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「Catch up Premier League」~Match week 3~ 2021.8.28-8.29

目次

①マンチェスター・シティ【9位】×アーセナル【19位】

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■説得力に欠けるグアルティオラの言葉

 開幕2戦で無得点の2連敗で苦しむアーセナル。よりによって第3節で立ち向かわなければいけないのは王者であるマンチェスター・シティ。逃げ腰になってはいけない!と思ったのだろう。立ち上がりのアーセナルはオーバメヤンとサカを並べながら前から積極的なプレッシングをかけていく。

 マンマークと中間守備を使い分けながら行うアーセナルのプレスは序盤はやや効いていたし、カウンター気味にゴールに迫る場面もあった。しかし、こういう状況はシティにとってはお手の物である。プレスが効いている相手を乱す移動は彼らにとっては死ぬほどやってきたことである。

 変形の源流となったのはベルナルド。こちらも動き出す選手としては王道中の王道。中間ポジションで外と中の両方を見ていたスミス・ロウを惑わすポジショニングでボールを引き出して、アーセナルのプレスのリズムを破壊する。

 しかし、アーセナルはシステム云々以前の問題だ。一度目のプレス回避で、敵陣まで進んだシティに対して、なんの変哲も無いクロスをチェンバースが被り、あっさりとギュンドアンが先制点を上げる。撤退は間に合っていたし、人数も足りていたアーセナルだが、個人のエラーから不用意に失点する。

 もともと薄かった勝ち筋はこれで崩壊。高い負荷をこなしていたプレス隊は下を向きながら撤退するようになり、シティの保持のモノトーンの展開に。セドリックの失態やジャカの退場など更なるエラーを重ねるアーセナルは『それぞれが頑張る』以上のことが用意されておらず。

 マンチェスター・シティにとってはスパーリングにもならなかっただろう。2点と退場者で試合を早々に決めると、局所的に力を使う部分以外はローギアを維持。前節のノリッジに続いて、完成度もコンディションもイマイチわからないままワンサイドでゲームを終える。

 ミスでただでさえ薄い勝ち筋を壊し、俯いて戦うのを辞めたアーセナルはマンチェスター・シティに挑戦することすらしなかった。おなじみになった完勝した試合後のグアルディオラのアルテタに対する賞賛の言葉も、この日のピッチにおける監督や選手のパフォーマンスに比べれば明らかに説得力にかけるものだったと言わざるを得ない。

試合結果
2021.8.28
プレミアリーグ 第3節
マンチェスター・シティ 5-0 アーセナル
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:7′ ギュンドアン, 12′ 84′ トーレス, 43′ ジェズス, 53′ ロドリ
主審:マーティン・アトキンソン

②ニューカッスル【18位】×サウサンプトン【13位】

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■レドモンド主体の反撃とサウスゲートの後悔

 立ち上がりから激しい展開が続いた両チームの対戦。ともにこういった展開は比較的好みのチームであり、とても生き生きしていたのが印象的だった。

 どちらかといえば保持の時間が長かったのはサウサンプトンの方か。昨季はCFのポストと内に入るSHのコンボで前進していたが、今季はSBとSHの縦関係での前進の意識が強い。右サイドは内側に絞るエルユヌシが大外を開けることで開幕から絶好調のリヴラメントが躍動。大外を1人で任される形で積極的なオーバーラップを見せる。

 左サイドは内側に絞るウォーカー=ピータースと大外のジェネポの関係性。攻める頻度が多いのはどちらかといえばこちらの方で、右のエルユヌシが内側に絞る形でフィニッシュに絡んでいく。ジェネポにはエリア内に入りながらの決定機を得ることもあったが、決めきれない。

 サウサンプトンが大外からサイドバックを上げる分、ニューカッスルはロングカウンターから反撃。カウンターから手薄なバックスに襲いかかる。ガチャガチャした時の威力はさすが。保持でもなんとかしようとしているサウサンプトンに比べれば、試合が落ち着かない方が得意なのがはっきりしていた。

