Fixture
明治安田生命 J1リーグ 第28節
2022.9.3
湘南ベルマーレ(16位/6勝8分11敗/勝ち点26/得点20 失点31)
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川崎フロンターレ(1位/15勝4分6敗/勝ち点49/得点44 失点28)
@レモンガススタジアム平塚
戦績
近年の対戦成績
過去10回の対戦で湘南の1勝、川崎の6勝、引き分けが3つ。
湘南ホームでの戦績
過去10回の対戦で湘南の1勝、川崎の5勝、引き分けが4つ。
Head-to-head
前回の対戦では湘南が川崎戦の連続未勝利をストップ。大量4得点で勝利した。仮に湘南がダブルを達成すれば、J1では初めて。J2時代を含めると2001年以来21年ぶりのことになる。
ただし、湘南ホームでは川崎の無敗記録は続いている。直近4年間で1得点という得点力を克服し、今度はこの記録にストップをかけることができるだろうか。
スカッド情報
【湘南ベルマーレ】
・米本拓司は累積警告により出場停止。
【川崎フロンターレ】
・レアンドロ・ダミアンは福岡戦で足首の負傷により途中交代以降欠場が続いている。
予想スタメン
Match facts
【湘南ベルマーレ】
直近のリーグ戦での湘南は苦しんでいる。リーグ戦は5試合勝ちがない。苦しみの原因となっているのは得点力不足だろう。元々得点が多いチームではないが、直近は輪をかけて得点力が足りていない。9試合で5得点、複数得点はなく、勝利したのは完封したG大阪戦と京都戦くらいである。
ホームゲームも得意ではなく時には大量失点での負けも(この点は今季の川崎も同じなのだが)。アウェイとホームのリーグ戦の勝利数は同じで今年はホームでの開催がそこまで戦績的なアドバンテージにつながっていない。
苦しい戦いにおいて重要なのは先制点。先制された試合は逆転勝ちがないのが今年の湘南であり、これを手にできるかによって大きく試合の展開は変わってくる。湘南は現在川崎戦では3試合連続先制点を奪っているという好データもある。
キーになるのは当然町野。だが、エースはここ6試合の出場で無得点。町野が出場し、無得点だったその6試合は全てチームは勝ちを逃している。残留争いとおさらばするにはエースの奮起が不可欠だ。
【川崎フロンターレ】
勝てば今季初めてのリーグ戦5連勝。今季初めての5連勝チャレンジは鳥栖にスコアレスドローで止められている。2回目の5連勝チャレンジだ。
直近のチームで勢いが出ているのは得点力。ここ9試合で24得点を挙げており絶好調。それ以前のリーグ戦9試合が9得点であることを考えれば明らかに復調傾向にある。
ボトム3との対戦は比較的戦績がいいが、直近唯一の敗戦が等々力での湘南戦である。アウェイで連勝になれば5月以来とあまり得意な舞台ではないが、絶好調のマルシーニョとアウェイに強い知念でなんとか連戦のラストを凌ぎたい。
予習
第23節 磐田戦
第24節 札幌戦
第26節 鹿島戦
展望
■攻守にらしさを取り戻せるか
等々力での敗戦は0-4という衝撃的なもの。今季一番不出来な試合を挙げろと言われたら迷うことなくワーストの出来の試合である。まさか5月に確定するとは思わなかった。この試合は相手を見るどころか、自分達のやるべきことをせずに突っ立っていただけなのだから当然である。湘南と戦う土俵に上がっていないというか、そもそもJ1で戦うのに十分なパフォーマンスとは言えなかったというのがこの試合の感想である。
勝利した湘南はこの試合以降、やや勢いに乗れたかな?と思う時期もあったが、直近の試合は苦しみが先行している状況だ。陣形全体が連動するという部分では難があったり、大きな展開に弱かったりなど湘南の気になる部分はすでに過去の記事で指摘してきた。
だけども、こうした欠点は高い位置からのプレスでホルダーに対して時間を奪う副作用のようなもの。強度の高いプレスとセットで挙げられる欠点である。今年の湘南が例年と比べて毛色が違うのは、ホルダーから時間を奪うという湘南のチームカラーにおける大原則が度々後回しになっている印象を受けるからである。
