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「Catch up Premier League」~Match week 30~ 2024.3.30-3.31

目次

ニューカッスル【10位】×ウェストハム【7位】

続出する負傷者とリンクしない逆転劇

 代表ウィーク明けのプレミアリーグが開幕。ここからいよいよラストスパートである。ランチタイムキックオフでオープニングを飾るのはニューカッスルとウェストハムである。

 4-3-3と4-2-3-1というフォーメーションの組み合わせらしく、中盤はガッチリと組み合う流れに。トップのところはプレスを余らせる形になり、中盤より先にどのような解決策を見つけるか?というところの探り合いになっていく。

 だが、試合は早々に動く。ややアクシデンタルな接触でニューカッスルがPKを獲得。ウェストハムのコーファルが痛恨のファウルを献上してしまい、イサクがこれを仕留める。

 これ以降もニューカッスルは快調。中盤からのスピードアップできるポイントを見つけられるかが重要なのだが、SHの背後を取るリヴラメントやIHとWGのレーン交換などからスキを作って勝負を仕掛けていく。特にゴードン周辺のズレは有効。ゴードンにボールが渡れば左サイドの奥をとり、ボックス内にクロスを供給することができる。より一人一人が局面で勝負している感があったウェストハムに比べると優勢という感じであった。

 順調だったニューカッスルだが、ラッセルズが負傷交代。CBにクラフトが入るというスクランブルな状態になる。ウェストハムは見事この状況に漬け込み同点。ややリトリート気味になったニューカッスルに対して、クラフトの背後をとったアントニオがゴールを仕留める。

 DFラインが急造になったダメージがあったニューカッスルだが、出口となっているゴードンの仕掛けは強烈。以降も試合を優位に進める。

 だが、ゴールを奪ったのはウェストハム。後半追加タイムに物議を醸すクイックリスタートからクドゥスがゴールを決めてHT直前にリードを広げる。

 勢いに乗るウェストハムは前半早々に追加点。ファストブレイクのお手本のような形でボーウェンとクドゥスのコンビであっという間にリードを広げる。この2人はこれ以降もニューカッスルのDFに穴を開けていく。

 カウンター対応はしんどそうだったニューカッスルだが、押し込むことができれば問題なく崩せそうな手応え。ブロック守備を組むウェストハムをサイドから上下動させることで振り回していく。

 更なる負傷者が出たことはニューカッスルにとっては不運だったが、これが彼らの勢いを止めることはなかった。受けようとするウェストハムの選手交代がテコ入れにならず、ボックス内でひたすらタコ殴りにされる。

 すると、ニューカッスルはPKを獲得。OFRで取られるにしてはやや気の毒なPKをフィリップスが献上し、イサクがこれを仕留めて1点差に追い上げる。

 ここから逆転まではあっという間だった。降りるイサクでバックラインを釣り、その背後をバーンズが壊すという無限ループから逆転まではあっという間であった。

 最後はニューカッスルもゴードンが遅延行為で退場するというドタバタぶり。プレミアのランチタイムにふさわしいジェットコースターのような試合はホームのニューカッスルの大逆転勝利で幕を閉じた。

ひとこと

 劇的だが妥当。この試合はそれに尽きる。

試合結果

2024.3.30
プレミアリーグ 第30節
ニューカッスル 4-3 ウェストハム
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:6‘(PK) 77′(PK) イサク, 83′ 90′ バーンリー
WHU:21‘ アントニオ, 45+10′ クドゥス
主審:ロベルト・ジョーンズ

チェルシー【11位】×バーンリー【19位】

悪癖を見せたチェルシーと意地を見せたバーンリー

 立ち上がりからロングキックの応酬となった試合。変わった狙いが見えたのはアウェイのバーンリーの方だった。バーンリーのロングボールは左サイド狙い。2トップが左サイドに流れて起点を作り、左のSHをスタートポジションとするオドベールがインサイドに入ってくる。

 この試合におけるバーンリーの左サイドの動きは興味深いものだった。サイドに流れる2トップをサポートするのは大外に立つヴィチーニョと後方支援役のカレン。2トップで起点を作り、折り返す動きからフィニッシュを狙っていく。

