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「相手の弱点を得点に結びつけましょう」~2018.11.25 プレミアリーグ 第13節 ボーンマス×アーセナル レビュー

 直近2試合は連敗しているものの、開幕から順調に勝ち点を重ねているボーンマス。連敗以前の12試合ではわずかに2敗。ユナイテッド以外の相手には負けていないというのだから、快調なスタートといっていいだろう。昇格当時からボーンマスを率いるエディ・ハウ監督が長期政権を築くチームはボール保持をベースに作り上げられている。この試合では足首のけがから4試合ぶりにFWのキングが戦線復帰。出場したアーセナル戦3試合全てでゴールを決めている『アーセナルキラー』のウィルソンとコンビを組む。12月は厳しい相手との対戦が多く控えているが、アーセナルに勝って勢いをつけることはできるだろうか。

 ウォルバーハンプトン相手に勝利できず、公式戦3試合連続引き分けになったアーセナル。公式戦無敗記録は16まで伸びたものの徐々に引き分けの割合が増えてきたのは気がかりだ。ここにきて増えているけが人も懸念材料。大事をとってベンチ外のラカゼットは早期復帰を見込めるものの、復帰が見込まれたモンレアルはセットバックでさらに2週間の離脱。リヒトシュタイナーやウェルベックも負傷しており、厳しいやりくりが引き続き強いやれる状況だ。
 新政権の船出となったアーセナルにとっては決して悪くはない序盤戦だが、上位陣が勝ち点を稼ぎ続ける展開になったプレミアリーグ。これ以上離されないためにも、ボーンマス相手に久々の勝利を挙げたいところだ。

 スタメンはこちら。

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 ボーンマスは先述した通り、キングがスタメン復帰して4-4-2。アーセナルは今季リーグ戦では初めての3バックでのスタートとなる。

目次

【前半】
致し方ない3バック採用とその弊害

 レビューといっておきながら予想から始まって申し訳ないのだが、まずはアーセナルの3バック採用の意図を考えよう。大きな要因としては2つかなと考えている。

①中央でチャンスメイクできるラカゼットの不在
②引いた時の両SBの守備の局面での耐久度

 中央で起点となりコンビネーションからチャンスメイクもフィニッシュもこなせるラカゼットの不在がアーセナルにとって大きいのは言うまでもない。オーバメヤンも優れたFWだが、こちらはフィニッシュ特化型。中央からの前進、およびチャンスメイクは難しいと考えても不思議ではない。次にSBの人選。コラシナツとベジェリンのSBは引いて受けてしまうと、ベストな組み合わせとはいいがたい。ならば高い位置上げちゃおうよ。というか、SBが高い位置取らないと前進できないのでは?中央が無理ならSBが高い位置取るのはマストでしょ!その代わり後ろの枚数は増やそうね!というわけで3バック採用というのが私の予想。中央からの前進が難しく、サイドからの前進を強いられた次善の策なのかなという予想。なんでこんな話をしているかっていうと、アーセナルのWBにはとにかく高い位置を取って!という指示が与えられていたんじゃないかな?と思ったから。これも予想。

 試合の話を始めると互いに積極的にプレスをかけあうスタートに。特に積極プレスが奏功していたのはボーンマス。まずCHのゴスリングとレルマはトレイラとジャカから自由を奪うべく前に出てくる。この2人には前を向かせない。16分のシーンでトレイラが空いてるのをウィルソンがやたら気にしているので、おそらくこれはチームとしての決まり事だと思う。レルマもゴスリングも行動範囲が広いという印象だった。

 アーセナルCBがボール保持の時はボーンマスの2トップがプレスをかけてくるが、場合によってはSHも前線のプレスに参加。キングがホールディングまで流れたときにムスタフィにボールが渡ればフレイザーがムスタフィに、ダニエルズがベジェリンにマークに行くというような流れだ。

 効いていたのはキングのホールディングへのプレスのかけ方。中を切りながら外に誘導する方向にプレス。ホールディングはサイドに追いやられる。しかし、コラシナツは高い位置を取らなければいけないので助けには来ない。CHは厳しいマークにあっているし、内側はキングが切っている。となると間にいるイウォビに楔を入れるしかないのだが、パスの距離が長くなるうえに、ボーンマスの後方はイウォビのところを出しどころとして押さえておけばいい。ので積極的なインターセプト狙いが可能だった。

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 大外でコラシナツがフリーになっているときも必要なパスの距離が長いのは変わらないので、同じ方策の応用が可能。前がプレスをサボらないからこそ、後ろが積極的に当たれるというチェルシー戦のスパーズと同じメカニズムだ。

 ボーンマスは楔のインターセプトから、そのまま前線の裏へのカウンターを発動する。スピード豊かなアタッカーが多いし、サイドのスペースは割とあけていたのでアーセナルはとても手を焼いていた。ソクラティスが対人バンバン止めて何とかしてた。途中でカードもらったけども。
 遅攻においてはアーセナルの右サイドを狙う。ダニエルズとフレイザーのコンビで対応の遅れがちなベジェリンサイドから崩しを狙っていた。

