リバプール【1位】×ルートン・タウン【18位】
後半に着火したアンフィールド
ケニルワース・ロードでは4-4のド派手な撃ち合いを敢行。むしろ、劇的ゴールでリバプールがなんとか追いつくなど、かなり追い込まれた一戦だった。
その一戦へのリスペクトよろしく立ち上がりからオープンな展開。ボールがピッチを行き来するキックアンドラッシュで試合は幕をあける。
アンフィールドでも強気をキープしたルートン。ライン間に入り込むチョンと右のWBのオグベネから勝負を仕掛けていく。ユナイテッド戦では不発だったオグベネだったが、この試合ではややインサイドへのランを絡めながらボールを受けることができていた分輝きやすかったように思える。リバプールからすれば高い位置でなんとか蓋をしたいところだろう。
そうした武器を生かした形で先制点にこぎつけたルートン。遠藤とグラフェンベルフを出し抜いたチョンからのシュートをオグベネが仕留めて先行する。
先制を許したことでリバプールは強気なプレスに出てくるように。人数をかけた攻撃まで持っていくことはできていたが、WGのエリオット起用など中央に人が集まって渋滞するケースも多く、なかなか攻撃が流れない。外から仕掛けられるディアスの存在は一層ありがたい展開だった。
ルートンのマンツーハイプレスは得点以降も大枠は変わらなかったが、撤退を許容する分自陣からのスタートは多め。ロコンガがボックス内への侵入を潰しつつ、前進のための起点としてアンフィールドで機能していたのはなかなかに衝撃的だった。
後半も押し込むリバプールの攻めの軸はディアス。押し込む頻度が高い状況において左サイドの攻めのアクセントとして機能し続ける。ルートンもオグベネが推進力を見せる形で反撃に出るが、後半はアンフィールドがルートンに牙を剥く展開だったと言えるだろう。
まずはCKからファン・ダイクがヘディングを叩き込み同点。これでアンフィールドは着火する。さらに同じく右サイドからのセットプレーをガクポが仕留めて一気に逆転する。
追いかけるルートンは積極的にプレスに出ていくが、HTにおそらく負傷で退いたロコンガがいない分中盤のフィルターの機能は低下。さらには全体が間延びしたことでリバプールの中央集結がこの時間帯に逆にメリットになった感がある。
イケイケのリバプールはハイプレスから追加点。ダウティーの雑なクリアを拾った流れからディアスが試合を決める3点目を仕留める。この辺りも低い位置であればロコンガが剥がしながら運べたりできたのかなと思ったりした部分である。
仕上げの4点目は途中交代のダンズがアシスト。あっさりとしたロストをしたルートンにダメ押しの一撃をお見舞いする。
尻上がりのリバプールと右肩下がりのルートン。後半の出来はそれほどまでにコントラストがくっきりしたものだった。
ひとこと
ルイス・ディアスはずっと別格だった。
試合結果
2024.2.21
プレミアリーグ 第26節
リバプール 4-1 ルートン・タウン
アンフィールド
【得点者】
LIV:56′ ファン・ダイク, 58′ ガクポ, 71′ ディアス, 90′ エリオット
LUT:12′ オグベネ
主審:アンディ・マドレー
クリスタル・パレス【15位】×バーンリー【19位】
報われないトラフォードにゴールを叩き込みグラスナーが初陣を飾る
オリヴァー・グラスナーを招聘しての初陣となるクリスタル・パレス。前節とフォーメーション、メンバー等があまり変わらないところを見ると、すでに前節からグラスナーの影響はメンバー選びに反映されていたと判断すべきだろう。
バーンリーの4-4-2のフォーメーションはここ2試合で特に大外に起点を作られると一気に押し下げられてまずい事態に陥ることがバレている。幸か不幸か、パレスが使用している3-4-3はそうした構造を使用しやすいものになっている。
というわけでWBに安定してボールを供給し、そこから押し下げるフェーズに突入するパレス。バーンリーは大外から押し下げられ続けるというここ数試合で見られ続けた光景を繰り返すことになった。
