MENU
カテゴリー

「Catch up Premier League」~Match week 32~ 2024.4.6-4.8

目次

クリスタル・パレス【14位】×マンチェスター・シティ【3位】

グリーリッシュが最後の起爆剤になるか?

 前節、アストンビラを下し上位が続く対戦はひと段落となったシティ。ここからは下位のチームを相手に上位2チームの取りこぼしを待つフェーズに入る。

 相手がパレスとなれば当然待っているのはブロック守備の攻略。監督が変わってもお馴染みの2列目がナローで中央を封じる守備ブロックは健在。パレスは自陣を固めてシティ相手にカウンターを狙う。

 パレスの狙いは開始早々に結実。中央に強引につけたストーンズの縦パスを跳ね返す形でパレスはカウンターを発動。マテタが抜け出しての一撃をお見舞いし、先制ゴールを決める。

 当然、このゴールは試合の流れを変えることはない。以降もパレスは一撃のカウンター狙い。序盤は不安定なシティのポゼッションに対して、カウンターから敵陣に迫る機会を作っていく。

 相手が引いてくるということもあり、両SBを共に解放したシティ。グバルディオルはシンプルに列を上げつつ、より自由に動き回る右のルイスはIHのような振る舞いでほぼ中盤として機能していた。

 右のキーマンが自由に動くルイスならば、左サイドのキーマンは大外に張るグリーリッシュ。アーセナル戦の後半で復調気配を見せたグリーリッシュはこの日も躍動。彼の引力を使った同サイドのデ・ブライネが角度のないところからゴールを決めてあっという間に試合は振り出しに。

 以降もペースはシティ。ロドリを囮にCBのキャリーで中盤を引き出しながら、縦にパスを刺していく。だが、この日のシティは要所で不安定。オルテガの爆弾パスの華麗な処理やグバルディオルのあわやの対応などかなり危ういシーンが出てくるように。パレスに決められないことでギリギリ救われたシーンだった。

 試合は後半早々にゴールを奪ったシティが一気にペースを引き寄せる。左のグリーリッシュが2枚を引きつけてのクロスからルイスがあっという間にゴールを陥れる。

 以降もグリーリッシュは左サイドで猛威を振るう活躍。引力を手にしては次々と味方を解放していく。特に先制点のアシストを受けたデ・ブライネはかなりやりやすそうだった。

 66分にはハーランド、70分にはデ・ブライネがゴールを決めたシティは余裕を持って試合をフィニッシュ。パレスの後半は単発のカウンターの頻度が下がってしまい、前半以上の苦戦に見舞われることになった。終了間際の1点を返すのがパレスは精一杯。シティが2試合連続の4ゴールで上位追走に成功した。

ひとこと

 グリーリッシュの復権は終盤戦のラストピースになる予感がありそう。

試合結果

2024.4.6
プレミアリーグ 第32節
クリスタル・パレス 2-4 マンチェスター・シティ
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:4‘ マテタ, 86′ エドゥアール
Man City:13′ 70′ デ・ブライネ, 47′ ルイス, 66′ ハーランド
主審:ポール・ティアニー

ウォルバーハンプトン【11位】×ウェストハム【7位】

コーナーから放たれた名手の一撃と実らないキルマンのリベンジ

 ボール持つことになったのはホームのウルブス。バックラインを広く使いながらウェストハムの2トップを通過して前にボールを運んでいく。

 ウルブスはこのようにサイドからの進撃を軸にしていた。ウェストハムはこれに対して、CHを最終ラインに落としながらSBが高い位置を取り、WBを迎撃する形でラインを上げる。CHの守備のポジションが表しているように、全体の重心が後ろ向きだった。

 少しテイストが変わったのはウェストハムのプレスの姿勢の変化による。最終ラインを埋めていたCHはウルブスのCHを迎撃する形で高い位置に出ていくように。これにより、ウェストハムはよりハイプレスでウルブスのビルドアップに対してバックラインから制限をかけていく。

