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「自分たちの話から始めよう」~2022.5.29 J1 第16節 京都サンガF.C×川崎フロンターレ プレビュー

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第16節
2022.5.29
京都サンガF.C.(13位/4勝5分6敗/勝ち点17/得点15/失点18)
×
川崎フロンターレ(2位/9勝3分3敗/勝ち点30/得点20/失点16)
@サンガスタジアム by KYOCERA

戦績

近年の対戦成績

 直近10回の対戦で京都は2勝、川崎は8勝。

京都ホームでの戦績

 直近10試合の対戦で京都の3勝、川崎が7勝。

Head-to-head

<Head-to-head>
・リーグ戦では10年ぶりの対戦。
・ここ5試合の対戦において、4試合は勝利チームが3得点以上を決めている。
・直近16回の対戦では引き分けがない。
・京都のホームにおける公式戦直近7試合で川崎は6勝。

 リーグ戦での対戦は2012年以来10年ぶりとなる。というわけで直近の対戦と言ってもイメージが湧きにくいのだが、ここ5回の対戦の傾向は勝利試合が比較的多くの得点を決めていること。直近では得点力不足に苦しんでいる両チームだが、今回の対戦がこの傾向に沿うのかは気になるところ。

 試合は完全決着が多く、引き分けはかなり遡る。2001年のJ2時代の対戦が最後だ。京都ホームでは川崎の勝利が2009年を除けば近年は全勝。スタジアムは変わったが、この傾向も続くだろうか。

スカッド情報

【京都サンガF.C.】

・三沢直人は右アキレス腱断裂で離脱中。

【川崎フロンターレ】

・ジェジエウは長期の離脱中。
・大島僚太は右足の負傷、登里享平は右ふくらはぎの負傷で離脱。
・広州戦で途中交代したチャナティップはヒラメ筋の肉離れで離脱。
・谷口彰悟は鳥栖戦の退場の出場停止から復帰。

予想スタメン

Match facts

【京都サンガF.C.】

<京都のMatch facts>
・リーグ戦は直近6試合勝ちなし(D2,L4)
・リードした試合は7試合負けなし(W4,D3)
・後半の失点が全体の69%
・リーグ戦の得点のうち、53%はピーター・ウタカによるもの。
・ピーター・ウタカは今季54本のシュートと21本の枠内シュートを記録。
・曹貴裁監督は直近6試合の対川崎戦勝ちなし(D3,L3)

 堅調な出だしのリーグ戦ではあったが、リーグ戦は直近6試合勝ちなし。徐々に厳しさを味わっているところだ。リーグ戦では後半の失点が多いものの、逆転負けはない。終盤戦に競り負ける形での失点が多いのだろう。

 得点においてはウタカへの依存度が高い。得点の53%を記録し、シュート数と枠内シュート数はともにリーグトップ。川崎にとっては彼をどうやって止めるかがポイントになるのは自明である。

 ちなみにキジェ監督の川崎戦の戦績は負けと引き分けを繰り返している。順番で言えば、今回は引き分けの番であるが・・・。

【川崎フロンターレ】

<川崎のMatch facts >
・2019年8月以来のリーグ戦2試合連続無失点中。
・水曜日の湘南戦で今季3回目の4失点での敗戦。
・アウェイゲームでは3試合連続でクリーンシートを継続中。
・福岡戦の遠野大弥のゴール以降、305分間オープンプレーからの得点がない。
・小林悠は直近23戦の出場したリーグ戦で無得点。
・家長昭博は湘南戦で今季4回目の70分手前での途中交代。

 湘南戦は内容もさることながら、スタッツ的にも記録的なゲームとなった。今季3回目の4失点というインパクトもさることながら、深刻なのは得点力不足である。

 2試合連続の無得点と、305分間セットプレー以外からの得点がないという状況はそもそも得点が少ない今季の中でもかなり厳しい状況である。

 ベテラン勢は苦しい戦いが続いている。途中出場が多いとはいえ、小林はリーグ戦での無得点があまりにも長い。家長は連続出場しているとはいえ、プレータイムは短くなっている。大体はチームの出来が悪い時が多い。彼らの奮起には期待したいところである。

予習

第13節 清水戦

第14節 広島戦

第15節 横浜FM戦

展望

京都の変化に見られる苦しみ

 昇格組としては堅調な滑り出しをみせた京都。しかしながら、ここに来て6試合リーグ戦勝ちなしとやや停滞気味である。開幕戦の浦和との一戦で見た京都と今日の京都は少し印象が異なる。

 開幕戦で見たのはサイドに人数をかけつつ、クロスを上げて戦うやり方。バックラインは菱形、SBは早い段階で駆け上がる。中盤とのパス交換を一つ挟むことで前線にまっしぐらというパターンが多い。

 CFなどの前線の選手がサイドに流れることよりも、中盤の選手がサイドの数的優位を形成するのも京都の特徴。アンカーなど普通のチームではあまり大きく横に動かないポジションも、高い位置までボールを運んだ際は横にスライドしてボール回しに参加することが多い。

 その分、前線の選手はPAから動かない。クロスを上げるためのサイドの数的優位に合わせて、PA内のターゲットも同じく確保するというイメージである。CFのウタカ以外に最低1枚、できれば中盤や逆サイドのSBなどからもう1枚いる形が理想と言えるだろう。

