Fixture
明治安田生命 J1リーグ 第29節
2023.9.29
川崎フロンターレ(9位/11勝6分11敗/勝ち点39/得点37/失点36)
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アルビレックス新潟(14位/8勝9分11敗/勝ち点33/得点30/失点37)
@等々力陸上競技場
戦績
近年の対戦成績
直近10戦で川崎の6勝、新潟の2勝、引き分けが2つ。
川崎ホームでの戦績
直近10戦で川崎の9勝、新潟の1勝。
Head-to-head
- 新潟が勝てば2011年以来の12年ぶりの川崎戦シーズンダブル。
- この年もビッグスワンでは1-0で勝利をしている。
- 直近20回の対戦で引き分けは1回だけ。2016年のスコアレスドロー。
- 川崎のホームでは川崎が6連勝中。
- 直近14回の等々力でのリーグ戦で川崎は新潟に13勝を挙げており、うち8勝は3得点以上を決めている。
- 直近3試合はすべて3得点以上の勝利。
スカッド情報
- 右下腿三頭筋肉離れで離脱中の大島僚太はランニングをスタート。
- 長期離脱中のジェジエウはボールを使ったトレーニングを行っている。
- 佐々木旭と車屋紳太郎は前節負傷交代。
- 5試合欠場が続いていた太田修介は横浜FC戦で復帰。
予想スタメン
Match facts
- 勝てば今季2回目のリーグ戦3連勝。
- 2022年5月以来の公式戦3試合連続クリーンシートを継続中。
- 直近8試合のリーグ戦での勝利はすべてクリーンシート。
- 退場者を出さなければ今季初めて公式戦8試合連続で11人でのプレーができることとなる。
- 車屋紳太郎が退場したG大阪戦、大南拓磨が退場した神戸戦は前の退場者を出した試合から7試合間隔があいている。
- 山田新が出場している時の平均得点は2.10でチームトップ。しかし、出場しているときの平均失点は1.40でチームワースト。
- 公式戦における得点のチームリーダーは9得点の脇坂泰斗と宮代大聖。
- 昨季はマルシーニョ、知念慶、家長昭博が2桁得点を記録。
- 今季ここまでリーグ戦では8勝だが2チームを相手にシーズンダブルを達成している。
- PK戦で決着した天皇杯をドローとカウントすると直近4試合は負けなし。
- 今季のアウェイでのリーグ戦勝利は3回。いずれも1点差。
- 金曜開催のJ1での試合は過去7戦で2勝1分4敗。2017年には川崎と対戦し、敗れている。
- 三戸舜介がゴールを奪えばプロキャリア初の公式戦3試合連続ゴール。
- 鈴木孝司が決めたリーグ戦2得点はいずれも決勝点になっている。
予習
第26節 浦和戦
第27節 G大阪戦
第28節 横浜FC戦
展望
ショートパスへのこだわりは依然健在
3月の対戦では1-0というスコア以上の内容で新潟が圧倒。8月の天皇杯では劇的な120分の末のPK戦をソンリョンのセービングで幕引きした川崎がベスト4へ駒を進める。今季ここまでの2回のビッグスワンでの対戦は川崎と新潟がそれぞれ1回ずつ笑う結末を迎えている。今季最後の対戦となる等々力での対戦はどちらが2回目の笑顔を見せることになるだろうか。
新潟は試合の間隔が詰まってくると徹底的にターンオーバーを行ってくるので、この試合のメンバーは少し読みにくいところがある。日程を素直に受け取るのであれば、1週間空いたこの試合に出てくるのはリーグ戦でのプレータイムが多い選手たち。つまり天皇杯とは異なる相手が出てくるということである。
新潟のスタイルはおよそ1ヵ月前のプレビューで振り返ったばかりだが、もう一度振り返って以降。ビルドアップに関してはショートパスが主体。細かいパスをつないでの前進を好む。
構造としては2人のCBがGKを挟み、大きく幅を取りながらビルドアップを行っていく形。CHは自由度が高く、フリーダムなポジションをとるケースが多い。高がいるときはややアンカーのように振る舞うのだが、島田や秋山といった選手たちの振る舞いはややポジションレスといえるだろう。
時には縦関係、時にはサイドに流れながらサポートをするなどしつつ、距離感の近いパスコースを創出していく。中盤が引いたり、横に動いたりするポジションをとる中でDF-MFのライン間にスペースを作ることが重要になってくる。ここのスペースで前を向いて仕掛けられるかどうかが重要なポイントだ。