 ウルブスはこれにショートパスをベースに対抗。前に蹴ることをしなかったのは今日もスピードやポストで前線の起点になってくれるタイプがいないから。右サイドでのパスコース創出からキャリーで陣地回復に一役買っていたアイト=ヌーリの奮闘が光る展開だった。

 ウェストハムは保持ではサイドを中心に攻略を挑む。シンプルにクドゥスの単騎突破や裏に抜け出す動きなどサイドアタッカーの能力値を生かす形が多かった。だが、プレスに出ていくタイミングでクドゥスは最前線に移動。この時点でウェストハムは定点攻撃よりもトランジッションからのファストブレイクをより強く意識していたということなのだろう。

 そんな展開で先制点を奪ったのはウルブス。速攻で左サイドに流れたアイト=ヌーリがPKを獲得。これをサラビアが仕留めて前半をリードで終えることを成功する。

 後半、アントニオを前線に投入することでアタッカーを増員したウェストハム。サイドからの押し下げを効かせながら一方的に押し込むフェーズからウルブスの守備ブロックを殴っていく。ボーウェンの負傷交代という誤算はあったが、ウェストハムの攻勢は衰えずウルブス陣内でのプレーは継続していく。

 エメルソンが叩き込んだゴールはファウルで取り消しになったが、そのシーンでも見られたように再三繰り返していた右サイドの攻撃はその後に成就。クロスがキルマンのハンドを誘発しPKを獲得。何よりもプレー直後のキルマンの苦い表情が雄弁なシーン。VARのサポートを待たずとも、見ている側にはこの後OFRが行われることを悟ることができた。

 同点に追いついて以降もウェストハムは攻勢を続ける。こちらも負傷交代で退いたアイト=ヌーリに代わって、前線に入ったクーニャは負傷明けの影響もあり、なかなか存在感を発揮できずにいた。

 決め手になったのはピッチに虹をかけた美しい右足からの一振り。プレースキッカーの名手のウォード=プラウズがCKから直接ゴールを叩き込み、ついにウェストハムは逆転する。

 ビハインドになったことで押し込む機会が増えたウルブス。なかなか決定的なチャンスを掴めない中でセットプレーからキルマンがネットを揺らす。リベンジを達成したかに思えたが、これはチレワの位置がオフサイド。劇的な同点ゴールは幻となり、後半にブーストをかけたウェストハムが逆転勝ちを達成した。

ひとこと

 キルマン、リベンジ達成して欲しかったけどなぁ。

試合結果

2024.4.6
プレミアリーグ 第32節
ウォルバーハンプトン 1-2 ウェストハム
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:33′(PK) サラビア
WHU:73′(PK) パケタ, 84′ ウォード=プラウズ
主審:トニー・ハリントン

エバートン【16位】×バーンリー【19位】

1つのミスを生かして壁を築いたダイチ

 共にフォーメーションは4-4-2。その気になれば相手を簡単に捕まえることができるミラーフォーメーションでの対決で主導権を握ったのはホームのエバートン。高い位置からのプレッシングで自陣からショートパスでのビルドアップで敵陣に向かいたいバーンリーを阻害。ショートカウンターをベースに反撃をしつつ、積み重ねるセットプレーからチャンスを作る。

 普段に比べればエバートンはサイドからの崩しに手数をかけているように思えた。いつもであればペナ角手前からあっさりとクロスを上げるシーンでも、ハーフスペースの奥を取ってからの折り返しをしたりなど一工夫。それがチャンスにつながっていたかと言われると微妙だが、とにかくいつもと違うテイストだった。

 25分が過ぎるとバーンリーはエバートンのプレスに適応。徐々に敵陣に入っていくように。右のフォスター、左に流れるオドベールが起点となりファウルを奪ってはこちらもセットプレーからゴールに向かうように。

 少しずつペースを握り返し順調に前半を過ごしていたかのように思えたバーンリーだったが、前半終了間際に思わぬミスから失点。ムリッチがキャルバート=ルーウィンにぶち当てたボールがそのままゴールに入ってしまい、まさかのビハインドでハーフタイムを迎えることとなった。前節、ブレイズで見たやつである。

