前回対戦のレビューはこちら。
今回は冒頭にBBCから引っ張ってきたデータでスタートしてみます。試合前にいつもツイートするやつ。
Head-to-Head
・4回のアーセナルホームでのこの対戦の合計スコアは11-1でアーセナルが全勝している。
・8回のリーグでの対戦のうち、ボーンマスの唯一の勝利は昨季のバイタリティ・スタジアムでの対戦のみ(D1L6)
Match Facts
【アーセナル】
・ホームでのリーグ戦は7連勝中。
・ホーム14試合で勝ち点35はシティに次いでリーグ2位の成績。
・ホームでのトップ6以外とのリーグ戦は2年間負けなし。最後に負けたのは17年1月のワトフォード戦。
・無失点なら、9月以来の2試合連続クリーンシート。
・ラカゼットがゴールを決めればホームでのリーグ戦5試合連続のゴールになり、11-12のファン・ペルシーの記録に並ぶ。
【ボーンマス】
・アウェイでは8連敗中というトップリーグでのクラブ記録を更新中。いずれの試合でも2失点以上喫している。
・クラブ史上、1シーズンにおけるアウェイゲームでこれより長い連敗は33-34(3部時代)の11連敗の一度だけ。
・負ければ今季のアウェイでの負けが11になり、4部時代の08-09の記録に並ぶ。
・キングは直近5試合のリーグ戦で4ゴール。
・フレイザーは今季9アシストを決めているが、直近6試合のリーグ戦の出場ではゴールもアシストも決めていない。
スタメンはこちら。
ボーンマスはレルマが出場停止。S・クック、ウィルソン、ブルックス、スタニスラス、L・クック、フランシスは負傷。アーセナルはナイルズが病欠。ジャカが温存?それ以外は長期離脱組。
【前半】
空いたところから動かしていけばいい
アーセナルのボール保持
序盤からボーンマスはアーセナルのボール保持の阻害がうまくいっていなかった。アーセナルのボール保持に対して、ボーンマスは4-4-2で構えた。序盤の序盤は積極的なプレスでアイブがモンレアルまでプレスかけにきたりしていたが、あんまり効果的ではなかったし、普通に運ばれてしまうので、すぐにミドルプレスの位置の4-4-2に切り替えた。しかし、切り替えた後も中盤の背後のスペース管理が甘く、降りてくるムヒタリアンや大外からDF-MF間に侵入するコラシナツを捕まえられず。圧縮はどこにもかかっていないし、ボールホルダーになることが多いコシエルニーやゲンドゥージにプレスをかけることもしなかったので、出所もケアできない。
というわけで序盤から左サイドを中心にガンガン攻められるボーンマス。先制点のシーンもオーバメヤンでCBピン止め+左に流れるエジルで数的優位を作ることであっさり攻略。とりあえず降りてくるムヒタリアンを捕まえないと!ってボーンマスのCHがそっちに流れたら「じゃあ中央に自分でいくね」ってゲンドゥージにドリブルで侵入されたのは10分過ぎのこと。サウサンプトン戦同様、ボール保持時に内に絞った位置を取ることが多いコラシナツにもあまり対応はできてなかった。ボーンマスは後手後手である。
ちなみにボーンマスのボール保持はこんな感じ。
特に左サイド側はフレイザーが内外上下に揺さぶりをかけていた。ジェンキンソンは若干不安定で、19分には競り合いに敗れサイドに穴をあけてしまったりとか、15分のシーンでは中央に絞る味方についていって、サイドへの戻りが遅れて2対1を作られていた。ってかこのシーンは右サイドをムヒタリアンが1人で守ってるんだけどなんでやねん。
相手の右サイドを突きまくればなんとか活路を見出せそうな気もしないでもなかったボーンマスだったけど、その前に自陣でのパスミスという簡単な形で2失点目を献上してしまったのは切ない。直後にゲンドゥージへのプレスで1点を返しただけにもったいない。ちなみにこの試合のJ sportsの解説はゲンドゥージディスりでおなじみの川勝さんだったので、当然ボロクソ言われてました。
ボーンマスは前半途中からキングをサイドに下ろした4-3-3っぽい守備に変更。中盤のハーフスペースに人を立たせたので、それまでよりは決定機を作られる機会は少なくなった。