バーンリーは保持に回っても手応えはなし。ロングボールを入れても中央で的を作ることはできずに跳ね返され続ける形が続く。サイドにはボールをつけることはできても、パレスのWBのチェックは非常に早く、前を向くこともままならない。
パレスは数的優位のバックラインから大外からのドリブルと前線のマテタをバランスよく活用しながら前進。左右からクロスを入れつづけて、バーンリーのゴールマウスを脅かす。繰り返されるセットプレーにトラフォードが忙殺される展開が続いていく。
なんとか起点を作ってポゼッションを成立させたいバーンリー。打開策探しとしてボールを回し続けると、狙いを定めたレルマにパスをカットされたブラウンヒルが慌ててファウルを犯してしまい一発退場。バーンリーはさらに数的不利の十字架を背負うこととなる。
以降は押し込まれ続ける展開に。後半もパレスはボールを持っていないところでさえ慌てずに試合を進める。リードをしていない、かつ勝ち点を詰めていない中でかなり余裕があるなと思ったが、それだけ手応えがあったのだろう。
その手応えが正解であることを証明するようにパレスはセットプレーから先制。ファーで待ち構えていたリチャーズがネットを揺らし、ゴールをこじ開ける。後半も涙ぐましいセーブでチームを救っていたトラフォードはここで決壊してしまう。
このゴールを起点としてサイドからの崩しでパレスは得点を重ねていく。左サイドのミッチェルとフランサの突破からファーに余ったアイェウが追加点をゲット。これで試合は実質決着。バーンリーは決め打ちで攻め上がったテイラーの判断が裏目に出てしまった格好だ。
フランサは直後のプレーでも左サイドを打開。こちらも高い位置でチームをなんとかしようとしていたアシニョンのファウルを誘ってPKを獲得。これをマテタが決めてリードは3点差に。
力の差を感じる内容ではあったが、ひとまず初陣を勝利で飾ったグラスナー。残留確実権までいち早く押し上げるというミッションに向けてまずは上々のスタートだ。
ひとこと
トラフォードに俺は報われてほしい。
試合結果
2024.2.24
プレミアリーグ 第26節
クリスタル・パレス 3-0 バーンリー
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:68‘ リチャーズ, 71’ アイェウ, 79‘(PK) マテタ
主審:ルイス・スミス
アストンビラ【4位】×ノッティンガム・フォレスト【16位】
構造で殴り続けたリードで逃げ切りに成功
前節のフラム戦では復調気配を見せたアストンビラ。カマラ不在という難局にもティーレマンスとラムジーの併用という解決策を見せており、このまま上昇気流に乗りたいところである。
フォレストのフォーメーションはオーソドックスな4-2-3-1。これに対して、ビラの保持は3-2-5に変形する。序盤はシンプルにビラが保持時にできるギャップを存分に使って暴れまわったという位置づけでいいだろう。
先制点は早々に。右サイドをあっさりと奥を取る形でベイリーが打開。最後の砦になっていたムリージョもあっさりと交わされてしまい、ワトキンスへのゴールを簡単にお膳立てすることを許してしまった。
以降も保持からこのギャップを延々とつき続けるビラ。大外にボールをつけるのもそうだし、広がったMF-DF間に入り込むラムジーに縦パスをつける形も織り交ぜていた。
フォレストははっきり言って大混乱。前に出ていく意思はあるのだろうが、その分遅れて出ていったスペースを連鎖的に使われることに繋がっており、傷口はさらに広がることに。余計に事態を悪化させたラムジーのフリーランはかなり効いていた。
すると、ビラは右サイドからの侵入で追加点。キャッシュのハーフスペースへの侵入からラムジー→ルイスとつないでゴール。またしてもムリージョにとっては悔しい対応になってしまった。
チャンスどころか前線に起点を作ることすらままならないフォレストは以降も一方的にフォレストに殴られる展開が続く。2点目の10分後には3点目を仕留めてさらにリードを広げる。
