に2点のビハインドをリードに塗り替えた。
反撃に出たいアストンビラだが展開は互角。ペースを完全に引き寄せきれないまま、試合は一進一退の攻防となる。こうした中で違いを見せたのはワトキンス。右サイドからのクロスに対して、上から叩き込みまたしても試合は同点に。
アストンビラはこのゴールをきっかけに前半のようにブレントフォードの守備ブロックを押し込んで戦っていくが、4点目を手にすることはできず。打ち合いとなった試合は3-3のドローのまま終焉となった。
ひとこと
完全にビラペースかと思いきや、10分間のブレントフォードの畳みかけはとても見事だった。
試合結果
2024.4.6
プレミアリーグ 第32節
アストンビラ 3-3 ブレントフォード
ビラ・パーク
【得点者】
AVL:39‘ 80’ ワトキンス, 46‘ ロジャーズ
BRE:59’ イェルゲンセン, 61‘ ムベウモ, 68’ ウィサ
主審:マイケル・サリスベリー
第33節 シェフィールド・ユナイテッド戦(H)
残留確定チャレンジはまず1勝目
おそらくはほとんど問題ないであろうが、数字的に早く残留を決めたいブレントフォード。ここからのシェフィールド・ユナイテッドとルートンとの連戦で完全に安全圏に到達するというのがトーマス・フランクの描いている青写真だろう。
試合はフォーメーションのズレを積極的に活用するスタートとなった。構造的に余りやすいSBのところからのキャリーを狙って行ったのはブレントフォード。左右のSBからボールを運び、ウィサとムベウモのところから勝負を仕掛けていく。
一方のブレイズは中央にロングボールを収めるところからの攻撃の構築を狙うスタート。もちろん、攻撃の起点となるのはブレアトン。彼のポストから左右にボールを展開することでスピードに乗って敵陣に迫っていく。
攻撃のルートがより安定しているのはブレントフォードの方だろう。後方のプレス耐性も十分あるし、左右のWGという明確な攻め所がバランスよくある。中盤を経由する左右への大きな展開から攻撃を組み立てていくことでチャンスを作っていく。
ブレイズはブレアトンという攻め手の起点が限られている分、やや柔軟性にはかけていた。それでも彼のポストから抜け出して独走の場面を作り出すなど、チャンスが全くないわけではなかった。
両軍ともにチャンスは作れるが、敵陣の攻略には至らず。試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。
後半はブレイズが少しダイレクトな展開から押し込むスタート。ロングキックを蹴り続けることで互いに綻びを作っていく中で、ブレイズがボールを持つ時間を少しずつ増やしていく立ち上がりとなった。
ブレイズは保持局面の強化としてマカティーを投入。アタッキングサードの精度を改善しようと試みるが、このタイミングでブレントフォードがカウンターから先制。ムベウモを壁として抜け出したダムズゴーが右サイドを独走すると、クロスからオウンゴールを誘発。貴重な得点を手にする。
ブレイズはボーグルの負傷によりさらに苦しい状況に追い込まれる。セットプレーからダムズゴーがネットを揺らす場面を作られるが、これはファウルにより取り消し。ギリギリの状況が続く。
最後まで抵抗したブレイズだったが、終了間際にシャーデとオンエカの交代コンビで左サイドを攻略したブレントフォードがトドメの一発を決める。長期離脱明けのシャーデにとっては大きな復帰祝いとなった。
ブレントフォードの残留確定チャレンジはまずは成功スタート。目標達成まであと一歩だ。
ひとこと
ブレイズ、行けそうな時間帯についてないオウンゴールは切なかった。
試合結果
2024.4.13
プレミアリーグ 第33節
ブレントフォード 2-0 シェフィールド・ユナイテッド
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:63′ アルブラスター(OG), 90+3′ オンエカ
主審:サム・バロット
第34節 ルートン・タウン戦(A)
鼻息荒いルートンをゴールショーで返り討ち
ルートンからすれば残留までのリミットは刻一刻と迫っている状況。スカッドにそこそこメンバーが戻ってきている現状を見れば、このブレントフォードとの一戦は意地でも勝っておきたいところである。
ルートンはボールを後ろから持ちたがるスタートだったが、ブレントフォードのプレスを前に苦戦。マンツー色は相対的には薄いのだけどもきっちり抑えるところは抑えており、なかなか前に進めない。
ルートンはマンツーで強引に噛み合わせにいくが、1人1人の寄せが甘くブレントフォードは前線の裏抜けからチャンスメイク。ルイス-ポッターの抜け出しなどでルートンのDFラインを壊す。噛み合わせないフォーメーションでのマンツーは誰が誰を捕まえるかが微妙に都度異なっていて、この辺りはルートンの迷いが見えた。
それでも左右に散らすロコンガを起点にルートンは少しずつ押し込んでいく。チョンのタメから追い越すダウティーなどはいかにもルートンらしいゴールの迫り方。ブレントフォード側にはこういったアクションはないけども、大外からのクロスの質でゴールを脅かしていた。
