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「教える側に回れるか?」~2021.11.27 プレミアリーグ 第13節 アーセナル×ニューカッスル プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第13節
2021.11.27
アーセナル(5位/6勝2分4敗/勝ち点20/得点13 失点17)
×
ニューカッスル(20位/0勝6分6敗/勝ち点6/得点15 失点27)
@エミレーツ・スタジアム

戦績

過去の対戦成績

図1

 直近10試合の対戦でアーセナルの9勝、ニューカッスルの1勝。

アーセナルホームでの対戦

図2

 直近10試合の対戦はアーセナルの全勝。

Head-to-head from BBC sport

・アーセナルは直近18試合の公式戦のニューカッスル戦で17勝。唯一の負けは2018年の4月のセント・ジェームズ・パークでの試合。
・ニューカッスルは対アーセナル戦10連敗中。うち9敗はリーグ戦のもの。
・ニューカッスルは直近6試合のアーセナル戦で無得点。アーセナルは17試合連続ニューカッスル戦で得点を決めている。

スカッド情報

【Arsenal】

・キーラン・ティアニー、マーティン・ウーデゴールもフィットし、負傷者はセアド・コラシナツとグラニト・ジャカのみ。

【Newcastle】

・エディ・ハウがベンチで指揮をとる初陣。
・ハムストリングに問題があるドワイト・ゲイルは当日判断。欠場が決まっているのはポール・ダメットただ1人。

Match facts from BBC sport

【Arsenal】

・リバプール戦の敗戦で10試合の公式戦無敗記録がストップ。
・プレミアで最下位にいるチームとの対戦では過去に負けたことがない。21戦で15勝6分。
・ホームで5敗目を喫すれば1997年のハイバリー時代以来のこと。
・プレミアでのホーム3連勝を狙う。
・エミール・スミス・ロウは得点すれば1997年のイアン・ライト以来初めてのホームのリーグ戦で3試合連続得点を決めた英国人のアーセナルの選手となる。
・ピエール=エメリク・オーバメヤンは直近5試合のニューカッスル戦で全て得点を決めている。
・アルテタは選手と監督合わせた10回のニューカッスル戦で全て勝利している。

Newcastle

・リーグ開幕以来12戦勝ちなしはチーム史上最悪(D6,L6)。
・開幕からの未勝利がこれより長いクラブで降格を回避したのは00-01のダービーが唯一。
・チーム史上3番目に長い未勝利記録。1999年の14試合と2007-08年の13試合がこれより長い記録。
・66年で初めてリーグ開幕12試合で無失点なし。
・カラム・ウィルソンはあと1点でリーグ戦100得点を達成。ボーンマス時代、エディ・ハウのもとで61得点を挙げている。
・ハウはボーンマス時代、5回のアウェイのアーセナル戦で全敗。

予想スタメン

画像1

展望

■ブレントフォード戦で見られたエディ・ハウ色

 リーグで唯一の未勝利チームであるニューカッスル。半分は引き分け、半分は負けという結構レアな勝ちきれなさで6分6敗という戦績。確かに勝ててはいないけど、ノリッジのように惨敗続きというわけではなかったのでいつのまにか一人ぼっちになってしまった感が強い。

 ピッチ上の成績とは裏腹にピッチ外では話題に事欠かない。積年のファンの敵であったマイク・アシュリーを追いだしたのはサウジアラビア資本の新オーナー。他のプレミアクラブを巻き込んだ大きな騒動になったが、ひとまず買収は認められ、彼らの元で再びチーム作りに励んでいる。

 にしてもブルースと新オーナーの物語には笑わせてもらった。解任報道が出てからの続投宣言からのトッテナム戦に負けてからのブルース解任はめっちゃスムーズ。続投宣言とされていた文書もよく読めば『日曜のトッテナム戦では監督を全力支援する』としか書いていなかったので、(日曜までの)続投宣言と捉えれば、確かにサウジの偉い人は嘘はついていない。見出しに騙されてはいけない。

 で、その流れで新監督になったのがエディ・ハウである。初陣となるはずだった前節のブレントフォード戦ではコロナの陽性反応で無念の欠席。幸い無症状であり、即時の復帰が認められそうとのことでエミレーツでの試合がベンチで指揮を執る初戦となりそうだ。

 そのブレントフォード戦ではエディ・ハウ流の一片が見られた。ブルース時代のニューカッスルはサン=マクシマンへの依存度がベラボーに高かったし、時間が経つにつれその依存度は増していった。ハウがまず着手したのはこのサン=マクシマンへの依存度を低減すること。ブレントフォード戦のニューカッスルで見られたのはポゼッション志向の向上と縦へのスピードを落とす代わりに全体の陣形を押し上げる意識だった。