 ただ、10分が過ぎると少しずつチェルシーのペースになっていく。まずはカウンターからジャクソンに当てることでファストブレイクを進行。右サイドのヴィチーニョの背後を取る形から一気にサイドの奥をとる。

 定点攻撃でも右サイドは軸になる。カイセドのサリーか、グストを片上げするかのどちらかで3-2-5の形を作ると、やはりグストの抜け出しの形からクロスを上げていく。

 だが、決め手になったのは左サイド。セットプレーからのクロスで先制点かと思われたが、これはハンドで取り消し。しかしながら、ムドリクがアシニョンの退場を誘発してPKを奪い取る。珍しく怒りに身を任せて退場するコンパニのリアクションも理解できる微妙な判定だった。このPKをパルマーが仕留めて先制。チェルシーがリードしてハーフタイムを迎える。

 後半も3-2-5でポゼッションするチェルシーが4-4-1で構えるバーンリーを押し込んでいくスタート。しかし、バーンリーはすぐに反撃。右サイドに移動したヴィチーニャを起点とした攻撃でムドリク、エンソ、カイセドをまとめて手玉にとると最後はカレンのミドルで同点に。

 以降はバーンリーに10人という数的不利を感じるシーンは少なかった。中盤のハードワークにより、サイドのスペースを埋めることがやたらと上手かったし、そこそこボール保持の機会も得ていた。

 サイドの数を合わせられたチェルシーは力技で対抗。ムドリクとマドゥエケの両翼からゴリゴリと削るようにしてクロスを上げていく。

 ただし、勝ち越しゴールはややテイストが違った。後半は存在感が薄かったパルマーがスターリングのオシャレなフリックを受けてゴールをゲット。サイド攻勢だった後半の中では異質な中央破壊からチェルシーがリードを奪う。

 だが、直後にバーンリーはセットプレーから同点。最後までピリッとせずに試合を仕切れなかったチェルシーは45分以上10人だったバーンリーにホームで引き分け。チームの士気に影響しそうな重たい勝ち点ロストとなった。

ひとこと

 後半に垂れる悪い時のポチェッティーノのチェルシーが顔を出したなという感じ。

試合結果

2024.3.30
プレミアリーグ 第30節
チェルシー 2-2 バーンリー
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:44′(PK) 78′ パルマー
BUR:47′ カレン, 81′ オシェイ
主審:ダレン・イングランド

シェフィールド・ユナイテッド【20位】×フラム【12位】

後半は一転乱打戦に

 バックラインはボールを持ちながらスタートするフラム。ひとまず、SBにボールをつけることで様子見する。ブレイズは中盤がスライドすることで対抗。2列目の選手の列落ちにはWBがついていくことで対抗していく。

 ボールを落ち着いて持つことができていたフラムだが、若干ポゼッションがU字気味であり効果的なパスを刺すことができない状況が続いてしまう。ウィリアンの横断ドリブルやカスターニュのバックドアでの裏取りなど前線で少しずつ動きが出るようになったが、ブレイズの守備を明らかに崩すようなアクションは量的にもの足りていない印象であった。

 一方のブレイズも保持に回れば苦戦が目立つ。2トップのマクバーニーとブレアトンへのロングボールから攻撃の構築を図るが、ボールを収めきれずにこちらも起点を作ることができない。後方からの駆け引きができないという意味ではフラムより苦戦。バッシーのキャリーなど少しずつ後方からこじ開ける努力は見える分、試合はフラムの方が優勢と言えるだろう。

 しかしながら、互いにゴールにつながるような明確なチャンスはなし。スコアレスのまま試合はハーフタイムを迎える。

 後半は前半と打って変わって流動的な展開。ムニスがサイドに流れて起点となったり、クロスバーを叩くなどの存在感を発揮すると、右に流れるブレアトンがボールを収めるなど互いのエースを軸とした攻撃を構築していく。

 攻撃の機会的にはフラムの優勢は変わらなかったが、先制点を奪ったのはブレイズ。アダラバイオのパスミスを見逃さなかったオズボーンのポジトラからブレアトンがゴールを沈める。

