Fixture
Jリーグ YBCルヴァンカップ 準々決勝 1st leg
2022.8.3
セレッソ大阪
×
川崎フロンターレ
@ヨドコウ桜スタジアム
戦績
近年の対戦成績
直近5年でC大阪の8勝、川崎の5勝、引き分けが1つ。
C大阪ホームでの戦績
直近10回の対戦でC大阪の4勝、川崎の4勝、引き分けが2つ。
Head-to-head
2022年の対戦はC大阪のシーズンダブル。直近2年間において川崎に負けっぱなしだったC大阪が反撃に成功するという流れである。
このカードの特徴はとにかく打ち合いであること。直近11試合で無失点を記録したチームはなしととにかく両軍共に点を獲りあっている。直近でクリーンシートを達成したのは2017年のルヴァンカップファイナル。当時は無冠対決と謳われた一戦でC大阪が完封勝ちを決めて見せた。
そのルヴァンカップファイナルを含めてカップ戦ではC大阪が3連勝中。しかしながら、唯一の2レグ制トーナメントでの対戦となった2014年のルヴァンカップでは川崎がトータルスコアでC大阪を下して準決勝に駒を進めている。
スカッド情報
【セレッソ大阪】
・丸橋祐介は左膝骨軟骨損傷により長期離脱中。
・清武弘嗣は左足リスフラン靭帯損傷により6週間の離脱中。
・喜田陽は左腓骨骨折により離脱中。
・原川力は天皇杯名古屋戦以降、左足関節外側靭帯損傷で離脱中。
【川崎フロンターレ】
・大島僚太はふくらはぎの負傷で6週間の離脱。
・コロナの陽性反応でトップチーム関係者10名以上が陽性反応。復帰は不透明。
・チャナティップは軽症で浦和戦欠場。C大阪戦では復帰見込み。
予想スタメン
Match facts
【セレッソ大阪】
まさに絶好調という言葉がふさわしいチームといっていいだろう。リーグ戦ではついに4位に浮上。鹿島、横浜FM、川崎の上位陣にも負けず、勢いはまさに止められないといった印象だ。
公式戦では直近16戦で1敗。かつ、直近7試合は無敗。そして17試合連続得点中で直近6試合は全て複数得点を挙げている。36得点は横浜FMに次いでリーグ2位だ。
ホームゲームでの戦績も好調な中で唯一不安な要素があるとすれば2レグ制トーナメントの初戦の弱さ。なんと直近10試合未勝利という圧倒的な相性の悪さ。おそらく、現行の方式に近づいてからはほとんど勝っていないのではないか。カップ戦の成績自体は悪くないが、スロースタートで1stレグをアドバンテージを取って終わることは皆無である。ここが唯一の気がかりだ。
多くの得点は決めているが、得点者に偏りはなく、まんべんなく選手が決めているのも特徴。強いて1人名前を挙げるなら。すでに今季川崎哀帝に得点を決めているパトリックだろう。得点以外にも途中交代から左サイドを圧倒的なスピードで駆け抜ける姿に手を焼かされるチームは続出。現状におけるJリーグ最強のジョーカーといっても過言ではないだろう。
【川崎フロンターレ】
C大阪と対照的にこちらは成績が振るわない。特にひどいのはアウェイゲームの成績でありこちらは3連敗中。鬼木政権になってから比較的得意としてきたアウェイの舞台で苦しんでいる。
だが、内容面でいえば徐々に好調の兆しはある。前回のC大阪戦ではセットプレーに不安を見せたが、ジェジエウの復帰は頼もしい限り。昨年のカップ戦でなかなかそろわなかった谷口とジェジエウのコンビは前回のヨドコウでの対戦時に苦しんだセットプレーの改善に期待がかかる。
それだけで勝ち点が決まるわけではないが、シーズン当初は劣勢だったシュート数が相手を上回るようになったのも上向きの兆しではある。苦しい台所事情は続くが、確実に兆しはあるように思う。
大阪のアウェイゲームは今季未勝利であるが、対大阪で勢いのあるダミアンを軸になんとか爪痕を残したいところだ。