 後半も立ち上がりからエバートンがファウルを手にしてセットプレーできっかけを掴むスタート。バーンリーは保持にまわれば左右からクロスを上げることができてはいたが、追いかける立場としてはチャンスメイクの精度がなかなか上がってこないなというのが正直なところであった。

 保持で糸口を探すバーンリーは前半に続いてミスからアクシデント。コントロールミスからボールを失ったオシェイが決定機阻止で一発退場。これでバーンリーは10人での対戦を余儀なくされる。

 エバートンはリードをしていることもあってか、特に強度を上げることなく展開をキープ。きっちりと相手の攻撃を受けて跳ね返すフェーズを堅実にこなす選択をする。

 3枚替えを行うことでなんとか敵陣での脅威を増やしたいバーンリーだが、選手を代えても大きく展開に変化はなし。こちらも選手を入れ替えながらカウンターの脅威をちらつかせつつ堅実に守るプランを遂行し続ける。

 結局はムリッチのミスが大きく響いてしまったバーンリー。元指揮官が築き上げた壁を崩すことができず、敵地で完封負けを喫してしまった。

ひとこと

 互いにゴール前に迫る機会が少ない分、余計にミスが高くついた試合だった。

試合結果

2024.4.6
プレミアリーグ 第32節
エバートン 1-0 バーンリー
グディソン・パーク
【得点者】
EVE:45+2′ キャルバート=ルーウィン
主審:マイケル・オリバー

アストンビラ【4位】×ブレントフォード【15位】

優勢に進める中での10分間の集中砲火

 ブレントフォードは立ち上がりから強気のプレス。広さを取るアストンビラのバックラインにもまったくおかまいなし。深い位置まで追い回してコーナーフラッグ付近まで相手を追い込んでいく。

 アストンビラはそれでも深い位置からつなぐトライを行う。パウ・トーレスを軸に左右に揺さぶるポゼッションからブレントフォードのプレスを回避。ブレントフォードの同サイド圧縮に逆らっていく。

 押し下げる機会が増えることでブレントフォードは5-3-2ブロックでリトリート。自陣の深い位置にブロックを組む二段構えの形でアストンビラに対抗する。

 立ち上がりはブレントフォードに押し込まれる場面も多かったが。15分以降はほとんどアストンビラが一方的に押し込んでいく形に。ローブロックに対して左右にボールを動かしながらのアクション。コンサとトーレスがそれぞれ後方支援役に回ることでブロックの攻略に移行していく。もちろん、ここからブレントフォードはカウンター狙い。自陣からの縦に速い攻撃でビラに反撃を仕掛ける。

 しかしながら、先行したのはアストンビラ。右サイドからのマッギンのクロスにワトキンスが合わせて先制。ブレントフォードの守備ブロックをこじ開けることに成功する。

 勢いに乗るビラは後半早々に追加点をゲット。前半と同じく押し込む流れになる前にあっという間に2点目。右サイドに流れたロジャーズがティーレマンスからの縦パスを受けて、一気にゴールを陥れる。

 2点のビハインドを背負ったブレントフォードは2トップがそれぞれ左右に流れることでチャンスメイク。アストンビラのSBの背後を取る形で地道に陣地回復を図る。

 すると、このサイドの裏からブレントフォードはゴールをゲット。セットプレーの二次攻撃の流れからクロスをあげると、これを前線に残っていたイェルゲンセンが仕留めて1点差に追撃する。

 さらには直後にも左サイドのクロスから同点に。追撃弾からわずか2分。ブレントフォードは試合を振り出しに戻す。

 勢いの止まらないブレントフォードはあっという間に逆転。以降もデュエルでアストンビラ相手に優位を取ると、同点ゴールと同じくレギロンが左サイドを出し抜いてついに試合をひっくり返した。この間わずか9分である。約10分でブレントフォードは一気に2点のビハインドをリードに塗り替えた。