 だが、すぐにフラムはセットプレーから同点。CKでドフリーになったニアのパリーニャに合わせる格好で試合を振り出しに戻す。

 振り出しに戻ったところで存在感を発揮したのはブレイズのエースのブレアトン。FKのクイックリスタートから裏をとり、マクバーニーのゴールのアシストを決めると、直後には自身がゴールを揺らして追加点。ファーに流れたクロスに対して体ごとゴールに押し込んでリードを広げる。

 これで試合は決まったかと思われたがフラムも意地を見せる。交代直後にミドルシュートを沈めたボビー・リードのゴールで1点差に追い上げると、同点弾を決めたのはこちらもエースのムニス。アクロバティックなシュートを捩じ込んで後半追加タイムに同点に追いつく。

 以降も続く長い追加タイムだったが、互いにそれ以上ゴールを奪うことができず。一転打ち合いとなった後半は6ゴールが生まれる乱打戦となった。

ひとこと

 勿体無い勝ち点の落とし方をしてしまったブレイズ。得点を決めても決めても3ポイントを奪えないブレアトンはちょっと気の毒である。

試合結果

2024.3.30
プレミアリーグ 第30節
シェフィールド・ユナイテッド 3-3 フラム
ブラモール・レーン
【得点者】
SHU:58′ 70′ ブレアトン, 68′ マクバーニー
FUL:62′ パリーニャ, 86′ ボビー・リード, 90+3′ ムニス
主審:ティム・ロビンソン

ノッティンガム・フォレスト【18位】×クリスタル・パレス【14位】

変わった状況を踏まえると勝ち切りたかった

 ここに来て勝ち点減処分を喰らってしまい、ルートンと入れ替わる形で降格圏に足を踏み込んでしまったフォレスト。そろそろやばいかもしれないという状況は一転。勝ち点を積まないとどうにもならない状況になってしまった。

 ホームでパレスを迎える一戦の立ち上がりは上々。ロングボールの応酬となって落ち着かない序盤戦を凌ぐと少しずつペースを握る。キーになったのはサイドの突破。左サイドのハドソン=オドイの抜け出しを皮切りにサイドを抉ることでパレスを押し込んでいく。

 プレッシングにも積極的なカラーが反映。フォーメーション上は3バックのパレスとは噛み合わない形になっているが、サイドのプレスをずらして前から噛み合わせることでパレスのパスの受け手にガンガンプレッシャーをかけていく。こうなるとパレスは背負うことができるマテタにボールを集めるのだけども、フェリペが見事に渡り合っていた。

 ペースを握ったフォレストだったが、マンツーでの後方同数受け入れはひょんなことから壊れてしまって大ダメージを負うというあるあるがある。フォレストも見事にこれを喰らってしまった。トランジッションからレルマの縦パスを起点に後方が崩壊。エゼの裏抜けとマテタの動き直しでフリーの選手を作り、あっという間にゴールを陥れてしまった。

 勢いに乗ってプレスに出てくるパレスだが、フォレストはこの強気のプレスを跳ね返してひっくり返す。サイドの裏抜けや縦パスを入れてからの大外への展開など、パレスの守備ブロックを破壊する形のボールの動かし方はできていた。

 押し込まれるパレスは瞬間的な切れ味で勝負。裏に抜けるエゼへのパスでウォートンが1on1を演出するなど、先制点の場面を再現する形のチャンスメイクを行っていた。

 リードを許すフォレストは後半になってアタッカーを増員。インサイドハーフをギブス=ホワイトとエランガという非常に攻撃的な組み合わせで攻め立てていく。人数とキャラクターを攻撃的にした効果は十分。サイドの攻撃に厚みが加わり深く抉る形を作っていく。特に右サイドの元リバプールコンビが躍動していたのが印象的だった。