予習
第21節 横浜FM戦
第22節 G大阪戦
第23節 福岡戦
展望
■4-4-2攻略の入り口を抑える
今のC大阪の印象を一言でいえば「シンプルに強い」というのが真っ先に来る。7月に対戦したリーグ戦に向けてスカウティングを行ったときは、正直もう少し付け入るスキがあるチームだと思っていた。だが、あれから試合を重ねていく中でより一層厚みを増したチームになったなという印象である。
最も変化を感じるのは4-4-2のブロック守備の完成度だ。夏前までは少し勢い任せで無理やりプレスに行くシーンが目立っていたが、直近の福岡戦で見せたパフォーマンスはもっと大人の4-4-2ブロック守備だった。
彼らの守り方で目についたのは2トップが強引にプレッシングに行く頻度が減ったこと。その分、SHに重たい守備のタスクを敷いていることである。SHは2トップの脇に立つ選手をケアする守り方をしていた。
保持側の視点に立つと、この4-4-2の2トップ脇というのは攻略における端緒のようなものといっていいだろう。一番楽なのはもちろん2トップの後方でアンカーが前を向くことであるが、それは非保持側も織り込み済みであることが多い。よって、ここを閉じるようなポジションを取るチームが多い。
その時に狙い目になるのがこの2トップの脇である。川崎は2CHを採用している時代(大島&ネットとか)においても片方が2トップの背後、もう片方が2トップの脇を取ることが多かったし、今の4-3-3でもIHがアンカーのサポートに降りてくるならばこの2トップの脇になる。ここからライン間にパスを刺したり、自らがボールを運んだり、対角に長いパスを展開したりするのである。
だが、C大阪は福岡相手にこの位置に降りてくる中盤の選手を咎めるような立ち位置を取っていた。こうなると保持側はなかなか難しい。大外は空くように思うが、C大阪はSBとCBのスライドも早く、なかなか前向きでボールをもたせてはもらえない。
インサイドにポイントを作ることができず、サイドにいい形でボールを運ぶことができない福岡。C大阪は彼らにサイドチェンジの糸口となりうる2トップ脇を掴ませない非常に洗練された守備を見せたといえるだろう。勢い任せとはまた違う戦い方が出来ていた。
保持の局面においては基本は大外でフリーを作り、エリアにクロスを上げる形が主体。クロスには多くの選手が飛び込み、逆サイドのSHや奥埜が飛び込むのもリーグ戦からあまり変わっていない形だ。
その上で、5-3-2の3センターの中央を空けるようにショートパス主体のポゼッションで試行錯誤していたG大阪戦など工夫は見られるように。レパートリーは広がっているといえるだろう。ダービーではややちぐはぐな時間帯もあったが、後半巻き返すことが出来たことを踏まえれば正しいアプローチが出来ている。
そして何よりも横浜FM戦で自分たちの持ち味を存分に発揮できたのは大きな自信になるはず。おしくも勝利を逃しているが手痛いアクシデントが重なった不運もある。山中の退場&PKは不可避にしても、タガートの負傷交代がなく、最終ラインに西尾を投入する交代枠があれば、最後に得られた勝ち点はもっと多かったかもしれない。
いずれにしても首位相手に自分たちのクオリティを証明しているという点ではゆるがない一戦。C大阪が手ごわい相手であるということが一目でわかる内容だった。
■まずは相手次第になってしまう
川崎は2日にさらに2人のコロナの陽性者が発覚。C大阪がカップ戦にどのメンバーを繰り出してくるかは不透明ではあるが、そもそも人を揃えることが手一杯である川崎に比べればずいぶんと恵まれているはず。復帰者が多少戻ってきたとしても、川崎はコンディション面で不備があるのは確実といっていい情勢だ。
