Fixture
明治安田生命 J1リーグ 第7節
2022.4.6
ジュビロ磐田(15位/1勝2分3敗/勝ち点5/得点8/失点11)
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川崎フロンターレ(1位/5勝1分2敗/勝ち点16/得点13/失点11)
@ヤマハスタジアム
戦績
近年の対戦成績
直近5年の対戦で磐田は1勝、川崎は8勝、引き分けは1つ。
磐田ホームでの戦績
直近10試合の対戦で磐田の3勝、川崎が5勝、引き分けは2つ。
Head-to-head
およそ3年ぶりになる磐田との対戦。対戦成績で言えば近年は大きく川崎が優位だ。2-5という2017年の負け試合のインパクトこそあるものの、それ以外はほとんど負けなし。現在は4連勝中である。12試合で26得点というのもなかなか多い。
磐田のホームゲーム開催は川崎の優位にさらに拍車をかけると言っていいだろう。6戦無敗で過去に無得点で終わったことがないという相性のいい舞台。得点に苦しむ今季だが、ブレイクスルーのきっかけを掴む機会にしたいところである。
スカッド情報
【ジュビロ磐田】
・高野遼は左膝外側半月板損傷で長期の離脱中。
【川崎フロンターレ】
・FC東京戦で肩を負傷した車屋紳太郎は全体練習に合流。
・山村和也はC大阪戦で負傷での交代。
・登里享平は右大腿二頭筋肉離れで6週間の離脱中。
・長期離脱中のジェジエウは引き続き欠場。
予想スタメン
Match facts
【ジュビロ磐田】
昇格組の京都との一戦を制したのが今季唯一の勝利である磐田。ひとまずは残留を目指すシーズンとしてはまずまずの滑り出しと言えるだろうか。ただし、ここ3試合は勝利なし。ここまでホームでのリーグ戦の勝ちはないが、王者に勝利してホームのファンに3シーズンぶりの勝利を届けたいところ。ちなみに水曜のJ1は3年半以上ぶり、この時の相手は浦和で4点取られる完封負けを喫している。
成績が伸びない要因は守備だろう。三浦にリーグ最多のセービングを強いているように、そもそもシュートを打たれることが多い。川崎相手には絶好調の鈴木雄斗で先手をとり、なんとか凌ぎ切りたいところだが。
【川崎フロンターレ】
C大阪とのホームゲームは今季2回目の4失点を喫しての大敗。シュートの数が減ってきた!というのは度々このプレビューでも触れてきたが、失点の数も非常に多いのが今年の特徴である。
川崎の強さの一つはしくじってもそれを引きずらないこと。これでこれまで悪いなりに踏ん張ってきた時期も多かった。4年ぶりの連敗を喫しないために、昨季しくじった昇格組とのアウェイゲームでの敗北の再現は避けなければならない。
磐田戦で強いのは脇坂。2019年では2試合いずれも得点を挙げている。今季ここまでゴールがない小林と共にそろそろ今季初ゴールを見たい存在である。
予習
第4節 G大阪戦
第5節 浦和戦
第6節 柏戦
展望
■前線の個性に委ねる前進
甲府からやってきた伊藤監督と共に、J1昇格1年目を戦う磐田。以前J1にいた2019年シーズンと比べると、だいぶメンバーもやり方も変わった印象である。
スタイルとしては攻守にそんなに急ぎたくはない感じ。ボール保持は3バックからバックラインの数的優位を活用しながらゆったりとボールを回していく。当然、中盤の遠藤も配球役である。後方からビルドアップで縦に刺していく形で前進を狙っている。
前進のカギになるのは前線の個性である。浦和で本領発揮しきれなかった杉本にとっては再起をかけての一年になるだろう。スコアラーとしては不安定な感じは否めないが、元々黒子役は意外と得意でもある。磐田でも前線で体を張るポストプレイ役として君臨している。
加えてシャドーの2人も個性を生かして前進に貢献する。左に入る大森は降りて受けることで低い位置からのボールを運んでいく。CHの山本康裕は大森と入れ替わるように前線に飛び出す役割もこなしている。
もう1人のシャドーである大津はオールラウンダー寄り。運んでよし、ポストで体を張ってよし、裏抜けしてよしなどあらゆる手段を駆使して前進に貢献している。他の2人とのバランスを考えると裏抜けの役割が一番多いだろうか。この3人により相手の守備の基準を乱しながら前進できれば磐田はゴールに迫ることができる。
守備は5-4-1がベース。ベタ引きというよりはブロック守備でミドルゾーンで我慢するというのがコンセプトといえばいいだろうか。下がる判断自体は結構早く、人数を揃えることを優先。まずはPA内に人を集結させるように安全第一の判断をすることが多い。
エリア内での跳ね返しと、三浦のセービングでローラインでもなんとか凌ぐというのが彼らのスタンスである。
■後方の要の2人のパフォーマンスは?
