チーム情報
監督:セサル・ファリアス
FIFAランキング:81位
W杯2018⇒予選敗退
コパアメリカ2019⇒GS敗退
招集メンバー
GK
23 Javier Rojas
1 Carlos Lampe
12 Rubén Cordano
DF
4 Luis Haquín
5 Adrián Jusino
2 Jairo Quinteros
26 Luis Barboza
17 Roberto Fernández
19 Jorge Flores
3 José Sagredo
8 Diego Bejarano
27 Oscar Ribera
MF
13 Diego Wayar
22 Danny Bejarano
15 Boris Cespedes
6 Leonel Justiniano
21 Erwin Sánchez
14 Moisés Villarroel
16 Erwin Saavedra
20 Ramiro Vaca
10 Henry Vaca
25 Jeyson Chura
FW
24 Jaume Cuéllar
7 Juan Carlos Arce
9 Marcelo Moreno Martins
11 Rodrigo Ramallo
18 Gilbert Álvarez
各試合振り返り
GS第1節 パラグアイ戦
■10人では不可能
この試合は90分間を通して攻める側と受ける側がはっきりしていた、立ち上がり、左サイドバックのアルサメンディアのオーバーラップから強襲をかけたパラグアイが明らかにこの試合の主導権を握っていた。
パラグアイはボリビアの5-3-2のWBの手前のスペースからの進撃が多く見られた。ここから大外へのサイドチェンジを行い、ボリビアを左右に振りながらゴールに迫っていく。プレミアファンとしてはキャラに反して守備に奔走する機会が多かったアルミロンも代表では自由にプレーしているのが印象的だった。
ボリビアは低い位置からのビルドアップを積極的に行うものの、高い位置からプレスに来るパラグアイに対して前進できる機会は限定的。逆にプレスに行く際は2トップが前に出ていく素振りこそ見せるものの、あっさりとサイドに振られて簡単にラインを下げてしまう現象が目立つ。
限られた攻撃機会からハンドによるPKでボリビアが先制した後も大きな試合の展開は変わらず。パラグアイがビハインドで前半を終えたのが不思議なくらいだった。
さらにボリビアに追い打ちをかけたのが前半終了間際のクエジャルの退場。10人へのスケールダウンに加えて、ボールが集まりやすかったクエジャルがいなくなることでボリビアは前線の預けどころもなくなってしまった。
後半はより一層のパラグアイの攻めが目立つ試合に。10人で4-4-1を組むボリビアに対してパラグアイはより前線に人をかけていく。パラグアイのSHがハーフスペース付近に浮遊し、相手のSBを固定することで大外にスペースを創出。こからどかどかクロスを放り込むやり方でボリビアを追い込む。
深さを作ってのクロスとゴールに向かうアーリークロスのコンボにボリビアが決壊したのは60分過ぎのこと。人は足りているけど跳ね返せない状況では凌ぎきれないのも無理はないだろう。立て続けにクロスの流れからガマラのミドルとロメロの押し込みで逆転すると、3点目は勇気を持って攻めに出たボリビアをカウンターでひっくり返した。
11人でも厳しかった前半の戦い方を見ればボリビアが10人で無理なのは自明。むしろ、60分までGKのコルダノはよくしのいだといっていいだろう。
試合結果
パラグアイ 3-1 ボリビア
エスタディオ・オリンピコ・ペドロ・ルドビコ
【得点者】
PAR:62′ ガマラ, 65′ 80′ ロメロ
BOL:10′(PK) サーベドラ
主審:ディエゴ・ハロ
GS第2節 チリ戦
■原則を破った先制点で逃げ切り
立ち上がりから攻めていたのはチリ。攻めるときの人数調整は中央でアンカーが降りてくる形である。最近はSBをCB化するか、もしくはWG化するかで人数調整をするチームが多い気がする。だが、チリは中央で人数を増やし、サイドを押し上げるやり方。というか中央での調整するからこそのアンカー採用なんだろうなとも思う。
