Fixture
AFC Champions League
Round 16 2nd leg
2024.2.20
川崎フロンターレ
×
山東泰山
@等々力陸上競技場
Match facts
- 川崎は直近23試合のACLで一度しか負けていない(W16,D6)
- 川崎は2レグ制のRound16は過去に2回経験。1勝1敗であり突破の可否は1st legの勝敗と直結している。
- 山東はACLのノックアウトラウンドで勝利をしたことがない(D5,L4)
- 山東は日本でのACLでは9戦3勝6敗。直近は3連敗中。
予習
1st leg 川崎戦
予想スタメン
展望
山東の通用しそうな形は限られている
1st legでのアウェイでの快勝。オールターンオーバーで今季の初タイトルを獲得したFFSC。川崎のここまでは結果を見れば比較的順調に来ていると言えるだろう。等々力での山東戦を制することができれば、シーズン序盤戦のスタートダッシュを決めるというマイルストーンの1つはクリアしたことになるのではないだろうか。
実際に山東と戦ってみた印象だが、概ね想像通りという感じだろう。CFのクリサンはボールを収めることができて、攻撃における起点を作ることができるタレント。ただし、FW陣が軒並み退団および負傷をしているため、彼の相棒探しにはよりMF的な選手を当てがい、クリサンをフィニッシャーとして置けるような環境を作る必要があるというのがざっくりとした1st legの展望だった。
前半はいなくなったFW的な相棒の部分での不安が的中した格好だったと言っていいだろう。クリサンでプレスのラインを超えることができても、その先がない状態が続いていた山東には明確な攻撃の手段を見つけることができなかった。
流れが変わったのは後半。フェルナンジーニョの投入により、右サイドに起点を作ることができた山東はようやくサイドにクリサンなしで起点を作ることに成功。逆サイドのカザイシュヴィリとともに川崎をブロックの外からつっつく手段を手に入れた。
まずはこのフェルナンジーニョが起用可能かどうかがわからないことである。田邉のタックルで終盤に負傷交代したジョーカーの状況にはついては情報が出てきておらず、見通しは不透明と言えるだろう。仮に出てきたとしても非保持での貢献度など、押し込まれた以外の局面における働きに関しては未知数なのも記しておきたい。そのほかの負傷者も戻ってくる様子はないようで、彼が戻ってこないのであれば追いかける山東にとっては大きい打撃になるだろう。
基本的にはボールをつなぐこともつなぐことを高い位置から阻害することはしないチームなのも想像通り。全体を押し下げることができた状態からの即時奪回を除けば、基本的に怖いフェーズは少ない。GKがあわやPA外でハンドを犯すなど、全体の陣形が押しあがっている時における背後のスペースの管理に関しても怪しい部分は見られている。
山東が川崎に対して狙いたい局面や形はとてもはっきりしている印象。対策は打ちやすいと言っていいだろう。取れそうな手段はあまり多くなさそうという状況下で、何よりも狙い通りの攻撃を機能させることがまずは山東目線での逆転の足掛かりとなるだろう。
勝ち上がりを前提に上乗せを見込みたい
中2日という状況とはいえ、土曜日の試合はオールターンオーバー。かつ、関東での連戦となれば、中国の奥地でのアウェイよりはだいぶやりやすい状況と言えるだろう。
この試合に勝つということを踏まえると、大きく1st legからプランを入れ替える必要はないように思える。前線の3枚をベースに前進の手段を構築し、後方は無理にポゼッションをせずに前線に預けることで陣地回復を担保する。
1st legで課題だった終盤の前進手段の担保はメンバーのリフレッシュによって補える可能性はある。軽い負傷で先週の火曜日をスキップした三浦に長いプレータイムが見込めるのであれば、瀬川は前線へのコンバートが可能だし、土曜日にフル出場をしたとはいえ、ゴミスはフィットネスの良さを感じさせるパフォーマンスを見せた。彼らが前線に投入できるのであれば、先週よりは前線の陣地回復の持続性は高くなっている可能性は十分にある。
非保持においてはやはりサイドのケアが重要となるだろう。SBは多くの選手を起用してきたが、山東戦に関していえば押し込まれた時のホルダーに対する距離の遠さは気になるところ。この辺りは佐々木、ファン・ウェルメスケルケン、三浦といった本職のSBの面々が最も安定感を出せる部分だと思う。スタメンは彼らのうち2人が妥当なのではないだろうか。
中国の地でもたらされたRound 16を勝ち上がるための課題に関しては属人的な入れ替えでも十分解決する可能性はある。その一方で今季を長い目で戦っていく上での課題のところは仕組みの押し上げが欲しいところ。ここにどれだけ取り組むかが等々力でのポイントになるだろう。
シーズン序盤からずっと言っていることだが、今季の試合数を戦うのであれば多くの陣容を用いた積極的なターンオーバーに加えて、試合の中での消耗を抑えるための自陣からの保持での前進やボールを持ちながらやり直しを行うことが重要。クリーンに前進してボールを前線に送るということももちろん重要なのだが、ボールを持ちながら「休む」形を作ることはかなり重要になると見ている。
この点にどの程度挑戦するか。確かにGK及びCBコンビを1st legから継続するのであれば、後方から運んでいく形はリスキーとは言えるだろう。しかしながら、山東のプレスはそこまで強気ではない上に、済南や国立(舞台とメンバーを考えればそれでももう少しトライしてもよかったが)に比べれば、等々力の芝は後方からのショートパスを繋ぐスタイルはやりやすいだろう。1st legの立ち上がりで潰されまくったアンカー周辺のスペース創出にはトライする価値は十分にある。
勝つためには必要のないリスクを取ることになるトライかもしれない。しかしながら、このレベルの相手にボールを動かしていくトライができないのであれば、試合をしながら後方からの保持をベースにしたスタイルを定着させていくなど夢のまた夢だろう。そうした長い視点をどこまで持つかは非常に悩みどころ。勝ち上がりは当然。その上で何かを上乗せできるかまで視野に入れたいところだ。