 反撃に出たいアストンビラだが展開は互角。ペースを完全に引き寄せきれないまま、試合は一進一退の攻防となる。こうした中で違いを見せたのはワトキンス。右サイドからのクロスに対して、上から叩き込みまたしても試合は同点に。

 アストンビラはこのゴールをきっかけに前半のようにブレントフォードの守備ブロックを押し込んで戦っていくが、4点目を手にすることはできず。打ち合いとなった試合は3-3のドローのまま終焉となった。

ひとこと

 完全にビラペースかと思いきや、10分間のブレントフォードの畳みかけはとても見事だった。

試合結果

2024.4.6
プレミアリーグ 第32節
アストンビラ 3-3 ブレントフォード
ビラ・パーク
【得点者】
AVL:39‘ 80’ ワトキンス, 46‘ ロジャーズ
BRE:59’ イェルゲンセン, 61‘ ムベウモ, 68’ ウィサ
主審:マイケル・サリスベリー

フラム【13位】×ニューカッスル【8位】

淡白なフィニッシュワークがあだに

 ニューカッスルは高い位置からの強烈なハイプレスからスタート。フラムのビルドアップを積極的に阻害していく。フラムはこの動きに対して、自陣からの脱出にトライ。アダラバイオのキャリーを皮切りにニューカッスルのプレッシングをガンガン撃退していく。

 右サイドはWGの背後を取りながら前進。左サイドは降りてくるウィリアンに当ててボールを運んでもらう。左右で異なるメカニズムから前進のルートを確立し、敵陣深くまで侵入していく。

 一方のニューカッスルもギマランイスの列落ちからボールを動かす。こちらも積極的なフラムのプレスに対抗してボールを動かしていく。だが、こちらはゴードン頼み感が強い。連携面でもイマイチで独走の体勢を作ることができなければという感じであった。

 フラムは安定したキャリーから攻め手を確立。フリーの選手を作るパスワークからウィリアン、イウォビといったキャリー役からボールを前に進めていく。しかしながら、フィニッシュワークの淡白さは気がかりなところ。ドゥブラーフカの正面をつくシュートが多く、なかなかゴールを脅かすことができない。

 フラムは優勢ながらも試合に動かすことができず。両チームともゴールを奪うことができないままスコアレスのままハーフタイムに。

 後半もフラムの保持から試合はスタート。アダラバイオのキャリーからスタートするという前半の再放送のようなプレーで幕を開ける。

 フラムの保持ベースで試合は進んでいくが、前半よりも少し中盤でパスを引っ掛けるシーンが目立つように。ニューカッスルがミドルプレスからカウンターに出ていくフェーズが少しずつ増えていく。フラムはこれに伴い、後ろのビルドアップ隊が増えていってしまい、停滞感が出てしまっていた。

 押し込む機会が出てきたニューカッスルはセットプレーからネットを揺らす。ファーに構えていたシェアがクロスを叩き込んだかと思われたが、バーンがボールと関係ないところでファウルを取られてしまい無効に。

 しかし、直後にニューカッスルはリベンジに成功。バーンズがサイドから押し下げると飛び込んだギマランイスがゴールを仕留めて試合を動かす。

 フラムはヒメネスを投入し、なんとか反撃に出ようとするが最後までドゥブラーフカを崩すことはできず。前半の優勢をスコアに結びつけられなかったフラムを尻目にニューカッスルが強かに勝利を挙げた。

ひとこと

 フラムの前半のフィニッシュの淡白さはとてももったいなかった。

試合結果

2024.4.6
プレミアリーグ 第32節
フラム 0-1 ニューカッスル
クレイブン・コテージ
【得点者】
NEW:81′ ギマランイス
主審:サム・アリソン

ルートン・タウン【18位】×ボーンマス【12位】

エースのゴールを全員守備で死守

 前節、アーセナル相手に敗戦を喫してしまい再び降格圏に逆戻りしたルートン。今節ホームに迎えるのはアウェイでは3点差をひっくり返す大逆転劇を演じたボーンマスである。

 立ち上がりから優勢だったのはアウェイのボーンマス。2列目が自在なレーンチェンジを駆使しながら敵陣に入っていく。こうした動きの大きさはいかにもルートンと対戦するチームだからこそだろう。外に流れる動きとセットでインサイドへのカットインから勝負を仕掛けていく。

