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「軽視されていた部分に手をつけられるか」~2023.11.12 J1 第32節 川崎フロンターレ×京都サンガF.C. プレビュー

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第32節
2023.11.12
川崎フロンターレ(9位/12勝7分12敗/勝ち点43/得点44/失点42)
×
京都サンガF.C.(15位/10勝3分18敗/勝ち点33/得点33/失点41)
@等々力陸上競技場

戦績

近年の対戦成績

直近10戦で川崎の7勝、京都の3勝。

川崎ホームでの戦績

直近10戦で川崎の8勝、京都の1勝、引き分けが1つ。

Head-to-head

Head-to-head
  • 直近19試合の公式戦での対戦でドロー決着がない。
  • 直近6戦では川崎が5勝を挙げている。
  • 直近2回の川崎戦での京都の勝利はいずれも京都ホームのもの。
    • 等々力では2008年の勝利が最後。4連敗中。
  • 直近4試合の等々力での京都戦のうち、川崎は3試合で3得点以上を挙げている。

スカッド情報

川崎フロンターレ
  • 右下腿三頭筋肉離れで離脱中の大島僚太はランニングをスタート。
  • 大南拓磨は1試合の出場停止が明けたが、左足関節捻挫で離脱。
  • 佐々木旭は左ハムストリングの肉離れで離脱。
  • 車屋紳太郎は左脛骨骨挫傷で離脱もフルメニューを消化。
  • 遠野大弥は柏戦の退場により出場停止。
京都サンガF.C.
  • 佐藤響は累積警告による出場停止。
  • 豊川雄太とアピアタウィア久は出場停止から復帰。

予想スタメン

Match facts

川崎フロンターレ
  • 直近の公式戦10試合で敗れたのは1試合のみ(W8,D1)
  • ここ8試合の公式戦で22得点。
    • 開幕15試合の公式戦のゴール数と同じ。
  • しかし、ここまでのリーグ戦では44得点。
    • 50得点を下回ってシーズンを終えれば降格した2000年以来23年ぶりのこと。
  • 直近5試合の公式戦のうち、4試合が4-2での勝利。
  • 橘田健人は直近6試合の公式戦で4得点。
    • 昨年は年間を通して2得点。
  • ジェジエウが先発出場したリーグ戦は直近9試合で2勝のみ(D4,L3)
    • このうち、クリーンシートは1つだけ。昨年達成した2つのクリーンシートはいずれも等々力にて4-0で勝利した試合。
京都サンガF.C.
  • 6月の6連敗以来のリーグ戦3連敗中。
  • 直近4試合の勝ち点を奪ったリーグ戦はいずれもクリーンシート。
  • 直近5試合のうち、3試合で無得点。
    • リーグ戦では210分無得点継続中。
  • パトリックがゴールを決めた直近4試合は全勝。
    • 途中出場では6得点。ドウグラス・ヴィエイラに次いで多い。
  • 枠内シュート数(97)と枠内シュート率(27.8%)はリーグワーストの数字。
  • 曺貴裁監督は直近6試合の等々力での川崎戦で勝ちがない(D2,L4)

予習

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展望

方向性の難易度の高さが安定感の壁に

 J1も残すところあと3試合。この段階で最下位の横浜FCとの勝ち点差は7。京都は2024年シーズンもJ1で過ごす権利を手中に収めるところにリーチがかかっている状態になる。

 京都のフォーメーションは4-3-3。以前に対戦した時と同じ形で多くの試合を消化している。攻撃の方向性は少し見えてきにくいところがある。バックラインはCBが広い位置に取りながら、ショートパスをつないでいく。しかしながら、ショートパスでの繋ぎに関してはそこまで自信があるわけではない様子。特にサイドに追い込まれる形になってしまうと、あっさりと奪われてしまうケースも少なくはない。自陣の低いフェーズでボールを取られてしまうと、バックラインは低い位置に立っているためPAにスペースがある状態でカウンターを受けることになる。

 そのため、バックラインは強いプレスを受けると早い段階でロングボールを蹴りだすことになる。前線の3枚には明確にWGタイプを置かず、IH型かCF型をがっつり置くことが多い。山崎、原、パトリック、木下、豊川などそもそもスカッドとしてワイドよりも中央でプレーしたがる選手がスカッドとして多い。並べる選手たちはそのスカッドに沿った方針といえるだろう。

 リーグ内のどのチーム相手にもボールが収まるというほど強靭な軸となる選手はいないのだが、ボールが収まった後の選手間の距離感が近く、狭いスペースでの繋ぎはなかなかに巧み。原あたりはこうした点で目を見張る活躍をしているし、抜け出しや強引さという意味で前節出場停止だった豊川の存在は心強い。