 勢いに乗るフォレストは同点ゴールをゲット。ギブス=ホワイトのクロスから抜け出したウッドが技ありのヘッドでヘンダーソンの守るゴールマウスを破る。

 パレスは前に起点を作れずに苦労するという前半の焼き直しが続くが、85分付近からようやく盛り返しに成功。ムニョスなどサイドのアタッカーがこの試合で初めて躍動した時間帯だった。クラインとの交代で走って退いたミッチェルを見ても手応えを感じているのだろうなと思った。

 結局、試合はそのままスコアが動かず。優位に押し込む時間が長かったフォレストだが勝ち切ることはできなかった。

ひとこと

 悪くはない1ポイントではあると思うけども、状況が変わってしまったのでここは3ポイントを積み重ねたかったであろうフォレストであった。

試合結果

2024.3.30
プレミアリーグ 第30節
ノッティンガム・フォレスト 1-1 クリスタル・パレス
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
NFO:61′ ウッド
CRY:11′ マテタ
主審:クリス・カバナフ

ボーンマス【13位】×エバートン【16位】

捻り出したゴールと軽すぎるオウンゴール

 共にフォーメーションは4-4-2でガッチリと噛み合うスタート。マンツー気味にプレスをかけていく立ち上がりとなる。

 時間が経つとエバートンは少しプレスを控えるように。バックラインに常にプレスをかけることはなく、CBが余裕を持ってボールを持つことができるように。エバートンはPA手前にラインを設定しつつコンパクトにボーンマスの攻撃を受け続ける。

 エバートンはボーンマスのプレスに対して急かされるように前に蹴り出すケースが増える。しかしながら、別にこうした展開自体が悪いわけではなさそうなテイスト。急かされてテンポアップしていくことでボーンマスのファウルを誘発し、セットプレーからチャンスをかき集めていく。オープンプレー、セットプレーに関わらず強引なクロス自体はそれなりに手応えがありそうなエバートンだった。

 ただし、テンポが上がること自体はボーンマスは保持に回れば歓迎。アップテンポな状況により生み出されたスペースから2列目がドリブルでチャンスメイクし、ミドルブロックを崩すときには見られなかったファウルのもらい方ができるように。

 フォーメーションが噛み合っている分、デュエル色が強くなった前半の45分。どちらのチームも互いに決定的なチャンスを生み出すことができないままスコアレスでハーフタイムを迎える。

 後半、ボーンマスは縦パスの意識を強めてチャンスメイク。前半の2列目の躍動に自信を持ったのか前にボールを当ててターンを狙いここから加速を画策していく。エバートンはこれを咎めてトランジッションで自分たちの攻撃のターンに引き寄せていければ優位が見込める。しかしながら、優勢だったのはボーンマス。積極的な姿勢が奏功して、攻める機会を増やしていく。

 その流れに沿うようにボーンマスは先制点をゲット。左サイドからのシンプルなクロスをターコウスキの背後からソランケが叩き込んでゴールを決める。2列目からはセメンヨのキャリーが効いていた場面だった。

 失点以降は押し込むフェーズが増えていたエバートン。ベトを投入し2トップに移行して前線に放り込む場面を増やしていく。このパワープレーの方向性は見事に得点につながる。GKに突っかける形でエラーを誘い、ベトが同点ゴールを叩き込んだ。

 しかし、ようやく捻り出したゴールは直後のコールマンのあっけないオウンゴールで台無しに。ピックフォードとの連携ミスで生まれた失点は汗をかいて掴んだゴールに対してあまりに釣り合わない軽いものであった。

ひとこと

 こういう形で劇的なゴールが台無しになるのは悲しい。

試合結果

2024.3.30
プレミアリーグ 第30節
ボーンマス 2-1 エバートン
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
BOU:64′ ソランケ, 90+1′ コールマン(OG)
EVE:87′ ベト
主審:サム・バロット

トッテナム【5位】×ルートン・タウン【17位】

ジョンソンが活性化した右サイドからガタガタのルートンをようやく仕留める

 いつもの通り、強気のマンツーで当たりに行くルートン。高い位置に出ていく際のマンツーとリトリートを使い分けていく。トッテナムとしては当然想定通りだろう。大きく動きながらマークを外すポゼッションから勝負を仕掛けていく。

