9人をラストプレーで撃破し、無敗の旅は続く
先週、アウェイのノースロンドンダービーで引き分けたトッテナム。2週連続で無敗のチームとの試合に。ホームにリバプールを迎えて、無敗防衛チャレンジに挑む。
立ち上がりは非常に落ち着かない展開に。リバプールがトッテナムにプレスをかけに行ってのスタートになるが、リバプールのトップはガクポ。プレスにおける機動力はあまり期待はできない。そういう点でトッテナムが受けるプレスは前節のアーセナル戦よりは圧が比較的軽いもの。トッテナムは横に揺さぶりながらのビルドアップでプレスを外しを織り交ぜていた。
マディソンにボールを入れるところまではそれなりにたどり着いたトッテナムだが、そこから先のサイドの崩しは課題がある。右サイドのクルゼフスキに対しては大外を回る形のサポートができず、左のリシャルリソンは対面が間に合ってしまうと、相手を外せずに苦戦。仕上げの部分で難がある。
一方のリバプールはトランジッションからの右のサラー勝負。彼によってトッテナムのDFラインを決めつつ、相棒のショボスライと共にバックラインの手前か奥にパスを送り、トッテナムの最終ラインを面で破壊する。手前のパスがイメージがつきにくいだろうから説明すると、サラーと同じ高さで左サイドから絞ってパスを引き取りに来るディアスなどがこれに当たる。
NLDと比べると構造の制御というよりは間に合うかどうかというデュエル勝負な感じがあったこの試合。アップテンポで進む試合でババを引いたのはリバプールだむた。ジョーンズの一発退場で局面のデュエル勝負から数的不利を生み出してしまう。
これにより、トッテナムは4-4-1で組むリバプールに対して中盤が浮きやすくなるように。マディソンによりスムーズにボールが入るようになったトッテナムはサイドチェンジからさらに敵陣に攻め込むことができるように。
サイドチェンジに加えて、ハーフスペースの裏抜けを組み合わせると、リバプールのエリア内の陣形はかなり崩れるようになった。リシャルリソンのバックドアから生み出したソンの先制点はまさしく中盤のプレスの遅れと、サイドの揺さぶりのコンボから生まれたものだ。
リードされたリバプールだが、この日の救いはアタッキングサードの崩しが枚数勝負ではなく、面破壊のため数的不利の影響を受けにくいこと。ガクポのゴールの起点となったショボスライのクロスもそうだし、その直後のディアスの決定機もそう。枚数関係なくラインの揺さぶりでトッテナムのDFを面ごと壊すアプローチだった。
後半、押し込むスタートを見せたトッテナムが立て続けにシュートチャンスを迎える。しかしながらマディソンとソンのシュートは立て続けにアリソンに防がれてしまう。
リバプールはWGの守備位置を下げてバックラインが外に釣り出されるのを防ぐ修正を施す。ラインは下がるが、カウンターでのサラーの線は生きている状態が続くのは流石である。
だが、ジョッタの退場は想定外だっただろう。トッテナムは5-3となったリバプールのブロックを崩しにかかり、3ポイントを奪いにいく。ファーへのクロスを中心に攻めたトッテナムに対して、アリソンとCB陣の奮闘でなんとか凌ぐ時間が続くリバプール。
しかし、最後の最後に守備ブロックが決壊。ポロの抜け出しでラインを下げてからの早いクロスという新しいアプローチにマティプが対応しきれずにオウンゴール。
トッテナムにとっては叩き続けた扉をようやくこじ開けた大きなゴール。リバプールにとっては守り続けた1ポイントがこぼれ落ちる失点。明暗がラストプレーで分かれた無敗対決はトッテナムが生き残りに成功した。
ひとこと
9人という前提はあるがこの出来のリバプールのバックスの撤退守備を打ち破っての勝利はトッテナムにとって自信になるだろう。
試合結果
2023.9.30
プレミアリーグ 第7節
トッテナム 2-1 リバプール
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:36′ ソン, 90+6′ マティプ(OG)
LIV:45+4′ ガクポ
主審:サイモン・フーパー