磐田は形がはっきりしている分、弱みもはっきりしているチームという印象である。特に顕著なのはビルドアップである。前線の個性により前進をしているということは、裏を返せば彼らの武器が通用しなければ前進は難しいということである。
特に重要なのはポスト役の杉本。柏戦のように彼が全く通用しなかったり、浦和戦のようにそもそも出れない(レンタルによる契約条項のため)となると、全体を押し上げられる武器がなくなってしまうことになる。
低い位置まで降りてボールを運ぶ大森も、前線に残る大津もテクニカルな選手ではあるが、1人で爆発的な加速をするタイプではない。陣地回復は独力では難しいだろう。
そういうときはWBで外から押し下げる形も使いたいが、彼らはもっとアタッキングサードに近いスペースで輝くタイプ。ビルドアップから前進でチームを助けるタイプではない。
CBもボールを運ぶというよりはとっととつけてしまうプレーを選択しがち。後ろから時間を作って押し上げるというよりは、とりあえず前につけることを優先するので、やはり前線への負荷は大きいと言わざるを得ないだろう。
なので川崎視点からするとまずは杉本に起点を作らせないことがポイントの1つになるだろう。CFで起点を作らせると、磐田の攻撃に押し上げがかかり、人数をかけた彼らの攻撃に対応しなくてはいけなくなってしまう。C大阪戦で山田に好き放題やられてしまった谷口にとってはリベンジの機会が早くも回ってくることになる。
降りていく大森への対応と入れ替わるように前線に顔を出してくる山本への対応は要注意である。追っていく選手を作るならば、全体の陣形をスライドさせながら埋めたいところだ。
磐田が非保持で最も避けたいのはバックラインを一気に縦に早い攻撃で破壊されてスピード勝負に持ち込まれること。浦和戦はカウンターから小泉→ユンカーで一気にバックラインの裏を取られ、触れないまま失点を繰り返すことになった。
そうした機動力勝負はとにかく分が悪い。そもそも比較的撤退を早くしている理由もそこだろう。バックラインと相手のアタッカーが並走して走っている状況だけは磐田からするとどうしても回避したいはずだ。
したがって、川崎はマルシーニョ、小林、知念など最終ラインと駆け引きしながら勝負ができる選手の起用が面白いように思う。後方からダイレクトにボールを引き出せる彼らの先発は週末に大敗したチームがリフレッシュするという観点からしても悪くないのではないだろうか。
磐田が前線からプレスをかけていくスタイルをそこまで得意としていないのは川崎にとっては朗報。もちろん、C大阪戦を見てハイプレスをやってくる可能性もないわけではない。しかしながら、彼らがここまで積み重ねているスタイルと比べてやや乖離しているというのはいくらかの安心材料である。橘田は後方からチームを加速させる仕事はしやすいはずだ。
磐田を相手にするということはやることをやれば押し込むことができるし、やることをやれば前進も阻害できる。やることをやれずに苦しんだC大阪戦からの再起戦としてはとても相応しい相手のように見える。
特に杉本と対峙する予定の谷口と後方からビルドアップのスイッチを入れる役割の橘田には注目。C大阪戦でいつも通りの仕事ができなかった2人にとってはパフォーマンスを取り戻すところから始めていきたい。