 しかし、後半に入った先制点は意外にもニューカッスルのポゼッションからだった。シェアからの対角パスという4-4-2のパスの王道である左右に振る形で重心を崩すと、マーフィーの折り返しをウィルソンが押し込む。らしくない保持からの落ち着いた攻撃で先制点を取った。

 ビハインドに陥ったサウサンプトンを救ったのは交代で入ったレドモンド。左サイドでのチャンスの起点をこの試合では完璧にこなした。内側、外側にこだわらずにアタッキングサードをウロウロしながらチャンスメイク。昨シーズンはイマイチ内容が伴ってこなかったレドモンドだったが、この試合では存在感があった。

 レドモンドは大外の突破からのクロスでエルユヌシの得点をアシストすると、試合終了間際にはアームストロングのPKをお膳立て。同じく後半追加タイムにお得意のカウンターからサン=マクシマンという『正統派』のスタイルで得点し、勝ちを確信したニューカッスルをどん底に突き落とす。

 この試合のトリを飾ったウォード=プラウスのPKは速度、精度ともに素晴らしいもの。満員のセント・ジェームズ・パークで難なくPKを務める強心臓はさすが稀代のプレースキッカーである。サウスゲートがこの試合を見ていたら、彼をEUROに連れて行かなかったことを後悔したかもしれない。

試合結果
2021.8.28
プレミアリーグ 第3節
ニューカッスル 2-2 サウサンプトン
ビラ・パーク
【得点者】
NEW:55′ ウィルソン, 90′ サン=マクシマン
SOU:74′ エルユヌシ, 90+6′(PK) ウォード=プラウズ
主審:ポール・ティアニー

③ブライトン【4位】×エバートン【7位】

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■足りない支配力をハンマーで破壊

 連勝スタートと最高の開幕を決めたブライトン。迎える第2節の相手はこちらも無敗で開幕2戦を乗り切ったエバートンである。

 ボールを握ったのはブライトンの方だった。前節と同じく3バックで臨んだ今節もポゼッションは安定。2トップ脇からボールを運んで、敵陣に進む。相手を自陣に引き込んでからの擬似カウンターもお手の物で、相変わらずのポゼッションの精度を見せていた。

 エバートンはネガトラや相手に引き込まれる状況を作られると、中盤が空洞化。ドゥクレというルンバに丸投げする形になる。だが、この日のブライトンはアタッキングサードで迷いを感じた。これ!というエリア内へのアシストのパスが決まらず、積年の課題である決定力不足の一歩手前の段階でつまづく場面が見られた。

 逆にエバートンは相手陣に踏み込めさえすれば迫力十分。2トップに加えて、両SHのグレイとタウンゼントも攻撃に加わり厚みのあるトランジッションを展開していた。ドゥクレの存在感も抜群。守備の掃除だけでなく、攻撃にまで打って出れなければプレミアリーグのルンバは務まらない。

 30分を過ぎたあたりから、徐々にブライトンの手からポゼッションが離れ始め、展開が一人歩きするとパワーの差が出てくる。持っているハンマーの破壊力はエバートンの方が上である。

 保持でもややマークが緩めなサイドから前進。エバートンが押し込む時間が終盤に向けて増えてくる。そうなるとそのままエバートンが先制。グレイが対面のウェブスターを出し抜き、技ありのシュート。トランジッションが増えた展開の中でハンマーの威力を見せつける。

 後半、ブライトンは左サイドにフェルトマンを投入。しかし、彼の出来はブライトンにとって誤算だった。攻撃では、流れを止めてカウンターの温床になると、アラン→コールマンのパスで裏を取られて慌てたところでPKを献上する。

 完全にしてやられたブライトン。その後もチャンスの糸口はなかなか見られず。いつもよりも支配する時間も支配している間の力強さも感じなかったブライトンをエバートンがハードなパンチで破壊。チームの地力の差を感じる試合だった。

