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「Catch up 日本代表」~2022.6.2 キリンチャレンジカップ 日本×パラグアイ ハイライトレビュー

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■幅をとるWGを基準にサイドを振り回す

 吉田と遠藤を除くと準レギュラー組を中心としたスターティングメンバーとなった日本代表。注目のポイントとなるのは守田と田中不在での4-3-3が機能するのか否かである。

 立ち上がりの日本はいつも以上にショートパスでボールを繋ぐ意識が高かった。GKがシュミットということと、LSBに組み立てに関与できる伊藤がテストされたことも大きかっただろう。最近の日本では低い位置からSBがビルドアップ関与するのは比較的珍しい気がする。

 パラグアイは4-4-2気味から2トップを軸に高い位置からプレスに向かっていたのだが、サイドにボールの落ちつけどころがある日本に対してはプレスはあまり効かなかった。パラグアイのプレスはバックラインや中盤の押し上げが行われていなかったため、前線がプレスに行けば行くほど全体が間延びするという状況であった。

 間延びした中盤を生かしたビルドアップをしたのが日本。いつもよりも中盤のサイドチェンジを頻繁に行う。スカスカのパラグアイの中盤を経由することで非常に速くサイドチェンジを行うことができていた。左からビルドアップし、右に振って、もう一度左に戻すというのが鉄板のパターン。

 この日の日本の陣容の特徴は両翼に幅をとったところから仕掛けられるWGがいるということである。左サイドからボールを受けた右の堂安からはカットインからプレーを探る。

 立ち上がりは山根のオーバーラップが間に合わないシーンがあったものの、ここは原口や浅野がサイドに流れることで堂安のカットインのアシストをしていた。右で崩し切れればそれでOKなのだが、そこから逆サイドに展開して三笘にボールをつけてもOK。左サイドは伊藤のオーバーラップのタイミングが絶妙で、三笘を追い越すことでサイドの崩しをサポートする。

 ちなみにいつもよりもIHがサイドのサポートに行く頻度は低め。この辺りは少ない人数で崩せる三笘と堂安ゆえだろう。特に鎌田はエリア内に入り込むことを優先しており、いつもの南野っぽい役割をこなすことが多かった。

 そういう中で先制したのは日本。左の深い位置からフィードを飛ばした伊藤、それをポストでコントロールした浅野、そしてその浅野に再びラストパスを折り返した原口とボールに絡んだ全ての選手が素晴らしい働きをした先制点だった。フィニッシュとポストで精度の高さを見せた浅野は特に評価を上げたと言っていいだろう。フィードで起点になった伊藤も他のSBにはない武器を見せつけた。

 追加点は堂安の鋭いクロスから。バレていても止められない軌道のクロスをあのわずかなステップで蹴れるのだから、調子がとてもいいのだろう。鎌田に『ここに飛び込め!』と指示を出しているかのようなクロスだった。

 後半はパラグアイの守備が前半以上に壊れてしまったのでボーナスモード。真横につけるパスや、マイナスのコースを塞ぐのをやめてしまったので、サイドで深い位置をとることさえできれば日本はミドルが打ち放題だった。

 三笘のゴールはそのままサイドを壊した形、田中のゴールは深さを作って空いたバイタルを活用した形である。板倉と谷口の軽い対応から引き起こされた失点は残念ではあったが、真剣度と崩しの部分では日本の方が終始上だったといえるだろう。

 決定機を外しまくった前田はどうしてもゴールは欲しかったところだろうが、古橋が入ってからはきちんと持ち場のサイドに流れるのは偉かった。こういう動きは誰かに見ていてほしいと思う。

ひとこと

 最近は出るたびに代表に呼ばれる意義を示す原口元気はさすが。この試合でも中盤と前線をくっつける接着剤として有能な働きを示した。3センターは守田と田中ほどの均質性は当然ないが、これはこれで成り立っていた。ここは原口の貢献が大きいように思う。

試合結果
2022.6.2
キリンチャレンジカップ
日本 4-1 パラグアイ
札幌ドーム
【得点者】
日本:36′ 浅野拓磨, 42′ 鎌田大地, 60′ 三笘薫, 85′ 田中碧
パラグアイ:59′ ゴンサレス
主審:クリストファー・ビース

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