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「Catch up COPA AMERICA 2021」~Semi-finals+3rd&4th place&Final~ 2021.7.5-10

準々決勝はこっち!

目次

①【Semi-final】ブラジル×ペルー

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■頻度なんて不要

 これまで、ブラジルと対峙してきた多くのチームと同じくペルーもある程度引きながらブラジルの攻撃を受け止める様相だった。したがって、ブラジルがペルーが敷いた5-4-1ブロックにどのように挑むかという部分が見どころになる。

 これまでのブラジルは割とネイマールが自由に動き回るところに、周りのメンバーが合わせるような形が多かった。だが、この試合においては比較的配置から決めていった感じがする。大外を担当するのが左サイドはSBのロディ、右はSHのエヴェルトンである。ちょっとアシメ。

 その分左のSHであるリシャルリソンはトップの位置まで絞って入り込んでくる。これまでのブラジルは縦方向に動き回るネイマールを基準に破壊していくイメージだった。これにパケタが加わったコンビネーションで崩したのがチリ戦である。ペルー戦のアプローチはこの動き回る人数を増やすことで、中央で上下動する乱数を増やし、ペルーのブロックを中央からかち割ろうというものだったように思う。ネイマールに加えてリシャルリソン、フレッジ、パケタが上下動を繰り返す役である。

 それでもチャンスクリエイトの頻度は物足りなかった。ペルーは押し込まれてしまい、プレスでもビルドアップでも頼みの綱という部分は作り切れなかったが、それでもブラジルがチャンスを作りまくる!という感じではなかった。

 そんな中で頻度が足りなくても質があればいい!としてしまう男が。もちろんネイマールである。彼が4人を引き付けることでブラジルは一気に課題を解決。チリ戦と同じくパケタが叩き込み、先制点を挙げる。なんて理不尽な。

 後半、意を決したペルーは4バックに移行。徐々に前に出ていけるように。勇気を出してつなぐ意識を見せたペルーに対して、ブラジルは中盤のスペースの間延びが目立つように。ペルーはスペースさえあればビルドアップで前進できることはここまでの大会で証明してきているのだが、ブラジル相手にもその姿を見ることが出来た。

 攻撃を受ける機会が増えてきてしまったブラジルは攻撃面でCHっぽいふるまいをしていたパケタを守備においてもCHとして起用し、4-5-1で迎え撃つ。この変更でブラジルは落ち着いてペルーの攻撃を受けることが出来るようになったと思う。

    終盤はペルーも4-5-1にしたが、この一手は活性化にはつながらず。前のラウンドと同じくパケタの先制点を守り切ったブラジルがペルーの挑戦を退けて決勝に駒を進めることになった。

試合結果
ブラジル 1-0 ペルー
エスタディオ・ニウトン・サントス
【得点者】
BRA:34′ パケタ
主審:ロベルト・トバル

②【Semi-final】アルゼンチン×コロンビア

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■個には個で

 ブラジルの待つ決勝戦へ是が非でも駒を進めたいアルゼンチン。準決勝で迎えるのは、今大会における我慢強さはトップクラス。準々決勝ではクアドラードの出場停止という難局をウルグアイ相手に何とか凌ぎきったコロンビアである。

 コロンビアはどちらかといえばファルカオやハメスのイメージのように、攻撃的なタレントの優位を生かしどんな相手でも殴り返せるイメージだった。だが、今大会のコロンビアは我慢が出来るし、あまり苦手な展開が少ないように見えた。

 この試合でもアルゼンチン相手に十分に渡り合ったといえるだろう。準決勝ともなるとメッシも含めて守備も徐々に強度を増してくるのを見ると、コパアメリカもいよいよ大詰めなのだなと思ったりする。アルゼンチンもプレスの回避の耐性は十分。アルゼンチンの前線の守備をいなしながら縦パスでスイッチを入れて進撃する。

 縦パスをつけたあとのお決まりはサイドに流すこと。サイドからはルイス・ディアスとクアドラードの両翼がブロックの外側からアルゼンチンのDFラインにダメージを与えるようなクロスを放り込む。決定的な機会は少ないものの、外から打ち抜ける武器をアルゼンチン相手に有しているのは驚異的である。

