Fixture
プレミアリーグ 第3節
2021.8.28
マンチェスター・シティ(9位/1勝0分1敗/勝ち点3/得点5 失点1)
×
アーセナル(19位/0勝0分2敗/勝ち点0/得点0 失点4)
@エティハド・スタジアム
戦績
過去の対戦成績
過去5シーズンの対戦でシティの11勝、アーセナルの2勝、引き分けが2つ。
シティホームでの対戦成績
過去10戦でシティの7勝、アーセナルの1勝、引き分けが2つ。
Head-to-head from BBC sport
・シティは直近11試合のリーグのアーセナル戦で無敗(W9,D2)
・アーセナルは負ければリーグ戦9連敗。トップリーグにおける同一相手への連敗として最長になる。
・直近7試合のリーグでのシティ戦でアーセナルは1ゴールのみ。2019年2月のローラン・コシエルニーの得点のみ。
スカッド情報
【Manchester City】
・ケビン・デ・ブライネはW杯メンバーから漏れたことから欠場が予想される。
・フィル・フォーデンは足首の負傷で引き続き欠場。
【Arsenal】
・ブカヨ・サカはカラバオカップにおける膝の怪我で出場は不透明。
・ガブリエウ・マガリャンイスは膝の怪我からトレーニングに復帰。しかし、ベン・ホワイトとアレックス・ルナルソンはCovid -19の陽性反応で欠場の見込み。
Match facts from BBC sport
【Manchester City】
・負ければ開幕3戦で2敗目。前年王者としては95-96のブラックバーン以来。
・開幕3戦で2敗は04-05シーズン以来ない。
・直近2戦のリーグ戦のホームゲームは5-0。3試合連続で5点以上で勝利すれば、2017年以来同チームで2回目。他のプレミアのチームでこれを達成したのは2010年のチェルシーのみ。
・次のPKでの得点はプレミアで100個目の得点になる。
・ラヒム・スターリングは直近4試合のアーセナル戦の出場でいずれも得点を挙げている。
【Arsenal】
・開幕3連敗になれば54-55以来。
・今季のリーグで無得点。土曜日に無得点ならば歴史上3回目の開幕3試合ノーゴール。
・ニコラ・ぺぺは直近のプレミアでのアーセナルの5得点のうち、4得点を記録。直近3得点はいずれも彼のもの。
・ベルント・レノは100試合目のプレミア出場。99試合で24個のクリーンシート。直近5人のアーセナルのGKで100試合を達成した選手はいずれも最低でも38個のクリーンシートを記録している。
予想スタメン
展望
■実験中っぽいチグハグ感が所々
勝てないアーセナルが次に立ち向かうのはよりによって王者であるマンチェスター・シティである。今季のマンチェスター・シティの特徴はビルドアップにある。最も真っ先に目につくのは4バックの立ち位置である。
昨今のビルドアップは比較的リーグの中で比較的力関係が下のチームでも、GKを使ったパス回しを行う。それに伴って最終ラインの距離感は遠いことが多い。今季のプレミアリーグではボトムハーフのチームでもよく見る光景である。
シティのバックラインの立ち位置とはこのトレンドとは逆行しているものと言えるだろう。PA幅に最終ラインの4人が集まり密集する。正直、狙いははっきりとは読み取れない。初めは相手の1stプレスを迷わせるためにこういうやり方をしているのかな?と思ったのだけど、スパーズ戦には3トップがナローに構えることで潰されていた感じ。
そうなった時にSBが開いたり、WGが降りてきたりするのかな?と思ったのだけど、全然そういうわけではない。というわけで自軍の浅いサイドのスペースを全然使わない。
相手が閉じたら開くとかが後の先を取るのがこれまでのシティなので、そういった柔軟性とかの部分が今季ここまで見られないのは気になるところである。なんか実験やってるんだろうけども。
崩しの部分ではサイドのトライアングルである。ここまでの相手は全て4バック。狙いとしてはハーフスペース。左右のトライアングルで相手のハーフスペースから抉ってクロスをあげていく。SBが後方から攻撃に参加し、サイドの高い位置に関わっていく。
