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「Catch up 日本代表」~2022.9.23 国際親善試合 日本×アメリカ ハイライトレビュー

■前半の課題への解答案を示した中山

 立ち上がり、保持での存在感を見せたのはアメリカの方だった。2トップがCB+アンカーを管理する形で守る日本に対して、アメリカはサイドからズレを作る。特に左のSHに起用された久保を引き出して背後を取る形からの前進は目立っていた。この辺りはデ・ラ・トレがかなりちょっかいをかけていてやらしい感じ。なお、プレミアファンにはお馴染みのアーロンソンは背負って受けて反転してドリブルを開始するいつも通りのアーロンソンだった。

 日本のビルドアップに対してのアメリカは4-5-1のフラットを維持しながら守る形。アメリカは基本的には日本のCBにはボールを持たせてOKという方針。SBにボールが渡ったらWGがプレスのスイッチを入れる。日本はアメリカがプレスのスイッチを入れた後も割とショートパスにこだわりを持っていた印象で繋ぎながらのプレスの回避を狙っていた。

 日本は重心が高くなったアメリカの中盤の背後でボールを受けられれば面白かったように思うが、前半のうちにここまでボールをつなげなかったのは残念。もう1,2本繋ぐことができれば擬似カウンターを発動することができていたはずだ。

 序盤はアメリカの方がボールをうまく動かせていた印象だったが、徐々に試合の流れは日本に傾いていく。きっかけはアメリカの低い位置でのボールロストである。3-1気味になっていたアメリカのビルドアップに対して、日本が縦パスを狙い撃ち。ここからショートカウンターを連発するようになる。

 アメリカは中盤のパスの精度が低く、つなぎの局面では守田と遠藤に完敗。中盤を越えることができずにカウンターでの反撃を浴び続けることに。

 日本の先制点もアメリカの中盤のロストがトリガーだった。マッケニーがパスミスを犯すと、奪い取った伊東から守田へと繋いで最後は鎌田がゲット。愚直に繋ぐアメリカの脆さを突くことに成功する。ただし、アメリカはミスってもスタンスを変えず。日本はひたすら同じペースでボールを刈り続けて前半を終えることができた。

 後半、アメリカはビルドアップの改善を図る。3-2にシフトし、片上げしてビルドアップに参加しないのは左サイドバックに変更。中盤に2枚の受け手を置き、守田と遠藤の目をある程度そちらに引きつける。

 アメリカが保持で狙い目としたのは久保と守田の間。久保の目の前にバックラインからビルドアップに参加するSBがいるし、守田も同じように前に意識がいっている。そうした中でもう1人アメリカの選手が前から彼らの間に降りていけばフリーでターンができるという形。ビルドアップの脱出口を見つけたアメリカが一気に攻撃を加速させる。中盤まででなんとかする!という前半の日本の守り方はこれで機能しなくなる。

 逆に、日本は保持でなかなかバックラインにプレスをかけられた時の解答案を示すことができず。つなげないならば、中央に当てたいところではあるため、HTで交代に入った町野へのロングボールを積極的に活用していたが、なかなか町野はこれをキープしてチームを押し上げることができなかった。

 日本はプレスに行って外されるならば、3枚のアメリカのビルドアップ隊にボールを持たせてもいいんじゃないか?という気もするが、そこはテストマッチなので難しいところ。アメリカに勝つための試合ではないので。そういうわけで前プレは外されつつ、押し戻された分の前線の起点作りもうまくいかないという難しい時間帯になった日本だった。

 日本は両翼に三笘と堂安を投入し、攻撃の起点作りを行う。特に左の三笘には積極的にボールをワイドで受けさせる傾向に。堂安ももちろんその形もあったが、インサイドに入りながらフィニッシャーとして絡む色の方が濃かったかもしれない。

 アメリカは時間の経過とともに中盤を1枚三笘へのヘルプに行かせるように。日本は三笘が周りの状況を活用できれば最高だったが、パスカットされるなどしてなかなか打開することができない。

 ならば、自分でなんとかしてしまうのが三笘である。擬似カウンター気味の状況からドリブルを開始し、独力で追加点をゲット。アメリカはアダムスのカバーが間に合わず、キャノン1人で対応することになったのがまずかった。

 日本目線で言うと、決めた三笘はもちろんのこと、縦パスを引き出した中山が秀逸。前半はワイドで受けて詰まりまくっていた左サイドだったが、この場面では縦にパスを引き出す位置に立てたことで三笘の仕上げまでの導線をひいてみせた。

 アメリカのビルドアップ変化への対応の柔軟さ等課題は残ったが、前半で見られたハイプレスの迫力と、詰まらされた自陣からのビルドアップで後半に得点につなげたのはよかったポイント。一定の成果を示せた親善試合と言えるだろう。

試合結果
2022.9.23
国際親善試合
日本 2-0 アメリカ
エスプリ・アレナ
【得点者】
JPN:25′ 鎌田大地, 88′ 三笘薫
主審:フェリックス・ツバイヤー

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