ハイテンポに対応したPSVが直接対決での優位を確保
混戦の様相を呈しているグループB。前節はフランスで1-1の痛み分け。RCランスはアーセナルに首位を奪われる格好となった。
勝って突破を大きく近づけたいRCランスは非常に積極的に相手に高い位置からプレスをかけていく。中央の3トップは左のトマソンが中盤のスハウテンをケアする形でスライドし、マンツー気味に前からプレスに出ていく。
PSVはRCランスが仕掛けてくるこのアップテンポな流れに対応する必要があった。GKを使ったポゼッションで落ち着かせたり、ルーク・デ・ヨングへのロングボールで一回陣地回復をしたり、正対して勝負を仕掛けられる右のWGのバカヨコにボールを届けたりなど対応策はそれなりに準備されていた。RCランスのハイプレスをいなす手段を複数持ちながら流れに逆らっていく。
先制点はその攻撃の落ち着かせどころの1つだった右サイドから。バカヨコのクロスに合わせたのはルーク・デ・ヨング。右サイドから仕掛けからPSVは先制点を奪い取る。
RCランスは保持に回るとショートパスからポゼッションをしていく。PSVの守備を同サイドに引き寄せておきながら逆サイドに揺さぶるという形はそれなりに機能していた。しかしながら、大外からボックス内に入り込んでくるクロスの精度がこの日は低調。この点でPSVとは明らかなクオリティの差があった。
もう1つのRCランスの有効な攻め手である速攻については序盤こそ手ごたえがある迫力を見せてはいたが、徐々にPSVのDF陣が対応。特に脅威のワイに対して、迅速に鎮圧する動きを見せ、カウンターからのスピードアップを許さなかった。
迎えた後半はリードしても前からのプレスを継続したPSVが優勢。RCランスは中盤が後手に回り、攻守に勝負できるポイントが見つからないまま試合が進んでしまう。
60分、ようやく押し返して敵陣で勝負することができるようになるRCランスは右サイドからファーを狙ったクロスでチャンスを作る。ワイの外を回るようにマチャドなどの逆サイドの選手が飛び込む形は確かにPSVのマークを外すことができていた。
だが、リードをしていることもありPSVは速やかにこの形に対応。中盤を最終ラインに下ろして枚数を確保することで、サイドのズレを許さないようになった。
ボックス内での高さがないRCランスはこの対応でほぼ万事休すだった感がある。最後のチャンスとなったセットプレーからの決定機も防がれてしまい、ギラヴォギの退場で完全に終戦。
敗れたRCランスは手痛い一敗。2位争いのライバルであるPSVと直接対決の成績で不利になるという重たい十字架を背負うこととなった。
ひとこと
ハイテンポの仕掛けでPSVを置いていけなかったことはRCランスの誤算だったはず。
試合結果
2023.11.8
UEFAチャンピオンズリーグ
Group B 第4節
PSVアイントホーフェン 1-0 RCランス
PSVスタディオン
【得点者】
PSV:12‘ デ・ヨング
主審:ダニエル・シーベルト