後半に一変したラツィオがバイエルンを飲み込む
最終節になんとかノックアウトラウンドの切符を掴み取ることができたラツィオ。ホームにバイエルンを迎えての大一番に臨む。
フォーメーションとしては互いにリーグ戦をベースとした形を踏襲。ラツィオは4-3-3から4-4-2にシフトする形でプレスに出ていき、バイエルンの4-2-3-1を捕まえにいく。
ペースを握ったのはバイエルン。サイドに浮く形になるミュラーがプレスの切れ目に顔を出すことでラツィオの守備を掻い潜ることに成功。狭いスペースを脱出し、逆サイドに展開し、そこから大外とハーフスペースを使うことでボックスにクロスを上げていく。ミュラーは最終局面においてもクロスでアクセントになっていた。
非保持に回ってもバイエルンはプレッシングでラツィオの保持を阻害。ケイン主導のプレスから即時奪回でラツィオにボールを渡さない。
ラツィオは20分になるとバイエルンの守備が緩くなった影響かアンカーのカタルディにボールが入るように。直近のリーグ戦で好調だったライン間のイサクセンにボールを渡せば敵陣までボールを運ぶことができていた。
だが、そうした時間は短くバイエルンは再び即時奪回から一方的に押し込む展開に。ラツィオもボックス内を固めた守備はさすがであり、バイエルンには得点を許さないままハーフタイムを迎える。
後半もボールを持つバイエルンがラツィオを動かすという構図は変わらないが、少し試合の流れは変わったように思う。具体的には4-3-3→4-4-2に移行する際のルイス・アルベルトのプレスのタイミングがハマり、バイエルンのボール保持を少しずつ苦しめていく。
バイエルンのパスワークは右サイドを軸に少しずつ乱れていく。ウパメカノ、マズラヴィあたりのパスミスが多く、前半に比べると低い位置でパスを引っ掛けてカウンターを喰らうシーンが目立つように。
保持でもラツィオは少しずつ好感触を得ていくように。こちらも左サイドのルイス・アルベルトとヒサイのコンビネーションからバイエルンのバックスにズレを作りながら前進をしていく。
ややバイエルンにとっては違和感がある状態が続く後半。その流れに乗ってラツィオは先制ゴールを奪う。見事なカウンターからPKを獲得。カリアリ戦を彷彿とさせるようなアンデルソンのカウンター発動は見事である。
局面局面での守備対応が後手に回っていたという意味ではバイエルンのCBは可哀想な部分もあったが、ウパメカノがレッドカードをもらうような対応をしてしまったという部分は切り分ける必要がありそう。失点は失い方やその後の対応によるところが大きいが、退場の責任は彼個人に帰属する部分が大きいように思う。
10人のバイエルンはテル、チュポ=モティングなどの面々を投入して反撃を狙うが、リズムを掴んだラツィオを前にこじ開けることができず。アタッキングサードでの解決策を後半はほぼ見つけられなかったバイエルンはオリンピコで沈黙。週末の首位攻防戦に続き、手痛い無得点での連敗を喫することとなった。
ひとこと
ラツィオの後半の修正は見事。システムをそのままにシャープさを増したパフォーマンスはバイエルンを飲み込むのに説得力のあるものだった。
試合結果
2024.2.14
UEFAチャンピオンズリーグ
Round 16 1st leg
ラツィオ 1-0 バイエルン
スタディオ・オリンピコ
【得点者】
LAZ:69′(PK) インモービレ
主審:フランソワ・レテキシェ