このプレビューは対戦カードの過去の因縁やジンクスを掘り起こして、試合をより一層楽しむための物です。
明治安田生命 J1リーグ 第33節
2021.10.24
川崎フロンターレ(1位/25勝6分1敗/勝ち点81/得点69/失点21)
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清水エスパルス(15位/7勝11分14敗/勝ち点32/得点31/失点46)
@等々力陸上競技場
戦績
近年の対戦成績
過去5年の対戦で川崎の9勝、引き分けは3つ。
川崎ホームでの戦績
直近10試合で川崎の6勝、清水の1勝、引き分けは3つ。
Head-to-head
<Head-to-head>
・川崎は公式戦の清水戦13戦負けなし(W10,D3)
・川崎は公式戦の清水戦で19試合連続複数得点を継続中。
・直近2試合の公式戦のホーム清水戦はいずれも川崎が5点を挙げて勝利している。
・しかし、清水が直近8試合の等々力での公式戦で得点をできなかったのは2回だけ。
直近の成績でいえば清水は川崎のお得意様。13戦負けなしで、そのうち10勝と戦績は抜群である。しかも、スコアを見てみると大量得点の試合が多い。19試合連続の複数得点に加えて、直近等々力の2試合はいずれも5点と大勝している。
だが、等々力の舞台に関しては清水も撃ち合いに応じることが多く、両チームの得点の奪い合いになりやすい。近年は川崎が優勢だが、勝っても負けてもド派手なスコアになりやすいのがこのカードの特徴である。
スカッド情報
【川崎フロンターレ】
・全体練習で欠場しているメンバーは不在。長期離脱の大島僚太には復帰の可能性。
【清水エスパルス】
・山原怜音はU-23アジアカップ予選に合流済み。
・ヘナト・アウグスト、エウシーニョも欠場の見込み。
予想スタメン
Match facts
【川崎フロンターレ】
<川崎のMatch facts>
・公式戦9試合負けなし。直近の5試合は全勝。リーグ戦は直近6試合連勝中。
・等々力でのリーグ戦は19戦無敗でうち17試合が勝利。
・直近のリーグ戦4試合中、3試合は先制点を許している。
・大島僚太は清水戦でこれまでに14勝、3得点。勝利数、得点数共に同一チームに対して最多。
・小林悠は同カードの最多得点者だが、2020年以降の3試合のリーグ戦では無得点。
・レアンドロ・ダミアンが得点を決めれば2020年9月以来のリーグ戦3試合連続得点。
ACL敗戦以降のリーグ戦炎の5番勝負は意地の5連勝で乗り切って見せた。先制されたりなど内容は苦しい試合が多いが、それでも勝利を積み重ね続けることで横浜FMにプレッシャーをかけ続けることが出来ている。
特に五輪の影響で長らく帰ってこれなかったホームへの帰還は心強い。リーグでの対戦でいうとホームは直近19試合で17勝。昨年の札幌戦以来負けていない。歓迎するサポーターの存在も含めてアウェイ側からすると難攻不落のスタジアムになっている。
生え抜きが強さを見せやすい清水戦。最多得点者の小林は今年の天皇杯に続いて得点を決めることが出来るか。そして、清水キラーとして名高い大島僚太の帰還はあるのだろうか。1年ぶりのリーグ戦3試合連続得点を視野に入れるダミアンも含めて攻撃陣の躍動で勝利を狙いたいところだ。
【清水エスパルス】
<清水のMatch facts>
・負ければ連敗。リーグ戦での連敗になれば5月以来のこと。
・リーグ戦直近12試合でクリーンシートがない。
・公式戦全60失点のうち、39失点が後半に喫したもの。
・関東アウェイのリーグ戦は今季5戦で1敗のみ(W2,D2)
・チームの得点の36%がチアゴ・サンタナが記録。リーグで最も高い得点占有率。
・ロティーナ監督は対川崎戦4連敗中。
残留争いのボーダーがじわじわ上がってきていることで戦々恐々としているのが今の清水である。リーグ戦では12試合連続失点とロティーナらしい堅さは皆無なのは気にはなる。だが、意外にもリーグ戦の連敗はここ5カ月ほどない。実はここしばらくは負けとそれ以外を交互に繰り返すのがルーティン。この流れで行けば川崎戦は勝ちか引き分けである。
ポジティブな要素としては関東のアウェイが得意なこと。今季5戦でわずか1敗である。後半に強い川崎相手に終盤の失点が多いのはやや気がかりではあるが、直近のリーグ戦6得点のうち4得点を決めている好調なサンタナの得点で本来ロティーナの得意な先行逃げ切りスタイルに持ち込みたい。
展望
■またしても重要な役割を果たすのは新戦力
すでにリーグ戦も終盤である。今季の川崎の後半戦はどこからだっただろうか?いろんな意見はあるだろうが、個人的にはリーグの日本平くらいからかなと思う。このあたりから、ポスト三笘&田中のシステムを構築しなければいけないんだろうなぁと正式に覚悟した気がする。ちゃんとは覚えていないけども。
というわけで後半戦初めての相手!というイメージなのが今回の対戦相手である清水である。天皇杯も含めて今季3回目の対戦となる。7月の清水は夏に補強した松岡を中心に再度保持を整えながら、チームを構築して行く段階だった。
だけどもあれから3ヶ月の時が経った今、清水はなかなか順調にチーム作りが進んでいるとは言い難いのが正直なところだろう。
前回対戦の天皇杯ではカップタイドで松岡がいなかったのが大きかった。確かに松岡の不在は大きい。今の清水は彼抜きだと厳しい。