 後方が時間を前に送るような繋ぎができるわけではない分、FWが時間を作ることが求められている感があるのだが、そうした役割ができるポテンシャルは十分にあるだろう。ただ、中央の狭いスペースでボールをつなぎながら時間を紡いでいくというのはそもそもサッカーにおいて難易度が高い選択肢。よって、ある程度は跳ね返されてしまうケースも織り込まないといけない部分はある。そういう意味で安定した前進の手段というには少し精度が低い感じは否めない。

 高い位置で時間を作ることができればサイドの攻撃参加が目立つ。特に右のSBの福田は直近の試合ではボックス内での侵入からフィニッシュに絡むことができている。SBが攻め上がる時間を作ることができるかどうかは先に挙げたFWが時間を作れるかどうかにかかっている。

 非保持においてはFW-MFの間を比較的コンパクトに保ちながらプレッシングに出ていくことが多い。しかしながら、MF-DFのライン間やSB-CBのチェーンの間は比較的間延びしてしまうケースもちらほら。バックラインと中盤で押し上げられている状況から相手を捕まえることができれば一気に進むことができるが、縦のパスを差し込まれてしまうと一気に危うくなる。ハイプレスで捕まる際もそうなのだが、一つのミスが結構大きなピンチを引き起こしていることもしばしば見られるのは少し気になる点である。

MFの縦パスのシャープさとバックラインの大きな展開の整備を

 京都は躊躇いなくFWに蹴ってくるため、とりあえず川崎のバックラインに対して跳ね返すことを強いてくる。試行回数を重ねていく形でアプローチをかけてくる相手は正直今の川崎はあまり得意ではない。特に左サイドの守備が後手に回るケースが多く、前進とフィニッシュの両面において登里が狙い撃ちにされると案外あっさりと京都の狙い通りの攻撃を仕掛けられる可能性はあるだろう。京都がフィニッシュにおいてファーに飛び込む意識がある点などは川崎にとっては失点に直結する可能性がある部分だ。

 理想で言えば当然狙いはハイプレスからサイドに追い込むような形を作りながら高い位置からのショートカウンターを発動する形。しかしながら、ACL直後の試合の川崎の前線にこうしたエネルギーが残っているのかはよくわからない。ハイプレスの機能性に関しては疑問が残る。

 ただし、京都はショートパスから時間を前に送る動きはあまり得意ではないので、バックラインが放り込みに耐えられるのであれば、ハイプレスに出ていく際のデメリットは意外と小さいようにも思う。連戦が続く山村、パトゥム戦の後半は明らかに負傷に苦しんでいたジェジエウ、そして高井と車屋も含めてどのCBがどういったコンディションで出場するのかは気にかけておきたいところである。

 攻撃においては鋭い縦パスが入るかどうかが非常に対峙なポイント。プレスに対して強気に出てくる中盤の背後を取るような形が求められる。中盤の縦パスはここ数試合はやや湿り気味。柏戦では瀬古のパスミスが失点に完全に繋がることとなってしまったし、パトゥム戦では絶好調だったはずの脇坂の出来にもやや翳りが見えた。ここはシーズン終盤に向けてもう一つ上のシャープさを求めていきたい。中盤は縦関係を作ってのレイオフでフリーの選手を作るなどホルダーが楽にプレーする環境の整備をしつつ、アンカーの脇に縦パスを差し込むような形で京都のプレスをひっくり返す形で前進を狙っていきたい。

 バックラインからの大きな展開も効果的。湘南戦ではキム・ミンテの一つ飛ばしのパスから一気に攻撃を加速させて、PKを献上してしまうシーンも見られた。CBには時間を与えられるケースもあるので、中盤のプレスのベクトルの逆を取るような組み立てを期待したいところ。GKに上福元を使ってみるなどの入れ替えをやってみてもいいかもしれない。

 中盤は縦パスの鋭さを取り戻し、バックラインは大きな揺さぶりを意識しながら保持で攻略するルートを見つけたいところ。ACLでは、少し崩しの局面から前線への依存度が高まっている反面、低い位置からの崩しがあまりにも軽視されていた感がある。もちろん、勝利第一のACLでは手段不問だとは思うが、国内のコンペティションではこの部分にはトライして欲しい。

 ここ一番では勝負強さを発揮することでなんとか面目を保っている感がある今年の川崎。相手の残留の命運がかかっている一戦においても勝負強さを発揮し、相手にとって厄介な壁になることができるだろうか。

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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