試合結果
2021.8.28
プレミアリーグ 第3節
ブライトン 0-2 エバートン
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
EVE:41′ グレイ, 58′ キャルバート=ルーウィン
主審:ジョナサン・モス

④ウェストハム【1位】×クリスタル・パレス【14位】

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■食い下がるパレスが連勝ストッパーに

 絶好調で2試合を終えて首位に立つウェストハム。今節は開幕3試合連続でロンドンダービーが続いているクリスタル・パレスとの対戦である。

 ウェストハムはクリスタルパレスのゴリゴリさに手を焼いている感じはあった。それでも連勝スタートした質の高さはさすが。押し込みながら、左右に相手を振り、クロス主体でチャンスを演出する。

 自陣に押し込まれる機会が増えたクリスタル・パレスはロングカウンターから反撃を狙う。しかしながら、ウェストハムは加速しそうになったタイミングで相手を潰すのが非常に上手い。しかも、ファウルで止めて警告をもらわない程度に収めるのが上手。したたかである。

 両チームとも悪くないけど、相手がブロックを組む前に加速ができずに、敵陣までたどり着いてもそのブロックを崩せないという展開が続いていく。先にその状況をクリアしたのはウェストハム。中盤からの見事な加速でクリスタル・パレスに人数が揃わない状況で守ることを強要すると、仕上げのアントニオは見事だった。相手を見た緩急で敵を自分に引きつけて、フォルナルスにラストパス。アントニオは氷のような冷静さで先制点を演出した。

 後半も試合は同じ展開。そんな中でクリスタル・パレスは自陣からの保持でやり返す。見事だったのは左で持ち上がったグエヒ。ウェストハムのプレス隊を切り裂き、左にパスし自らはエリア内に。混戦から最後に押し込んだのはギャラガー。今季のクリスタル・パレスの初得点をもたらすことに。

 ここからザハを軸にした攻撃で主導権を握るクリスタル・パレス。しかし、もう一度輝きを放ったのはアントニオ。長いボールをアクロバティックに収めて圧巻のゴールを叩き込む。

 だが、試合はこれでは終わらず。クリスタル・パレスは左サイドのトライアングルからエリア内にザハがクロスを上げると最後は再びギャラガー。アントニオとは異なる趣のスーパーゴールであっという間に同点に追いつく。

 ウェストハムが優勢に進める時間が長かった試合だが、最後の最後まで食いつくクリスタル・パレスを退けることができず。開幕からの連勝は2で止まった。

試合結果
2021.8.28
プレミアリーグ 第3節
ウェストハム 2-2 クリスタル・パレス
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:39′ フォルナルス, 68′ アントニオ
CRY:58′ 70′ ギャラガー
主審:スチュワート・アットウィル

⑤ノリッジ【20位】×レスター【12位】

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■レジェンド2人が苦境のチームを救う

 開幕戦こそ勝利を挙げたもの、どこか噛み合わない戦いだったレスター。案の定というべきか、2節目のウェストハムにはバラバラにされてしまった。ノリッジの方が戦績で言えば深刻ではあるが、リバプールとシティという連戦なので一応情状酌量の余地はあり。ってか3節目レスターで4節目アーセナルって日程が結構大変ですね。

 ノリッジはこの試合でも苦しいビルドアップ。仕組み的には4-4-2のレスターに対して、アンカーがいるノリッジは落ち着いてボールを回せるはずなのだけど、どうしても時間を作ることができない。CBが幅を取りながら間にGKを挟むビルドアップに対しては、本来はアンカーを受け渡しながらのレスターのプレッシングは苦しくなるはずなのだけど、どうしても時間を作れず。

 それどころからノリッジのロストからレスターは先制。リカルド・ペレイラのボールハントが効いてのショートカウンターだった。この試合でもノリッジは保持で時間を作り出すことができなかった。