そもそもホルダーにプレッシャーにいけないことも多く、それでいて高く設定したDFラインの裏を取られてしまうことも多い。例として挙げられるのは磐田戦。杉本健勇に杉岡が裏を取られた場面である。ホルダーにプレスをかけていないのにラインを上げる弊害がガッツリ出たシーンである。
ホルダーへのプレスがかからない+DFラインの不安定な対応というコンボは大量失点してしまった札幌戦でも再現している。ポストプレーを咎められず、サイドに展開を許し、1on1で勝負で打開する形に苦戦。
最終ラインまでにスムーズに持って来られる苦しいのは仕方ないとして、そこまでに防波堤を立てられるどうかが湘南にとっては重要なところ。鹿島戦ではその部分に光が見えたことが大きい。もしかすると、鹿島戦よりも前はややチームとしてフィジカルコンディションが落ちていたのかもしれない。
保持においてもテイストは変わっている。昨年末から今年の序盤にかけてはサイドを変えながら徐々に重心を上げていき、WB+IHの攻め上がりでチームの厚みを増して攻撃の迫力を出していくというスタンスだった。アタッキングサードにおいてはオーバーロード気味にサイドに選手を集めてハーフスペースの走り込みで攻撃を仕上げている。
川崎が等々力でやられまくったのもこの形である。山村と車屋がサイドに釣り出され、潰しきれないままクロスを上げるケースを繰り返していた。
ただ、最近の湘南はこういう動かし方はしない。2トップにダイレクトに当てて、そのまま直線的に攻撃を進めるパターンが多い。この部分は復調気配があった鹿島戦でも変わることはなかった。
なかなかチームとして形自体が減っているサイド攻撃だが、その中でアクセントになっているのは左WBで交代で入ってくる中野。大外からタメを作りつつカットインで仕掛けてくる形で徐々にプレータイムと存在感を増やしている。おそらく古巣との対戦で爪痕を残そうと燃えているはずだ。
■三日天下は避けねばならない
中3日、中2日と苦しい日程できているものの波に乗っている川崎。湘南のように中2週間空いているという状況とどちらがいいのかという比較は難しいけども、短い間隔で勝ちを重ねることができるのは悪くない流れだろう。
川崎にとって一番大事なのは前回と同じミスを繰り返さないことである。つまり、アウトサイドに人数をかけてくるやり方に対して簡単に外に釣り出された挙句、クロスを上げられるような試合をしてはいけないということである。もっとも、先述したようにここは湘南がきっちりと幅を使いながら攻撃してくるならという前提がつくものではあるが。
この試合から1週間空くことと、鳥栖戦で谷口とジェジエウを少しでも休ませたことを考えるとおそらくこの両者の先発は濃厚だろう。サイドに出ていってきっちり潰すということに関してはジェジエウの右に出る選手はJにはいないと思う。
川崎のようにSBの裏をCBにカバーさせる前提で動いているチームはJにもたくさんあるし、横幅を守るように命じられているCBはいるが、出ていく分には潰すなりファウルで止めるなりやり切らないといけない。そうしたCBの責任をとる行為に関してはジェジエウはかなり優秀である。日々彼の復帰は心強いと感じているところである。
保持に関しては湘南はプレスに勢いがあるが、追い込む方向を規定して閉じ込めるというよりは強度で解決していくチーム。よって、水曜に戦った鳥栖の前半に近いイメージである。
というわけで川崎からするとあの日の再現ができれば理想だ。CBが広い距離をとり、SBが高さを調整し、IHがサポートを調整しプレスを外していく。
湘南は2トップがアンカーを受け渡しながら守ることが多いので、もしかすると水曜日よりはCBに時間が与えられるかもしれない。そうなれば、運んだり対角パスを蹴ったりする要素が求められる。そうしたことにも積極的にトライしていきたい。調子が出てきたマルシーニョと知念、そして右サイドのトライアングルには後方がきっちり時間を作って運んであげればそれで十分であるはずだ。
一度負けた相手にはただでは負けないのが川崎である。今季はすでにC大阪に勝ち逃げを許している。湘南相手に同じことをしてしまえば、せっかく掴んだ首位の座は三日天下で終わってしまうだろう。負けた相手に再チャレンジとこの試合を定義するなら、この試合における川崎はまだまだチャレンジャー。優勝に挑むつもりで連戦の最後を飾りたい。