支配的なハイプレスから主導権を握り決勝に
サウジアラビアで開催されるスーペル・コッパイタリアーナ。準決勝で激突するのはインテルとラツィオという好カードである。
珍しい立ち上がりを見せたのはインテル。いつもは相手の順位に関わらず、割と守備ではきっちりと構えて網を張るイメージなのだが、この試合では高い位置からの積極的なプレスでボールを捕まえにいく。ハイプレスでボールを奪ってのカウンターというあまり見ないタイプの仕掛けからチャンスを作っていく。
そのため、ラツィオはまずはボールを落ち着かせるきっかけを作る必要があった。左サイドで降りるアクションを見せるペドロはプレスを落ち着かせるために一役買っていた感がある。
ただし、インテルは自陣からの前進においても問題なく攻撃をすることができていた。ラツィオの守備は4-3-3からIHが高い位置に出ていくことでバックスにプレスに行くスタンスを見せる。これにより、アンカーの周辺は間延びする形で空くようになるわけだが、ここに縦パスを入れることでインテルはあっさりと前進ができていた。
特に多かったパターンとしては2トップ気味のプレスになるラツィオに対して、3バックからCFに差し込み逆サイドでオーバーラップしたWBまでボールをつなぐ形。これで一気に敵陣深くまで入り込んでいく形をインテルは確立したと言っていいだろう。
いい流れのまま先手を取ったインテル。左サイドでディマルコとバストーニの二段重ねのオーバーラップから先制ゴールをゲット。バストーニに押しのけられる形でインサイドに入ったディマルコのフリックから最後はテュラムが仕留めた。
ラツィオはプレスを強化したいところだが、むしろインテルの前進の養分になっている感があった。インテルはより間延びしたラツィオの中盤に対して、縦パスを無理なく差し込めるようになった。
ブロック守備においてもインテルは手ごたえ十分。押し込まれても5バックはびくともせず。ラツィオは攻めのきっかけを作ることができない。しいて言えばパヴァールとの裏抜けよーいドンだろうが、この部分もインテルの牙城を崩す決め手にはならない。
後半早々にインテルはラウタロ・マルティネスがペドロに倒されてPKを獲得。リードを確固たるものにする追加点を得る。ラツィオはラインを高くして勝負に出るが、きっかけをつかめないのは前半と同じ。インテルは後半ものびのびと。2点のリードでもおかまいなくハイプレスを繰り出し、ボールを奪えば間延びしたライン間にボールを差し込んで縦に速い攻撃に移行する。
パスカットからゴールを奪った終了間際の3点目で試合は完全に決着。ラツィオに攻略の隙すら与えなかったインテルが完勝で決勝にコマを進めた。
ひとこと
強気のプレスから畳みかけたインテル。いつもと違う強さを見せたカップ戦仕様だった。
試合結果
2024.1.19
スーペルコッパ・イタリアーナ
準決勝
インテル 3-0 ラツィオ
キング・サウード大学スタジアム
【得点者】
INT:17′ テュラム, 50′ チャルハノール, 87′ フラッテージ
主審:マッテオ・マルケッティ