しかし、彼がいた福岡戦でも勝利はしたものの、清水はだいぶ前進に苦心していたように思う。優れたゾーンを組むことができる福岡だから!という言い訳は立つかもしれないが、続く柏戦(松岡は出場停止だった)でもかなり前進には苦労をしていた。
保持の局面においてはCHは斜めの関係に。片方は1stプレス隊の脇、そしてもう1人が1stプレス隊の裏に入り込むようにする形が多い。
清水の保持における最も気になる点は全体のベクトルが後ろ向きになりがちなこと。CHが落ちたサイドのSBは高い位置を取ることはできてはいるが、割とそこから先が詰まりやすいため前進ルートにはなかなかなっていない。
今までの清水の攻撃はSBは比較的仕上げの一歩手前で使われることが多かった。原輝綺に大外でフリーで渡してクロス!みたいな。それに比べると、今の清水はSBを使うタイミングがだいぶ早い段階で来てしまっているなという印象を受ける。
原因として考えられるのは立田が起用されなくなって、最終ラインからの対角パスが減ってしまったこと。もしくはSHがリンクマンになれていないからということが考えられるか。カルリーニョスはPA手前で消えがちだし、逆に西澤は落ちすぎてしまい、相手の脅威にならないところまで下がってしまうことが多い。
そのため、チアゴ・サンタナへの負荷は高まってしまっている。得点だけでなく、前進の局面でのサンタナへのロングボールが増えるとなるとちょっと色々とタスク過多だろう。
サンタナへの負荷を低減できそうなのはこちらも夏に移籍してきた藤本だ。ライン間でボールを引き出したり、サイドに顔を出したりなどチームの潤滑油的な働きをしている。中でも相手の守備陣を後ろに引っ張る裏への動きだしは他の前線のプレイヤーにはない持ち味になっている。
大分時代のスタイルを思い返すと藤本はPA内職人というイメージがあったので、こういうなんでも屋さんみたいな使い方があっているのかは正直よくわからない。ゴールにそのままつながりやすい裏へのパスはいいとしても、ワンタッチゴーラーじゃなかったっけ?という印象ではある。
守備においては大枠は変わらず4-4-2。方針も変化なく中盤からなるべく高い位置で引っ掛けてショートカウンターを狙っていきたい様子が窺える。本来は撤退しつつ、攻守の切り替えを減らすのがロティーナのイメージだけど、得点力が足りていない分と撤退守備の怪しさの分、守備のアグレッシブさでカバーしようとしている節がある。特に川崎相手で守り切るのは難易度が高いはずなので、なるべくラインは上げていきたい。
ここでもキーになりそうなのは藤本。出て行く中盤のスペースを埋めたり、相手の中盤をマークしつつ迅速なサイドチェンジを防いだりなど。狭く守るためには彼が下がって守備をしなければ厳しいはず。攻守に新戦力が大きな役割を果たしているのは3ヶ月前とそっくりである。
■相手の中盤の動き次第
川崎としてはまず清水の前後分断を促したい。特に守る際には清水が後ろ重心になって前進できない状態を作り続けたいところ。SBに対して前を向かせずにプレスをかけてビルドアップの出口を封鎖、ライン間を締めて、外側をU字のビルドアップに誘導し、前進させない。清水のSHが内に絞りながら封じられ続けている限りはこの方針で問題ないように思う。柏戦のようにここから清水が動けなくなると一気に苦しくなる。
川崎としてはおそらく主体的にプレスを仕掛けて行くだろうが、プレスが効ききらない時間帯においてはなるべくボールを外側に循環させながらSBを相手陣側で止めることを意識して守りたいところだ。
攻撃においては2列目を引っ張り出したい。清水の2トップの守備範囲は横に広くはない。したがって、川崎はアンカーを意識させることができればCBがボールを運んで2列目を引き出すことは可能だと思う。これまでの傾向でいうと真っ先に出てくるのは清水のCHなはず。
ここから先の川崎の動きは周りの清水の選手次第で決めればいい。ゾーンの原則で言えば、SHと逆のCHは斜め後方に待機するのがセオリーだけど、清水は同サイドのSHも高い位置をとってしまうことがある。
その状態で列を越えられると苦しいのは清水のSBである。幅も裏も手前も使われ放題でもうどうしようもない。川崎的にはこの状況を作り出したい。
逆に清水のCHがボールサイドに揃ってスライドしてくることもある。そうなった場合は逆サイドに振ることで薄いサイドから攻略していきたい。
川崎は薄いサイドからラインを下げながら清水のPA内に迫って行く感じ。このように清水の出方を見て攻めるサイドを決めればいい。少々スタメンから遠ざかっていたが、こういう状況ではシミッチのアンカーが効く。前回も途中出場の天皇杯で抜群の存在感。特に劣勢になるとアンカー消しができなくなる清水相手にはシミッチは非常に相性がいい。
攻めるサイドを決める過程においてもう一つ、ここの優位がとれると大きい!という場所がIHのデュエルのところ。シミッチがアンカーの場合、旗手と橘田がIHの1stチョイスな気もするが、期待をかけたいのはこのお題でおなじみの脇坂である。そして、一風変わった練習動画が公開された長谷川もあるいはこの立ち位置で新境地を見出す可能性も0じゃない。復帰の予感が漂う大島も含めて、中盤の人選は楽しみが多い。
【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)