Fixture
Jリーグ YBCルヴァンカップ 準々決勝 2nd leg
2022.8.10
川崎フロンターレ
×
セレッソ大阪
@等々力陸上競技場
戦績
近年の対戦成績
直近5年の対戦で川崎は5勝、C大阪は8勝、引き分けは2つ。
川崎ホームでの戦績
直近10試合の対戦で川崎が4勝、C大阪が4勝、引き分けは2つ。
Head-to-head
川崎とC大阪が1年で4回対戦するのは今季が3回目。直近はルヴァンカップで対戦した2014年で、もう1回はJ2で2周り対戦する時代だった2002年である。2002年の対戦では今回のと同じく4試合目まで川崎が未勝利だったが、最後の対戦でその年初めての勝利を決めている。C大阪が引き分け以上に終わればこのカードにおいて年4回の対戦を無敗で終えた初めてのチームとなる。
乱打戦になるという傾向は今年も変わらず。1stレグではクリーンシート達成間近の89分にタガートが同点弾を決めており、ジンクスの強さを感じずにはいられなかった。
8年前のリーグカップでは1stレグで勝利している川崎が2ndレグで負けたものの、トータルスコアで勝ち抜けを決めている。等々力での対戦は完全に五分。スコア的にもジンクス的にもフラットな状態で迎える2ndレグになる。
スカッド情報
【川崎フロンターレ】
・大島僚太はふくらはぎの負傷で6週間の離脱。
【セレッソ大阪】
・丸橋祐介は左膝骨軟骨損傷により長期離脱中。
・清武弘嗣は左足リスフラン靭帯損傷により6週間の離脱中。
・喜田陽は左腓骨骨折により離脱中。
・原川力は週末のリーグ戦で肩の脱臼で離脱中。
予想スタメン
Match facts
【川崎フロンターレ】
横浜FMを叩き、勢いに乗りたい川崎。もしこの試合を引き分け以上で終えれば3カ月ぶりの公式戦3試合負けなしである。
しかし、この試合の目的は引き分けることではなく勝ち上がること。撃ち合いとなりやすいカードな上、直近でクリーンシートの少ない川崎が守り切れる保証はそこまで高くはない。ルヴァンカップは2020年の神戸戦以降、4試合連続が続いているし、アウェイを1-1で凌いで迎える2ndレグは去年と全く同じ状況。
そもそも2ndレグは苦手なうえ、ホームでの2ndレグはさらに苦手と相性は悪い状況。流れに乗って押し切りたいところではあるが。
【セレッソ大阪】
週末は神戸を撃破し、先週紹介した無敗記録も連勝記録も止まることはなし。神戸はイケイケの状態は続いているといっていいだろう。
直近のC大阪のアウェイでの成績は芳しくないが、カップ戦の2ndレグでの相性は抜群。決勝トーナメントの1stレグは20年勝てていないが、2ndレグにはめっぽう強いC大阪にとっては1-1のタイスコアは実質優勢といってもいいかもしれない。
アウェイでの2ndレグ開催にも相性は抜群。週末もゴールを決めた1stレグの立役者であるタガートは虎視眈々と等々力でも結果を出すことを狙っているはずだ。
予習
第24節 神戸戦
1st leg レビュー
展望
■WG裏を狙わない理由
脇坂が魔法の杖を振って得た先制点を、終盤にタガートが帳消しにしたというのが1stレグのざっくりとしたシナリオ。ヨドコウで行われた前半戦は1-1のタイスコアで終了し、等々力でのリターンレグを迎えることになる。
アウェイゴールルールの適用を加味すれば、等々力での試合が始まる時点での勝ち抜けは川崎。しかしながら、Head-to-headの項で述べたように、このカードはスコアレスドローどころか、どちらのチームにも毎回点が入るカードになっている。川崎のクリーンシートの少なさを加味しても、このアウェイゴールのアドバンテージを守り切っての勝利は想像しにくいというのが本音である。
得点を取れないとおしまいのC大阪にとって重要なのはいかに敵陣に押し込むことができるかである。現状、C大阪の大きな得点の武器となっているのはクロスである。ヨドコウでの同点ゴールが左サイドからのタガートへのクロスだったように、左サイドの山中に余裕をもってクロスを上げる隙を与えると、川崎にとってはまずいことになる。C大阪視点でいえば、彼に高い位置で左足を思い切り振り抜けるような状況を整えることができるかどうかがキーである。
