ミャンマーのルールを破壊し、二次予選白星スタート
ミャンマーは立ち上がりから5-4-1の後ろに重たい布陣。DFラインはボックス内にベタ引きして背後を消すのではなく、PAのやや手前に最終ラインの高さを設定し日本を迎え撃つ。
初めは1トップ脇に立つ選手を積極的にケアする姿勢を見せたミャンマーのSHだが、時間と共にサイドのケアに注力。時には6人、7人と最終ラインに選手が並ぶようになる。
ミャンマーの守備陣が気をつけていたことは、降りてボールを受けにいく日本の前線の選手にはファウルをしてでも自由を与えないこと。堂安や上田には厳しくチェックをかけにいく。
というわけで日本の狙いはラインブレイク。前への意識を持っているミャンマーのDFラインを利用し、降りるアクションと合わせて前線に飛び出すアクションを増やしていく。南野、鎌田、時には毎熊などが後方から前に飛び出す形でミャンマーのラインと駆け引きをしていた。
サイドのケア+前線の降りる選手へのチェックに注力していたミャンマー。それと引き換えにミャンマーが少し甘くなっていたのは彼らの1トップ脇に立つ日本の選手へのチェックだ。日本は1トップの脇のスペースから町田、谷口、鎌田がフリーになり、ボックス内に勝負のパスを仕掛けていく。
決め手になったのは上田。ラインの駆け引きを制したところから先制点をゲット。日本は11分でリードを奪う。
ミャンマーは少しずつ「サイドのケア」「降りる選手へのチェック」「1トップ脇に立つ選手へのアプローチ」を並立してこなすことができるようになる。日本は停滞したとまでは言わないが、ボール回しが有効打にならない時間が少し続くことになった。
停滞感を振り解いたのはCHコンビ。斜めの関係性から田中→鎌田のライン間へのパスが通ると、左足一閃のミドルで追加点。ややルーズだった間のスペースを攻略し、さらにリードを広げる。
ミャンマーは23分の右サイドのワンツーでの突破を除けば流れの中からのチャンスらしいチャンスは作れず。守備でやることを明確にしてきたのは良かったと思うが、やはり押し下げられた時の苦しさはある。だからこそ、ラインをベタ引きにしていないのだろうけども。日本は前半終了間際に右サイドの攻撃を上田が完結させて3-0。早くも完勝ムードで前半を終える。
後半、森保監督は追加招集組を投入。渡辺と佐野がピッチに入る。前半に田中がやっていた役割に入った佐野は早々にボール奪取からトランジッションの起点になることで躍動。うまく試合には入り、そこから45分間見事なデビュー戦でのパフォーマンスを披露した。
前線で引き続き好調さを見せていたのは上田。微妙に加速のタイミングを調節することで相手のマークを外して抜け出し切る技術は秀逸。1つ手前のゾーンでラストパス供給役に専念し出した南野からハットトリックに繋がるラストパスを引き出し、後半初めのゴールを決める。吹田での代表初ゴールが欲しくてややフィニッシュが力んでいる堂安以外は順調な後半のスタートと言っていいだろう。
4点目以降も日本は中央でのパス交換から左サイドの抜け出しをきっかけにゴールに迫る。相馬と南野はどちらも決定機に結果を掴むことができず。ミャンマーのGKのファインセーブもあり、なかなか日本はボーナスステージモードに入ることができない。
それでも直向きにゴールを狙っていた堂安は粘り勝ち。86分に守田のスルーパスに抜け出す形で合わせて5点目をゲット。最後の交代カードで代表デビューを飾った前川とともにこの試合のトリを飾った。
試合結果
2023.11.16
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
アジア2次予選 グループB 第1節
日本 5-0 ミャンマー
吹田スタジアム
【得点者】
JPN:11’ 45+4′ 50′ 上田綺世, 28′ 鎌田大地, 86′ 堂安律
主審:ムハンマド・タキ