 ルートンはアーセナル戦と同じく後方に枚数を余らせる4-4-2ベースの非保持でボーンマスに立ち向かうが、ホルダーの仕掛けてくる意識が高いボーンマスの2列目に苦戦。序盤からボーンマスのシュートが枠をとらえていく。

 ルートンの保持はボーンマスのプレスがそこまで強烈ではないのと、バックラインにプレッシャーがかかっていないことで自在に蹴れることでサイドからボールを運べはする。ロングボール一発では跳ね返されるため、サイドからのキャリーは得策という感じ。

 ただ、ここから先の攻撃の絵が見えず、だれもいないところにめがけてクロスをあげてしまうなど得点の可能性を感じることはなかった。むしろ、後方にスペースを残してしまったことを利用されることも。ボーンマスの2列目はカウンターからも勢いに乗りながらシャープに攻めていく。特にセメンヨの破壊力は別格であった。

 ただ、ボーンマスは時間の経過とともに少しアバウトな展開に付き合いすぎてしまった感がある。つなげる場面でも縦に急ぐシーンが多く、やや精度の部分で足りなさが出てしまったのがもったいなかった。

 後半の頭は非常にオープンな展開。中盤でのトランジッションを制することができれば開けたスペースで攻撃を打つことができていた。先にゴールに近づいたのはアクシデンタルな形でボールが転がってきたモリス。だが、このシュートが枠をとらえることができない。

 すると次にチャンスを得たのはボーンマス。前半から何度も見られた見事なカットインを仕留めたタヴァニアがボーンマスに先制ゴールをもたらす。

 以降もゴールに迫ることはできてはいた両軍。ともに引くことなくがっつりと組み合う展開が続く。次に試合を動かしたのはルートン。クラークのブリリアントな一撃が決まり、73分に同点に追いつく。

 オープンな展開が維持された終盤を制したのはルートン。あきらめの悪いモリスの目の前にこぼれてきたボールを仕留めてついにこの試合で初めて前に出る。

 終盤は攻め込まれたルートンだったが、キャプテンの仕留めたゴールをチーム全員で体を投げ出して守ることで防ぎ切る。なんとか逃げ切り勝利を手にしたルートン。2ヶ月以上ぶりの3ポイントを積み重ねた。

ひとこと

 モリスのゴールにはちょっとグッときた。

試合結果

2024.4.6
プレミアリーグ 第32節
ルートン・タウン 2-1 ボーンマス
ケニルワース・ロード
【得点者】
LUT:73′ クラーク, 90′ モリス
BOU:52′ タヴァニア
主審:アンディ・マドレー

ブライトン【9位】×アーセナル【2位】

リベンジを返り討ちにしてリバプールにプレッシャーを

 レビューはこちら。

あわせて読みたい
「縦に速い攻撃を強いる」~2024.4.6 プレミアリーグ 第32節 ブライトン×アーセナル レビュー プレビュー記事 https://seko-note.com/29807 レビュー ブライトンが描く攻撃の青写真  クリーンシートを達成すればクラブ記録の5試合連続アウェイゲームでの無失点。...