 一方のアルゼンチンが狙うのはDF-MFのライン間。コロンビアが敷く4-4-2に対して、やや苦戦するも結局はこのチームはライン間でメッシに前を向かせてナンボ。試合開始早々にその形からラウタロ・マルティネスの先制ゴールを挙げることが出来たのは大きかった。

 先行を許したコロンビアはHTの交代でカルドナを投入。クアドラードを1列下げた。もっとも、1列下げたとはいえクアドラードの役割は大きく変わらずに幅取役のまま。内側で受けられる枚数をカルドナで増やしてリスクをかけつつ、アルゼンチンを押し込もうという算段である。

    これが非常に効果的だった。圧を強めるコロンビアにアルゼンチンはそもそも前進することが出来ずに自陣に押し込まれてしまう。頼みのメッシも相手のマークが厳しく、ボールを運ぶことが出来ない。

 押し込んでいるコロンビアに同点ゴールをもたらしたのは左のルイス・ディアス。クイックリスタートからペッセッラを出し抜き、そのままゴールに一直線。裏への駆け引きを制して得点までこぎつけて見せた。

 劣勢の状況で同点まで追いつかれてしまったアルゼンチン。打開策としては外に流れても切り裂けるディ・マリアを投入する。やや個人の能力に頼った部分があるものの、これでやや盛り返したアルゼンチン。大外から崩せるディ・マリアの登場で内側が少しマークが緩くなり、攻めどころを見つけられるようになった。

   一方で、オープンになった分非保持では広いスペースを守らなくてはいけなくなったアルゼンチン。ルイス・ディアスとクアドラードの両名は相変わらず面倒だったし、CHのバリオスはオープンな展開でも渡り合うことが出来たのでペースはイーブンに戻せてもコロンビアはややこしい相手である。

   PK戦まで持ち込まれた熱戦で大活躍したのはエミリアーノ・マルティネス。アルゼンチンに足りなかった確固たる正守護神の座をこの大会でしっかりつかんだ苦労人GKの活躍でコロンビアを下し、悲願の決勝進出を決めた。

試合結果
アルゼンチン 1-1 コロンビア
マネガリンチャ・スタジアム
ARG:7′ ラウタロ・マルティネス
COL:61′ ディアス
主審:ヘスス・バレンズエラ

③【3rd&4th place】コロンビア×ペルー

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■らしさ全体の正面衝突

 共に持ち味が十分に出たスリリングな3位決定戦。より積極的な作戦に出たのはコロンビアの方。アルゼンチン相手にも効いていた両SHの元気さは据え置き。ルイス・ディアスとクアドラードは今日も元気に走り回っていた。4-4-2ながらSBがあまりSHにサポートに行かないのも彼らの特徴の1つ。近寄ってマークを引き寄せてしまうよりはなるべく広いスペースを与えて暴れまわってもらった方がお得!という算段なのだろう。

 前線ではサパタが相変わらず収まるし、カルドナの間受けも健在。サイドに散らす役割は彼らが担うことになる。特にサパタの存在はペルーに対して非常に脅威になったはずである。

 プレッシングに関しては高い位置からSBを食い止めるためにSHも積極的に高い位置を取っていくコロンビア。ここ数試合は相手との力関係もあり、あまり攻撃的なスタイルが全開というわけにはいかなかったが、この試合では持ち味を十分に出せていたと思う。

 対するペルーはやや慎重な入り。強力な個を有するコロンビアを前に撤退気味。特にSHが後方に構えることもいとわない6バック化も視野に入れる形でサイドの手当てを入念に行った。

 ただし、ペルーも保持の部分はGSで見せた良さがよく出ていた。CFに収まるのはこちらも同じ。前線の起点としてラパドゥーラのポストはよく効いていた。相変わらずつなぎの華麗さはさすがで、司令塔のジョトゥンを中心にペーニャとカリージョで右サイドにボールを流しながら徐々に押し上げていく。

 らしさ全開で先制したのは押し込まれる機会が多かったペルーの方。丁寧につないだロングカウンターでサイドを横断すると、最後は攻めあがったジョトゥンが押し込む。ペーニャの低い位置でのボールキープからの加速が秀逸で、低い位置からつなぐペルーの哲学を体現した得点となった。

 コロンビアのビハインドで迎えた後半はより激しい展開に。クアドラードのFKで開始直後に追いつくと、そこからは試合はオープンな展開に。となるとルイス・ディアス劇場の開幕である。アルゼンチン戦でも見せた長いパス一本で抜け出してからの独走フィニッシュで勝ち越しゴールをゲット。

