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「エネルギーを利用する」~2021.8.28 J1 第27節 北海道コンサドーレ札幌×川崎フロンターレ BBC風オカルトプレビュー

 このプレビューは対戦カードの過去の因縁やジンクスを掘り起こして、試合をより一層楽しむための物です。

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第27節
2021.8.28
北海道コンサドーレ札幌(9位/10勝6分9敗/勝ち点36/得点33/失点34)
×
川崎フロンターレ(1位/19勝6分1敗/勝ち点63/得点56/失点17)
@札幌ドーム

戦績

近年の対戦成績

図1

直近10回の対戦で札幌の1勝、川崎の7勝、引き分けが2回。

札幌ホームでの戦績

図2

直近10試合で札幌の1勝、川崎の6勝、引き分けが3つ。

Head-to-head

<Head-to-head>
・J1での対戦は過去13試合。川崎は一度しか負けていない(W10,D2)。
・しかし、直近5試合の札幌戦で川崎は2回勝ちを逃している。
・札幌のホームゲームでは川崎が3連勝中。
・8月の札幌でのリーグ戦は2年連続。昨年は1-6で川崎が勝利。

 基本的には圧倒的に川崎が相性優位なカードである。過去の対戦成績を見ても川崎が札幌を圧倒。J1では一度しか負けていない。しかし、札幌からすると近年は以前ほどの苦手意識はないだろう。ここ5試合単位で見れば点差も戦績も均衡。十分渡り合えている。

 ただし、札幌ドームとなると話は別。札幌が健闘しているのはむしろ等々力の方で札幌では川崎が3連勝中。昨年も同時期に試合を行い、川崎が大勝している。ちなみに札幌が9位、川崎が1位という順位での対戦も昨シーズンと同じである。

スカッド情報

【北海道コンサドーレ札幌】

・宮澤裕樹は24日の練習中に脳震盪で欠場。
・チャナティップにはメンバー入りの可能性。

【川崎フロンターレ】

・谷口彰悟、大島僚太、塚川孝輝は離脱中。
・旗手怜央は前節負傷交代。

予想スタメン

画像3

Match facts

【北海道コンサドーレ札幌】

<札幌のMatch facts>
・直近2試合のリーグ戦未勝利。
・現在のトップ6のチーム相手に勝ちがない(D2,L6)。
・公式戦6試合連続クリーンシートがない。
・リーグ戦の敗戦は直近4試合とも無得点。
・小柏剛は直近4試合で3得点。
・青木亮太が今季公式戦で決めた4得点はいずれもホームゲーム。

 リーグ戦は2連勝の後、2試合勝ちなし。再開直後は前節の名古屋戦が唯一の敗戦ということで、成績は悪くない。ちなみにリーグ戦で3試合連続勝ちなしになれば4月以来の事になる。上位相手の戦績が悪いのは気になるところだが、川崎は前節同じく上位との戦績が悪い福岡に敗れていたりする。

 クリーンシートがないのはスタイルな気がするが、4月の横浜FM戦以降は得点をとった試合は全て勝ち点を取っているのはちょっと意外な感じがする。

 個人で見ると前線は好調。小柏は前節こそ点を取れなかったが、それ以前は3試合連続得点中。青木はリーグ戦初ゴールとなったFC東京戦を含めて、今季とった4ゴールはいずれもホームゲームのものである。

【川崎フロンターレ】

<川崎のMatch facts>
・リーグ戦3試合未勝利。
・8月のリーグ戦は直近7試合で2勝(D2,L3)
・直近3試合のリーグ戦で1点のみ。
・直近9試合のリーグ戦で勝てなかった4試合はいずれも前半無得点。
・直近5試合の5得点のうち、3得点はレアンドロ・ダミアンが挙げている。
・小林悠は出場した直近8試合の札幌戦で全て得点を挙げている。

 リーグ戦で3試合勝利がないのは2年ぶり。この時は6試合連続で勝利ができていない。ちなみに8月の戦績が悪いのは今年に限ったことではない。絶好調の昨年も名古屋に止められたのは8月。2019年は未勝利と毎年ここで躓くのは同じである。

 リーグ戦で苦しんでいるのは得点力が大きな理由。特に前半に得点を取れなかった試合はもれなく苦しんでいる。前半に点が取れれば勝てるし、取れなければ勝てない。乱暴だが中断以降はもれなくこれに当てはまる。

 得点源として期待されるのは当然FW。コンスタントな結果を出しているダミアンだが、8試合連続得点と圧倒的な札幌戦への相性の良さを示し続けている小林にも期待したい。昨年札幌に敗れた試合は彼が負傷欠場している。

展望

■ライン間と裏抜けでスイッチを入れる

 札幌は相変わらず尖っているチームだなというのが直近の試合を見た感想である。基本的にはエネルギッシュで運動量が多く、ボールが敵陣と自陣を行き来する忙しいサッカーである。