埼スタの試合であわや勝ち点が取れるかもしれないという戦い方が出来たのは、誤解を恐れずに言えば浦和のおかげである。彼らがコンディション差を利用してくるような戦い方を敷かず、川崎にボールを持たせるという展開を許容したことが何より大きかった。彼らがスーパーカップのようなテンションを上げたハイテンポな内容や、保持にこだわって川崎が追い回し続ける形になれば、はっきり言ってあの日の川崎ではひとたまりもなかったといえるだろう。
残念ではあるが、このC大阪戦においてそうした川崎の台所事情が大幅に改善するとは思えない。まずは川崎のコンディションに対して、C大阪がどのような展開を選ぶかが重要である。
C大阪が保持で圧倒!というイメージはわかないが、ハイプレスと手早い攻撃で攻守のサイクルを意図的に増やすような戦い方は彼らにはできるだろう。そうなってしまえば、試合の主導権は一気に川崎に手が届かないところまで行ってしまうということもない話ではない。
リターンレグを1週間後に等々力で控えているということも頭を悩ませる一因だ。耐えて耐えて何とか等々力まで逃げ帰り、回復したスカッドでC大阪を迎え撃つという考えがあっても不思議ではない。この試合は週末と異なり、90分ではなく180分勝負である。そういう意味ではどこまでこの試合で無理をするかは非常に難しい。
ならばせめて意志は統一したいところ。浦和戦では前半から!といいつつもプレスのちぐはぐさがあったりなど、言葉が独り歩きしており、実際は90分を念頭に置いた選手と「前半から」という意識の間にねじれが発生してしまった印象だった。
とりわけ、2失点目はその色が濃かった。3センターの連携はちぐはぐで、IHが及び腰になる中で無理にシミッチが押し上げを図ったところをひっくり返されてしまったのがきっかけだ。
180分だと考えるならばペース配分はいつも以上に重要。前半は集中しなくていい試合などないのは当然として、どこでどの程度の強度のプランを使うのか。とりわけプレッシングに関しては共有しないと、前線が無駄走りして不用意な体力の消耗を産んだり、失点のきっかけになりかねない。建前ではない本音のペース配分が必要だ。
具体的には浦和戦と同じく、保持で押し込みながら無理な体力を使わずに試合を制御する部分を作りたい。保持においてはC大阪が福岡戦と同じ4-4-2で来るのならば、先に示したように大外レーンでの駆け引きをしたい。SBの橘田が継続ならば、彼を軸に大外レーンへのパスコースを空けたり、逆にIHへの縦へのコースを空けるように開いたりなどしても面白い。
あるいはCBが広い間隔を取り、相手の1列目を横に揺さぶるように広げながら縦に刺すスペースを探す戦い方も面白い。ジェジエウが先発であるのならば勇気が必要になるが、山村が先発であるならば、むしろこうした戦い方は得意。このあたりは最終ラインとの人選と相談だ。
薄いサイドを作り続けられるかはIHの2人にかかっている。浦和戦では怪我で不在だったが、復帰が見込まれるならば敵陣に穴を空けながら1枚剥がせるチャナティップは前回対戦時においても有効だった。同じく、脇坂も後半のようにコントロールとターンで相手を置き去りにすることで中央に起点を作りたい。ピッチを広く使うには彼らの身体を張った活躍が求められる。
非保持において、C大阪がリズムをつかめない時間の特徴はCFへのロングボールが効かないこと。谷口、ジェジエウがロングボールに連戦連勝すれば、彼らとて真ん中に起点を作るのは難しい。このあたりは清武の不在を感じざるを得ない部分だ。ここで主導権を握れば、川崎が押し込んだ時間帯の陣地回復は少し難しくなるだろう。
相手の力量的にも自分たちの台所事情的にも苦しい戦いになるのは確実。自分たちにできることを見極めながら、まずは前半戦となる90分をなんとかしのぎたい。