 ただ、想定外だったのは先制点をルートンに献上してしまったことだろう。右サイドを深い位置まであっさりと抉られると、折り返しからバークリーが真横に鋭いラストパスを送りこれをチョンが決める。サイドに出ていったビスマの対応から全体的にゆるさを感じるもので、それをゴールシーンまで引きずってしまった印象だ。

 それでも保持においてはまだまだ手応えがある。マディソンの降りるアクションから相手を外して大きく展開、SBのオーバーラップからボックスのサイドを深く抉っていく。ルートンはこのサイドの奥をなんとか止めてやろうという意識を持っていた。ラドック、メンジはひたすら裏抜けについていきながら潰していく。

 トッテナムは優勢の状況ではあるのだが、徐々にだらっとしたオープンな雰囲気に巻き取られていく。ネガトラのゆるさは試合開始からの話ではあったのだけども、保持がぶつ切りで1人ずつが勝手に突撃していくシーンが増えた印象。トッテナムの良さは味方の動きを連鎖的に利用すること。単発感のあるこの時間帯はトッテナムの良さは出てこない。ソンが両側のポストに当てた場面以降、この傾向には拍車がかかった。

 前半の終盤はむしろ、ルートンがファウル奪取からセットプレーでチャンスを作るなど僅かに優勢に。トッテナムは右肩下がりのパフォーマンスでハーフタイムを迎えることとなった。

 後半、トッテナムはジョンソンを投入して右サイドをテコ入れ。前半にクルゼフスキが苦しんでいたのはなんだったのか?というくらいあっさりと右サイドを壊していく。

 大外のジョンソンのワンツー、そしてハーフスペースの相棒の抜け出しからラインを下げると、素早い折り返しからチャンスを創出。カボレのオウンゴールを誘い、後半早々に追いつく。

 ルートンはハーフタイムに交代でCBに入った橋岡がしっちゃかめっちゃか。マンツーの原則を守ろうとマディソンやソンについていってはルートンの中央に穴を開けてしまっていた。いくら不慣れなポジションでもちょっとやり過ぎ感はある。

 以降もこの形から無限にチャンスを作り続けるトッテナム。狙い撃ちされたカボレはあわや2つ目のオウンゴールを献上してしまうことしてしまうかもしれない場面すらあった。

 トッテナムは徐々に左サイドでの崩しに移行。同じように抜け出しからの押し下げで早いクロスを入れて攻撃をガンガン仕掛けていく。

 実ったのは86分。故障者だらけで11人並べるのがやっとのルートンを壊すのにはだいぶ時間がかかったが、ジョンソンの冷静な落としからソンがようやく仕留める。

 まさかの苦戦を強いられたトッテナムだが、最後はなんとか勝ち切ることに成功。勝ち点3を積み上げた。

ひとこと

 アーセナル戦、ルートンは誰が出れるのだろう。

試合結果

2024.3.30
プレミアリーグ 第30節
トッテナム 2-1 ルートン・タウン
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:51′ カボレ(OG), 86′ ソン
LUT:3′ チョン
主審:ジャレット・ジレット

アストンビラ【4位】×ウォルバーハンプトン【9位】

先制点以降、抵抗できなかったウルブス

 立ち上がりにボールを持ったのはウルブス。3-4-3でビラの4-4-2とは異なる噛み合わせを生かしながら、サイドからボールを前に運んでいく。

 特に安定してこの役割を果たしていたのは右サイド。セメドはもちろんのこと、ワイトのCBであるサンチャゴ・ブエノの持ち上がりからアストンビラを押し込んでいく。

 一方のビラはカウンターを重視するスタート。サイドに引き付けてのインサイドへのパスでネットを揺らしたり(オフサイド)、ティーレマンスらしい楔から縦に早く進んで行ったりなど少ない機会ながらも有効な前進を繰り返していく。

 20分が過ぎたところからビラは少しずつボールを持つように。3-2-5に変形しての定点攻撃を増やしながらウルブスのゴールに迫っていく。

 前線にカウンターの名手がいないウルブスはこうなると苦しい。ポゼッションと主導権は一致しないとよく言ったりはするが、ビラの保持はきっちりと主導権をセットで引き寄せたものとなった。