ほぼ完ぺきな前半を過ごしたアストンビラ。だが、前半追加タイムにフォレストはワンチャンスから追撃弾を叩き込むことに成功。ニアカテのゴールでわずかに後半に望みをつなぐ。
後半頭からフォレストは3枚の選手交代を敢行。どこまでがアクシデントでどこまでがタクティカルな交代かは判断が難しいところ。だが、その交代選手が仕事をしてフォレストはさらに点差を縮める。エランガの陣地回復を生かしたオリギがギブス=ホワイトにアシストを決めて1点差に迫る。ビラも選手交代に伴い左右が入れ替わったラングレのカバーリングが間に合わなかった。
前半の終盤からやや受けに回ったビラ。その流れを生かしてフォレストは前に出ていける時間が増えたが、再びビラがプレスに回ると前進に苦戦。さらにはオモバミデレのパスミスをティーレマンスにとがめられてしまい、追撃ムードに水を差す失点を喫してしまうことに。
終盤戦はオープンな展開が続いた試合だったが、これ以上スコアが動くことはなし。セーフティリードを維持したビラが逃げ切りを果たした。
ひとこと
フォレストは初手の無抵抗でやられまくる時間が長すぎた感。
試合結果
2024.2.24
プレミアリーグ 第26節
アストンビラ 4-2 ノッティンガム・フォレスト
ビラ・パーク
【得点者】
AVL:4‘ ワトキンス, 29’ 39‘ ルイス, 61’ ベイリー
NFO:45+5‘ ニアカテ, 48’ ギブス=ホワイト
主審:サム・バロット
マンチェスター・ユナイテッド【6位】×フラム【12位】
リカバリー完了のイウォビがOT制圧を牽引
連戦連勝でトップ4争いに肉薄しつつマンチェスター・ユナイテッド。ただし、その原動力の一つであるホイルンドがここにきて離脱。ホームのフラム戦は固定メンバーで戦ってきたユナイテッドにとっては重要な試金石となる。
基本的にはユナイテッドはダロトが絞る形で3-2-5にシフト。フラムのバックスに対してギャップを作る。フラムの保持は4-3-3変形でこちらもユナイテッドの4-4-2の非保持に対してギャップを作る構造である。
勝負を分けるポイントになったのは前線がポイントを作れるかどうかだろう。この点で優勢だったのはアウェイのフラム。ブロヤの加入で燃えたのか目下絶好調のムニスがボールを収めると自在にサイドに展開。列を上げるタイミングが抜群のイウォビとの組み合わせからスピーディーにライン間に侵入するとスムーズにシュートまで持ち運ぶ。
一方のユナイテッドはラッシュフォードがターゲットマンとしてはさすがにしんどそうなので、ブルーノがその背後を走るなどのフリーランから攪乱。後方はプレスを誘発することで前後を間延びさせてライン間にパスを差し込んでいく。
さらにはレンジのあるところからガンガンシュートを狙っていくなどユナイテッドの狙いは非常に簡潔。オナナの前線へのロングボールも徐々に増えていき、試合は縦に速い展開に。フラムもこれに乗っかる形でハイテンポなサッカーに応戦。オナナとレノがミドルシュートをひたすら止め続けるという展開のまま前半はスコアレスでハーフタイムを迎える。
後半、中盤での激しいやり合いが続く両チーム。少しずつ展開を整えて行ったのはフラム。左右に相手を揺さぶりながらのポゼッションで押し込みながら勝負を仕掛けていく。
フラムは65分に先制ゴールをゲット。セットプレーからのバッシーのシュートは一度は弾かれたものの、再度豪快に押し込んでゴール。敵地で貴重な先制ゴールを決める。
追いかけたいユナイテッドだが、なかなかプレスに出て行けずに苦戦。少し時間が立ってからはボールを持てるようになったが、今度はコンパクトな守備ブロックでPA前に立ち塞がるフラムに対してなかなかチャンスを作れない。
というわけでユナイテッドはパワープレーを敢行。セットプレーでもないのにマグワイアがガンガンボックス内に入っていくなど、積極的な攻撃参加で存在感を発揮する。
