Fixture
プレミアリーグ 第34節
2022.4.23
アーセナル(5位/18勝3分11敗/勝ち点57/得点49 失点39)
×
マンチェスター・ユナイテッド(6位/15勝9分9敗/勝ち点54/得点52 失点48)
@エミレーツ・スタジアム
戦績
過去の対戦成績
直近5年の対戦でアーセナルの3勝、マンチェスター・ユナイテッドの4勝、引き分けが4つ。
アーセナルホームでの対戦
直近10試合の対戦はアーセナルの3勝、マンチェスター・ユナイテッドの3勝、引き分けが4つ。
Head-to-head from BBC sport
スカッド情報
【Arsenal】
・コロナから回復したアレクサンドル・ラカゼットは先発の可能性。
・冨安健洋にも1月以来の復帰戦となるチャンスがある。
【Manchester United】
・リバプール戦でふくらはぎを負傷したポール・ポグバはシーズン絶望の見込み。
・クリスティアーノ・ロナウド、ラファエル・ヴァラン、スコット・マクトミネイは起用可能の見込み。
Match facts from BBC sport
【Arsenal】
【Manchester United】
予想スタメン
展望
■最終ラインの負荷を下げたいところだが・・・
スールシャール政権が終わりを迎え、キャリックがクラブを去る置き土産として暫定監督として指揮を執り、アーセナルを撃破した。前回の対戦をまとめるとそんな感じだろうか。
アーセナル戦の次の節から中期的な暫定監督として指揮を執ったのがラングニック。初陣となったパレス戦はレッドブル風味を感じさせる4-2-2-2でパレスに勝利し、勝ち点3でのスタートを切った。
あれから4カ月。数字の上ではCL出場権獲得は不可能ではないが、チームの雰囲気は非常に沈んでおり、明るい結末を想像するのは難しい。すでにチームを取り巻く話題はテン・ハーグが就任濃厚とされる次期監督や入閣するスタッフ、あるいは『6~10人を入れ替える』と明言した来季の構想に向いている感があり、今季のチームの展望はあまり気にかけられていない感すらある。
ラングニック政権がここまでうまくいっていない大きな要因は就任当初に見せたコンセプトにあった選手がスカッドに多く見当たらなかったことだろう。フレッジを除けば、攻守の切り替えを素早く行うことに長けた選手はあまり多くなく、バックラインは広い範囲をカバーするのが得意ではない。
その上、ロナウドをトップにおいて『プレスから入る!』というのはいささか無理があるだろう。前線で一番勤勉だったグリーンウッドはいなくなってしまった。強度が必要なラングニックのスタイルはシーズン途中の就任で目指すべき方向性なのかというのも疑問である。うまくいっていた時期においてもインテンシティが持つのは前半45分止まり。残りの45分は押し込んでいた前半とは別の顔を見せて内容がしりすぼみになっていた。プレシーズンからフィジカルを重視したトレーニングを組まないと体現するのは難しかったのではないか。
後任はテン・ハーグということになるのならば、また来季は全く違う方針で走り出すのだから、こうした話はここでは無意味かもしれない。そうしたクラブの大きな方針転換の是非を考えることもユナイテッドファンに任せることとしよう。
そんなこんなで現状のラングニックは手持ちの戦力とにらめっこしながら1試合ごとにメンバーとやり方をひねり出している感がある。就任当初の4-2-2-2のコンセプトはもうとっくに消え去ったといっていいだろう。
ラングニックを最も悩ませているのは怪我人である。とりわけ、センターラインの人材不足は深刻だ。中盤の防波堤になりうるヴァラン、フレッジ、マクトミネイが負傷で離脱。マクトミネイはリバプール戦でベンチ入りを果たしてはいるが、どこまで状態は戻っているだろうか。
彼らの存在が重要なのは既存のバックラインが広い範囲をカバーできないからである。それゆえ、チームで唯一無理が効くCBであるヴァランと、後方まで攻撃を及ばせないように走り回ることができるマクトミネイとフレッジの存在はDFラインの負荷を下げるためにも重要だ。