 エミレーツでは一方的にアーセナルがペースを握り完勝となった一戦。アメックスではブライトンはリベンジをしたいところだろう。

 その強気のスタンスが見られた立ち上がりのブライトン。自陣からのキャリーでアーセナルのプレスを外しながらブライトンはスマートに前進を図る。CHのバレバとグロスを軸に散らしながら前進を図る。ジンチェンコの裏という狙い目があったのも幸運。スピードアップしながらボールを動かしていく。

 ミドルプレスで踏ん張っていく非保持も含めてブライトンの立ち上がりは上々。だが、アーセナルもさすが。徐々にペースの立て直しに成功。まずは裏へのパスからブライトンのラインを間延びさせると、中盤のプレスの足埋めに成功。棒立ちのブライトンの守備者に対してアーセナルは自在にライン間と幅を使いながら敵陣に進んでいく。

 その甲斐あってアーセナルはPK獲得。左サイドでサイドチェンジを受けたジェズスが仕掛けたところからPKを奪取。このPKをサカが仕留めて先行する。

 ブライトンは押し下げられてしまって苦しい展開に。カウンターの威力も下がってしまい、なかなか出力を上げることができなくなっていく。時間の経過と共に試合はアーセナルのペースに流れていく。

 後半、ブライトンは高い位置からのプレッシングで圧力をかけていくが、アーセナルは引っ掛けながらも最低限危うい失い方を回避。逆に右に流れるハヴァーツを起点にアーセナルは反撃の機会を掴む。

 この右サイドからアーセナルは追加点。サカがインサイドに絞り、エアポケットとなったこのサイドから裏抜けを仕掛けたのはジョルジーニョ。意外性溢れるプレーから抜け出すとハヴァーツへの折り返しで2点目を奪う。

 この2点目でアーセナルは試合を鎮静化。リトリートをベースに中央を固めてブライトンの攻撃を跳ね返していく。冨安を入れたタイミングでプレスのラインを上げるなどローブロック一辺倒にならなかったのはさすがである。

 アーセナルは強かなカウンターからトロサールが独走に成功して3点目をゲット。かつては本拠地としたスタジアムでゴールを奪い、試合を完全に決定づける。

 リベンジに燃えるブライトンを返り討ちにしたアーセナル。シーズンダブルを達成し、翌日に試合を控えるリバプールにプレッシャーをかけた。

ひとこと

 アーセナルの強さが存分に感じられる90分だった。

試合結果

2024.4.6
プレミアリーグ 第32節
ブライトン 0-3 アーセナル
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
ARS:33′(PK) サカ, 62′ ハヴァーツ, 86′ トロサール
主審:ジョン・ブルックス

マンチェスター・ユナイテッド【6位】×リバプール【1位】

一本目のシュートが試合を流れを変える

 首位のリバプールが今節迎えるのはノースイーストダービー。今季まだ公式戦で勝つことができていないマンチェスター・ユナイテッドとの一戦である。

 立ち上がりから激しい強度のぶつかり合いとなった序盤戦。先にチャンスを迎えたのはユナイテッド。中盤がマンツー気味に追いかけるいつもと少しテイストの異なるフォーメーションを採用することでボールを捕まえやすくする。

 その甲斐あってかカウンターから決定機を迎えるが、これは明らかにガルナチョがオフサイド。もったいない形でチャンスを逃してしまう。

 すると、今度はリバプールが反撃。カウンターに対するカウンターという形から攻勢に打って出ることに成功。直線的な止まらない攻撃で一気にユナイテッド陣内に入り込み、ゴールを脅かしていく。

 序盤はマンツー気味に相手を捕まえていたユナイテッドだったが、だんだんと中盤は間延びして後手に回るように。マンツーの構造は逆に利用されているようにも見えてくる。

 あらゆる形でシュートをユナイテッドに浴びせ続けたリバプールはセットプレーから先制。ディアスがニアのそらしをファーで押し込んでネットを揺らす。

 以降も一方的にリバプールが主導権を握りながらユナイテッドを攻め立てる展開。ユナイテッドはゴールはおろか、シュートを打つことすらままならなかった。

 後半も同じ立ち上がり。リバプールが一方的に攻め立てる展開でユナイテッドは追い込まれる状況が続く。決定的なピンチも多く、シュートさえ決められてしまえば・・・というシーンをミスやオナナに助けられることも多かった。

