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「負ける守備をしない」~2023.8.30 天皇杯 準々決勝 アルビレックス新潟×川崎フロンターレ プレビュー

目次

Fixture

天皇杯 準々決勝
2023.8.30
アルビレックス新潟
×
川崎フロンターレ
@デンカビッグスワンスタジアム

戦績

近年の対戦成績

直近10回の対戦で新潟は2勝、川崎は7勝、引き分けが1つ。

新潟ホームでの戦績

直近10戦で新潟の5勝、川崎の4勝、引き分けが1つ。

Head-to-head

Head-to-head
  • 3月のリーグ戦では新潟が勝利。公式戦7戦未勝利をストップする。
  • 新潟が同年の公式戦で2試合以上川崎に勝てば2011年以来のこと。
  • 直近3試合の対戦はいずれも勝利チームがクリーンシートを記録。
  • カップ戦での対戦は過去に一度。2016年のリーグカップのグループステージでこの時はビッグスワンで川崎が0-5の勝利。

スカッド情報

アルビレックス新潟
  • 太田修介は右膝側副靭帯の損傷で離脱。
川崎フロンターレ
  • ジェジエウは左膝外側半月板損傷により長期離脱中。
  • 大島僚太は右下腿三頭筋肉離れにより離脱。

予想スタメン

Match facts

アルビレックス新潟
  • リーグ戦では5月以降連勝も連敗もない。
  • 直近4試合の公式戦の勝利はいずれも1点差での勝ち。
  • 直近4試合のホームゲームでは1勝のみ(D1,L2)
  • J1勢との天皇杯は2003年の仙台戦が最後。以降は10連敗中
    • ただし、そのうち6回は延長にもつれている。
  • トップスコアラーの上位2名は現在チームを離れている。
    • 伊藤涼太郎(移籍)、太田修介(負傷)
  • 公式戦で3得点以上を挙げているのは谷口海斗のみ。
川崎フロンターレ
  • 公式戦直近4試合未勝利。
  • 直近4試合のリーグ戦で10失点。
  • アウェイのスタジアムでの公式戦は直近7試合で3勝だが、うち2勝は天皇杯。
  • ここ2年の天皇杯はいずれも等々力で敗退が決まっている。
  • 直近の準々決勝進出は3年前。鹿島に3-1で勝利している。
  • 脇坂泰斗は直近5試合で6得点に関与している(4G,2A)。
    • 公式戦9ゴールはチームリーダー。

予習

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展望

狙いの位置で前を向ければ脅威は健在

 8月のリーグ戦は一つも勝てないままに終了。多少状況が厳しくても口にすることをやめなかった「優勝」というフレーズはすっかり姿を消してしまった1ヵ月となった。

そんな川崎にとっては、天皇杯は実質国内唯一の残されたタイトルとなる。川崎は天皇杯のタイトルは過去に獲得しているが、2020年の準決勝シードというイレギュラーな状況からのもの。下のラウンドからタイトルに手が届いたことはない。その点でも天皇杯というタイトルは十分にチームを前に進めるものになるはずだ。

 川崎に対してベスト8で立ちはだかるのは春に完膚なきまでにたたきのめされたビッグスワン。不調の川崎は準々決勝で鬼門破りに挑むことになる。

 3月と今の新潟の最も大きな違いはもちろん伊藤涼太郎の有無になるだろう。ビルドアップにおける預けどころとアタッキングサードにおける仕上げ役。そして、フィニッシャーと新潟における攻撃の全権を担っていた伊藤はベルギーに旅立ってしまった。

 当然彼の移籍は大きな影響がある。それでも新潟は大きくスタンスを変えることなくリーグを戦い続けている。バックラインからはショートパスをつなぎながらのスタート。2人のCBにCHの1人が縦関係になる形でビルドアップに加わり、GKを絡めてボールを前に進めていく。

 CHのうち、ビルドアップに関与しない1人は相手のDF-MFのライン間でボールを受けることを狙っていく。CF、2列目の中央と左サイドの選手も入れ替わりながらこのスペースで受けるポイントつくりを狙う。大外のスペースは左をSB、右をSHが担当する。この辺りは少し左右非対称性がある部分だといえるだろう。