そのために大事なことはCFの2人がきっちりと起点を作り続けることだ。彼らが体を張って起点を作ることができるかどうかははっきり言って死活問題。なぜなら、後方からクリーンにビルドアップするという点においては今のC大阪のバックラインは心もとない部分があるからである。
かつて、川崎がC大阪のバックラインからのビルドアップで苦しめられたのはジンヒョンから放たれるWG裏へのパスである。外切りプレスを簡単に無効化するこのパスは川崎にとっては天敵であった。
今でもジンヒョンの足元は当然健在ではあるが、最近のC大阪はあまりこうしたWG裏へのボールを積極活用していない。理由の1つはSBのキャラクターだろう。特に左の山中は敵陣深くでのプレーは得意ではあるが、こうしたビルドアップ関与はあまり得意としていない。ミドルとクロスに特化した働きの方が向いている。
WG裏へのパスの副産物は川崎の中盤からサイドに人を引っ張り出すことが出来た結果、インサイドにスペースを作れること。その観点でいえば、ライン間で受けて前を向いてもらいたい清武の不在も1つの原因。空いたスペースを使ってもらいたい人がいなければそもそも狙う意味が薄い。結局、SBを高い位置まで運ぶことができる2トップに当ててのサイドへの展開の方が今のスカッド事情に合っているということだろう。
よって、その攻撃の始点であるCFへの長いボールがどれくらい収まるかが重要である。ここを起点に大外のSBのクロス、および抜け出したハーフスペースからのクロス。このパターンを使い分けることができれば、1stレグでも存在した波状攻撃で川崎を攻め立てる時間を作ることも可能なはずだ。
精度抜群のクロッサーに頼るのか、それともサイドを丁寧に抉るのか。いずれにしても彼らの2ndレグの命運もクロスが握っているといっていいだろう。
■アドバンテージがある状況は利用する
クロスを迎え撃つ側として厄介なことは「来るとわかっていても物理的に届かない場所に置かれてしまうとどうしてもなくなる」点、そして「大外という一番守りにくいところから供給が可能」な点である。
ということは大事なことはクロスを入れられる状況をそもそも未然に防ぐことである。いいクロスが入るとボールを跳ね返せずに陣地回復ができないことを踏まえれば、まずは押し込まれること自体を避けるべきだ。
よって1stレグと同じく川崎にとって最も重要なのはCFへのロングボールに対して主導権を握ることである。上門、加藤、山田の3人のCFは体を当てるだけではなく、裏抜けなどのオフザボールでの駆け引きも行ってくる。谷口、ジェジエウのコンディションを踏まえると、この試合はスピードに劣る山村の先発が予想されるが、このあたりをどう克服するかはポイントになるだろう。
横浜FM戦での疲労と1stレグで得たわずかなアドバンテージを考えれば、攻め手には時間をかけたい。アドバンテージを守り切るのは難しくても、このままでは勝ち抜けという状況を利用することは可能だ。点が欲しいC大阪にボールを追い回させながらじっくりと足を使いたいところ。
緊急事態となって棚上げした感があるが、保持によって状況を支配することは後半戦での大きなテーマ。バックラインからの保持で1列ずつきっちりとラインを越えるポゼッションを心掛けたい。仮に車屋が復帰するようならば、保持の局面においては違いを見せてほしいところである。CB+アンカーでフリーマンを作り、クリーンな前進を行いたい。
試合が終盤に差し掛かるにつれて気を付けなければいけないのは、おそらくベンチから登場するであろうパトリッキ。CFへのロングボールで時間を作るのとはまた別の形で敵陣に迫ることができる。SBを山根と予想したのは、このタフなマッチアップを考慮してのこと。連戦になるが、突破のかかった一戦ということで奮闘を期待したい。
逆に韓国戦で出番のあった谷口、脇坂あたりはこのあたりで一休みさせたいところ。特にフル出場が続く谷口は横浜FM戦での一挙手一投足から疲労の色を感じずにはいられない。この次の試合も中2日であることを考えれば、一息入れたいところである。
横浜FM戦はあれだけの激闘だった。彼ら以外にも反動が出る選手が出ても不思議ではない。しかしながら、この試合を落とせば今年のカップ戦は終了。今年負けっぱなしのC大阪にカップ戦のタイトルまで譲るわけにはいかないだろう。
保持で流れをキープ、デュエルでクロスを封印し、試合を支配する。これにトライしながらC大阪に今季初めての勝利を上げたいところだ。