すると90分直前に攻撃参加したマグワイアが実ってユナイテッドは同点に。こぼれ球を押し込むというストライカー仕草で試合を振り出しに戻す。
5バックにシフトして逃げ切り体制になっていたフラムだったが、トラオレの投入でカウンターの目は残していた。そのトラオレが後半追加タイムに大仕事。右サイドでマグワイアを交わしてボールを運ぶと、左で浮いていたイウォビにラストパス。これを仕留めて劇的な勝ち越しゴールをゲット。
イウォビの活躍でユナイテッドを退けたフラム。ユナイテッドの勢いを止める大きな勝ち点3を確保した。
ひとこと
イウォビ、AFCONからのリカバリー完了といった感じ。
試合結果
2024.2.24
プレミアリーグ 第26節
マンチェスター・ユナイテッド 1-2 フラム
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:89‘ マグワイア
FUL:65’ バッシー, 90+7‘ イウォビ
主審:マイケル・オリバー
ブライトン【7位】×エバートン【17位】
空中戦の借りは空中戦で返す
昨季はマクニールとドゥクレによって悪夢を見させられたブライトン。1-5という衝撃的な敗戦のリベンジを期する一戦である。
まず、ボールを持ったのはブライトン。ワイドに張るSHにボールを預けてブロックを広げて勝負を仕掛けていく。エバートンの守備ブロックは縦横にコンパクトだったため、外に張るブライトンの選手には後手に回すケースもしばしば。徐々に外を意識したところで空いたCB-SB間をウェルベックで強襲するというコントラストの付け方も見事。
ボールを持たれることに危機感を持ったエバートン。ハイプレスに少しずつ出ていくが、ハリソンの背後のイゴールからボールを落ち着かせていく。左サイドは供給元のイゴール、大外に仕掛けられるアディングラ、そしてハーフスペースで駆け引きするウェルベックで主導権を握ることができていた。
押し込まれていたエバートンも25分から少しずつ反撃。後方とのプレスの連動が少しずつ刺さってきており、高い位置でボールを奪うシーンが出てくる。ボールを持った後に大外レーンの攻め上がりを促す形でサイドからクロスを上げていく。
しかしながら、試合は再びブライトンがボールを握り返して平定。試合はハーフタイムをスコアレスで折り返す。
後半、ブライトンは左サイドからの侵入でスタート。前半の攻め手と同じ文脈で勝負を仕掛けていく。ただし、エバートンは空中戦で応戦。前半よりもロングボールを活かす形でブライトン相手に制空権を握っていく。
後半だけでいえばリズムを作って勝負を仕掛けることができているのはエバートンの方だろう。ブライトンはネガトラの部分でなんとか食らいついてはいたが、ランプティがあわやのクリアを見せるなどギリギリの展開に。ロングボールについていくファン・ヘッケが見せる根性が光る展開だった。
ロングキックからエバートンは先制点をゲット。ピックフォードのロングキックからの落としをブライスウェイトがストライカー顔負けのシュートで叩き込んで先行する。
失点したブライトンは3-5-2にシフト。より攻撃的なスタンスで前に出ていく。だが、ここでギルモアが退場。10人になったところでエバートンとの展開は大きくは変わらなかったが、カウンターにおける耐性は流石に苦しいものがある。
攻撃において苦しかったのはむしろ10人になることよりもファーガソンの負傷交代でCFがいなくなってしまったこと。ターゲットがいない中で押し込むフェーズの解決策が見つからないことが苦しいところ。しかし、その状況を解決できるセットプレーから追いつく。もちろん、決めたのはダンク。土壇場で決めたゴールでブライトンが追いついてみせる。
空中戦の借りは空中戦で返す。見事な仕事をした2人のDFのゴールで試合は痛み分けで幕を閉じた。
ひとこと
ダンクしかないなぁで決めるダンクは素晴らしい。
試合結果
2024.2.24
プレミアリーグ 第26節
ブライトン 1-1 エバートン