先制点はブレントフォード。後方同数を受け入れるルートンに対してトランジッションから前線が抜け出すと、これを繋いでウィサが先制ゴールを仕留める。動き出しからゴールまでの流れが非常に見事なゴールだった。
先制されたことでボールを持てるようになったルートンだったが、押し込むことで追い越すアクションで得られるスペースは限定的なものに。このスペース打開に悪戦苦闘しているうちにブレントフォードは追加点。前半追加タイムのウィサの2点目はめでたい年間2桁達成のゴールとなった。
後半、ルートンは4バックにシフト。いわゆる死なば諸共作戦で追いかけていく。しかしながら、ブレントフォードはさらに脆くなったルートンのバックラインを強襲。前半以上にさらに色濃いチャンスを積み重ねていく。
肝心の攻撃の方は焦りが先行してしまい、パスがズレてしまうなど思ったよりも前線の枚数を増やした効果が出ない状況に。メリットがないままデメリットが前面に押し出される展開になってしまった。
ブレントフォードはピノックのヘディングでのゴールを皮切りにゴールショーをスタート。慣れない4バックで横のチェーンが切れがちなルートンのバックラインを破壊してさらに2得点を挙げる。
大量5得点でルートンの意気込みを粉砕したブレントフォード。4試合を残して残留勝ち点マジックは2。事実上、残留確定と言っていいだろう。
ひとこと
最後のベリーの一撃が来週からの活力になってくれればいいのだけども。まだシーズンは終わっていない。
試合結果
2024.4.20
プレミアリーグ 第34節
ルートン・タウン 1-5 ブレントフォード
ケニルワース・ロード
【得点者】
LUT:90+2′ べりー
BRE:24′ 45+1′ ウィサ, 62′ ピノック, 64′ ルイス-ポッター, 86′ シャーデ
主審:ジャレット・ジレット
第35節 エバートン戦(A)
CFに負傷者続出の危機を乗り越える
エバートンは前線に緊急事態が発生。ベトとキャルバート=ルーウィンが共に負傷で不在になっており、おそらく今季初めてシェルミティがリーグ戦で先発を飾る。
ブレントフォードはバックラインに対して無理にプレッシャーをかけないスタートとなっていたが、エバートンは立ち上がりから前線に積極的にボールを入れていく。後方の選手たちのオーバーラップのサポートの動きだしは悪くないのだが、やはりどうしても2人に比べるとシェルミティはターゲットとしての性能は落ちてしまう。
というわけで試合はブレントフォードが保持からトライし、エバートンがロングボールに逃げたところから回収してブレントフォードがまたトライをするという流れを作っていく。ただし、こちらも背後のスペースをピックフォードがカバーをすることでブレントフォードの前線の機動力を封じていた。
機会が多いブレントフォードは少しずつトライの中でゴールに近づく。ジャネルトのハーフスペース突撃からのイェンセンの決定機などはその一例と言えるだろう。
エバートンは30分くらいから押し返すアクションが出てくるように。CFが収まらなくとも周りの選手が動き回ればいいだろう!ということで、ドゥクレがターゲットになったり、あるいはガーナーがサイドに流れたりなど、少しずつテイストの異なる手段で押し返すように。
試合はフラットに戻ったものの、チャンス構築はどちらも苦戦。決定機は少ないまま、試合はスコアレスでハーフタイムを迎えた。
後半もペースは変わらず。シェルミティへのロングボールに対してブレントフォードは迎撃することで、ボールを回収。高い位置でエバートンの攻撃を止めることで敵陣に進んでいく。
だが、エバートンに取っては前半から同じ流れということで織り込み済み。今度はショートパスからブレントフォードを外しながらの前進が少しずつ安定していく。
すると、押し込むフェーズまで安定していたエバートンはゲイェのシュートで先制ゴールをゲット。収まらなくとも押し返す手段を得て、そのまま得点まで結びつけるスキームは見事であった。
先制したエバートンはポゼッションから試合を安定させる方向にシフト。ここからブレントフォードはボールを奪いにいくが、先制されてなおリズムを変えることができない。
結局そのまま試合は終了。CFに欠場者が続出した非常事態を乗り切ったエバートンが1点を守り切って勝利を手にした。
ひとこと
バックスのパスワークでブレントフォードを外し切った押し込んだエバートンは内容面でも優勢だった。
試合結果
2024.4.27
プレミアリーグ 第35節
エバートン 1-0 ブレントフォード
グディソン・パーク
【得点者】
EVE:60′ ゲイェ
主審:ダレン・イングランド
第36節 フラム戦(H)
引き出し不足を感じるスコアレスドロー
ともにロンドンに居を構える両チームのダービー。今季もなんだかんだ残留争いに巻き込まれなくて済んだ!という思いと共にダービーに臨む。
