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「Catch up FIFA World Cup Qatar 2022 European qualifiers」~Group B Match week 9~ 2021.11.11

目次

①ジョージア×スウェーデン

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■英雄と功労者が重石になったアップセット

 スウェーデンの運命を分ける残り2節のタイミングで代表に帰還したのは英雄・イブラヒモビッチ。残り2試合の時点でスペインより上に行くスウェーデンにとってはまたとない強力な助っ人の降臨。正直シナリオとしては出来すぎである。

 しかしながら、試合は思わぬ方向に転がっていく。試合を支配したのは3-4-3ベースでこの試合に臨んだジョージアの方。イブラヒモビッチ、イサクの2トップに対して3枚でボールを運び、SHをつり出した後に前進。4-3気味になったスウェーデンの陣形に対して、横断を決めてクロス!といった流れが定常化する。

    特にジョージアの右サイドはエリアに迫る終着点として機能していた。シャドーのツィタイシュヴィリとWBのロブジェニーゼのコンビからクロスが上がるようになるジョージア。スウェーデンはラインを下げながらの対応になる。

 この日のスウェーデンで一番気になったのは全体的な強度不足。前線にイブラヒモビッチが入ったことでプレスが効かなくなるのは仕方ないとして、中盤などあらゆる局面でジョージアの球際にやられていた。

 いつもだったら保持では4-4-2から3-2-5にスムーズに変形するスウェーデンだが、5レーンで5バックのジョージアにかみ合わせられることを嫌ったのか、中盤ダイヤモンド型の4-4-2に変形する。

   これで幅を取れなくなったスウェーデン。それでも2トップはイサクとイブラヒモビッチ。殴り続ければ道は拓けると思うのも無理はない。しかし、それがうまくいかなかったのがこの日のスウェーデン。動き出しはジョージアのラインコントロールにことごとくひっかかりオフサイド。抜け出したかと思いきや、今度はシュートがミートできない。

 トップ下気味に配置されたクラエソンだけでなく、フォルスベリも中央に入り込み、スウェーデンは中央合体の究極系のような形に。

 ふがいないFW陣に悩まされるスウェーデンを尻目に、デザインされたセットプレーで先制したのはジョージア。試合終盤にはトランジッションから一気に攻め落として追加点。トランジッション強度で上回ったジョージアの完勝。

 スウェーデンは救世主となるはずだったイブラヒモビッチと、今予選チームを牽引してきたイサクが共に不発という大誤算。最終節前にまさかのつまずきで首位交代。最終節の難易度を自ら引き上げてしまった。

Pick up player:クビチャ・クワラツヘリア(GEO)
 スウェーデンから2得点の偉業を達成したアタッカーはルビン・カザン所属の20歳であった。伸び代期待。

試合結果
2021.11.11
カタールW杯欧州予選 第9節
ジョージア 2-0 スウェーデン
アジャラベット・アレナ
【得点者】
GEO:61′ 77′ クワラツヘリア
主審:セルダル・ゴズブヤク

②ギリシャ×スペイン

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■許してしまったことが致命傷

 やらかしてしまったスウェーデンのおかげで首位に立つチャンスを得たスペイン。ギリシャとの一戦で結果を出せば、最終節をかなり優位な条件で迎えることができる。

 展開としては非常に静的な流れになったこの試合。トランジッションが非常に少なく、保持しているチームが長い時間ボールを回すシーンが目立った。スペインは端的に言えばそういう展開に慣れているし、得意なチームである。保持でやり直しは効くし、中盤の選手たちが相手に対しての枚数調整にも当然できる。

 ギリシャがシャドーが絞る形で中央を固めながら網を張るような守備をしたことも相まって、スペインは外を回しながらやり直しを繰り返しながら、どの部分が破れそうかを検討する流れになっていた。

 強力なWGがいない分、こういう流れで強引にこじ開けることが難しいのがスペインの悩みである。中を固める相手ならば、外を壊せる選手は本来ならば欲しいところである。それゆえ、セットプレーの流れからPKを獲得できたことはスペインにとって大きかった。

 1点をとってしまえば、スペインの保持はゴールに向かわなくても許される部分が大きい。ギリシャは低い位置まで押し下げられてしまうと、カウンターで縦に進むことができなかった。この日は中盤から前に出ていく推進力をもたらすことができるバカセタスがいなかったのが大きかった。それを差し引いてもスペインの両CBの仕事は見事。ラポルトとマルティネスのコンビはギリシャの前線に前を向かせることなく完封して見せた。

 保持で許されたスペインはボールを回しつつ、ネガトラでボールを取り返し、再び保持の循環に突っ込むことができる。新参者のデ・トーマスが当然のようにこの流れに入り込めるのはさすがだし、後半にブスケッツが登場すると、その落ち着いた流れに拍車がかかるのが匠である。

 ギリシャは後半に左のWBに入ったリムニオスが終盤強引に打開を試みたものの、スペインのバックス相手には歯が立たないまま時計の針は進んでいく。1-0という最小得点差ながら、保持でも非保持でもギリシャに糸口を掴ませなかったスペイン。ゴールに向かわないことを許してしまったことでギリシャは勝ち筋を見失ってしまった印象だ。

Pick up player:エメリク・ラポルト(ESP)
 こういう試合はCB。不慣れな右側でチャンスを潰し続けたラポルトをチョイス。フルタイム出ていればブスケッツだったかもしれない。

試合結果
2021.11.11
カタールW杯欧州予選 第9節
ギリシャ 0-1 スペイン
アテネ・オリンピックスタジアム
【得点者】
ESP:26’(PK) サラビア
主審:シモン・マルチニャク

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