 クロスを上げる人と受ける人、多くの選手が攻撃参加しながら分厚い攻撃を目指す。かつ、エリア内にはJ1でも十分に実績するウタカがいる。それが目指す形である。

 しかしながら、最近の京都はこの理想に殉じることができていない。GK、CB、アンカーの菱形の4枚のところで相手に強烈なプレッシャーをかけられてしまう試合が多く、そうしたプレッシャーを掻い潜りながら、敵陣深くまで多くの人数をかけてボールと人を運ぶことができないのである。

 そうなると無理にショートパスのプレス回避を狙わないのが京都である。選択肢となるのはピーター・ウタカへのロングボールとなる。彼が高い位置に出ていきボールを収めることで起点を作ることを狙っていく。

 ウタカはスコアラーとしてだけでなく、チャンスメーカーとしての資質も高い。よって能力的にはこうした役割も当然問題なくこなすことができる。だが、ウタカがどの位置でこの役割を果たすかはチームの設計に大きく関わる部分でもある。

 ウタカが相手の最終ラインに突っ掛けるような形で、前線に止まれる形を作ることができれば問題ない。カウンターの一番前で、一気にゴールに迎える形を作るのも当然OKだ。だが、左右に大きく動く形でサイドに流れたり、低い位置まで下がってしまうと問題がある。そして、最近の京都の攻撃はこのパターンが多い。

 ウタカがこうした組み立て色が強い仕事が増えてしまうと、エリア内のところで集中して仕事をすることができない。そうなってくると、チームとしてアタッキングサードの手前で燃料切れしてしまう感じが強い。Match factsの項でも紹介したが、今の京都はウタカへの依存度が高い。彼をゴール前に置いた状態でボールをどう送るかがポイントになるのだが、それ以外の仕事が段々と増えてきている状況だ。

 オプションである3-5-2を使えば、後方からのビルドアップも人数の余裕があるし、WBが高いポジションになる分、サイドの押し上げは容易になる。ウタカが仮に組み立てに忙殺されても、2トップの相方はエリア内で仕事をしやすい。だが、クロスの出し手にも受け手にも人数を送り込むという京都のコンセプトは再現しにくくなる。ウタカとボールだけ前に置いていってしまうという形になってしまうと苦しい。

 守備においてはハイプレスがベース。SHがトップに合わせて2人目のプレス隊として守備を行うことが多い。SHが高い位置に出ていくのに合わせてSBが縦にスライドする意識も高いのも特徴だ。

 というわけで高い位置にスライドしたSBの裏をとられたり、対角のパスから逆サイドのスペースに逃げられると京都のハイプレスは脆い。そうなると、京都の守備は一旦ブロックをエリア内まで位置を下げて退却を図る。

 しかしながら、低い位置におけるスペース管理が怪しいのも今の京都だ。マイナスのクロスのケアや、ミドルが打てるバイタルのスペースケアなどあまり盤石ではない。この状況に追い込まれたのが横浜FM戦。とにかくミドルを打たれたのが印象的。小池の先制点も松原の追加点もサイドで深さを作り、ミドルを打つ形だった。

 これも3-5-2というか5バック型の形を作れればある程度大外で相手を止めることができる。けれど、これも高い位置でボールを取れずに重心を上げられない状況を招くことになる。

■現実に押し込めたいが、自分たち優先で

 質問箱で『なぜ、京都は試合中に3-5-2に修正するのか?4-3-3を初めからやる必要ないんじゃないか?』という旨の質問をもらったけども、3-5-2は良くも悪くもマイルドになるからかなと思う。

 後ろに重くなってしまい、前からアグレッシブにという京都のコンセプトを体現するのが難しくなるのではないか。なので、4-3-3からその日の課題に応じてフォーメーションを調整していくというスタンスになっているのではないかという仮説を持った。

 よって、川崎からすれば京都をこうした現実を意識した方向に押し込むのが理想である。ウタカにエリア内の仕事に集中させずに組み立ての仕事に忙殺させる。そのために菱形のビルドアップを阻害しに高い位置からプレスにいく。

 京都の守備の局面においては長いボールを使いながらまず押し下げる。一気に壊せなかったら、一旦陣形全体を押し下げる形を意識しちゃうのが理想的だ。SBの裏をスペースへの走り込みは欠かしたくはない。という具合に直近京都が苦しんだパターン誘導するというのがベストパターンである。

 と言いたいところなのだけど、こうしたことはまぁ二の次になってくる。なぜなら、湘南戦でやっちまったからである。

 というわけでこの試合は年に何回かある自分たちのことをまず見ましょう!の回である。サッカーというのは本来相手がいるもので、相手を意識しないと始まらない。けども、相手どうこうというよりも自分たちがやるべきことができていなかったのが湘南戦である。相手との関係性の前に、自分たちが水準に達することができていなかった。詳しくはレビュー読んでね。

 まずはこの試合はそこを取り戻すことができるか。相手のホルダーはきっちり捕まえる、出ていくのならば止める、クロスは競る、フリーならば持ち運ぶ。

 まず大事にしたいのは4-3-3とか4-2-3-1とか3-4-3とかではなく、サッカーに置いて普遍的なこと。どんなシステムでもどんな相手でも関係なく、やるべきことがあるのがサッカーだ。まずは自分たちのやるべきことを当たり前にやることに目を向けて土俵に上がるところからだ。

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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