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「さらなる上昇気流に乗るのは?」~2021.10.30 プレミアリーグ 第10節 レスター×アーセナル プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第10節
2021.10.30
レスター(9位/4勝2分3敗/勝ち点14/得点15 失点15)
×
アーセナル(10位/4勝2分3敗/勝ち点14/得点10 失点13)
@キング・パワー・スタジアム

戦績

過去の対戦成績

図1

 過去10回の対戦でレスターの4勝、アーセナルの5勝、引き分けが1つ。

キング・パワー・スタジアムでの対戦成績

図2

 過去10戦でレスターの3勝、アーセナルの4勝、引き分けが3つ。

Head-to-head from BBC sport

・レスターは22試合のアーセナル戦の未勝利のランのあと、7試合のプレミアで4勝している。
・アーセナルが勝てば1925年9月以来のレスターホームでの3連勝。

スカッド情報

【Leicester】

・EFLカップを膝の怪我で欠場したジェレミー・ヴァーディに復帰の可能性。
・ウィルフレッド・ンディディ、マーク・オルブライトンは引き続き欠場。

【Arsenal】

・体調不良で火曜のEFLカップを途中交代したベン・ホワイトは起用可能の見込み。
・怪我でカップ戦を欠場したマルティン・ウーデゴール、キーラン・ティアニーは当日評価。

Match facts from BBC sport

Leicester

・2021年の年始以来のリーグ戦3連勝のチャンス。
・勝てばプレミア通算200勝。
・直近13試合のホームゲームは6勝6敗1分。
・直近15試合のリーグ戦でクリーンシートは1回だけ。しかし、同期間で無得点に終わったのも1回だけ。
・パトソン・ダカはレオナルド・ウジョアに続いてデビューからホーム2試合連続となるレスター史上3人目のプレイヤーになる可能性。
・ユーリ・ティーレマンスは2021年になってPA外からのシュートを4つ記録。プレミアで最多タイ。

【Arsenal】

・トータルスコア9-0での開幕3連敗のあと、プレミアでは6試合無敗。
・直近6試合の14ポイントはチェルシー(15)に次いで多い、
・直近11試合のアウェイゲームでは2敗のみ(W6,D3)
・しかし、今季のアウェイでのリーグ戦4試合はいずれも1得点。アウェイでの9本の枠内シュートはノリッジに次いで少ない数字。
・アレクサンドル・ラカゼットは直近13試合のアウェイで先発した試合で10得点。直近のアウェイでのスコアは4月11日のシェフィールド・ユナイテッド戦。
・エミール・スミス・ロウは今季13回の決定機創出に食わせて、直近4試合の出場で2つのアシストを決めている。
・ピエール=エメリク・オーバメヤンは直近6試合のホームでのリーグ戦で4得点を決めているが、アウェイで最後に得点を決めたのは5月のこと。

予想スタメン

画像1

展望

■噛み合わなかった攻守から昨季のリバイバルで復活

 前節、今季初の連勝でボトムハーフからの脱出を決めたレスター。序盤になかなかギアが噛み合わない中からフォームを上げていくという流れは、開幕3連敗から6戦無敗で同じくトップハーフまでたどり着いたアーセナルと似た境遇である。

 レスターの復活劇はシンプルにフォーメーションの変更によるところが大きい。彼らの今季は4-2-3-1でスタートしたが、この4-2-3-1がなかなか機能しなかった。大きな要因として考えられるのは両サイドの攻撃的なプレイヤーだろう。

 両サイドにバーンズ、ルックマンというドリブラーを配置することが多かったレスターの4-2-3-1。両サイドから彼らの個の打開力でこじ開けようというのがこのレスターの4-2-3-1の目玉だった。

 しかし、バーンズは昨シーズンの大きな怪我の影響がまだあるのか、ドリブルに関しては昨シーズン前半戦に見せた圧倒的な迫力が見えない。逆サイドのルックマンは元々アナーキーなドリブラー。まだ周囲との連携構築も十分ではない上に、そもそも連携で崩すというタイプではないという苦しい形。独力で打開できていれば、強さは当然あるだろうが、現状ではこの両SHは単独で対面の相手を破壊することができていない。

 こうなった時に収支が合わなくなってしまうのがレスターである。最終ラインに目を向ければ、今季加入したヴェスターゴーアはビルドアップの際の足元の技術は長けてはいるものの、非常に足が遅いためポゼッションに不可欠なハイラインを行った際の迎撃には向いていない。