 直近で大きく変わった点で言えば、前線の人選だろうか。アンデルソン・ロペスの移籍の影響からか、機動力系のドリブラーを集結させるのが主流の組み合わせに。最低2人、もしくは3人とも機動力系のアタッカーでメンバーを組むことも珍しくない。具体的に言えば、ジェイが先発ではない時は、スピード重視の組み合わせになるようだ。

 したがって攻撃において増したのは敵陣に入った時の直線的な動き。ライン間で受けたドリブラーが前を向いて加速しスイッチを入れてゴールに向かう。コンビネーションでの打開はそこまで多くない。逆にライン間にボールを入れるところまでは探り探りやるようになった。まぁでもこれは多分相手次第。プレッシャーをかけてこない相手なら急がないけど、おそらく強くプレッシャーにくる相手に対してはそれなりに急ぐのではないだろうか。

 スピード系で前線を揃えた場合は一発での裏への抜け出しもある。特に、クイックネスで言えば脅威なのは小柏。よーいドンのスピードで相手を出し抜ける破壊力を持っている。出し手としてケアすべきは当然福森である。

 CHが保持において縦関係になるのはお馴染みの光景。人数調整のためなら積極的に最終ラインに落ちて、相手の陣形を縦に間延びさせようとする。遅攻の場合のキーになるのは右のWBの大外からの仕掛け。シーズン序盤は金子が務めていたが、ルーカス・フェルナンデスが復帰してからは彼がWBに入り、金子がシャドーに入ることが多いようだ。

 そしてもう一つの武器はジェイ。彼に当てて追い越すように抜け出しを誘発するか、全体をパス交換で押し上げながら、福森→ジェイの長いボールでエリアでフィニッシュに繋がるボールを落とすパターンのどちらかが多い。遅攻は正直多彩な感じはしないが、わかりやすい尖った強みで勝負してくる感じである。

 守備は基本的に人基準。落ち着いて組むみたいな要素はあまりレパートリーにはない。落ち着けられないのか、落ち着かない展開を望んでいないのかはわからないけど、守備で落ち着くのはちょっと難しい感じ。撤退したとて強度は怪しい。だからこそ、落ち着かせないのかもしれないけども。

■エネルギーの使い所を定める

 川崎はなかなかに苦しい状況になってきた。今までの川崎は相手に合わせたやり方で落ち着いて相手に立ち向かえば問題ないことが多かった。例えば、札幌相手ならば、殴り合いで薄い最終ラインに襲いかかり、彼らに広いスペースを守るリスクを大いに受けてもらう!みたいなやり方が良かったはず。

 でも今の川崎はそういうチームではない。自分たちにできることも見極めなければいけないチームである。三笘、田中抜きでガンガンぶん殴れるほど破壊力のあるチームではないのが川崎の現状だ。

 やるべきなのは福岡戦の後半の振る舞いだろう。おそらく、札幌は被保持において、川崎のDFラインに時間を与えないようにするはず。だとしたら、前節の車屋のように、運ぶドリブルで目の前の相手を1人剥がすことが重要。中盤ならば期待したいのは脇坂。前節出場なしの屈辱を晴らしたいところだが。

 もう一つ期待したいのは前線のフリーラン。一発で抜け出して圧巻のちがいを作るのは難しくても、後方から一つ一つ剥がしながら前進しつつ、最後の最後で相手を悩ませるような駆け引きをして欲しいところである。ここは福岡戦よりも札幌相手の方が勝負できる部分だと思う。

 前線の動き出しの部分では札幌戦で相性がいい小林に期待したい。慌てて縦につけるのではなく、札幌の守備の穴に一つ一つ漬け込むようなイメージで攻撃を進めていきたいところである。

 守備はまずはライン間をコンパクトに維持し、札幌のドリブラーに前を向くスペースを与えないことが肝要である。特に中盤は後ろを気にしながらパスコースを切る。ひとまずは外に追い出すように守るのも悪くない。まずは彼らの選択肢を一つ取り上げるイメージで望みたいところである。

 裏はソンリョンも含めてケアをしていきたい。列落ちしまくる札幌相手だと、川崎の前線が常にチェックをかけるのはおそらく体力的には難しいだろうが、大きな展開が多い福森のところだけはなんとしてでも捕まえたい。そういう状況で中2日の家長を起用するかは気になるところである。

 エネルギーは限られている。狙いどころを絞りながら確実に奪回でダメージを与えたい。ジェイが出てきた場合は彼に縦パスが入ったが狙い目。カットできれば最高だけど、それが無理でも挟んでミスを誘いたい。ジェイへの楔に対して、札幌のシャドーは裏に抜ける動きを合わせることが多いので、奪回に成功すればスムーズに前進のチャンスができる。ジェイのポストは彼らのチャンスのスイッチでもあるが、この試合においては川崎のカウンターのスイッチとしても利用したいところである。

 保持では相手のプレスの開けた穴を、そして非保持では相手の前に出る動きを利用しつつ。自分たちが苦しい分、相手のエネルギーを裏返す形でチャンスを掴みたいところだ。

【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)

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