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「Catch up FIFA World Cup Qatar 2022 European qualifiers」~Group B Match week 4~ 2021.9.2

 さぁ、欧州予選(みんなで)全部見るマンチャレンジの開幕だ!!担当グループはB!

目次

①ジョージア×コソボ

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■滑らかなサイドチェンジを生かした先制点

 記念すべきグループB観戦の1試合目にして、最も情報がない2チームによる対戦である。と思いきや、コソボ代表にはなんとこんな情報源がありました。すげー。

 というわけでコソボは多少予習ができた。立ち上がりはジョージアがボールを持つ展開に。4-4-2からCHが縦関係に段差をつけてパスコースを作る。コソボはこれに対して4-3-3の形で構える。コソボの守備の特徴としてはIHのハリミとペリシャが高い位置を取ること。ジョージアのCHが縦に動くのについて行ったり、あるいはジョージアのCBにプレッシャーをかけにいくのはIHの役目である。

 なので、前後関係としてはコソボのWGがIHよりも後ろの形。ジョージアのSBには持たせるのはOKというのが考え方のベースにはあって、彼らがボールを持った時はコソボは内側のパスコースを優先的に切っていた。

 全体的にコソボは中央だけ閉じてサイドに追い込みさえすれば、ジョージアが前進できないという算段だったのだろう。このコソボの読みは当たっていたといえそうで、ジョージアは実際最終ラインでボールを行ったり来たりさせているだけ。ボールを持っているというよりは持たされている形であった。

 高い位置までボールを運べれば右のWGであるツィタイシュヴィリがカットインで勝負を仕掛けられるのだが、そこまで辿り着けないジョージア。CFのクヴィリタイアへの長いボールがもう少しおさまれば押し上げが効いたと思うのだけども。

 一方、コソボの保持は3バック変形だった。両CBと右のSB3枚で最終ラインを形成する。左のSBであるハデルジョナイは高い位置をとり、同サイドのWGであるラシャニは内側に絞る。逆に右の大外はオーソドックスにWGのカストラティが幅をとる。Jリーグでいえば鳥栖に若干似たシステムだなと思った。

 システムだけでなく、前進の仕方は非常にスマートだったコソボ。3バック+2センターの5人でジョージアのプレス隊を空転させて、幅を使いながら攻撃を進めていく。これだけ自在に大きく展開さえできれば、4-4-2で守るのは難しいだろう。

 先制点もこのサイドへの展開を生かした形。左サイドでラシャニが潰れた後、後方から実直にオーバーラップを繰り返していたハデルジョナイがエリア内にクロスを上げる。これをジョージアの選手がクリアしきれず。ややオウンゴール気味だったが、持ち味を発揮したコソボが予選初勝利に向けた大きな先制点を手にした。

 リードを許した後半はジョージアが攻めの姿勢を強め、コソボはラインを下げて受けに回る。ラインを深い位置まで下げたせいで、コソボは保持で時間を見出すことができず、前半よりもジョージアはプレスが効くようになってくる。

 だが、最終ライン勝負になるとジョージアはやや分が悪い。前半と異なり、縦に早いロングカウンターからジョージアのハイラインの裏をとり、後半もコソボはチャンスを創出する。

 後半はトランジッションを増やし、クロスに対しても人数を揃えたジョージアだったが、終盤はややガス欠気味に。しっかりとゲームクローズを決めたコソボがアウェイで勝利。予選未勝利対決を制し、4節目で同国史上初のW杯予選勝利を挙げた。

Pick up player:ヴァロン・ペリシャ(KOS)
 プレッシングに加えて、逆サイドのハーフスペースの裏抜けまで試みるダイナミズムさが輝いていた。システマティックなチームは仕組みに目が行きがちだけど、フィジカル的にタフなタスクを背負っている選手の強度が落ちると一気に機能性が下がる。そういう意味で彼の存在はコソボにとって大きい。

試合結果
2021.9.2
カタールW杯欧州予選 第4節
ジョージア 0-1 コソボ
アジャラベット・スタジアム
【得点者】
KOS:18′ ムリキ
主審:マイコラ・バラキン