したがって、大外は両サイドともSBが担当することが多かったチリ。逆に両WGは内に絞ることがタスクを担っていた。右はCFのバルガスとWGのメネセスがレーンを入れ替えることもしばしば。左のWGのブレアトンは独力でも重戦車的な突撃してくる感じである。
これに対してボリビアは守備の人数対応に追われることに。バルガスをCB2人で挟み、そのほかの場所はマンツー。WGをSBで監視する。チリのSBが上がってきたら、ボリビアはSHを下げて対応。相手のトップの人数によって4-6人で人数を調整していくイメージである。
この原則が破られてしまったのが10分のチリのカウンター。帰陣が遅れたボリビアの守備陣に対して、カウンターで襲い掛かったチリ。最後はブレアトンが決めて先制に成功する。
ビハインドに陥ったボリビア。保持においては結構時間をかけるタイプ。内側に絞るアルセを軸に内側に入れるパターンと、裏を狙うパターンの両にらみでチリのブロック攻略を狙う。チリはこれに対して内を閉じたポジショニングで迎え撃つ。無理にプレスに行かずに、網を張って迎え撃つスタイルである。ひっかけてからのカウンターを視野にボリビアの保持に反撃する。
特に後半はライン間をコンパクトにしたチリ。ボリビアは徐々にライン間で捕まってカウンターを食らうきっかけとなるボールロストが増えてきた。かといって外にボールを回すと、チリは今度は同サイドに圧縮するように内を切る。こうなるとボリビアは素早いサイドチェンジが出来ない。
両チームともラインの表でも裏でも駆け引きはできるチームである。ライン間にボールを入れたり、後ろ向きに相手を背走させたりなど、DFラインを動かせるアプローチまではできていた。しかしながら、そこからシュートの状況を作る部分の丁寧さには欠けていたように思う。特にビハインドのボリビアにとってなかなか追いつくきっかけがつかめずに苦しい状況になった。
最終的には6バックまでの変形も視野に入れつつ逃げ切ったチリ。ボリビアは序盤の失点が大きく響く結果となってしまった。
試合結果
チリ 1-0 ボリビア
パンタナル・アリーナ
【得点者】
CHI:9′ ブレアトン
主審:ヘスス・ヒル・マンサーノ
GS第4節 ウルグアイ戦
■ワンサイドだが、先延ばしになった決定打
90分間を通じて試合を支配したのはウルグアイだった。この試合のウルグアイは非常に攻守に高いレベルにあったように思う。4-3-1-2ブロックで構えて、奪ったところから素早く縦にカウンターを発動する。
縦に速く流れなかった場合はボール保持でゆったりと攻める。ボール保持においては同サイドに2トップとトップ下を集結させて崩しを狙う。ライン間でのつなぎと裏抜けの使い分けが非常にうまい。ボリビアの4-4-2ブロックに対して、ウルグアイの4-3-1-2は段差をつけやすい形。そのおかげでライン間でフリーになりやすく前を向きやすいという状況が生まれやすい。
そこからの仕上げは裏に抜ける。裏に抜けた後のホルダーのサポートも十分。ホルダーと並行に並ぶように走り、サイドで裏を抜けた選手たちのラストパスを受けてフィニッシュに入りこむ。先制点の場面は結果的にオウンゴールにはなったものの、この日のウルグアイの目指す形が非常にわかりやすく再現されている。
ボリビアの保持も悪くはなかった。つなぎの意識が高く、簡単にボールを失わない矜持は感じた。サイドの攻撃においては人数をかけて奥行きを作り、裏抜けからラインを下げるシーンも作ることができていた。ただ、全体的にウルグアイの圧力に屈する場面が多い。そもそも保持の機会を作るのに苦しんだ。そして、裏に抜けた選手のサポートの厚さは不十分。抜けた選手が孤軍奮闘ということも珍しくはなかった。
後半はウルグアイの一方的な攻勢にボリビアが晒されることに。ホルダーにプレスがかからずに裏抜けし放題の状況が続く。あとは決定的な追加点を決めるだけなのだが、これがなかなか決まらない。GKのランペの活躍も光ったが、ここはウルグアイのフィニッシュの精度の悪さの方が目についた。2点目が入った78分のカバーニの得点は『やっとか!』というのが正直なところだろう。決着をつけるのに時間はかかったが、総じてウルグアイの完勝。ボリビアは1試合を残してグループステージ敗退が決まってしまった。
試合結果
ボリビア 0-2 ウルグアイ
パンタナル・アリーナ
【得点者】
URU:39′ キンテロス(OG) 78′ カバーニ
主審:アレクシス・エレーラ
