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「土台の強さを見せたい」~2022.3.6 プレミアリーグ 第28節 ワトフォード×アーセナル プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第28節
2022.3.6
ワトフォード(19位/5勝4分17敗/勝ち点19/得点25 失点47)
×
アーセナル(6位/14勝3分7敗/勝ち点45/得点38 失点27)
@ヴィカレッジ・ロード

戦績

過去の対戦成績

 過去10回の対戦でワトフォードの2勝、アーセナルの7勝、引き分けが1つ。

ヴィカレッジ・ロードでの対戦成績

 過去10戦でワトフォードの3勝、アーセナルの6勝、引き分けが1つ。

Head-to-head from BBC sport

・ワトフォードはアーセナルとのプレミアの対戦で得られる可能性がある45ポイントのうち7ポイントしか得ることができていない(W2,D1,L12)。しかし、直近3試合でワトフォードはアーセナル戦で1敗のみ。
・アーセナルはプレミアでのワトフォード戦15試合全てで得点を挙げている。
・アーセナルはプレミアにおけるワトフォード戦15試合のうち、14試合で先制点を決めている。例外は2017年1月、エミレーツで1-2で敗れた試合。

スカッド情報

【Watford】

・イスマイラ・サールはユナイテッド戦でハムストリングを負傷。欠場の見込み。
・ユナイテッド戦を欠場したキコ・フェメニアは復帰予定。

【Arsenal】

・病欠でウルブス戦不在だったエミール・スミス・ロウは復帰。
・ハムストリングの怪我をしている冨安健洋は間に合うかは微妙。

Match facts from BBC sport

【Watford】

・公式戦直近15試合で1勝のみ(D3,L11)
・ヴィカレッジ・ロードでのプレミアは7連敗中。今季13試合で10敗しており、11敗するとクラブレコードに並ぶ。
・プレミアでの3月の試合の勝利は15%(W3,D3,L14)。これは3シーズン以上プレミアで過ごしているチームの中で2番目に低い数字。
・ロイ・ホジソン就任以降の6試合でクリーンシートは3。トップカテゴリーにおける直近38試合と同じ数字。この間に監督は4人指揮をとっている。
・しかし、ホジソン政権下の6試合で得点を決めたのは2試合のみ。
・エマニュエル・デニスは今季チームが負けた試合で最も多く得点(4試合)を決めている選手。

【Arsenal】

・開幕8試合のプレミアでのアウェイゲームで2勝(D1,L5)だったが、現在はアウェイゲーム3連勝中。
・直近5試合のプレミアでのアウェイゲームで先制点を奪っている。
・マン・ユナイテッドとエバートンに連敗した12月以降、獲得可能な27ポイントのうち22ポイントを得ている。
・昇格組とのアウェイゲームでは直近9試合のうち6試合でポイントを落としている(W3,D2,L4)。
・エミール・スミス・ロウは9得点を挙げておりチームにおけるプレミアのトップスコアラー。2桁得点に乗ればアーセナルの21歳以下のプレイヤーとしては98-99のニコラ・アネルカに続いて2人目。

予想スタメン

展望

■立て直せるところまでは立て直した

 ホジソン就任以降のリーグ戦6試合でクリーンシートが3つ、失点は7。それまでの20試合においてクリーンシートが全くなかったこと、40失点を喫していることを踏まえればこのスタッツは劇的な改善といっても差し支えないだろう。

 クリスタル・パレス戦では結果的には4失点の大敗を喫したものの、実質試合を決定づけた3点目が入ったのは80分のこと。相手に楽に勝ち逃げをさせた試合はグッと減った。

 今季前半の20試合を振り返るとアタッカーが豊かな一方で守備に堅いサイドハーフがいないのがワトフォードの悩みだった。ラニエリがレスターの再現をしようとしても彼らにはオルブライトンがいなかったのである。

 SBの非保持における脆弱さもこれに輪をかけた苦しみとなる。特に一人では守れないLSBはこの傾向が顕著。SHには通常以上の守備のタスクが要求されるのがワトフォードの実情だった。SHが守備で十分なタスクをこなせなければCHがどこもかしこも守る羽目になり、シソコやクツカが大忙し。で、一番大事なバイタルが空っぽになってしまうという流れである。