 守備の局面では立ち上がりは積極的にプレッシングを行っていたノリッジ。めっちゃハマっていた感じはないのだけど、レスターのビルドアップはどことなく昨シーズンから割引感がある。ビルドアップに絡めるリカルド・ペレイラの負傷交代も痛いだろうが、にしても受け手の動きが少ない。駆け引きが少なく、最前線で裏をとるヴァーディの負荷は昨シーズンに比べて重くなっているように思う。

 さらに苦しいのはその状態をなんとか我慢できるほどバックスのコンディションがよくないこと。特にソユンクの状態は非常に気になる。決定的なミスをした前節に続き、今節ではPKを献上。攻め手の少なかったノリッジを助けてしまうミスだった。

 エネルギーが足りない中でレスターを救ったのはオルブライトン。途中交代のイヘアナチョの突破からチャンスを得ると、ミドルシュートで見事クルルを撃ち抜いた。バーンズが波に乗れず、チーム全体の動きが重いことを踏まえると、献身的なオルブライトンのような選手を積極的に起用するのはあってるのかもしれない。ヴァーディ、オルブライトンという奇跡を知るベテラン2人がこの試合のレスターを牽引していた。

 ノリッジは直後に同点に追いついたかと思いきや、これはオフサイド判定で取り消し。終盤はキャントウェルの奮闘は目立ってはいたが、ちょっと独りよがりだった感が否めず。レジェンドメンバーの活躍で勝ち点3を拾ったレスターが今季2勝目を挙げた。

試合結果
2021.8.28
プレミアリーグ 第3節
ノリッジ 1-2 レスター
キャロウ・ロード
【得点者】
NOR: 44′(PK) プッキ
LEI:8′ ヴァーディ, 76′ オルブライトン
主審:ロベルト・ジョーンズ

⑥アストンビラ【10位】×ブレントフォード【8位】

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■得点の匂いに蓋をされた後半

 1勝1分と好スタートを切ったブレントフォード。ロンドンダービーが続いた開幕2節に続く3試合目はミッドランズに初見参。アストンビラとの一戦に臨む。

 立ち上がりはアストンビラの保持で試合が進む。ゆったりとした形から保持を行い、ブレントフォードを押し込んでいく。

 しかしながら先制したのはブレントフォード。アストンビラはクロスに対してニア側の閉じ方が甘くなってしまった。先制点を決めたのはトニー。頼れるエースがブレントフォードに貴重な1点をもたらす。

 だが、アストンビラはすぐさまやり返す。こちらも活躍したのはCF。イングスがサイドに流れながらCBをつり出して中央にスペースを作る。このスペースに入り込んだのがブエンディア。イングスがサイドに流れたことにより、ラインを下げてしまったブレントフォードの守備陣はブエンディアに反転を許してしまった。反転したブエンディアは右足を一振り。豪快にホームのファンに対して、挨拶をしてみせた。ここから攻勢を強めるアストンビラ。直後にはイングスが今度は自らがゴールを決めるべくシュートを撃つが、ここはラヤにストップされる。

 ブレントフォードはこの試合は比較的つなぎを頑張っていたと思う。今季ここまでのプレーを見て、もう少しショートパスをつなぐ部分をやってみたらいいのにと思っていたところ。こうしてすぐに違うアプローチにチャレンジするのは個人的には非常に好感が持てる。

 しかし、この日のアストンビラにはアンカーにドウグラス・ルイスがいる。読みと対人に冴えるこのアンカーがボールサイドに寄って素早くボールを回収することでペースを握る。ブレントフォードは時折、カノスがいい突破を見せるなど存在感を示す。長いボールを2トップが落とす黄金パターンも健在ではあった。

 だが、両チームとも後半になると得点の匂いがしなくなる展開に。唯一脅威を与えたのは古巣対決となったワトキンス。いつものCFではなく、サイドからエリアに入り込む空中戦の利を活かす。高さでブレントフォードを苦しめる。が、得点までは届かない。

