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「Catch up Premier League」~Match week 33~ 2024.4.13-4.15

目次

ニューカッスル【8位】×トッテナム【4位】

カウンターの鋭さが大量得点の決め手

 立ち上がりは強度十分のバチバチのしばき合い。互いにバックラインにプレスをかけながら、保持側は相手のラインの背後を狙うというプレーの連続であった。

 特にこの傾向が強かったのはニューカッスル。人を捕まえにいく高い位置からのプレッシングに加えて、奪ったらとりあえずゴードン目掛けて縦に縦に進んでいく形。リトリートではアンダーソンをWBに置く5バックを準備してきたニューカッスルだが、撤退して受けるシーンの少なさからか序盤はあまり目立たなかった。

 トッテナムもサイドの裏からスピードアップを狙うが、より保持志向が目立つ。サイド攻撃から追い越すアクションをスイッチにテンポを上げる形を大事にしているのは従来のトッテナムのフレームの中でこのハイテンポについていこう!ということだろう。

 どちらも攻撃に鋭さがある中で守備側が危ういファウルを犯すという紙一重の展開。この状況で先に決壊したのはトッテナムだった。ファストブレイクをようやく成功させたゴードンとイサクによりロメロとファン・デ・フェンの2枚が完全に剥がされてしまい失点。さらには直後のプレーで自陣でのポロのパスミスからゴードンに追加点を与えてしまう。

 2ランホームランを打たれてしまったトッテナム。以降はパスワークも安定せず、引っ掛けてはニューカッスルに危険なカウンターを食らうという展開に。鋭さの違いを見せたニューカッスルが2点のリードでハーフタイムを迎える。

 後半もハイプレスに意欲的だったニューカッスル。前から捕まえることをやめず、前半同様にトッテナムを苦しめるようなプレッシャーをガンガンにかけていく。トッテナムはなんとか保持から打開したいところだが、ポロの負傷など保持からの解決策を図るのが難しい状況になる。前に起点を作ることが難しい苦戦に、ゆったりとした保持での苦境が重なる状況となったトッテナムはソンのロストからカウンターをくらい、決定的な3失点目を喫してしまう。

 流石に3点目を取ったところでニューカッスルのプレスはトーンダウン。押し込まれることを許容する形でトッテナムにボールを渡して受けに回る判断を行う。それでも得点は止まらず。セットプレーからの4点目を手にしてニューカッスルはゴールショーの幕締めを図る。

 大量4得点でトッテナムを完全に破壊したニューカッスル。アストンビラとの4位争いにおいてトッテナムは手痛い一敗を喫することとなった。

ひとこと

 トッテナムの次戦は日数が空いてのノースロンドンダービー。完敗の後に日程が空くことがどう出るか。

試合結果

2024.4.13
プレミアリーグ 第33節
ニューカッスル 4-0 トッテナム
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:30′ 51′ イサク, 32′ ゴードン, 87′ シェア
主審:ティム・ロビンソン

ブレントフォード【16位】×シェフィールド・ユナイテッド【20位】

残留確定チャレンジはまず1勝目

 おそらくはほとんど問題ないであろうが、数字的に早く残留を決めたいブレントフォード。ここからのシェフィールド・ユナイテッドとルートンとの連戦で完全に安全圏に到達するというのがトーマス・フランクの描いている青写真だろう。

 試合はフォーメーションのズレを積極的に活用するスタートとなった。構造的に余りやすいSBのところからのキャリーを狙って行ったのはブレントフォード。左右のSBからボールを運び、ウィサとムベウモのところから勝負を仕掛けていく。

 一方のブレイズは中央にロングボールを収めるところからの攻撃の構築を狙うスタート。もちろん、攻撃の起点となるのはブレアトン。彼のポストから左右にボールを展開することでスピードに乗って敵陣に迫っていく。

 攻撃のルートがより安定しているのはブレントフォードの方だろう。後方のプレス耐性も十分あるし、左右のWGという明確な攻め所がバランスよくある。中盤を経由する左右への大きな展開から攻撃を組み立てていくことでチャンスを作っていく。

 ブレイズはブレアトンという攻め手の起点が限られている分、やや柔軟性にはかけていた。それでも彼のポストから抜け出して独走の場面を作り出すなど、チャンスが全くないわけではなかった。