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:90+5′ ダンク
EVE:73′ ブランスウェイト
主審:トニー・ハリントン
ボーンマス【13位】×マンチェスター・シティ【2位】
ボーンマスの猛追をシャットアウトし、注文通りの勝ち点3
シティのフォーメーションは少し構成も含めて不思議な感じ。SBかと思っていたストーンズはCBスタートで大外にはアカンジ。左のWGにはヌネスが抜擢されてグリーリッシュ、ドク、ボブはいずれもベンチスタートだ。
3-2-5をベースにしたのがシティの形なのだろうが、ストーンズのポジション移動はいつもよりも開放的。ただプランとしてはハーランドとフォーデンが作り出す奥行きから点を取りたいということなのだろう。より直線的な攻撃でオフザボールの動きが大事ということならば、ヌネスの左起用もこじつけることはできる。また、そもそもハーランドとフォーデンの奥行き作戦を採用した理由に関して言えば、立ち上がりからの入りで強気のプレスに出ていくことを好むボーンマスを意識したものなのかなという仮説を立てることもできるだろう。。
ボーンマスは4-4-2のシティを相手に縦パスの出し入れから対抗。ライン間でクライファートが前を向ければ一定の成果はある感じ。ただし、サイドに展開してもアケとアカンジというCBの顔をしたSBに対してWGが全く歯が立たないという苦しい状況ではあった。
どちらもアタッキングサードの武器は見えている感があったが、パスが刺さらない展開が続く。そうした中でようやくピースがハマったのがシティ。ハーランドの膨らんだ動き出しに対して、フォーデンが空いたスペースを活用し先行する。
これ以降はシティが一方的にボールを保持。サイドから絞って中央に顔を出すベルナルドの存在はここに来て際立つ。初めはシティと互角に渡り合っていた感があったボーンマスだが、少しずつ試合の主導権をシティに渡したところでハーフタイムを迎える。
後半、ボーンマスはボール保持から巻き返しを図る。SH単体ではシティのDFにかなり手を焼いていたが、ケルケスが上がる機会を掴むことができれば、外からのクロスにはチャンスがありそうな風情ではあった。
ただし、攻撃の後には殴り返されるリスクもある。ハーランドとフォーデンを軸としたファストブレイクは少ないタッチから簡単に決定機を生み出す。セネシ、ザバルニーは体を投げ出しての守備でなんとかこれを死守。ネトも含めて後方の守備陣はボーンマスが出ていく度に訪れる失点の危機に対して都度対峙する必要があった。
それでも、試合が終盤に差し掛かるにつれて、徐々にボーンマスの保持のクオリティが上昇し、シティのプレスを上回るようになる。中央高い位置で受けるクリスティが両サイドのタメを作りながら、SHの手助けをしていたのが印象的だった。
シティは押し込まれる状況が続いていたが、ファインセーブを見せたエデルソンや落ち着き払った対応が終始光ったディアスによって、ゴールには鍵がかけられていた。終盤はベルナルドを軸に時計の針を進めて逃げ切りに成功。ボーンマスに苦しめられたシティだったが、注文通りの勝ち点3を手にした。
ひとこと
ボーンマス、ここ数試合の中では抜群の出来。あと一歩だけどその一歩が遠かった。
試合結果
2024.2.24
プレミアリーグ 第26節
ボーンマス 0-1 マンチェスター・シティ
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
Man City:24′ フォーデン
主審:ジャレット・ジレット
アーセナル【3位】×ニューカッスル【8位】
CLに向けて反撃体制を整える
レビューはこちら。
ポルトの地で敗北を喫し、休む間もなく中2日でのリーグ戦を迎えたアーセナル。アウェイでは近年苦戦が目立つが、ホームでの相性は抜群のニューカッスルとの一戦に臨む。