ボールを持つスタートとなったのはフラム。ブレントフォードの4-5-1は1トップがCBを見る形で2列目はプレスが弱めで中盤の封鎖を優先する。バックラインは自由にボールを持てるが、インサイドにスペースを見つけることができない状況からの打開策を見つけられない。
フラムはより強気にプレッシングを行っていくスタート。ハイラインでブレントフォードを捕まえにいく。しかしながら、ブレントフォードはフレッケンを軸に左右にボールを動かしながら中盤の背後を横断することで敵陣での時間を増やしていく。
というわけで試合は時間の経過とともにフラムのプレスを超えたブレントフォードが保持の主導権を握る形に変化していた。フラムはなるべくミドルゾーンで踏ん張っていきたいところではあるが、ずるずると押し下げられてしまい思ったようにラインを上げることができない状態となってしまう。そうなると、フラムはサリーで保持から時間を作るようになり、より保持サイドが時間を作っていく流れになっていく。
前半により色濃い決定機を作ったのはブレントフォード。左サイドのルイス-ポッターの入れ替わりからチャンスを作るが、すんでのところでクリアに遭ってしまい決定機を得点に結びつけることができなかった。
後半も前半とペースは陸続き。ボールを持つフェーズになったのはブレントフォード。左右にボールを揺さぶりながら広く広く攻めることができている。それでもゴール前の手数不足は否めない。
フラムはカウンターベースとなるがシャープさに欠けている展開。パスワークが不安定で不要なカウンターを食らってしまったり、連携が皆無で独力の強引なドリブルが目立ったりなどらしくないシーンが続く。セットプレー以外ではらしいチャンスが作ることができない。
互いに交代選手をベースにもう一押しを図る。シャーデを入れたブレントフォードに比べると、より効果があったのはトラオレとヒメネスを入れたフラムの方である。この2人からの決定機を作るがシュートを枠内に飛ばすことができない。
これ以降、フラムは押し込むシーンが増えるがそれでもフレッケンの守るゴールを破ることはできず。試合はスコアレスのまま幕を閉じることとなった。
ひとこと
互いにゴール前での攻略方法不足が顕著なスコアレスドロー。ほぼクリーンなチャンスはなかった。
試合結果
2024.5.4
プレミアリーグ 第36節
ブレントフォード 0-0 フラム
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
主審:グラハム・スコット
第37節 ボーンマス戦(A)
突如訪れた終盤のゴールラッシュ
共に積極的なプレッシングの姿勢が身の上の両チームだが、この試合は非常に落ち着いたスタート。無理にプレスに出ていかず、バックラインは自由にボールを持つことができるスタートとなった。
立ち上がりにボールを持ったのはブレントフォード。バックラインからショートパスで繋ぎながらじっくりとボーンマスを押し込んでいく。
だが、10分くらいになると今度はボール持つようになったのはホームのボーンマス。大外、もしくは裏に長いフィードを送るというこれまたあまりらしくない配球から前進を狙っていく。押し込むフェーズが安定したと見たら、ライン間のセメンヨを活用するなど、少しずつテンポを掴むように。
このように保持が交互になっていくこの試合。そんな中でゴールに迫ったのはホームチーム。ボーンマスはソランケがネットをゆらすが、これはミドルゾーンで加速したセメンヨのハンドを取られてしまい取り消しに。
さらには直後にも無人のゴールにボールを押し込んだソランケだったが、今度は自らの競り合いでファウル。いずれも微妙な判定でゴールが認められることはなかった。ブレントフォードも対角のフィードから右のムベウモを軸に攻めるが、こちらもゴールに迫ることはできず。試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。
後半、押し込むフェーズになったのはボーンマス。だが、サイド攻撃に対してはブレントフォードの対人守備が冴えており、なかなか打開策を見つけることができず。ハイクロスもボックス内のブレントフォードの守備陣に跳ね返される展開が続く。
どちらが攻めても展開は大味。交代選手を入れて流れを変えようとするが、攻撃側のファウルが多くリズムを作ることができない状況が続いてしまう。
すると、ブレントフォードがPKを獲得。トニーがサバルニーに倒されるが、これはOFRで取り消し。経験の少ない審判団ならではのバタバタとした展開に両チームは振り回される。
どちらも決め手にかける展開は終盤に一気に解放。まずはフレッケン→トニー→ムベウモと長いボールからの展開でゴール前に少ない手数で迫ってゴールを陥れる。
しかし、ボーンマスは負けじと同点に。ハイクロスに対して競り勝ったソランケが取り消された判定への鬱憤を晴らすかのようなゴールですぐに追いつく。
このまま痛み分けかと思われた試合は追加タイムに決着。右サイドを抜け出したウィサが決勝ゴールを仕留めて土壇場で勝ち越し。アウェイでのスリリングな終盤戦を制して勝ち点3を手にした。
ひとこと
いきなり文脈なき両チームのゴールラッシュ!
