虹をかけた10番の一振りが試合を決める
首位をひた走るレアル・マドリー。今節の対戦相手はセビージャ。かつてのレジェンドであるセルヒオ・ラモスにとってはベルナベウ凱旋の一戦となる。
マドリーの本日の陣形は4-3-3がベース。保持も非保持も大まかにはこの形ではあったが、共に微妙な変形があった。非保持においてはWGの高さが左右対称。左のヴィニシウスが前線に残るのに対して、ディアスはMFと同じ高さに下がりながらスペースを埋める格好に。4-4-2っぽくも見えるが、中盤の陣形はチュアメニが少し深い位置を取っていたのでWGの高さが異なる4-3-3とする方が自然かもしれない。保持ではクロースがお馴染みの左サイド落ちを披露。こちらも左右が非対称な変形を見せる。
セビージャは5-3-2でブロックをきっちり組む構え。外にいる選手に対してがっちりプレスに行くわけではないので、マドリーの保持のフェーズは自然と増えていく。
セビージャの陣形的に手薄であるサイドから進撃するマドリー。大外からの切り崩しを狙っていく。序盤に効いていたのは右のディアス。ゴリゴリとブロック守備を削りながら侵入していくようなドリブルでセビージャの守備に穴を開けるカットインからのチャンスメイクが光っていたといえるだろう。
セビージャはポジトラが生命線。ボールを奪ったら脱兎のごとく駆け上がる左サイドのオカンポスがターゲットになり、左サイドから2トップに少ない手数でチャンスメイクを行う。
ただ、序盤のワンパンチ目は非常にクリティカルな決定機につながったものの、それ以降はこの形は沈黙。逆にマドリーもトランジッション重視の展開に乗っかろうという素振りは見えたが、ボールを奪う段階でファウルを取られることが多く、局面がぶつ切りになってしまう。この辺りにはマドリーは相当にフラストレーションを溜めていた。
後半は互いに後方からのゆったりとしたポゼッションが目立つ展開に。こうなるとペースは押し込んだ際の選択肢の豊富さに帰属する。当然有利なのはマドリーである。右サイドのクロスからバルベルデがチャンスを迎えるなど、序盤は前半と同じ右を軸に攻撃を組んでいたが、時間の経過と共に勝負のポイントは左サイドにシフト。ヴィニシウスにボールをガンガン集めていく。
攻めに出ていくことができないセビージャにとってはひたすら耐える時間が続く苦しい展開。サイドへのスライドでハーフスペースを封鎖しつつ、オカンポスのトランジッションを生かす攻撃で何とか反撃を狙う。
だが、最終的にマドリーはブロック守備のこじ開けに成功。モドリッチのミドルは美しい軌道を描きネットイン。ピッチに虹をかけた10番の一振りで試合は決着。ホームのマドリーが苦しみながらも3ポイントを手にした。
ひとこと
美しいミドル。時が止まったように思えた一撃は膠着した試合の決め手になるには十分すぎる代物だった。
試合結果
2024.2.25
ラ・リーガ
第26節
レアル・マドリー 1-0 セビージャ
エスタディオ・サンチャゴ・ベルナベウ
【得点者】
RMA:81‘ モドリッチ
主審:ディアス・デ・メラ・エスクデロス→カルロス・フェルナンデス・ヴェルゴ