そんなしんどい状況を振り切るようにアーセナルは先制パンチを食らわせる。ライスを高い位置に置くことでアーセナルはハイプレスを強化。ハヴァーツ、ウーデゴールのプレス隊にライスが追従することでいつも以上に相手をハイプレスで仕留める意識は強かったといえるだろう。
ならばとニューカッスルもハイプレスで対抗するが、こちらは苦戦。時に右のWGのアルミロンの外切りのプレッシングを外される機会が多く、アーセナルは外に張るキヴィオルから前進を仕掛けていく。
アーセナルはハイプレスでのボール奪取もしくはニューカッスルのハイプレスを解体した流れから一気に前進。ライス、ハヴァーツ、ウーデゴールの近い位置でのパスワークからライン間で前向きの選手を作って敵陣に攻め込んでいく。
押し込まれることを許容することとしたニューカッスル。しかしながら、押し込まれたら押し込まれたで今度はジョルジーニョを止める術がなく苦戦。細かいパスワークから結局ライン間に侵入を許してしまい、シュートまでの機会を作られてしまう。
すると、アーセナルは押し込む流れから先制。セットプレーからオウンゴールを誘発し、リードを奪う。さらに、前半の内に追加点もゲット。こちらは押し込むジョルジーニョを起点としたブロック破壊。フリーランでスペースを創出したマルティネッリがスペースを享受したハヴァーツにゴールをアシストする。
後半もなかなか前に出ることができなかったニューカッスル。それでもギマランイスを軸とした展開から反撃に少しずつ出るように。
ただ、アーセナルはそのギマランイスを狙ったパスから反撃。ハヴァーツのハイプレス成功からカウンターを仕掛けると、サカが5試合連続のリーグ戦のゴールを仕留めて後半も出鼻を挫く。続く4点目のセットプレーからのキヴィオルのゴールで試合は完全に決着したといえるだろう。
ニューカッスルも終了間際に交代で守備が弱まったアーセナルの右サイドを壊すことで反撃。ウィロックのエミレーツでのゴールで一矢報いるが反撃はここでストップ。
難しい日程をクリアしたアーセナル。リターンレグへの反撃攻勢に向けて着々と準備を整えている感のある完勝を見せた。
ひとこと
アーセナルは相手にとってすごく嫌なチームになったなという印象。
試合結果
2024.2.24
プレミアリーグ 第26節
アーセナル 4-1 ニューカッスル
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:18‘ ボットマン(OG), 24’ ハヴァーツ, 65‘ サカ, 69‘ キヴィオル
NEW:84‘ ウィロック
主審:ポール・ティアニー
ウォルバーハンプトン【11位】×シェフィールド・ユナイテッド【20位】
複雑なトライを見せたウルブス
最下位のブレイズをホームに迎えたウルブスは非常に変わった試みをした。3-4-2-1にしてはいるが、フォーメーションはかなり変則的。後方は3バック+ジョアン・ゴメスの4枚が固定。CHの相棒であるレミナは序盤は右のハーフスペース、中盤以降は左のハーフスペースから前線に飛び出す役割。おそらく、ヒチャンよりも前線に飛び出す頻度は多かったように思う。
右サイドはサラビアが降りるアクションでボールを引き取りつつ、こちらもセメドが前後関係を壊しながら前線に飛び出していく。この辺りの自由度は相当ウルブスに許されていたように思う。ジョアン・ゴメスの相棒になっていたのはアイト=ヌーリ。彼が絞る役で中盤の左ハーフスペース付近を浮遊。左の大外にはネトが立つ。
想像ではあるが、欠場したクーニャが最近担っていたのは左のハーフスペースに降りる動き。大外に張るネトにより、解放されたアイト=ヌーリからのゲームメイクという新しい視点を与えたいのかもしれない。
最も基本的には前があけば突撃する仕様になっていたウルブス。非保持のオールコートマンツーも含めて気合いは十分。シンプルではあるが十分強力な方針。ネトをはじめとした俊足たちが続々と加速してブレイズの守備網に襲いかかっていく。