 ウルブスにとって救いだったのはブロック守備がきっちりしていたこと。堅い展開でなんとかスコアレスに持ち込み、試合は得点がないままハーフタイムを迎えるのが青写真だっただろうが、それを打ち砕いたのはディアビ。36分のゴールでリードを奪い、前半のうちに試合を動かしてみせた。

 後半、互いにプレッシングから主導権を握りにいく展開でスタートする両チーム。ウルブスからすれば敵陣にボールを持ちながら近づくための手段構築が必要で、それが高い位置からのプレッシングだったということだろう。

 しかしながら、マルティネスやパウ・トーレスのいるビラのバックラインに対して高い位置からのプレスを安定して引っ掛けるのは至難の業。せいぜいボールを奪えるのは中盤であり、そこから先のゴールに近づく手段をなかなか持ち合わせていない。

 ジョアン・ゴメスなどは独力のドリブルでファウルをもぎ取るなど強引な形から自分たちの時間を作れてはいたが、それができる選手は稀。ウルブスは徐々に苦しい時間をが増えていく展開に。

 そんなウルブスにとどめを刺したのが追加点。右サイドからのコンサのクロスがアクシデンタルにそのままゴールにすっぽり。多少ズレていてもデュランが押し込んでいただろうが、いずれにしてもこのゴールでビラは試合の行方を決定づける。

 最後までゴールを奪うことができなかったウルブス。先制点を奪われて以降はチャンスらしいチャンスを作ることができずに完封負けを喫した。

ひとこと

 やはり前線のパンチ力のなさは苦しいものがあるウルブス。ビラもハーフタイムに下がったワトキンスの状態が気がかりである。

試合結果

2024.3.30
プレミアリーグ 第30節
アストンビラ 2-0 ウォルバーハンプトン
ビラ・パーク
【得点者】
AVL:36′ ディアビ, 65′ コンサ
主審:ポール・ティアニー

ブレントフォード【15位】×マンチェスター・ユナイテッド【6位】

ゴリゴリの削り合いの結末は

 立ち上がりはロングボールからスタート。この流れで優位を取ったのはブレントフォード。前線の空中戦で競り勝ち主導権を握る。インサイドで競り勝てるので左右からのクロス選択もカジュアル。ブレントフォードの攻撃のプランは非常にシンプルであった。

 一方のユナイテッドはロングボールだと前線に起点を作るのは難しい。なので自陣からボールを繋ぐアクションをしていく。ブレントフォードのプレスはハイプレス一辺倒ということではなく、5-3-2のリトリートを組み合わせる形だった。よって。まずは2トップの脇に起点をとってサイドから押し下げていく。

 ただし、押し込むこと=主導権を握ることではない。ゴリゴリとしたブロック崩しを求められるわけだけども、当然インサイドでの空中戦では競り勝てないので、運べたサイドからただクロスを入れるだけではアウト。だが、それ以外の手段を提示することができずに苦戦。中盤や狭い範囲でしか動かせず、全体が後ろ重心。スペースに走り込むような選手もおらず、ただただ跳ね返される時間が続いてしまう。

 ゴリゴリ削るという意味では肉弾戦で優位に立てるブレントフォードが有利。さらにはユナイテッドのクロスを跳ね返したところからサイドの裏にカウンターを走らせてファストブレイクを狙うこともできており、全体的にブレントフォードが優勢だったと言えるだろう。

 後半もブレントフォードがモメンタムを握るスタート。左右からのクロス、そしてそこからハイプレスで押し込むフェーズが機能してユナイテッドを押し込んでいく。

 この試合のブレントフォードはボックス内でのタッチ数80という驚異的な数字を記録したけども、これはシンプルにユナイテッドのラインが下がって受けてしまっている上に、ボールを跳ね返すことができないことが起因のように思える。ユナイテッドのボックス内ではまるでラグビーのような攻防が繰り広げられており、一般的なボックス内でのボールタッチ数が生み出す優位とはちょっとテイストが違うなと思った。それでも優位なのは違いないのだけども。