 就任からホジソンの歩みを見てみると、まずは堅守をベースとしたメンバー選考の基準変更から始めた。まず手を付けたのはSHである。クツカやクレバリーなどCHを主戦場とするハードワーカーを両サイドに活用することで、初めからガッツリプレスバックをタスクに入れる。時には6バックとなるような下がり方をしながら自陣のスペースを埋める。

 SHの人選には守備のテコ入れのほかにAFCONによる主力離脱の影響もあった。サールがカムバックしてくるとなると、両ワイドをCHで固めるこだわりもなくなり、デニスとサールなどアタッカー陣を並べる機会が増えた。とはいえ、守備におけるプレスバックは継続。6バックとまでは言わないが、きちんと戻って幅を埋めることが求められた。

 CHからアタッカーにサイドの人選を切り替えることが出来たのはサイドの守備の目途が立ったから。サミル、カマラの左サイドのユニットの2人は加入直後からスタメンを奪うとそのままレギュラーに定着。前任者たちに比べるとパフォーマンスの安定感は増した。

 加えて、勝ちきらなくてはいけない試合が増えたなのもアタッカーを多く使う一因だろう。ワトフォードも改善はしているものの、引き分け止まりなことが多く勝ち点をガンガン積んでいけるところまでは行けていない。

 大量補強で大幅な上積みがあるニューカッスルや終盤戦に本領発揮の気配漂うバーンリーのせいで、リーズやエバートン、ブレントフォードを巻き込んで残留のボーダーはやや上がりそうである。というわけでワトフォードも勝ちきるために得点をより積極的に狙う必要がある。

 攻撃に関しては現状尖った個頼み。速攻からのデニス、サール、キングが一番効果が高い。クリスタル・パレス戦のように持たされる展開になったとしても、敵陣に襲い掛かることはできない。無論、攻撃のユニットの構築までホジソンに求めるのは酷だろう。短期間で守備を立て直し、あとはエースたちに託す。現状ではそれが手一杯である。

■攻守にエースとどう対峙するか

 クリスタル・パレスとの試合からアーセナルが学べることは、ワトフォードのトップの守備の誘導を外すことである。前線からの守備はホジソンになってから増えは下が、個々人がどこに誘導したいかの意識はバラバラ。

 よって、追い込んだと思ってもたいていはバックパスのコースはあいていたりなど塞ぎきれていないことが多い。そのため、やり直しを繰り返せば彼らは追いかけまわすのは難しくなる。追うことが出来なくなればバックラインはフリーでボールを持つことができる。ここから自由に前線にボールを付ける見通しが立つ。

 サイドを使ったパスワークは相手のSHを守備で前に引き出すことも狙いの1つである。じっくり攻めるのも敵陣深くまで押し込むことができるという観点では悪くはないが、マンチェスター・ユナイテッドのように攻め落とせずにスコアレスドローというオチもあり得る。

 アーセナルが点をとることを考えると相手の前線を前に引き出しながら、CBからライン間に縦にパスを入れて一気に加速したいところ。そして、SHの帰陣が完了する前にサイドを壊す。無論、CHがサイドに飛び出して来たら中である。とにかくSHに戻られるよりは4-3ブロックを壊す方が難易度は低い。はじめゆっくり、スイッチを入れたら一気に。

 守備においてはデニスとサールには相応の人数をかける価値はある。特にえぐるように切り込んでくる形は得点に直結する怖いパターン。できれば複数人で対応しつつ、逃がすなら外に流れるように。特に1人で対峙するときは内側を切りながら対応したい。サールの欠場はこの対応をする相手が1人で済むという観点で非常に大きい。

 仮に止められなくてもスローダウンさせればOK。ゆったりとした保持においてはワトフォードはSBのオーバーラップを使うケースが多いので、むしろひっくり返すカウンターの好機として使いたい。今のアーセナルにはローラインできっちり跳ね返せる堅さはあるはずだ。

 現状は降格圏とはいえ、一発の威力はある相手。丁寧にむきあわなければ手痛いしっぺ返しを食らう可能性はある。そのためには攻守にデニスとどう対峙するかがポイントになる。

 アルテタ就任から2年強、積み上げの時期を経てようやくCL出場権がおぼろげに見えてきた。コツコツ進んできたチームが急ピッチで残留を目指す再建計画に阻まれるわけにはいかないだろう。土台の強さを見せてここは確実に勝利を収めたい。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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