とはいえアーセナルもプレスにかかりまくってたぜ!ってほどでもなく、得点以降はプレスを強化したボーンマスもガンガン前に進めていたぜというわけでもない。アーセナルが先手を取っていた前半の序盤に比べれば、やや均衡した状況で前半は終了。アーセナルが2-1のリードで折り返す。
【後半】
切ない選手交代
均衡した前半を受けて後半はどうなるか!という流れだったのだが、その答えが出る前にスコアは動いてしまった。結果からみれば後半早々に入ったこの3点目は大きかった。FKからサイドを3対3であっさり突破を許したボーンマス。セットプレーの流れとはいえ、裏に抜けたムヒタリアンを追いかけるのが2トップでスタートしたキングとムセだったのは切ない。アーセナルに言及すれば2点目のシーンもそうだが、最善手を淡々と打ち続けるエジルらしいプレーがサイド突破の起点になったゴールだった。
ボーンマスはダニエルズ、アーセナルはイウォビを投入して両チームシステム変更。
ボーンマスの狙いはWBを高い位置に取らせてサイドで多角形を作って前進することに見えた。アーセナルとしては無理をする必要がないので、WBにはSHのイウォビとムヒタリアンを下げながら対応した。そんな中で入った4点目。ポジトラから中を鋭く進んだドリブルからラストパスをオーバメヤンに送ったムヒタリアン。見事である。ボーンマスはロスト後に真っ先にボールを捕まえに行くべきだったけど、一番近くにいたダニエルズがほかの選手に釣られて最も使われたくない中のコースを進まれたのは痛かった。エラーをしたのが、投入直後のダニエルズなのも切ない。ムヒタリアンを中盤で捕まえられなかったことがその後の対応を難しくした印象。それにしてもCB間めっちゃ空いてるね。。
4ゴールを決めたところで試合は決着をしてしまった印象。最後はラカゼットのFKでイチゴをケーキに乗せたアーセナル。5得点の快勝でウェンブリーでのノースロンドンダービーに弾みをつけた。
まとめ
大量5失点という結果になったボーンマス。初めはレルマの出場停止が効いていて、ゆるふわ4-4-2になってしまったのかな?と思ったけど、この試合以外でも普通に複数失点してたし、レルマがいても動きまくって穴開けまくるだけかもしれないなと思い直した。前半途中からやった4-3-3へのシステム変更は効いていたけど、ボールを持った時はもっとキングが中に絞って、フレイザーに外のレーンを空けてあげる意識をもっと高めたほうがアーセナル的には怖かった気がする。大量の負傷者と出場停止の影響は否定できないが、ハウが打った手を選手たちのエラーで台無しにしていた感じがするのが結構切ない。降格争いに巻き込まれなければいいのだけど。
アーセナルは大量5得点。シュートをバカすか打ったわけではないけども、大量に点を取っているのが今季のアーセナルっぽい。ムヒタリアンのボールを受ける質の高さ、エジルの出し手としてのクオリティが特に際立った。途中から入ったラカゼットも連続ゴールを伸ばし、気持ちが乗っていることだろう。プレスの掛け合いになるであろうノースロンドンダービー前に、終盤は強度を抑えることができた試合ができたのも大きい。懸念は前半の守備対応に不安が見られた右サイド。スパーズは不調とはいえ、このサイドに君臨するのはソンフンミンであり、若干後手を踏んだり、そもそもそこにいなかったりするシーンがあったジェンキンソンはやや不安になった。ベジェリンの離脱以降流動的な選手起用になっているポジションなだけにここの人選は注目になるはずだ。
試合結果
プレミアリーグ 第28節
アーセナル 5-1 ボーンマス
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS: 4′ エジル, 27′ ムヒタリアン, 47′ コシエルニー, 59′ オーバメヤン. 78′ ラカゼット
BOU: 30′ ムセ
審判: クリス・カバナフ