だが、ポジションチェンジと猪突猛進の指針のせいか、ウルブスはカウンターには弱かった。左右からマカティー、ブリュースターなどのブレイズの最終ラインの抜け出しからのロングカウンターで決定機を迎えることも何回かあった。
それでもウルブスは先制。常に2枚はかけているボックス内に飛び込み先制したのはサラビア。不思議なシュートでブレイズ相手になんとか前に出る。その後はやや攻め筋がマイルドに。保持時の布陣も大きくは動かさず、ウルブスは少し相手にボールを持たせる時間を作るなどで試合を落ち着かせていた。
迎えた後半、ウルブスは引き続きボールを動かしながら前半と同じ形で勝負。前半にソウザとアフメドジッチがチーム内で揉めるなど不穏な空気を見せたブレイズだが、後半の頭は球際に気合を入れて臨むことができていた。
基本的には後半はウルブスがボールを動かしながら押し込みつつ、ブレイズはカウンターから反撃を狙う展開が中心となる。アイト=ヌーリ→ドイルの交代が行われるとバックラインの動きは再配分。大外をトティ・ゴメスとネトの2人で賄うスタイルで大外をシェアする。CHをCHが行う分、よりシンプルなスタイルに回帰したといえる。
ブレイズはアフメドジッチの持ち運びで押し下げつつ、ロビンソンがロングスローで勝負をかけるなど、前進の気概を見せていた。後方の裏のケアではラローチの体の張り方も特筆すべき部分があったのも確かである。
しかしながら、最後までゴールを奪うことができなかったブレイズ。ウルブスから勝ち点3を取り上げられないまま試合は幕を閉じた。
ひとこと
可変へのトライは複雑だったが、狙いは少し見えにくいウルブス。次どうするのだろう。
試合結果
2024.2.25
プレミアリーグ 第26節
ウォルバーハンプトン 1-0 シェフィールド・ユナイテッド
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:30‘ サラビア
主審:ダレン・ボンド
ウェストハム【9位】×ブレントフォード【20位】
パケタの復帰とボーウェンのハットトリックで蘇ったウェストハム
ようやくパケタがスタメンに復帰したウェストハム。3連敗という苦しい停滞からなんとかチームを救うべく、このタイミングでスターターに名を連ねた。
同じく苦しい戦績のブレントフォードはロングキックからスタート。ウェストハムはこれを跳ね返すとサイド攻撃からスタートする。左右のクロスから決定機を生み出したウェストハムは早々に先制。左サイドから突破したエメルソンのマイナスのクロスを仕留めたのはボーウェン。5分にリードを奪う。
さらに、その2分後にウェストハムは追加点を手にする。まるで先制点を左右反転させたかのようなゴール。抜け出したのは今度は右のSBであるコファル。彼のクロスを再びボーウェンが仕留めてあっという間にリードは2点に。
ブレントフォードは保持から反撃のタイミングを図る。ウェストハムは2点のリードを手にしたが、下がりすぎずにミドルゾーンをキープ。それなりの高さのラインを保ちながらコンパクトに跳ね返していく。
裏をとることで打開を図りたいブレントフォードは右サイドから突破に成功。キーになったのは右に流れるトニーと入れ替わるように内側に入って行ったルイス-ポッター。見事な位置どりでモペイのスーパーゴールをアシストする。
ここから一気に追いつきたいブレントフォードだが、立ちはだかるのはパケタ。左サイドに君臨してボール保持に安定感をもたらすことに成功する。ブレントフォードはロングボールが思ったよりも収まらずに苦戦。前半の終盤はややウェストハムのラインが下がったように思えたが、特に攻め切る手助けにはならない。
ウェストハムは後半も同じ流れを洗濯。なるべく高いラインをキープすることでブレントフォードを跳ね返していく。ブレントフォードは大外のルイス-ポッターからのシンプルなクロスからエリアに迫るが、要所でボールを落ち着かせてファウルを奪うパケタがうまくブレントフォードのリズムを乱していた。