 結局、試合はドローで終了。ブレントフォードは最初のインターナショナルブレイクまでを無敗で駆け抜けることに成功した。

試合結果
2021.8.28
プレミアリーグ 第3節
アストンビラ 1-1 ブレントフォード
ビラ・パーク
【得点者】
AVL:13′ ブエンディア
BRE:7′ トニー
主審:ピーター・バンクス

⑦リバプール【3位】×チェルシー【2位】

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■取り出したアイデンティティで持ち帰った勝ち点1

 今節一番のビックマッチ。いや、今季のプレミアリーグ、ここまでの中で最も大きな試合かもしれない。開幕2節までのパフォーマンス的にはともに優勝候補に名乗りを上げた両チームによる大一番である。

 試合は様子見がてらの裏抜けロングボールの応酬で始まった。両チームとも、プレスにもいくものの撤退は素早く、相手に攻められても素早くブロック守備に移行。過度なリスクを取らない守備での立ち上がりとなった。

 どちらかといえばスムーズに前進をできていたのはリバプールの方。チェルシーはアンカーのファビーニョをあまりうまく受け渡すことができなかったことに加えて、ファン・ダイクやアレクサンダー=アーノルドの横に振るパスの分、相手に比べてロングボールの質が高かったためである。

 しかしながら、チェルシーも黙っていたわけではない。リバプールのプレッシングに対して、ボールを前に進めていたのはカンテ。ボールを受けた後のコントロール、そしてドリブルなどプレッシング回避でチームをリードする。

 押し込む機会を得ていくとチェルシーはCKから先制点。ニアで合わせたハフェルツのヘディングという少々意外な形から貴重な1点を奪う。

 その後も保持の機会を得ているリバプールだが、右サイドに比べると左サイドの機能不全が気になる。右はサラー、エリオット、アレクサンダー=アーノルドの3人が内外を使い分けながら入れ替わるが、左はそういった関係性が薄め。特に普段右のIHが多いヘンダーソンはやりにくそう。むしろ、不慣れなことを無理にやるよりも、右に流れての崩しの手助けと前線に飛び込む役割を優先していた。

 ただ、ボールの動線が限られている分、チェルシーは守りやすくなっていた。むしろ、カウンターからチェルシーは徐々にチャンスを得るように。しかし、この決定機をチェルシーは活かせない。特にハフェルツがラストパスを出せず、シュートに行ってしまったシーンはもったいなかった。

 そして、決定機を活かせなかったツケをチェルシーは払うことに。前半終了間際、チェルシーはジェームズのハンドでPK献上+一発退場。判定に関するインパクトが大きかった場面だったが、リバプールは交代で入ったジョッタが左サイドからドリブルで侵入したプレーがきっかけでPKにつながっている。機能不全だった左サイドから好機を得ている。

 チェルシーが10人となった後半はリバプールが攻め続けるハーフコートゲームに。5-3-1で守るチェルシーに対して、リバプールはエリア内にボールを送り続けるが、なかなか決定機を作ることができず。唯一、抜群の空中戦の強さを見せるジョッタへのクロスとミドルシュート以外はクリアなチャンスを作ることができない。

 ロングカウンターからチャンスを作りたいチェルシーだが、ファン・ダイクを前にルカクは前節ほどは存在感を示せず。むしろ、自陣深くまで押し込まれてしまった割にはマルコス・アロンソの攻め上がりの速さが印象的。なんで足速く無いのに、そんなに上がりが早いのだろう。

 ただ、むしろチェルシーで印象的だったのは守備。サイドのカバーも秀逸な5-3-1はモウリーニョが植え付けたアイデンティティを久しぶりに取り出したかのよう。前半終了間際のPKの時は選手たちの感情のコントロールが効いてなかったように見えたが、HTで立て直して規律ある守備で引き締め、アンフィールドから勝ち点1を持ち帰ったトゥヘルの手腕が光った試合だった。

試合結果
2021.8.28
プレミアリーグ 第3節
リバプール 1-1 チェルシー
アンフィールド
【得点者】
LIV:45+5′(PK) サラー
CHE:22′ ハフェルツ
主審:アンソニー・テイラー