②スウェーデン×スペイン

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■アイデンティティをアイデンティティで封じる

 EUROのグループステージ以来の再戦となった当カード。ちなみに当時の記録も残してあったのでご参考に。

 ナショナルチームにアイデンティティを植え付けるのが難しい時代になって久しいが、この両チームはシステムも含めてそれぞれの国のアイデンティティを落とし込んでいるチームだと思う。

 保持に特化したスペインの4-3-3も、強固なブロック守備をベースとしたスウェーデンの4-4-2もどちらもその国らしさが詰まったもの。この試合の展開も試合を見ていない人にも十分想像できる個性のぶつかり合いであった。

 EUROでは強固な守備のスウェーデンに対して、スペインが攻めあぐねたという印象が強い。この試合もスペインの保持の局面が多くなった。スペインはCBとブスケッツを軸にサイドを入れ替えながら、サイドの突破からスウェーデン攻略に挑む。

 この試合の保持局面におけるスペインは非常にオフザボールの動きを重視していることが読み取れた。特にクロスに対してスペースに入り込む動きが非常に活発。IHがエリア内に入ることで枚数も確保されており、高さのあるスウェーデンに対しての押し込んでの攻撃がEUROよりも準備されているように見えた。

 とりわけ目についたのはフェラン・トーレス。シティでもそうなのだが、縦パスも含めてボールを引き出す動きだしが非常に上達しているように思う。早々に入った先制点も、クロスに対してトーレスの斜めの動き出しにアウグスティンソンが釣り出されたせいで、外側のソレールが空いた形。活発なフリーランで、スウェーデンのブロックに穴を開けてみせた。

 しかし、即座にスウェーデンは反撃。ショートカウンターからイサクの俊敏性とダイナミックさを生かしたミドルですぐさま同点に追いつく。スペインとしては得意の保持の局面で、しかも得点を決めたソレールが絡んでのミスということでがっくりくる失点となってしまった。

 イサクとクルセフスキの2トップはロングカウンターでも存在感。スピードもパワーも十分。スペインは広いスペースでDFが彼らと1対1で対峙してしまうと歯が立たない。ロングカウンターを成立させていたのは彼らのレベルの高さである。

 定点攻撃においてはフォルスベリの貢献度の高さが光る。彼の保持と周りの追い越す動きで、スウェーデンのサイド攻撃を成り立たせていた。イサクとクルセフスキのフィジカルの強固さはここでも効いていて、単純な動き出しのスピードやターンの際のパワーにスペインは手を焼いていた。

 スウェーデンの逆転弾はクルセフスキのターンがきっかけ。パスワークを軸に前を向く隙を伺うスペインに対して、パワーで引きちぎった感のあるスウェーデンのチャンスの作り方は非常に対照的だった。

 70分くらいには徐々に運動量が落ちてくるスペイン。基本的には疲労しにくいスタイルだと思うんだけど、オフザボールで飛ばしていた分、終盤の尻すぼみが目立った。加えて、整えてから壊しにかかるスペインのスタイルは特に追う局面が苦手。パワー面を加味してアダマ・トラオレを投入するのは理解できる。

 しかし、スウェーデンのブロックは最後まで崩せず。特に中盤のカバーリングは見事。CHがサイドに出ていった際によくあるのは、彼らが元いたバイタルが空いてミドルを撃ち込まれてしまうパターンなのだが、スウェーデンの場合は彼らが元いたスペースを使わせないのがとても上手。サイドに出ていったら折り返しをさせずに封じ込めた。

 アイデンティティをアイデンティティで封じ込めた一戦で勝利を挙げたのはホームのスウェーデン。これでスペインの自力首位突破は消滅。スウェーデンはスペイン戦以外の勝ち点を落とさなければ、首位突破を決められることになった。

Pick up player:デヤン・クルセフスキ(SWE)
 より直線的なイサクに対して、サイドに流れた際や局面が静的な場合でも力を発揮できる万能型。パワー、スピードだけでなくパスの精度も高く、緩急をつけながら味方の上がりを待つこともできる。スウェーデンの早い攻撃に異なる彩りを添えることが出来る選手。

試合結果
2021.9.2
カタールW杯欧州予選 第4節
スウェーデン 2-1 スペイン
フレンズ・アレナ
【得点者】
SWE:5′ イサク,57′ クラエソン
ESP:4′ ソレール
主審:アンソニー・テイラー

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