対極のコントラストがつばぜり合いを繰り広げる1st leg
本戦出場をかけたCLプレーオフ。スコットランドのレンジャーズとオランダのPSVの一戦である。
立ち上がりから勢いを見せたのはホームのレンジャーズ。まさしく英国式のキック&ラッシュという感じで立ち上がりから猛烈にプレッシング。2トップ+トップ下の形で中央を閉じ、サイドにはIHが出ていくという積極策からPSVの前進を封じていく。
PSVのポゼッションはピッチを広く使いながら、レンジャーズのIHにワイドへのスライドをあきらめさせることから狙い始めた印象だ。レンジャーズの意識が中央に傾くと、空くのはPSVのWGへのパスコースだ。
このWGの勝負が序盤の攻防を決めた感がある。制することができればPSVはサイドから押し下げつつ、PA内にアタックをかけることができるし、それができなければレンジャーズがSBの裏からカウンターを発動。キャントウェルを旗手にカウンターから一気にPSVのゴールに迫っていくアクションを見せていく。
どちらにもチャンスがありそうな均衡した展開であったが、徐々に流れを引き寄せたのはPSVの方。レンジャーズの守備の横幅がコンパクトに保てなくなったところを狙い撃ちし、縦にパスを刺しながら進撃する場面が増えるようになっていく。
そうなると、シマとキャントウェルがサイドを生めるような4-5-1にシフトするように。カウンターの起点となるキャントウェルの位置が下がってしまったことにより、レンジャーズはカウンターのチャンスが出てきにくくなる。
ペースを握ったPSVだが、ポゼッションの余裕が仇になったのか、前半終盤にレンジャーズのハイプレスにサンガレが捕まってしまって失点。勇気を持ったハイプレス敢行が奏功したレンジャーズがシマのゴールで先制する。
後半頭は右サイドのシフエンテスとタヴェルニエのコンビのワンツーからレンジャーズがチャンスを作るスタートだったが、追いかけるPSVが徐々にチャンスを作っていく。WGは前半よりも深い位置にレンジャーズを押し込みながら勝負ができるようになってきた。
すると、左サイドの後方支援部隊であるボスカリから放たれたクロスが逆サイドまでスウィング。ラインが下がってスペースがある中にサンガレが飛び込んでゴール。これで失点のリベンジを達成した形である。
それ以降も試合の構図は変わらず。ティルの投入で中央の高いポイントを作る意識で押し込んでいくPSVに対して、レンジャーズはカウンターから反撃を狙う構図が続いていく。
狙いを完遂させたのはレンジャーズ。アクロバティックなコントロールを見せたキャントウェルを起点にカウンターを発動すると、3トップ揃い踏みから勝ち越しゴールをゲット。しかしながら、80分にはPSVがルーク・デ・ヨングのセットプレーでしぶとく追いついて見せる。
終盤はそれまでの流れとはうってかわってレンジャーズペース。前線のダニーロを起爆剤に猛攻を仕掛けるが、再び勝ち越しゴールを奪うことはできず。試合は2-2のタイスコアで舞台をオランダに移すこととなった。
ひとこと
キック&ラッシュ対ポゼッション型というコントラストがきれいな試合だった
試合結果
2023.8.22
UEFAチャンピオンズリーグ
プレーオフ 1st leg
レンジャーズ 2-2 PSVアイントホーフェン
アイブロックス・スタジアム
【得点者】
RAN:45′ シマ, 76′ マトンド
PSV:61′ サンガレ, 80′ ルーク・デ・ヨング
主審:クレマン・トゥルパン