【前半】-(2)
前進できるようになるアーセナル、殴り返せるボーンマス

 というわけで思ったようにボールが握れないアーセナル。序盤のボーンマスでミスが多かった局面はアーセナルのボールをインターセプトしてカウンターに移行するところでのパスミス。ここを逃さないのがトレイラである。カウンターのカウンターをトレイラが発動させる!というのが序盤のアーセナルの糸口になっていた。徐々にアーセナルが前進に成功し始めるのは20分過ぎ。ボーンマスの前線のプレスのスライドが間に合わず、空いているCBからシャドーに楔が入り始めてからだ。特にムスタフィ→ムヒタリアンのラインでの前進は19分と20分あたりでそれぞれに1回ずつ見られた。
 先制点のシーンも間で受けたイウォビが前進させたところから。(おそらく高い位置にいなさいと言われた)コラシナツが大外からボーンマスの陣形を下げつつオウンゴールを誘発。私がプレミアリーグドラフト会議で隠し玉として指名したレルマが望まない形で目立ってしまったが、まぁ貴重なアーセナルの先制点には背に腹は代えられないので仕方がない。レルマはぜひとも今後は頑張ってくれるはずなので、見守り続けます。

 先制点以降の場面はアーセナルが押し込む展開がやや増えた。アーセナルの最終ラインにプレッシャーがかからなくなると、ボーンマスはハーフスペースのイウォビやムヒタリアンを捕まえにくくなる。それでも両WBの裏はねらい目でボーンマスもカウンターを主体に前進は可能だった。

 今季ここまでハーフタイムをリードで迎えたことのないアーセナル。この試合こそ初のリードして折り返しを狙えるチャンスだったが、カウンターから追いつかれる。PA内でのアーセナルのボールロストからカウンター。ジャカをつり出すようにフリーランをかましたフレイザーがとてもよかった。トレイラはボールロスト時にPA内に突っ込んでいたので戻りが遅れており、ジャカをつり出せば中央はがら空き。ブルックスが余裕をもってアシストができるスペースを明け渡してしまった。

 失点直前の前半終了間際に余計なことつぶやいたの謝罪しますね。

【後半】
噛み合わせてくるならずらしましょう

 ボーンマスは配置を変えてきた。フレイザーを右WB、ブルックスを左シャドーに置いた3-4-3っぽく変形。アーセナルと噛み合わせを狙ってきた。前半の最後は特にアーセナルの両CBが浮く場面で出たことでアーセナルに前進を許していたが、マークマンをはっきりさせることでもう一度プレスをかけやすくするのが狙いかもしれない。

 相手が合わせてきた。やりづらいならまたずらせばいい。イウォビとムヒタリアンに間で持たせるのがアーセナルの当面の目標なので、ずらせるならずらした方がいい。こういう時の調整役はジャカ。最終ラインに出たり入ったりしつつ枚数を調整する。

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 間のイウォビが決め手になったのは2点目のシーンもだ。イウォビのスルーパスでほぼ勝負あり。最後にクロスを受けたオーバメヤンは流し込むだけだった。

 選手交代で追撃を図りたいボーンマスだったが、スタニスラス、L・クックを投入する。そしてこの交代選手2人で作り出した決定機が85分。コラシナツの裏へのランを繰り返していたスタニスラスへのパスを送ったのはL・クック。最後にエリア内で待ち構えていたウィルソンの『アーセナルキラー』の異名がより強固なものにならなかったのは、体を張ってクロスをブロックしたソクラティスのおかげだ。
 俺のレルマがクロスバーを叩くミドルをぶっ放したり、CKからのわちゃわちゃから追いつくチャンスはあったのだが、ボーンマスは生かせず。試合は1-2でアーセナルが久しぶりのリーグ戦勝利を飾った。

まとめ

 アーセナル目線に立てばイウォビorムヒタリアンがDF-MF間で受ける。そしてWBが高い位置を取ってコンビネーションでサイドから前進以外の方策は取りようがなかったように思う。当然アーセナルのWBの裏のスペースは空く。ボーンマスはそこを使って攻撃はできたものの、勝ち点にら結び付けることはできなかった。

 ボーンマスは2トップ主導のプレス隊がアーセナルのCB陣にうまくプレッシャーをかけられていた最初の20分が1番うまくいっていたように思う。前線の選手がコースを絞る→後ろが捕まえるべき選手をとらえるの流れから、良質なカウンターまでうまく運べていた。アーセナルの後方へのプレッシャーがかかりにくくなると、間に立つ選手への対処法が見出すことができなかった。
 アーセナルはイウォビとソクラティスが攻守で違いを見せることができた。割と酷評されていたムヒタリアンは評価が難しい。やってほしいことはやってくれていたが単純に精度が足りなかったので、不満な気持ちはわからなくはないけども。ラカゼット抜きで勝ち点3取ったことはポジティブなのではないか。

試合結果
プレミアリーグ 第13節
ボーンマス 1-2 アーセナル
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
BOU: 45+1′ キング
ARS:30′ レルマ(OG), 67′ オーバメヤン
【主審】クレイグ・ポーソン

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