パワープレーがゲームクローズを促進
CLでは先制されながらも落ち着いた振る舞いで逆転勝利を収めたシティ。その試合でもベルナルドが離脱するなど野戦病院と化している怪我人事情をピッチの中では全く感じさせない貫禄のパフォーマンスで淡々と勝ちだけを積み上げている。
フォレストはシティに対して5-4-1で組むことに。最近のシティ相手にはそもそもバックラインにプレスをかけることをハナから諦めるチームが多いが、フォレストもその1つだった。
シティ相手にラインを下げて守ろう!と決めた時に難しくなるのはロドリの扱いである。1トップのアウォニイが下がって受ければカウンターの怖さを全く感じさせないことになってしまうし、CHが出ていけばライン間でフォーデンやアルバレスが縦パスからターンしてからの加速でゴール一直線!という形を作ることができる。
というわけで悩ましいフォレストがどっちつかずの中途半端になった結果、ロドリはフリーになることが多かった。そうなってしまえば、多少引いたブロックごときではシティを守ることは不可能である。フリーのロドリから大外のウォーカーがラインを下げながら折り返し、フォーデンのミドルが撃ち抜かれるまでがわずかに7分だった。
そして、2点目も似たような形で右サイドを崩す。もっともあっさりとタヴァレスがウォーカーを離した1点目に比べれば、目の前に同時に登場したフォーデンとヌネスにニアカテが惑わされて後手に回るのは情状酌量の余地があると言えるだろう。
タヴァレスにとっては散々な夜だった。1失点目は失点の直接原因となり、2失点目は彼の縦パスのミスから。そして、前半のうちに内腿の辺りを痛めて負傷交代と何一つ上手くいかない日となってしまった。
ロドリどうするねん問題はシティが点をとった後のフォレストに引き続き燻り続けていた。途中でちらっと見せたけど、負けている状況であればマンガラが列を上げつつ、ギブス=ホワイトがインサイド側に絞る形で後方を3センターに連動する変化を見せることができればベターなのではないか。
もっとも、こうなれば大外のコースが空いてしまう。ドクがあっさりとアイナを交わしている辺りを見ると、そうなっても助かるかどうかは別の話ではあるが、それでも可能性を遅らせることは重要である。
シティにミスが出て敵陣に入り込めればフォレストにもチャンスはありそうだった。ただし、スピードに乗った状態という条件付きでサイドで枚数を合わせられるともう打開の道は残っていないように見えた。スピードに乗った状態は大体アウォニイの独走なので、ディアスとエデルソンの2枚抜きは彼の肩に全て乗っかっているという状態だった。
後半、追い込まれたフォレストはとりあえず高い位置からプレスに行くことで勢いよく試合に入る気概を見せた。その気概が見えた次の瞬間にはロドリが退場していた。なんでだよ。
というわけでボールを持てるようになったフォレスト。早速ライン間からギブス=ホワイトがシュートを放ち、流れが変わったことを証明してみせる。
シティはおとなしく撤退第一主義に切り替え。フィリップス、アケと段階的に守備的な選手を入れて5-3-1にモデルチェンジ。こうしてシティ相手にボールを持つフォレストという世にも奇妙な構図が完成する。それでもハーランドとフォーデンの独走からのカウンターチャンスが死んでいないのがシティの怖いところだけど。
フォレストは両WGのエランガとギブス=ホワイトを軸に3センターの外を回すようにポゼッション。片方のサイドに3センターを寄せて、逆サイドに振る形が効いていたが、徐々にシティに「こんなに寄せなくても何もできないのではないか」ということがバレた上に、左はアケとグバルディオルを重ねているだけで守れるので、フォレストにとって薄いサイドというもの自体が徐々にできなくなる。
終盤は前方にアタッカーを入れたファイアーフォーメーションでシティに挑んだフォレストだったが、なれないフォーメーションからかショートパスでのミスを連発。終盤は普通にシティに押し込まれるという謎の展開になっていた。交代で入ったオリギは周りを全く見ないでボールを受けているため、あっさりとボールの狩りどころにされていたのがなかなかに切なかった。
リリーフエース・グリーリッシュはボールをキープして時計の針を進め、最後方ではエデルソンは落ち着き払った振る舞いでチームに安心感を与える。皮肉なことにフォレストが攻めに出た後にクローズが洗練されたシティ。10人になってなお危なげなく勝ち点3を手中に収めた。
ひとこと
10人のシティでキックオフしても彼らが勝ったかもしれないなと思った試合だった。
試合結果
2023.9.23
プレミアリーグ 第6節
マンチェスター・シティ 2-0 ノッティンガム・フォレスト
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:7′ フォーデン, 14′ ハーランド
主審:アンソニー・テイラー