 ユナイテッドは前半以上に押し上げられない展開に苦戦。それであればとプレッシングにいくのだけども、今度はフレッケンのフィードを軸としたブレントフォードのポゼッションからひっくり返されてしまう。ボックス内ではトニーが強さを発揮。引きちぎるような動きだしとシンプルな競り勝ちで主導権。ネットを揺らしたシーンこそオフサイドで取り消されてしまったが、存在感は十分だった。

 暗中模索のままユナイテッドは0-0で突入した後半追加タイムで劇的なゴールをゲット。カゼミーロとマクトミネイが体を張って捻り出したスペースから見事なゴールを決める。

 だが、この劇的ムードを掻き消すようにブレントフォードは同点ゴール。サイドから押し下げたトニーに気を取られてしまったユナイテッドの守備陣はマイナスのアイエルをガラ空きに。あまりにもあっけない形で劇的ムードをかき消されてしまう結末となった。

ひとこと

 事前に想像していたほどはブレントフォードが圧倒していたとは言わないけども、ユナイテッドはどうやって点をとったんだろうと思った展開にはなっていた。

試合結果

2024.3.30
プレミアリーグ 第30節
ブレントフォード 1-1 マンチェスター・ユナイテッド
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:90+9′ アイエル
Man Utd:90+6′ マウント
主審:サイモン・フーパー

リバプール【2位】×ブライトン【8位】

慌てず騒がずいつも通りの逆転劇

 直後に控えるはシティとアーセナルの天王山。リバプールとしては絶対に勝ち点3が必要な状況である。ホームに迎えるのはアンフィールドで直近3年敗れていないブライトンである。

 アンフィールドに強いというジンクスそのままにブライトンは先制。あっという間に左サイドから裏を取ると、リバプールの跳ね返しが中途半端になったところをウェルベックが豪快に仕留める。

 以降もこの左サイドの裏取りはブライトンの攻撃の主な手段として通用。アディングラの仕掛けはリバプールに対して非常に効果がありそうだった。というか、ブライトンにとってはこのラインが生命線。このカウンターを撃てている時以外は試合はほぼリバプールペースであった。

 リバプールの保持に対してブライトンは4-4-2で構えるが、前線の誘導は効かず、中盤のチェーンは簡単に切れてしまっておりブロックは穴が空き放題。加えて、リバプールはマック=アリスター、遠藤、ゴメス、ショボスライの4人がいつも以上に中盤でポジションチェンジを多く行いながらブライトンを撹乱する。

 フリーのポイントを作ることができたら、そこから前線の裏抜けに合わせてスルーパスを送る。ヌニェスはもちろんのこと、ブラッドリーに大外を任せてプレーエリアが内に寄っているサラーも裏抜け→シュートの意識は非常に高かった。

 いつでも点を取れそうな割には時間がかかったリバプール。セットプレーからディアスが冷静に沈めて、ようやくゴールを仕留める。

 ブライトンの生命線がアディングラな状況は前半の間に変わらなかった。基本的にはアディングラに繋ぐプロセスの中でリバプールがカットしたカウンターからシュートに傾れ込む場面がほとんど。その中で超反応ワンタッチパスの連打からリバプールの即時奪回を外すことがあるあたりはさすがブライトンという感じであった。

 後半、ブライトンはプレスを控える形でスペースを埋める方向に注力。特にSHを自陣側に下げることでサイドのスペースを消す方向性になっていく。

 アディングラの立ち位置が低くなったことで、保持におけるアディングラ一辺倒大作戦は店じまい。後半はCBを軸に広くポゼッションを行いながら、保持に回る時間を確保する。アディングラの位置が下がったことによるしかたない措置にも見えるし、保持の機会をきっちり作る方が得策だろ!と言われたらそんな気もする。

 しかしながら、リバプールはバイタル付近に攻略の余地を残しており、押し込む機会においては依然優勢。このスペースから裏へのパスを使い、ボックス内にスルーパスを送り込み続ける。