GS第5節 アルゼンチン戦
■果敢なトライも先制点まで
最終節を前に敗退が決まっているボリビア。アルゼンチン相手に爪痕を残すには撤退している場合ではない。というわけで高い位置からアルゼンチンを食い止めに行く。
両チームのフォーメーションを比較すると4-4-2同士(アルゼンチンは厳密には4-4-1+メッシだけど)なのでボリビアが高い位置からプレッシングにいけばある程度噛み合う。
しかしながら、アルゼンチンはこのボリビアの気合の入ったプレスに対してあっさり解決策を見出す。非常に簡単な列落ちであっさりとボリビアのプレスは外されてしまう。狙い目になったのはボリビアの2トップの脇。この脇にアルゼンチンの選手が降りてくることでフリーでボールを受けることができる。ボリビアのプレスもここまで追い回すほど気合が入っているわけではなかった。この位置でメッシがボールを受けてしまえば自分で運んで加速が十分にできてしまう。それだけで解決である。
崩しに関してもあっさりと解決策を見出す。アルゼンチンの崩しは広くサイドを使ってボリビアを横に揺さぶる。これに対しては、ボリビアはSHが低い位置まで降りて対応。2トップは前に残るため、ボリビアは6-2のような中央がスカスカな形で受けることになる。ボリビアが横に広がったせいで中央でフリーの選手を作りやすくなったアルゼンチン。先制点はコレアが深さを作り、メッシからアレハンドロ・ゴメスが裏を取り、アッサリと仕留める。
その後もアルゼンチンはワンサイドで押し切る。中央を起点とした横断は先制点以降もすぱすぱ決まる。メッシがこの位置でフリーになることもしばしば。逆サイドへの展開や自らの仕掛けで自由自在にボリビアを攻め立て放題。順調に得点を重ねていく。
ボリビアは先制点ですっかりと戦意喪失してしまった感。自陣から進むビルドアップに対して、間受けにピッチを縦横無尽に走っていたサーベドラにご褒美のゴールはあったものの、よくまぁ1点決めたなというのが正直な印象。アルゼンチンがボリビアを完勝で下し、決勝トーナメント進出に弾みをつけた。
試合結果
ボリビア 1-4 アルゼンチン
パンタナル・アリーナ
【得点者】
BOL:60′ サーベドラ
ARG:6′ ゴメス, 33′(PK), 42′ メッシ、65′ ラウタロ・マルティネス
主審:アンドレス・ロハス
大会総括
■やりたいことについてこないスキル
グループBのベネズエラと同じく、ボリビアも弱者の戦い方を強いられたチームであった。基本的な戦い方としては4-4-2での自陣深くまでブロックを敷く。そしてSHが低い位置に降りることでサイドのスペースを埋める。時には前からプレスに出ていく時間帯も作り、自陣に深くこもる時間を減らす。自らがボールを持った際は大事につなぐことで、保持の時間を作り少しでも引きこもる展開を回避する。
というのがおそらくボリビアの戦い方の理想論だったはず。しかしながら、現実は非常に厳しかった。ボール保持の局面では実際には前進するポイントがつかめずに、簡単に跳ね返されてしまう。プレスに出ていっても簡単にいなされてしまうことに。
結局は自陣の深い位置の撤退守備の時間帯が非常に多くなってしまったボリビア。現実的な我慢の時間と向き合う時間が積み重なっていく。ボリビアの撤退守備についてもう少し掘り下げると、サイドはマンマークで低い位置まで降りていく。
チリ戦ではこのサイドのマンマークの動きをオフザボールで外されてしまい先制点までつながれてしまう。アルゼンチン戦ではサイドからラインを押し下げる動きと中央のメッシを軸とした降りる動きのギャップについていけず。先制点を許すとあれよあれよという間に失点を重ねていってしまった。
ウルグアイ戦では前線の積極的な裏に抜ける動きに歯が立たず、勝ち点を奪えそうなチャンスだったパラグアイ戦ではボールの預けどころになりそうだったクエジャールを一発退場で失いパワー不足に。延々と攻守が噛み合わない展開が続いてしまった。
結局、最終節を前に敗退が決定。グループB全敗のノーインパクトで大会をあっさり去ることになってしまった。
頑張っていた人⇒カルロス・ランペ
防ぎきれたとは言えないが、正守護神としてファインセーブを見せる場面は多かった。彼がいなければ失点はこの程度で収まることはなかったはず。負けてなおMOMに選ばれるタイプのGKである。