 したがって、4-2-3-1の勝負どころのSHまでは後方のCBやティーレマンスの活躍で配球することが十分できるが、そこからのドリブルの失敗でカウンターを迎撃する機会が増えてしまうと、晒されるバックラインはどうしても苦しい形で受けてしまうことが続く。

 保持はうまいけど足は遅いCBとか、ドリブラーだけど打開できないとか。個々人の強みが噛み合いきれない状況で、チームとしてのプレースタイルが一致せずに弱いところが露見してしまうというのが4-2-3-1を採用したレスターの悪循環の流れだろう。

 攻守に高い水準で攻守にチームのハイラインを支えることができるであろうフォファナがいれば違ったのだろうが、プレシーズンで彼は長期離脱。ソユンクは不調に陥っており昨シーズンほどのパフォーマンスは現段階では期待しにくい。負傷明けのエバンスもスタメンにようやく戻ってきたばかり。CBを固定できず、そしてハイラインを支えられない状態でカウンターを受けまくっていることがレスターの攻撃を難しくしている。裏抜けのヴァーディが効いているのは例年通りなのが救いではある。

 修正策が見られたのがマンチェスター・ユナイテッド戦。昨季終盤戦に採用した3-4-1-2を復活させる。これが比較的ハマった。レスターの3−4−1−2の強さは中盤より先の選択肢が豊富であることだ。ヴァーディの裏抜けはもちろん、表でも受けられるイヘアナチョも活用できる。もちろん、間受けできればマディソンも。司令塔のティーレマンスにとっては豊富な選択がいくつも用意されるプランということだ、

 レスターの4-2-3-1はサイドでの崩しをベースにワントップであるヴァーディに届けるための選択肢を一発裏抜け以外にもたくさん用意しようというプラン。いわば出口(=ヴァーディの裏抜け)が決まっていて、そこに至るまでのチャンスメイクの手段で勝負するというコンセプト。しかし、先ほども述べたように両SHの機能不全でサイドの崩しは機能せず、多くの手段を用意することができなかった。

 3-4-1-2は逆にチャンスメイクをティーレマンスに託しながら、出口を数多く(=ヴァーディの裏受け、イヘアナチョのオフザボールからのシュート、ライン間からのマディソンのミドルなど)準備するというアプローチ。レスターはチャンスの捉え方の概念を転換し、昨季の3-4-1-2を復活させて復調の最中なのである。

■2試合連続ヒーローのチャンスも十分

 アーセナルがまず気をつけないといけないのは後方のティーレマンス。チャンスメイクの大元であるここを食い止めれば、アーセナルの守備陣は後方のヴァーディとのかけっこに集中すればいいことになる。

 最大の供給源であるティーレマンスをどう食い止めるかがポイント。アーセナルは今季、前線の守備は相手よりやや少ない人数しかかけないプレスを仕掛ける。このやり方は後方に数的優位を確保できる一方で、前線のプレスのズレが発生しやすい上、中盤がプレスの加勢に『出ていくか?行かないか?』の判断を都度強いることになってしまう。

画像2

 アーセナルはこの中盤の判断が正常に作用している段階で時計を進められれば理想的。あるいはアストンビラ戦のようにより前線から行ききってしまうのもありである。ただし、レスターはアストンビラよりはビルドアップスキルは高く、カウンターの破壊力も十分。プレスをかけにいくリスクは非常に高いはずだ。アーセナルはどういったプレスをどこまでかけるのか?は非常に楽しみなテーマであり、この試合の勝敗を分ける部分だと思う。

 レスターの守備面は昨年よりもやや縦に長くコンパクトさを欠くことが多い。前節同様バックラインから持ち運びながらの意識を持つことは重要。レスターの3-4-1-2を壊すためにはまずはプレス隊の先頭を動かしたい。

 アーセナルが仕上げの部分で勝負したいのはやはり機動力。ヴェスターゴーアの出場可否にかかわらず、今季のレスターはバックラインの対応が比較的怪しいチームだ。ロングカウンターもいいし、オーバメヤンがドリブルに合わせた抜け出しの駆け引きをするアプローチも面白い。最終ラインの弱みを強襲することができるかどうかがアーセナルの攻撃の成否を決める。

 特に3-4-1-2で薄くなりやすい大外は壊すチャンス。前節大活躍したタバレスが2試合のヒーローになる可能性も十分にある。

画像3

 序盤戦苦しんだ両チーム。上位への挑戦権をかけて上昇気流に乗る相手を踏み台にしてジャンプアップするために負けられない一戦となる。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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