 決め手になったのはマック=アリスター→サラーへのパス。滑らかなパスは通った時点でほぼ勝負あり。サラーが冷静にこれを沈めてリバプールがリードを奪う。

 ブライトンはファーガソンとララーナの投入から前線からのプレスを強化しつつ敵陣で押し込む時間を増やしていく。だが、集中を切らさないリバプールの守備陣に対してチャンスを作ることができないまま試合は終了する。

 先制をされたものの、慌てず騒がずきっちりひっくり返す。アンフィールドで見られるいつも通りの逆転劇でリバプールが無事に勝ち点3を積み上げた。

ひとこと

 ブライトン、さすがにもう一つ攻め手が欲しかった気がする。最後の攻め手にバルコを選んでひたすら囲まれて取られ続けるのはもったいなかった。

試合結果

2024.3.31
プレミアリーグ 第30節
リバプール 2-1 ブライトン
アンフィールド
【得点者】
LIV:27′ ディアス, 65′ サラー
BHA:2′ ウェルベック
主審:デビッド・クート

マンチェスター・シティ【3位】×アーセナル【1位】

三つ巴のサバイバルはまだまだ続く

 レビューはこちら。

https://www.footballista.jp/regular/180411

 リバプールは前の時間帯で勝利し暫定首位浮上。アーセナルが首位を死守するには8連敗中のエティハドで勝利するしかなくなった。

 立ち上がりはプレッシングからシティの保持の阻害に走るアーセナル。CBとCH、そしてオルテガの5枚を軸にビルドアップを行うシティに対して、ハヴァーツとウーデゴールのプレス隊を軸としてサイドに誘導し、ライスにボールをハントさせるいつものやり方から高い位置でのボール奪取を狙う。

 だが、シティはライスのいないところから前進を狙う。デ・ブライネ、フォーデンにライン間で受けさせたり、大外からベルナルドがキヴィオル相手にゴリゴリしたりなど、異なるところからボールを前に進めていく。

 ベルナルドが自陣でのビルドアップ参加を増やしたところでアーセナルはリトリートを優先。SHを思いっきり低い位置まで下げて自陣を固める。非保持の方向性はインサイドとバイタル。大外はグバルティオルとアカンジなのでアーセナルはサイドにはSHもしくはSBが出ていけばOKというスタンスに。その分、ハーランドへのクロスは2枚で跳ね返すし、押し下げたフェーズにおいてはお馴染みのシティのミドルシュートはことごとくブロック。跳ね返していく。

 自陣での守備は盤石だったアーセナルだが、SHが下がっている分カウンターの希望はかなり薄め。どちらのチームにも得点が入る予感がないままハーフタイムを迎える。

 後半、シティはベルナルドのビルドアップのタスクを減らして大外に配置。3-2-5の形で固定し、サイドアタックを増やしていく。ビルドアップ隊が少なめになった分、アーセナルはリスクを賭してハイプレスに出ていくように。高い位置からボールを奪ってチャンスを作るこの時間がアーセナルにとっては最もゴールの確率が上がった時間帯だった。

 シティはWGキャラのドクとグリーリッシュを投入したことでアーセナルの前向きなプレスをへし折ることに成功。ドク対策で冨安をすぐに入れたアーセナルもこれに対抗。冨安は万全そうではなかったが、左足を使わせる方向に抜けられるような守り方が基本的にはできていたし、タッチライン側に抜けられた時もガブリエウが問題なく受けることが出来ていた。

 それでも左右にボールが入った分、押し込むフェーズに突入したシティ。アーセナルはなかなか押し返せない状況だったが、ボックス内の封鎖には成功。

 勝利は手にできなかったが、エティハドでのシティを無得点に抑えるという快挙に成功したアーセナル。優勝候補にふさわしいパフォーマンスを見せて、タイトルレースは三つ巴を継続だ。

ひとこと

 トーマスと冨安のフィットがアーセナルを一段上に押し上げる予感がする内容だった。

試合結果

2024.3.31
プレミアリーグ 第30節
マンチェスター・シティ 0-0 アーセナル
エティハド・スタジアム
主審:アンソニー・テイラー

今節のベストイレブン

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