試合結果
2024.5.11
プレミアリーグ 第37節
ボーンマス 1-2 ブレントフォード
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
BOU:89′ ソランケ
BRE:87′ ムベウモ, 90+5′ ウィサ
主審:マシュー・ドナヒュー
第38節 ニューカッスル戦(H)
乱調のブレントフォードを畳み掛けて7位確保
FAカップの結果次第でまだまだ流動的な欧州カップ出場権。ニューカッスルとしてはなんとか一つでも上の順位で終えてシーズンを終えたいところだろう。
立ち上がりにペースを握ったのはブレントフォード。守備では高い位置からのプレスでニューカッスルのバックラインに圧力をかけていく。攻撃に出た時は右サイドのムベウモのラインブレイクからチャンスメイク。ネットを揺らすシーンもあったが、オフサイド判定でゴールを奪うことができなかったが上々の立ち上がりを披露する。
対するニューカッスルは前線の踏ん張りからカウンターで応戦。左右に動きながらボールを収めるイサクからチャンスを作っていく。右に流れて正対したピノックとの1on1を制してジョエリントンの決定機を作ったシーンは見事だった。
アバウトなロングボールは跳ね返されてはいたが、きっちりとイサクを狙えば押し込むことができるニューカッスル。撤退するブレントフォードのブロックに対して、外側からのギマランイスのクロスからバーンズにピンポイントでアシストを供給。これでリードを奪う。
この先制ゴールに乗っかる形でニューカッスルは勢いのままにハイプレスに移行。一気にブレントフォードに圧力をかけていく。すると、ブレントフォードのバックラインはミスを連発。ピノックのミスを見逃さなかったイサクが2点目をアシストすると、立て続けに3点目をゲット。自陣でのロスト直後とは思えないほどリスキーなプレー選択からレギロンがロストをすると、今度はイサクがフィニッシャーとなりゴールを決めた。
完全にこの時間に勢いを失ってしまったブレントフォード。サイドからチャンスを作っていこうとするが、なかなか崩し切ることができないまま前半を終える。
後半、引き続きポゼッションするブレントフォードはなんとか一点を返す。遅れて入ってきたジャネルトがゴールを決めて点差を縮めるスタートとなった。
遅攻での攻撃はもちろんのこと、トニーの収まり方を利用した速攻も見事。ウィサの2点目のゴールも今季の彼らしいスーパーな一撃であった。
ニューカッスルはポープのセービングでなんとか2失点目で食い止めると、サイドからきっちりと押し下げていきながら敵陣でのプレー時間を稼ぐ。するとムベウモの軽率なプレーから獲得したFKのこぼれ球をギマランイスが押し込んでリードを再び2点に広げる。
ニューカッスルは5バックに移行して試合をクローズ。珍しい布陣変更からは今度こそきっちりクローズするという強い意志が感じられた。
試合はニューカッスルが大量得点で逃げ切りに成功。7位をきっちり確保してシーズンを終えた。
ひとこと
ブレントフォードは集中が一気に途切れた前半の終盤の過ごし方があまりにももったいなかった。
試合結果
2024.5.19
プレミアリーグ 第38節
ブレントフォード 2-4 ニューカッスル
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:48′ ジャネルト, 70′ ウィサ
NEW:21′ バーンズ, 36′ マーフィー, 38′ イサク, 77′ ギマランイス
主審:サイモン・フーパー