 人選で特徴的だったのはCHのコンビ。ブルース時代にもポゼッション志向が強まっている際には重用されたシェルビー(多くの時期ではポゼッション志向は強まっていないので出番はそんなに多くなかった)と縦への推進力に長けたウィロックの2人がブレントフォード戦の先発メンバーに名を連ねた。ブルース時代には見られなかった攻撃的なセット。

 相手を左右に振る大きな展開を使えるシェルビーと攻め上がりで中央の厚みを増すことが出来るウィロックのコンビは明らかに保持を意識したもの。志向するチームのスタイルが透けて見える人選である。中盤をプロテクトできるロングスタッフやヘイデンなどはベンチからのスタートになった。

 前線で細かいパスワークでの前進を試みる機会が多かったのも特徴の1つである。特にジョエリントンのポストから前を向く選手を作りながら前進していく流れが増えた。これまでだったらとにもかくにもサン=マクシマンに前を向かせるんだぜ!という感じだったのだけども、堅実なジョエリントンとウィルソンを軸にそれ以外のやり方も模索している感じが見えた。

 全体的にこうした新しいアプローチは悪くないと思う。今までのやり方は効いてはいたけども怪我の少なくないサン=マクシマンに過度が負荷がかかっている。そもそも、彼への負荷をかけ続けるやり方だけではクラブが彼以上におおきくなれないだろう。サウジアラビアの資金力を引っ張ってきてまでやることはない。

 ただ、残留を視野に入れるならばひとまず短期的に勝てるやり方として一時期にまた彼に依存する機会は増えるのかもしれない。ファンとしてはそういうなりふり構わない状況はおそらく避けてほしいだろうけども。

■時間を奪いたいが、テンポが上がると・・・・

 あるチームが保持型に舵を切る時に陥る困難として定番のものがいくつかある。現有戦力でニューカッスルが直面しそうなのも『保持型あるある』の難点である。

 ざっくりいえば攻守におけるバックスの強度である。ニューカッスルのバックスはボールを運びつつ、時間を作ってゲームメイクするようなタイプの選手ではない。それだけではなくCHのウィロックもアーセナルファンならばご存じのようにゲームメイカータイプの選手ではない。展開力を備えているシェルビーですらプレッシャーのかかる状況での振る舞いはそこまで得意ではなく、広いスペースで前を向いて受けてこそ持ち味が生きるタイプだ。

 というわけでアーセナル視点からいくとまずはハイプレスで彼らの保持時の時間を奪うことが肝要になる。仮にプレスをかけた場合、シェルビーが広いスペースを求めて列を落ちてボールを受けに行くこともあるだろう。前節のチアゴのムーブである。

 仮にこの動きが見られた場合、ここに対する対応をアーセナルははっきり決めておきたい。個人的には近くのショートパスの選択肢やバックスの足元の技術を考えても降りるシェルビーを追いかける形でプレスをかけていいと思う。1人が無理にというよりは受け渡しながらでもいいけども。放置するよりもまずはシェルビーを捕まえることで大きな展開をさけて、押し込んでこよう!という相手の目論見を阻害することを行っておきたい。

 もし、押し込まれてしまってもトランジッションからのロングカウンターはアーセナルにとって狙い目。ニューカッスルのCB、CHは被カウンター対応にそこまで優れていない。

 アーセナルとしてはリバプール戦で効かなかったオーバメヤンの前線を揺さぶる動きを今節こそ活かしたいところ。ダイクとマティプには効かなくても、ニューカッスルのバックスには効く可能性がある。というかこういう動きは直接的に効果がなくてもライン間を広げるためには必要な行為である。

 裏抜けで後方でのスピードが苦手なニューカッスルの守備陣を分が悪いフィールドに引き込む要素としてオーバメヤンのランを推したい。

 リバプールにアーセナルが教わったように保持型に舵を切ることの難しさをニューカッスルに教えたい。いわば教わる側から教える側に回るのがこの試合の目標。ロングカウンター、ハイプレスという2つの要素に加えて押し込んだところからの崩しでダメ押しできればアーセナルとしては理想だろう。

 ただ、留意したいのは上で述べた提案であるハイプレスとロングカウンターは試合のトランジッションを増やす方向に舵を切っているということ。そうなった際に怖いのはサン=マクシマンである。試合がコントロールできなければできないほど、彼が持ち味を発揮しやすい状況が整っているということ。実際にブレントフォード戦の流れもそんな感じ。早くなればなるほど、彼の存在感は増す。

 マッチアップが予想される冨安にとってはマネに続いて厄介な相手。前を向かせる前に決着をつけて、反撃のきっかけに去れないように封じ込めたいところである。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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