 布陣をどこに偏らせているかを考えれば、インサイドにボールを差し込むことを大事にしていることは明白。川崎の目線で特に注意したいのは左サイドからのカットインでフィニッシュという形を担うことができる三戸、そして復活の兆しとなる2ゴールを挙げて結果を出した高木である。

 ボールを運ぶところ、ビルドアップの安定感などは正直なところ伊藤の離脱以降割引となっている部分だろう。しかしながら、前を向く状況が整い、アタッキングサードに入っていくフェーズにおいては現状でも十分相手に脅威を与えることができるチームといえるだろう。

やり直させたって良い

 新潟の出方として少し読みにくいのはプレッシングの部分だ。直近の鹿島戦などは特に無理して枚数を合わせて高い位置から捕まえに行くことはしなかった。しかしながら、前回の川崎戦においてなど、ほかの試合ではハイプレスで主導権を握るなど、十分にノウハウはあるチームだ。

 鹿島戦に関してはどうせ寄せたところで蹴られるし、蹴った先に鈴木優磨がいるのであれば、無理にプレスでそういう方向にもっていかなくてもいいのでは?という思いはあったのかもしれない。

 そんな鹿島と川崎は事情が違う。何よりも今の札幌戦の川崎を見れば、前からプレスに出ていかないのはもったいない感じがするくらいである。よって、新潟も前からプレッシングに来ると予想する。

 川崎からするとここ数試合マンツーでハメ込まれている印象があるので、ハイプレスに来られてしまっては詰みと思うかもしれない。しかしながら、新潟は広島や札幌に比べれば、意地でも相手を捕まえに枚数を合わせてくるチームではない。よって、IHの降りるアクション等でマークを外す瞬間はできるだろう。GKを使って前進ができればより確実であるが、ソンリョンをGKとしたセットでは難しいかもしれない。

 なので、全面的に後方が外せる前提のメンバー構成はつらい。よって、前線には陣地回復の武器を有している選手を置いておきたいところ。キレが戻ってきたマルシーニョ、背負える山田やダミアン、そして家長ということになるだろう。

 アタッキングサードにおける崩しはこれまでは押し込めれば問題なく崩せる兆しが見えてきたが、札幌戦では1人多いというアドバンテージがあってなおそれが見えなかった。左サイドには登里がいないというエクスキューズがあったが、右サイドにはいつものメンバーがそろっていた。それで水準以下というのはかなり落胆が大きい。よって、ここはもう正直にその日勝負できそうなところを探るしかない。

 札幌戦で攻撃以上に苦しかったのは守備。先に挙げた前線のメンバーは前進できる武器を持っている順で選んだため、プレッシングには期待を持つのは難しいところ。

 ただし、ブロック守備はどんな選手が出ても改善は必須。川崎のブロック守備の難点は誘導する方向が統一されておらず、個々人がばらばらの方向から遅れたタイミングでプレスをかけることである。

 新潟のパスワークで絶対に狙い目になるのはライン間だろう。よって、川崎からすれば外に回される分にはいい。新潟の右サイドとの1on1は少しハードだが、内側に斜めのパスをガンガン通されるよりはいい。

 サイドにて2人で囲む時はやり切る。斜めのパスコースが空いているのであればCBはアタックをかける。CBはあたりをつけてパスコースを予測するのも重要な仕事。インサイドのパスは前を向かせずに処理したい。

 最悪、やり直しをさせればいい。取り切るのが勝ちであれば、やり直しは引き分け。今の川崎は劣勢でも勝ちにいきすぎて負けるというような守備でのプレー選択が多いので、この部分は欲をかかずに行きたいところである。

 得意の夏に追い込まれることとなった川崎。仮にこの一戦に敗れれば、8月の終わりと共に今季の無冠が確定する。最悪の状況で鬼門に立ち向かうのはしんどいが、まだできることがあるのであれば十分にあがく意義はある。

 

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)

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