Fixture
UEFAチャンピオンズリーグ
Round 16 1st leg
2024.2.21
FCポルト
×
アーセナル
@エスタディオ・ドラゴン
戦績
過去の対戦成績
過去6回の対戦でポルトの2勝、アーセナルの3勝、引き分けが1つ。
予想スタメン
展望
ポルトの攻撃の王道パターンは?
サブスクが発展したおかげで今や日本では多くのリーグの多くのチームの試合を見ることができる。そのおかげでCLの予習という沼にハマってしまい、サッカーばかり見ている自分のような人間もいる。
しかしながら、CLに出場していても試合映像を確認できないチームもある。その中の1つがアーセナルの対戦相手であるポルトだ。ポルトガル・リーグ自体は放送があるが週に1,2試合程度。守田のいるスポルティングが当然最優先で現状次点はベンフィカを含めた日本人がいるチームのどこかといったところ。1月5日のボアヴィスタ戦(徳島にいた渡井がいるチームだ)がポルト戦の最後の情報源である。
ポルトのベースとなるのは4-4-2。アーセナルからすると、直近の対戦相手であるバーンリーと同じフォーメーションである。しかしながら、CLのグループステージを見る限り、ポルトの4-4-2はバーンリーのそれとはまったく性質が違うものである。
バーンリー戦で優位を取ることができた理由はバーンリーが4-4-2をコンパクトに維持することを優先したあまり、大外を取られてしまい、そこからアーセナルの進撃を自由に許してしまったことにあった。おそらくではあるが、ポルトは同じようなミスはしないだろう。
ポルトの4-4-2は逆に陣形を崩して前から相手を捕まえに行くことにかなり積極的である。前からのプレスで相手を捕まえ、枚数を十分にかけた攻撃で相手をPA内に押し込みながら潰していく。これがポルトの必勝パターンだろう。
よって、バーンリー戦とは異なり、アーセナルは強気のプレスにさらされることになるはず。2トップだけではなくCHが列を上げてバックラインから押し上げてくることにも特に抵抗はない。間延びは上等。細かいことを気にせずに前向きのベクトルで相手を轢き殺していくのがポルトガルのチームの流儀であり、ポルトはそうしたスタイルの中心的な存在である。
いい形でボールを奪うことができれば、一気に攻め切るための武器があるのがポルトの怖さ。グループステージで目立っていたのは左サイドの縦のコンビ。SHのガレーノと後方を支援するサヌーシのコンビである。基本的にはポルトの保持は4-4-2でSHとCFが中央に集結する形でのパス交換を好むのであるが、ガレーノはそんなポルトの2列目の中でも開きながらの速攻を完結することができるタイプである。
よりゆったりとした攻撃においては、バックラインは相手のプレスを引き込むように深いポジションを取り、CHが大きく場所を移動しながらピッチのあらゆるところに顔を出す。相手のプレスの人数次第だろうが、1人が自陣側に入ればもう1人は2列目と混ざるように1列前のパス交換に絡んでいくことが多く、中盤は少し空洞化するイメージかもしれない。
後方でフリーマンを作れれば、そこから縦にパスを刺していく。前線はとにかく中央に人数がいるのでここでもパス交換からフリーマンを作ってサイド攻撃に移行。大外を駆け上がる単騎からクロスを上げて、枚数をかけたボックス内でフィニッシュが基本線である。
タレミがいないとなれば、スコアラーとして警戒すべきは30番のエヴァニウソンがグループステージでは好調。ただ、1人のスコアラーに頼るというよりも多くの人数をかけたボックス攻撃が持ち味なので、人数の多くを送り込める上の攻撃が成り立つかどうかが生命線となる。
タレミの負傷が事実であるのならば、スタメンはおそらくジョーカー役だったコンセイソンが右に入り、ペペがインサイドにスライドする形になるだろう。そうなればガレーノと共に外からの攻め手ができることとなるので、少しグループステージとは攻め筋が変わるかもしれない。そうなれば、また少し勝手が違ってくるだろう。まぁ、映像がないからわからないけども。
圧力をいなし、過度なオープンは回避する
ざっくりいうと、ポルトの得点パターンは「前がかりなプレスを成立させてからのショートカウンター」と「中央で起点を作ってサイドに展開してからのクロス」の2つのパターンに大別することができる。この2つを寸断することがアーセナルにとっては重要になるだろう。
前者に関しては何とか食い止めたいところ。自陣に相手を引き付けてからのプレス回避を生かした前進はリバプール戦やクリスタル・パレス戦でも見られた部分。3-2-5という形にこだわるよりはバックラインから幅を取る形を使い、ポルトのプレス隊に狭く守ることを許さない形は有望かもしれない。再掲になるがパレス戦のこの形を生かしてのライスの解放は面白いだろう。
少なくとも、立ち上がりからスペースを作ることに苦労する相手ではないことは間違いない。アーセナルにとってはむしろポルトの前向きのプレスをへし折ることが求められる。ここまでのプレミアのチームとは異なる挑み方をしてくる公算が強いと予想する。
もう1つのパターンとしてはポルトの深い位置からのビルドアップからの前進である。逆にこちらはコンパクトな陣形を維持することで、ポルトの相手を引き出してくる揺さぶりに耐えていきたいところである。
コンパクトな4-4-2を維持すればもちろんバックラインにプレスをかけるのは難しくなる。当然機を見たハイプレスは必要なので2トップはこの点で最も信頼を置くことができるハヴァーツとウーデゴールに託したいところである。
保持面で見れば相手のプレス隊の矢印の根元をへし折ることができるトロサールのCF起用も面白いのだが、敵地ということでプレスを重視したいというのと攻撃面での交代のオプションの少なさからハヴァーツを前に置くプランを予想する。この2人の主導するプレスでリバプール戦の再現を狙っていきたいところだ。
ポルトが撤退して守る局面はあまり想像できないけども、仮にアーセナルが押し込んだ際には、基本的にはWGをベースに相手の対応を見ながらどこから壊していくかを探っていければ問題ないと思う。撤退して我慢を効かせるタイプのチームということは全くないので、押し込みながらエラーを見つけられる公算は十分にあるのではないか。
もっとも嫌な展開はだらっとオープンな展開に付き合った結果、ミスから失点を重ねて取り返しのつかないことになる形である。CLの決勝トーナメントという一発勝負の舞台においての経験値は近年では明らかに相手の格が上。
そして、初戦は敵地である。自分たちに多少勝算がある程度で相手のペースに付き合うことは最も避ける必要がある。ジョルジーニョを予想スタメンに入れたのは過度にオープンな展開に傾倒することを未然に防ぐためでもある。きっちり自分たちの土俵に引き込むことを優先したい。
CLでもマイペースに。そしておごらず実直に。そうした心を胸に久しぶりのCLの決勝トーナメントの舞台を目いっぱい楽しみたい。