開幕戦ではグリーリッシュ、スターリング、メンディの3人を軸とした左サイドが中心。大外、ハーフスペース突撃要員、後方のサポート要員の3点を3人でぐるぐる回りながら旋回する。
ノリッジ戦では逆サイドもバランスよく使いながら攻略していたのが印象的。インサイドハーフにマンマークをつけてきたノリッジのやり方を逆手に取り、旋回の申し子であるベルナルドを軸にポジションチェンジでノリッジの守備陣系に穴を開ける。大外でフリーランを行うジェズスも効果的。逆サイドに自在に振れるアンカーのロドリの存在も大きかった。
例年の攻撃と比べてもIHが常に高い位置を取っている感じ。さらにSBが攻撃のフォローにいく中で旋回で外に出ることもある。そうなると中盤中央のアンカー周辺には人がいなくなってしまう。相手のカウンターの精度が高かったこともあるだろうが、スパーズにはこれだけスカスカだとあっさりとカウンターを食らっている。フェルナンジーニョやディアスがいても、かなり厳しい被カウンター対応になっていたので、おそらくこれは仕組みの問題である。
ここまで書くとシティが弱いみたいだが、人数をかけているだけあって攻撃は重厚。当然だけど強い。特に自陣の深い位置から全く脱出できなかったノリッジは悲惨。旋回に動かされ、ポジションを乱され、保持で時間を整える余裕もなく、前に蹴り出しては回収されての繰り返しになってしまう。
中盤中央はスカスカだが、逆に言えば相手がそこに辿り着くことができなければシティにサンドバック状態にされることになる。
■チャレンジ項目はプレッシングではなく•••
前節はとりあえず前に出ていく必要がある!としたアーセナルだが、今節は難しい。当然シティ相手にひきたくはない。が、チェルシー戦のプレスの仕組みと精度では長い時間シティを押し込むのは難しい。バックラインのプレス耐性で言えばチェルシーよりシティの方が上だろう。
特に中盤。IHが高い位置まで出ていくシティ相手にロコンガが飛び出して中盤で数的不利が発生するケースだけは避けたい。
ハイプレスにこだわる必要がないのはそれだけではない。ボールを奪い返した後、自陣からのロングカウンターではチェルシーよりもチャンスを見出すことができるそうである。特にシティの左サイド。右に比べれば左サイドはやや脆さが目立つ。攻め込むならこっちサイドだろう。なんとか好調のぺぺまでボールを繋ぎたい。アーセナルのSHは撤退時には5レーンを埋めるために自陣まで下がることが求められるだろうし、攻撃時は高い位置まで出ていく必要がある。攻守に運動量が求められることになるだろう。
なので、押し込まれてからのシティのハイプレスをどう交わすかである。おそらく、チェルシーほどはシティの前線と中盤は時間を与えてはくれない。時間がある中でもボールを前に進めることができないアーセナルが、時間がない中でパスコースを作ることができるのか?というのは疑問だが、それが一番の勝ち筋だろう。
大きな展開ができるジャカとロコンガが前を向くシーンを作ることができればカウンターのチャンスになる。下記のチェルシー戦のシーンのように相手のプレスを掻い潜りCHが前を向く状況を作れるかがポイントだ。仮にそれができなければノリッジの二の舞になる可能性すらある。
前節のチェルシー戦ではプレッシングがチャレンジ項目だったけど、今節はプレス回避。仮にこれがハマってシティが撤退し、保持の機会を取り上げられるならば、それはそれでOK。今節のチャレンジがハマることが連敗を止めるための第一条件だ。
ただし、一番の懸念はチェルシー戦と同じく対応力。アーセナルは立ち上がりのやり方がハマったとしても、シティはおそらくそれに対応した修正を10分弱では施してくる。
したがって、勝ち筋を考えるならば開始数分で先制点を取ること。その時間はプレッシングへのチャレンジもあり。試合が落ち着く前にシティが整わない状況を利用して先制を取りたい。試合が落ち着けばシティが押し込むのだろうから、そこからのロングカウンターも当たりを一発で引く。そして、あとは祈る。対応力で上回れれば最高だが、現実的には短期間でそこでしてぃを凌ぐのは難しい。ならば、必ず当たりを先に引くこと。先制点を奪うことが勝利に向けての絶対条件だ。