ずらせないビルドアップが苦戦の要因
初戦はパキスタンに6-0で快勝した日本。中2日で臨むパレスチナ戦では大幅にメンバーを入れ替えて臨むことに。鈴木彩艶以外の10人のメンバーをすべて入れ替える形でスターターを組んだ。
パレスチナはパキスタンと同じく、4-4-2をベースにアンカーを受け渡しながら望んでくる形。どうやって外すのか?がキーになりがちだが、日本はロングボールのゴールキックでリスタートするなど、比較的ダイレクトな戦い方での対応が目に付いた。
パレスチナにとってはこの日本のダイレクトな戦い方は十分に対応可能な範疇。むしろ、競り合いから押し返すような形になることもあり、この肉弾戦は歓迎されるべき展開だったといってもいいだろう。
というわけで日本はバックラインからの組み立てをスタート。しかしながら、前節のようなスムーズな攻撃はなかなか展開ができず。わかりやすい違いとしてはアンカー(この試合では川﨑、前の試合では藤田が起用)がオープンでボールを持てる機会が前節と比べてはっきりと少なかった。
原因の1つはパレスチナ側の事情。サイドにボールがあるときや多少奥にボールを運ばれても、パキスタンと異なりパレスチナはアンカーへの受け渡しをシンプルに怠らなかったこと。パレスチナの守備の統制がパキスタンに比べると整っていたということだろう。
もう1つは日本のCBの役割である。アンカー受け渡し型の4-4-2は必ずCBのどちらかがオープンになる。よって、彼らがどこか2列目のほかのポジションにつっかけるような動きができれば、ピッチのほかのところに穴が開く仕組みになる。
しかしながら、高井も木村もCBの管理から外れてボールを持つことがままならず。その結果、日本の中盤にはズレが生じず、捕まっている相手にボールをつける機会が増えてしまった。
というわけで苦しい攻めになった日本。それでも右サイドから山本、小田と少ないタッチでつなぎながら右サイドをえぐり、マイナスパスを藤尾が仕留めて先制する。
それ以降は押し込みながら冷静に試合をコントロール。パレスチナが川﨑を空けるようになったことで、少しずつ押し込むことができる時間が長くなっていく。前節は藤田からの縦パスがキレキレでライン間で前を向く選手を作ることができていたが、今節は藤尾のライン間のポストが比較的目立っていた。
後半も日本がボールを支配。右の平河と小田を軸に押し込みながら時計の針を進めていく。パスミスから来るCBの不安定さが時折目に付くが、それ以外は特に気になる点もなかった。
それでも前節に比べればクリーンなチャンスが少なく、停滞感があったのも正直なところ。途中交代の藤田と三戸がドリブルやミドルから強引にそうした事態を打開しに行ったのは個人的にはアピールにつながったように思う。
試合は日本が1-0で逃げ切り。2試合連続のクリーンシートで本戦出場に王手をかけた。
ひとこと
チャンスを山のように作る前節とは異なったが、やはり負ける気はしなかったのはポジティブなところといえるだろう。
試合結果
2023.9.9
AFC U-23アジアカップ
グループステージ 第2節
パレスチナ 0-1 日本
シェイク・アリ・ビン・モハマド
【得点者】
日本:23’ 藤尾翔太
主審:モハメド・ダルウィッシュ