もちろんダイレクトにライン間でナローな位置を取る2列目の選手が反転してフリーになれれば一番いい。それが難しい場合はサイドからカットインのスペースを作る形でもOK。三戸、小見、松田といったドリブラーたちは、サイドからの侵入で一気にゴールにつながるシュートやラストパスを狙うことができる。新潟の攻撃は2列目のアタッカーがライン間に前を向けるようにボールを届けられるかがポイントになる。
新潟はCFがどんなチームのCB相手でも背負えるほど強靭ではない。この辺りはショートパスの連打でズレをつくりながらつないでいく状態でカバーする意識もある。
守備においては前回の天皇杯では4-4-2のアンカー受け渡し型のプレッシングだった。つまりは川崎のCBには時間を与える形でのプレスを行っていたことになる。勢いを取り戻したい時などビハインドの際にはリスクを冒してハイプレスで捕まえに行くケースもなくはない。だが、ミドルゾーンにおける守備の強度を考えると、過度に前がかりになるのは厳しいところがあるのだろう。
それでもPA内に押し込まれる守備が続くと厳しいので、ミドルゾーンから敵陣側に跳ね返す意識は高い。全体をコンパクトに保ちながら守ることがチームとしての狙いであるといえる。
2択か?それとも・・・
金曜リーグ→火曜ACL→日曜リーグがACLを挟むサイクルの1回目が湘南戦で終了。川崎はしばらくこのセットでの日程が続くことになる。現在、川崎のメインとなっているフォーメーションは大まかに2種類だ。
1つはゴミスを頂点に家長とマルシーニョがナローに守る4-3-2-1。これを仮に「ゴミス型」と命名しよう。
もう1つはダミアンと山田の2トップを軸とする3-5-2。前節、山田との言い争いの末、PKを勝ち取ったことに敬意を表してこちらは「ダミアン型」だ。
このゴミス型とダミアン型を1周目のサイクルに当てはめると「金曜リーグ(ゴミス型)→火曜ACL(ゴミス型)→日曜リーグ(ダミアン型)」という使い分けになっている。というわけでローテ的には次はゴミス型の方が有望ということになる。が、せっかくなのでフォーメーションを比較しつつどちらの方が新潟戦に適切な形なのかを考えていきたい。
といっても2つの形には似ている部分もある。内を閉じて、外に追いやりたいという大まかな守備の方向性は共通点といっていいだろう。外のケアをWBがシンプルに行うのがダミアン型で、IHがスライドする形をとっているのがゴミス型だ。
インサイドを固めるという方向性は新潟にはそれなりに通用するだろうから、この点ではどちらも相違はないように思える。ダミアン型を採用した湘南戦においては相手も5バックを採用した分、こちらも5バックを採用することで最終ラインのマークがずれにくいというかみ合わせの要素もあった。
新潟は4バックベース。だが、左サイドはSBが幅を取り、右はSHが幅を取ることが多く、5レーン的な崩しを行うことも多いので、5人をバックラインに並べて埋めておくことで先回りするという考え方もできる。
どちらを使うかの予想は悩ましいが、トランジッションとサイド攻撃の観点からゴミス型と予想してみる。新潟の攻撃の狙い目の1つはネガトラ時の構造にある。先に述べたようにCFに無理が効かない分、CHが大きく動きながらショートパスでズレを作ることを狙う傾向にあるのが新潟の崩し。
その分、ボールロスト時のポジションは乱れやすい。特に横浜FC戦で先発した秋山と島田の2人はこの傾向が強く、トランジッションから危うい形を作られることもしばしばあった。
川崎は前に3枚が高い位置で残る4-3-2-1から中央で縦パスをカットしてのカウンターを狙っていきたい。中央の網さえ機能すれば十分な攻め手として通用する見込みはあるはずだ。
ダミアン型のデメリットとしては車屋と佐々木が前節負傷した分、CBの頭数がいないことも挙げられる。CBを総動員するような形になる3バックの継続はリソースの観点から怪しさはある。
ここまではあたかもどちらかでくるような2択ベースで話を進めてきたが、意外性のあるアイデアを出し続けてきたのが9月の鬼木フロンターレ。ACLラボと化しているリーグ戦でさらなる新作の披露があっても不思議ではない。
【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)