縦に早い展開とセットプレーでのチャンスがサンドイッチのようにやってくる流れになった展開でゴールを決めたのはウェストハム。クドゥスからのクロスを仕留めたのはボーウェン。この日3点目のゴールでリードを広げる。すると、直後にエメルソンが距離のあるシュートを決めて試合を決定づける。
ブレントフォードは縦に早いパスから推進力を出していたダムズゴーの手を借りてウィサのゴールを生み出して反撃。以降もゴールに迫る終盤戦を迎えるが、後半追加タイムはウェストハム名物のアレオラの超反応の独壇場。2点のリードを守り切り、連敗を3で止めた。
ひとこと
パケタの復帰は相当大きい。SBが上がる時間ができる。
試合結果
2024.2.26
プレミアリーグ 第26節
ウェストハム 4-2 ブレントフォード
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:5‘ 7’ 63‘ ボーウェン, 69’ エメルソン
BRE:13‘ モペイ, 82’ ウィサ
主審:サイモン・フーパー
今節のベストイレブン
チェルシー【9位】×トッテナム【5位】
セットプレーからの二発で因縁のダービーを制する
互いの目標達成のために負けることは許されないロンドン・ダービー。調子の上がらないトッテナムは高い位置からのプレッシングに出ていく形でスタート。チェルシーのバックラインに縦に速いボールを蹴らせてハイラインからボールを回収する。危うい場面もなくはなかったが、ストッパーになったのはファン・デ・フェン。ギリギリのところでの体を張ってのクリアでピンチを回避する。
チェルシーの保持はプレスに対して無理につなぐよりもこのようにトランジッションを意識する方がうまくいく。ロングボールもそうだが、ポジトラで瞬間的にフリーになるカイセドからの前進などは有効な手段だった。
一方のチェルシーはローブロックで構えてのスタート。先に述べた通り、カウンターには十分手応えがあった状態なので、ローブロックは望むところ。片側サイドに押し込むようにプレスをかけているが、トッテナムはこれをひっくり返す形で横断を成功させたりもしており、展開としては五分五分である。
ただ、チェルシーはプレスから色気を見せすぎてしまうと、逃げられてしまうことがしばしば。そういう意味では我慢をする方が好転するというチェルシーからすると難しい展開になっていた。
そうした中で先制したのはチェルシー。セットプレーからのチャロバーのゴールで先行する。
反撃に出たいトッテナムだが、アタッキングサードでの加速のフェーズは稀。ポロの抜け出しからサールの決定機などのトッテナムらしい揺さぶりからのチャンスはかなり限られていた。押し込んだフェーズにおいての仕掛けはチェルシーは安定。左右のWGからハーフスペースを狙うことでチャンスを作っていく。
後半もチェルシーは安全第一のカウンターベース。押し込まれたフェーズを受け入れていく。サイドの裏に流れての折り返しにフォーカスするトッテナムだが、時折見せるチェルシーのCB陣の不思議な対応を除けば特に問題なく時間を過ごしていた。
チェルシーはジャクソン、マドゥエケ、パルマーの右サイドを定点として攻撃のパターンを構築。敵陣での攻撃を安定させたチェルシーはセットプレーから追加点をゲット。パルマーの枠を捉えたFKからこぼれ球をジャクソンが押し込んでさらにリードを広げる。
最後はトッテナムにボールを渡して自陣でサンドバックを受け入れたチェルシー。人垣、人垣、人垣を作ったチェルシーは最後までトッテナムにゴールを割ることを許さず。因縁のロンドンダービーはホームのチェルシーは勝利を挙げて幕を閉じた。
ひとこと
CBコンビはたまに不安な時があるが、局面を見るとチェルシーは高クオリティだなと感じさせる内容だった。
試合結果
2024.5.2
プレミアリーグ 第26節
チェルシー 2-0 トッテナム
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:24′ チャロバー, 72′ ジャクソン
主審:ロベルト・ジョーンズ