⑧バーンリー【17位】×リーズ【15位】

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■アバウトになると逃げる主導権

 前節、エバートンに3-3-3-1を披露したリーズ。4-4-2の相手に多用しているこのシステムは昨年すでにバーンリー戦で使用されたものである。というわけで今年もそのシステムを焼き直しての採用となった。

 毎度毎度使われるたびに説明しているので繰り返しになるが、3-3-3-1の長所は4-4-2に対して間のポジションを取れるというメリットがある。そのため、ライン間に入り込んでのパスを通しながらリーズは前に進めたいと思っているはず。

 バーンリーのバックスは強靭ではあるが、組織的かどうかは微妙なところ。こういうややこしい相手には陣形やラインが乱れやすい。しかし、リーズが得意な長いボールに対しては、到達するまでに時間がかかるためにバーンリーのバックスが捕まえやすいという部分もある。

 なのでリーズは大きな展開から進もうとすると人に捕まってしまう。20分くらいすると、バーンリーはだいぶ対応に慣れてきた感じ。リーズは序盤こそ前に進むことができていたが、途中からはバーンリーの圧に屈して、前進に苦しむようになる。コンタクトが増えるほどバーンリーの方が有利になる。

 となるとリーズはスペース勝負。高い位置から捕まえにくるバーンリーのバックスの裏に前線を走り込ませる。そうなれば、試合は当然アップテンポになっていく。リーズはその裏を撒き餌として、ライン間を使えた時にはうまく進撃できていた。一方でその部分がアバウトになってしまうとバーンリーペースになってしまう。リーズはちょっと外に逃げすぎているきらいがあった。

 後半になっても依然としてペースは一進一退。そんな中で先制したのはバーンリー。圧力を全開にした空中戦祭りの中で、最後はウッドが叩き込んだ。これがプレミアリーグの記念すべき30000ゴール目。バーンリーらしいCKからの流れでのゴールがメモリアルな1点となった。

 終盤、リーズは選手交代に伴い、後方を4バック気味に。SBをより高い位置に押し出すことで、IH、WGと共にサイドに局所的な数的優位を生むように。これでライン間の侵入ができるようになってきたリーズ。86分にようやく生まれた同点弾はライン間に入るラフィーニャと、後方からサポートしたシャックルトンの追撃で跳ね返った攻撃を最後に押し込んだもの。エリア内で待ち構えていたバンフォードがリーズにギリギリのところで勝ち点1をもたらした。

試合結果
2021.8.29
プレミアリーグ 第3節
バーンリー 1-1 リーズ
ターフ・ムーア
【得点者】
BUR:61’ ウッド
LEE:86′ バンフォード
主審:マイケル・オリバー

⑨トッテナム【5位】×ワトフォード【11位】

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■お得意の『1-0』が炸裂

 2試合連続1-0と手堅い戦いを続けているトッテナム。この試合からはエースのケインが先発復帰。更なるパフォーマンスの向上を狙っていく。

 トッテナムは攻撃面において、長いボールを多用。ワトフォードの前線があまり強くプレスに来ないことを利用して、プレッシャーのないDFラインからサイドを変えるボールを多用する。狙っていたのは高い位置を取るSB。これで相手のSBを釣り出すことである。この動きに合わせてシャドーがSBの空けたスペースに走り込む。このランに対するワトフォードの対応は冷静で、ずらされたところをCB、アンカーと一つずつずれながら解決。1つくらいの乱数では混乱させられることはなかった。

 ワトフォードに対するトッテナムの守り方ははっきりしていた。ケインがアンカーを消し、WGのソンとベルフワインはCBを中心に監視。SBにはIHがスライドする。アンカーのスキップもその際に左右にスライド。非常に多くの運動量を強いられていた。従って、ワトフォードはこのスキップのスライドよりも早い動きで相手を左右に動かせるかどうか?がポイントになる。

