工夫は見えた中盤の配置だが・・・
立ち上がりからボールを持つのはセビージャ。いつもと少し違う点を言えば、3センターの関係性だろうか。アンカー的にふるまうのがスマレというのはいつもと同じなのだが、IHのラキティッチとソウの関係性がやや縦気味。ラキティッチの方が敵陣深い位置でプレーするイメージだった。
セルタは前節のカディスと同じで4-4-2で大きくシステムも変わっていないので、おそらく対策というよりは自分たち起因の変更だといえるだろう。予想としてはカディス戦のビルドアップは後ろに重たすぎたので、ラキティッチが少し奥でボールを受けるような形に修正したのではないか。
ダイナミズムに長けているソウではなく、司令塔的なキャラクターのラキティッチを奥に置いた理由は直線的に攻撃を進めていくのではなく、サイドに一度振りながら攻撃を組み立てていきたいからだろう。つまり、サイドからのクロスという今までの攻撃の設計を変えずに、そのプロセスを改善しようというのがこの試合のセビージャの試みと予想する。
セルタはラーセンとアスパスの2トップに当てるプランで挑んできたので、そこまでセビージャはボールの回収に手を焼くこともなかった。なので、じっくり攻めていきたかったところだが、なかなか思うように試合を運べずに苦戦。
理由の1つはラキティッチを使った左右への揺さぶりよりも直線的に進むアバウトなロングボールを放り込むようになったからだろう。もう1つはサイドに展開した後の攻撃が相変わらず2人称的な関係性を出ないから。そうなるとインサイドの高さ勝負頼み。セルタのDFはあまり動かないので、無理なく守ることができていた。
攻めあぐねているうちにセルタはセットプレーから先制点をゲット。セビージャはビハインドでハーフタイムを迎える。
後半、セルタはリードしていながらもハイプレスに出ていく。そのため、セビージャのアバウト感はむしろ増加。ボールがピッチを行き来して前半よりも主導権がより玉虫色の展開になる。セビージャも速攻を仕掛けられるようになるのは悪くはなさそうだったが、セルタの速攻を受ける部分で怪しさがあるなど、やや不安定な展開に。
しかし、セルタは65分にタピアが退場してしまい、展開をフラットにすることができなくなってしまう。これで流れはセビージャに。左右のクロス攻勢から前半と同じようにセルタの守備のブロックを殴り続ける。
すると、それが実ったのは84分。クロスの処理が甘くなったところをエン=ネシリが叩き込んで試合をタイスコアに引き戻す。
追加点を狙いクロスで攻め立てるセビージャだったが、逆に終了間際にナバスがボックス内で相手を引き倒してPKを与えてしまう。ラストプレーでのPKで試合は決着かと思われたがこれはVARの介入により取り消し。セルタの選手から猛抗議が起きる中、試合はドローで幕を閉じた。
ひとこと
まだまだセビージャは模索中の感じが強い。
試合結果
2023.11.4
ラ・リーガ 第12節
セルタ 1-1 セビージャ
エスタディオ・ヌエボ・ミランディージャ
【得点者】
CEL:22′ スターフェルト
SEV:84′ エン=ネシリ
主審:エルナンデス・エルナンデス