 しかしながら、ユナイテッドの一本目のシュートがこの日の流れを大きく変える。クアンサーのパスミスを掻っ攫ったブルーノが躊躇いもなくハーフウェーラインからミドルでネットを揺らす。間髪入れないシュートの判断がケレハーのリポジショニングの時間を与えなかった。きっちり枠に飛ばした精度も含めてお見事であった。

 このゴールで試合の流れは大きく変わる。ユナイテッドはプレスの強度を取り戻すことで試合を激流に。ただし、プレー自体は全体的に粗さが見える展開。ドリブルが大きくなったりなどのどちらかというと雑なペースにリバプールを巻き込む形で試合をフラットに引き戻した印象である。

 そんなユナイテッドはスーパーゴールでまたしても試合を動かす。メイヌーのゴールは今季を見渡しても指折りのスーパーな一撃。腰の回転の深さ、マイナス方向のコントロールからあれだけの威力のボールを正確に仕留めることができるのは素晴らしい。

 以降は落ち着いてリトリートに移行しつつ守備シフトを敷くユナイテッド。概ね順調にリバプールの攻撃を跳ね返していたが、ワン=ビサカが軽率なタックルでPKを献上。リバプールは試合を振り出しに戻す。

 だが、反撃もここまで。試合は同点にのまま終了。またしてもリバプールはユナイテッドを下すことができず、勝ち点1を分け合う結果となった。

ひとこと

 ブルーノの一撃で完全に試合の流れが変わってしまった。

試合結果

2024.4.7
プレミアリーグ 第32節
マンチェスター・ユナイテッド 2-2 リバプール
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:50′ ブルーノ・フェルナンデス, 67′ メイヌー
LIV:23′ ディアス, 84′(PK) サラー
主審:アンソニー・テイラー

シェフィールド・ユナイテッド【20位】×チェルシー【10位】

実らない守備固めで2ポイントを失う

 前節はマンチェスター・ユナイテッド相手に劇的な勝利を挙げたチェルシー。出し入れが多い試合が続きつつも地味に無敗の記録は続いている。最下位のブレイズ相手にここはきっちりと勝ち点を積み重ねておきたいところである。

 ボール持つのは順当にチェルシー。RSBに入ったディサシを含めた3人のCBでブレイズの2トップに対してズレを作る形で組み立てを行っていく。

 一方のブレイズはボールを奪ったらとりあえず前に蹴るスタート。落ち着かずポンポン蹴るような展開を誘発する。チェルシーはあまりこの傾向を抑制できなかったように思えるが、保持で押し込む機会が多いことを活かしセットプレーから先制点をゲット。CKから久しぶりの先発となったチアゴ・シウバが先制点をゲット。ブレイズはドフリーでシュートを許してしまった。

 チェルシーは先制ゴール後も保持からペースを握る。ショートパスを繋ぎながらもパルマーの裏抜けなど奥行きをもたらすプレーでブレイズのゴールに迫っていく。

 だが、チェルシーは自陣のMF-DF間のスペースが空きやすくバイタル管理が甘め。ブレイズは強引な裏抜けは阻まれていたが、ライン間のパスは刺さるように。すると、ここのエリアでパスを受けたマクバーニーがタメを作り、裏に抜けたボーグルから同点ゴールをゲット。試合を振り出しに戻す。

 追いつかれたブレイズは保持でもう一度巻き直しを図るが、途中でパスミスが出てしまいどうも安定しない。リズムを掴みきれないまま試合は同点でハーフタイムを迎える。

 後半もペースは同じ。ゆったりとしたボールを持つチェルシーが押し込んでいくスタートとなった。中盤でパスの切れ目を使って加速。繋ぎながら前に出ていく。左右に揺さぶりながらブレイズの3センターを揺さぶり、その脇からパルマーが顔を出す形で攻撃で勢いをつけていく。

 一方のブレイズもブレアトンが裏抜けから起点を作る形で地道に陣地回復。チェルシーに対してこちらも細かいパスワークから裏抜けで流れをひっくり返していく。ただし、アタッキングサードに迫る頻度は雲泥の差。優勢に立つチェルシーがパルマー→マドゥエケから勝ち越しゴールを奪う一方で、ブレイズはセットプレー以外でゴールに迫ることができない。