 中盤を使ったスムーズなサイドチェンジや、サイドチェンジの最中で縦パスを入れるなどの攻撃における工夫がワトフォードに見られればよかったけども、そこまでのクオリティではなかった。唯一のアクセントになっていたのはサールのドリブルくらいだろうか。

 解決策を見出せないワトフォードに対して、トッテナムは攻勢に。ワトフォードの右サイドに狙いを定め、右のソンのダイアゴナルランが左サイドに流れ込むことでワトフォードにとって乱数を増やしていた。

 押し込む中で先制したのはセットプレーから。ソンの際どいコースからの直接FKは誰にも触れられることなく、得点に結びついた。

 後半も攻勢に出られないワトフォード。プレスも撤退気味のトッテナム守備陣攻略にも活路を見出せないまま時計の針は進む。結局、試合はそのまま決着。トッテナムは開幕3戦連続1-0。唯一の3連勝でリーグ首位に立つこととなった。

試合結果
2021.8.29
プレミアリーグ 第3節
トッテナム 1-0 ワトフォード
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:42′ ソン
主審:アンドレ・マリナー

⑩ウォルバーハンプトン【16位】×マンチェスター・ユナイテッド【6位】

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■ゴールを手繰り寄せた強引さ

 レスター、トッテナムと開幕から強い相手との連戦の影響か勝ち点を取れていないウルブス。勝ち点はおろか得点も取れていないという状況は気になるところ。そんな中で今節も引き続き強豪との対決。マンチェスター・ユナイテッドをホームに迎える第3節となる。

 前半の内容が良かったのはウルブスの方だろう。相変わらず今季は絶好調なトラオレが大暴れ。1,2人くらいなら軽く吹き飛ばすドリブルでロングカウンターを担う。いつもの光景といえばいつもの光景なのだが、相手はマンチェスター・ユナイテッド。対人強度でいえば、リーグ屈指のチームである。そのチームを向こうに回して大暴れなので、今季のトラオレは只者ではない。逆サイドのトリンコンと共にユナイテッド相手にロングカウンターから好機を生み出す。

 しかし、なかなか得点には届かないウルブス。トラオレのプレーで気になるのは、ボールを運んだ後にパスをどこに出せるかを優先度高く考えている感じ。シュートを打つときはボールの出しどころがなかったとき。そうなると、大体前にはブロックがいるので阻まれてしまう。ゴールの優先度の低さが貢献度の高さと得点関与の少なさというアンバランスさを産んでいる感じだ。

 ポゼッションの局面でWGの打開力に依存しているのは昨季と同じ。撤退した相手にはサイドチェンジしながらWG単騎で攻撃を仕掛けていく。中にヒメネスがいる分、得点の可能性は昨季よりは高まるがエリア内の枚数を考えれば、ロングカウンターの方が可能性がある。局面とボール運びまではできているので、フィニッシュの形を作りたいところだ。

 一方のマンチェスター・ユナイテッドは、そもそものロングカウンターを繰り出せる機会が少なかった。ポゼッション局面でもプレッシャーの低い位置から裏に長いボールを蹴り出すのだが、あまり効果的な感じはしなかった。新加入のサンチョも存在感が希薄で、なかなか馴染むのには時間がかかるかもしれない。

 そうした中で試合を決めたのはグリーンウッド。押し込んだ局面でも活路を見出せなかったユナイテッドにおいて、サイドからやや無理筋な形からシュートに持ち込んで得点を産んでみせた。ゴールから逆算したプレーで強引にチームを勝利に導いたグリーンウッド。内容では厳しくても、最後は上回るというマンチェスター・ユナイテッドらしい勝ち方で試合を決めた。

試合結果
2021.8.29
プレミアリーグ 第3節
ウォルバーハンプトン 0-1 マンチェスター・ユナイテッド
モリニュー・スタジアム
【得点者】
Man Utd:80′ グリーンウッド
主審:マイク・ディーン

  おしまいじゃ!

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