 ペルーも一度はセットプレーから追いつくが、後半追加タイムにルイス・ディアスは再び大仕事。正直、細かいタッチは流れたが、横のドリブルでシュートコースをわずかに作り出すと外に逃げるミドルシュートで強引に打ち破って見せた。

 激流のような後半戦はノックアウトラウンドで絶好調だったルイス・ディアスが主役。3位決定戦らしいすがすがしい試合で最後に話題をかっさらっていった。

試合結果
コロンビア 3-2 ペルー
マネガリンチャ・スタジアム
【得点者】
COL:49′ クアドラード, 66′ 90+4′ ディアス
PER:45′ ジョトゥン, 82′ ラパドゥーラ
主審:ラファエル・クラウス

④【Final】アルゼンチン×ブラジル

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■的中したスカローニ采配が呼んだメッシの初タイトル

 ラウンドが深まるにつれ真剣さが増していくのが決勝トーナメント。当たり前の話なのだが、コパアメリカは中でもその色が濃いコンペティションのように思える。その決勝戦がブラジル×アルゼンチンとなればその緊張感も最高に高まるというのは当然の流れといえるだろう。

 試合は共に非常に慎重な入りとなった。相手に強引にプレスをかけに行くことはせず、自陣に穴をあけないことを優先し、とにかく失敗を避けていく形。共にネイマールとメッシという絶対的なスイッチの入れどころがあるが、そこにボールが入った時だけはファウル覚悟で全力で取り囲む。実況の倉敷さんは『コパの決勝は世界一レフェリングが難しい』というのもあながち間違いではないだろう。初手でカードを出してしまうと止まらなくなってしまう。

 スローリーな展開がベース、速くなりそうになるとファウルで止める。この展開が続く両チームの中で変化をもたらしたのはアルゼンチンのこの試合の用兵である。ラウタロ・マルティネスやゴンサレスなどここまでスカローニが重用してきた選手たちは献身的ではあるものの、広いスペースで対面のDFを出し抜いてから独力でゴールを沈めるタイプではない。

 出し手として効くメッシが封じられた以上、ゴンサレスの先発を回避したのは正解だったと思う。代わりに入ったディ・マリアはまさしく広いスペースで独力で勝負できるタレント。貴重な先制点を奪ったのも彼の仕事。対面のロディの対応があまりにお粗末だったとは言え、アバウトなボールでも広いスペースからゴールを陥れることが出来るディ・マリアを先発で使ったコンセプトが効いた場面だった。

 劣勢となったブラジルは後半にネイマールをIHで起用する。めっちゃ奇策っぽいのだが、コンセプトはどこまで行ってもネイマールにボールを触ってもらうこと。そういう意味では合点がいくし、実際に効果もあった。

 降りてボールを触るネイマールに対して、アルゼンチンの最終ラインから捕まえに出ていくと数が足りなくなってしまう。そしてそうなるとフレッジ⇒フィルミーノの交代で前線のアタッカーを追加した効果が出てくる。内に絞る分、余る大外にリシャルリソン。この大外のリシャルリソンパターンからブラジルが攻め立てるシーンが続く。

 しかし、これにアルゼンチンはすぐさま数合わせで対応。交代で5バック化にして数の論理で大外が余らないようにした。

    受ける選択肢をとり、跳ね返しに徹するアルゼンチン。ただ、ブラジルもネイマールの位置を下げた分、被カウンター対応はスカスカに。メッシとディ・マリアを軸にカウンターから独走を食らう場面もあった。特に最終盤のメッシの決定機は絶対にこれで決まったと思ったファンも多いだろう。逆に決まらなかったことでブラジルに押せ押せの雰囲気が流れる。

 だが、これをアルゼンチンのバックラインがシャットアウト。マルティネスを中心に5バックの堅牢な守備をブラジルは最後まで崩すことが出来なかった。

 優勝したアルゼンチンではついにメッシは代表レベルでの初のメジャータイトル。いや、ほんと良かった。このタイトルを引っ提げてワールドアップに再度チャレンジするメッシは熱い。コパアメリカの最終戦はブラジル×アルゼンチンの看板に偽りのない大激戦となった。

  おしまいじゃ!

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