 勝ち越した後も手を緩めず敵陣に向かっていたチェルシー。だが、試合終了間際に落とし穴。マクバーニーを中心に競り合いからなんとかボールを繋ぎ、最後に再びマクバーニーが抜け出しからゴールを奪い取ってみせた。守備固めで交代に入ったバディアシルはマクバーニーとの競り合いに敗れてしまった。

 今節の劇的ゴールはチェルシーにとっては悪い方向に。ブレイズに土壇場で同点ゴールを許してしまい、後半ATに勝ち点2を失うこととなった。

ひとこと

 やっちまったな!チェルシー!

試合結果

2024.4.7
プレミアリーグ 第32節
シェフィールド・ユナイテッド 2-2 チェルシー
ブラモール・レーン
【得点者】
SHU:32′ ボーグル, 90+3′ マクバーニー
CHE:11′ シウバ,66′ マドゥエケ
主審:ロベルト・ジョーンズ

トッテナム【5位】×ノッティンガム・フォレスト【17位】

後半頭の畳み掛けで差をつける

 ボールを持つ立ち上がりになったのはトッテナム。4-2-3-1と2トップが明確な縦関係に守るフォレストに対して、時間を与えられたバックラインがポゼッションを握る。

 ポゼッションのルートはいつも通り左右を使うところから。同じサイドにフォーカスするだけでなく、中央を経由することで左右に揺さぶることでフォレストの守備ブロック攻略に挑んでいく。

 一方のフォレストはまずは受ける立ち上がり。スピードを生かしてのカウンターに移行したいところだったが、トッテナムによってボールの出しどころを咎められてしまい、攻撃をスローダウンさせられてしまう。

 押し込む流れになったトッテナムは先制ゴールをゲット。右サイドから左サイドの横断から抜け出したヴェルナーが折り返しからオウンゴールを演出。左の抜け出しを右で仕上げるという昨今のトッテナムのお決まりパターンが刺さり先行する。

 攻撃は以降もヴェルナーが軸。ゴールをなかなかこじ開けられない状態ではあったが、チャンスの面では問題なく機能しているのがヴェルナー周りである。

 しかしながら、フォレストも負けじと同点ゴールをゲット。バックラインからの外循環のボールの動かし方から二人称のサイド攻撃でトッテナムのバックラインを後手に追いやり、折り返しをウッドが決める。

 この得点以降からフォレストはボールを持つ時間が増加。トッテナム一辺倒のペースは少しずつ緩和されていく。

 後半、トッテナムはCHを入れ替えながらもボール保持をベースとして試合を進めていく。しかしながら、選手を入れ替えた分、パスワークが不安定な部分も。この点でフォレストはカウンターという線が残っている状態だった。

 だが、試合を動かすゴールを決めたのはトッテナム。セットプレーからボックス内のファン・デ・フェンのミドルという意外性のある攻撃から勝ち越しゴールを奪う。

 勢いに乗るトッテナムはさらに追加点。左サイドの打開からインサイドに入り込んだポロがさらにゴールを決めてリードを広げる。これ以降もトッテナムはペースを掌握。ポゼッションをベースにフォレストを低い位置に押し込む時間が続く。

 80分にようやく押し返す機会を迎えることができたフォレスト。だが、肝心のゴールをこじ開けることができずに苦戦する。ハイプレスに出ていくなど最後まで希望の光を捨てなかったフォレストだったが、トッテナムの追撃には及ばず。後半頭に畳み掛けたトッテナムが見事に勝利を飾った。

ひとこと

 左サイドからの攻撃はかなり長い時間刺さっていた。

試合結果

2024.4.8
プレミアリーグ 第32節
トッテナム 3-1 ノッティンガム・フォレスト
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:15′ ムリージョ(OG), 52′ ファン・デ・フェン, 58′ ポロ
NFO:27′ ウッド
主審:サイモン・フーパー

今節のベストイレブン

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次