逆に彼らがいなければノリッジ戦やリバプール戦のように、行動範囲が広くなりすぎたDFラインがキャパ超えを起こす可能性が高くなってしまう。LSBのショウと共に中盤より後ろの主力の故障は大きな影響がある。ポグバがリバプール戦で負傷したCHは単純に頭数の点でも怪しさは否めない。
前線のメンバー構成は順当に行けばブルーノ・フェルナンデスに加えてサンチョ、エランガ、そしてロナウドだろう。ロナウドが試合に出れる準備ができるのかは不透明であるが、カバーニが不在の中でロナウドも無理ということになれば、リバプール戦のようにラッシュフォードが先発ということになるだろう。アーセナル戦はまだ無名のころに得点を決めるなど、相性自体は悪くはないものの、現在の状態があまりにも深刻すぎる。プレスを犠牲にしたとしても高さと決定力で分があるロナウドを優先したいのは当然の考えだ。
前線は誰がでても後方からの連携を重視した崩しは難しい。サンチョの単騎突破か、カウンターの流れから縦に速い攻撃を仕掛けるかのどちらかがメインだ。
なるべく高い位置で相手を止めて、DFラインの負荷を減らし、前線が得意な速い攻撃につなげる。それがユナイテッドの理想の展開。こうしてみるとやはり中盤の完成度は重要。メンバーがどれだけ、どの状態で戻ってくるかがユナイテッドのキーポイントになりそうだ。
■引く動きがフリになる
アーセナルはここで敗れればシーズンダブル。しかも、どちらも暫定監督相手という無駄に屈辱的な気分を味わうことになってしまう。絶対にそれは避けなければならない。
前節のチェルシー戦のプレビューではDFラインと裏で勝負することにこだわれ、足元ばかりで受けようとするな!と述べたけども、この試合に関してはその話をいったん棚上げしてもいい。。
要はユナイテッドの守備相手ならば、降りたりしながら足元で受ける動きは崩しの有効打になりうるということである。ただし、条件がある。1つはまず、ユナイテッドの2列目より前をなるべく自陣側に引き出すことである。バックラインのプレスに対して数が合わなければ、ユナイテッドの2列目はしびれを切らしながら無理筋のプレスを行うことが多い。
中盤にフレッジがいないのならば、その前線の動きに追従する選手はいないだろう。慌てて前方の選手のカバーをすることになれば、中盤の密度は減る。
中盤を広げたいのは被カウンター防止の観点もある。広げる前に無理に縦パスを刺してしまえば、向こうの思うツボ。ボールロストから相手が欲しいショートカウンターの機会をプレゼントすることになる。なので広げるという下ごしらえは大事である。
相手が広がったり、あるいはそもそもコンパクトに守れていない場合はとっとと縦パスを刺してよい。ただし、トップの選手が降りる動きに対して、そのスペースを利用する動きが欲しい。リバプール戦の中では得点シーンにおけるサラーの役割である。マルティネッリとサカにはこうした斜めの走り込みが非常に重要な要素となってくる。
ポストを受けなおす動きがあればなお安定して裏のスペースを使うことができる。
まとめると『中盤に穴を空ける』→『DFのカバー範囲を広げる』→『最終ラインからつり出す』→『最終ラインの空いたところを使う』という流れになる。これを続ければ、ユナイテッドは決定的な得点機会を渡さざるを得なくなるはずだ。アーセナルとしてはCFのポストは重要。チェルシー戦ではエンケティアが活躍したが、この試合ではラカゼットの先発が効く印象がある。
ユナイテッドの保持においてはやはり起点になるのはサンチョ。リバプール戦も彼1人で何かをおこしてもおかしくはない雰囲気をしていた。となると頼りにしたいのは冨安か。やはり前に出る前に強く当たって、加速をするまえに仕留めたいところ。こうした守備はセドリックに比べて冨安の方が圧倒的にうまい。
ボールの供給元を特定して前を向く前に決着させるのが非保持のコンセプト。ユナイテッドの得意パターンを封じて速い段階で勝負を決めたい。
近年のアーセナルは絶不調の流れでチェルシーと対戦し復調するのがお決まりである。見事にアーセナルは前節そのあるあるを実現してみせた。だけども、『イケる!』と思っているマンチェスター・ユナイテッド戦でつまずくのも近年のアーセナルのあるあるである。風前の灯火だったCL出場権を再び手繰り寄せるためにもこっちのあるあるとはとっととお別れしなければいけないのだ。