 両軍ともにチャンスは作れるが、敵陣の攻略には至らず。試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。

 後半はブレイズが少しダイレクトな展開から押し込むスタート。ロングキックを蹴り続けることで互いに綻びを作っていく中で、ブレイズがボールを持つ時間を少しずつ増やしていく立ち上がりとなった。

 ブレイズは保持局面の強化としてマカティーを投入。アタッキングサードの精度を改善しようと試みるが、このタイミングでブレントフォードがカウンターから先制。ムベウモを壁として抜け出したダムズゴーが右サイドを独走すると、クロスからオウンゴールを誘発。貴重な得点を手にする。

 ブレイズはボーグルの負傷によりさらに苦しい状況に追い込まれる。セットプレーからダムズゴーがネットを揺らす場面を作られるが、これはファウルにより取り消し。ギリギリの状況が続く。

 最後まで抵抗したブレイズだったが、終了間際にシャーデとオンエカの交代コンビで左サイドを攻略したブレントフォードがトドメの一発を決める。長期離脱明けのシャーデにとっては大きな復帰祝いとなった。

 ブレントフォードの残留確定チャレンジはまずは成功スタート。目標達成まであと一歩だ。

ひとこと

 ブレイズ、行けそうな時間帯についてないオウンゴールは切なかった。

試合結果

2024.4.13
プレミアリーグ 第33節
ブレントフォード 2-0 シェフィールド・ユナイテッド
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:63′ アルブラスター(OG), 90+3′ オンエカ
主審:サム・バロット

マンチェスター・シティ【3位】×ルートン・タウン【18位】

CLの谷間を危なげなく制する

 マドリーとのCL直後という難しい一戦を迎える3位のマンチェスター・シティ。今節はルートンをホームに迎えての一戦となる。

 マンツー主体のルートンはどのように立ち向かうのかな?と思われたキックオフ直後、シティはいきなり先制点をゲット。背後に走ったハーランドが同数で受けに行こうとしたところをあっさりと抜け出して、決定機の連続を迎える。この一連の流れはハーランドのシュートを至近距離で受けた橋岡のオウンゴールという非常に不運な形で決着した。

 ルートンの非保持はさすがにオールコートマンツーは抵抗があるというものだったのだろう。高い位置からのプレスからのミドルゾーンにおいては5-4-1でブロック守備を敷いていくという使い分けをやりたそうな風情。仕方ない部分もあるとはいえシティ相手にテスト色が強い布陣で臨むのはなかなかに苦しいものがある。ブロック守備は下がりすぎてしまい、ブロックの外側からでもシティのミドルを食らう間合いに入り込んでしまうというしんどい状況に。

 左サイドはドクの仕掛けが、右サイドはヌネスの裏抜けを軸に多様な仕掛けから押し下げるパターンを織り交ぜつつルートンのゴールに迫っていく。ルートンはクロス対応を頑張ってはいたものの決壊寸前。カウンターに出ていくことも難しい状況が続き、ハーフタイムに1-0でたどり着くことができたのは幸運といえるだろう。

 後半も流れを変えることができないルートン。シティに押し込まれる中でも強引につなごうとする姿勢はロングボールだけでは収まることがないということの裏返しなのだろう。しかしながら蹴らないことでプレッシャーを余計に受けるようになってしまうのは明白。攻撃を終えた後の即時奪回に勤しむシティにプレスで捕まってしまう。

 順当に押し込むシティはコバチッチが追加点をゲット。やや膠着気味だった試合の行方をほぼ決定づけることに成功する。以降はシティのゴールショー状態。いつまでも仕掛けることに飽きないドクがついにオニェディンマを破ってPKをゲット。このPKをハーランドが仕留めてさらにリードを広げる。

 バークリーの一撃で一度は点差を狭めることに成功したルートンだが、まだまだ飽きないドクがさらに仕掛けて追加点をゲット。再びシティが突き放す。

 最後のゴールの起点もドク。90分間仕掛け続けて深さを作ると、仕留めたのはグバルディオルの右足。CLの再現のようなゴールがゴールショーのトリを飾り、大量5得点での完勝を果たした。

ひとこと

 仕掛けるのが飽きないドク。それも才能である。

試合結果

2024.4.13
プレミアリーグ 第33節
マンチェスター・シティ 5-1 ルートン・タウン
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:2′ 橋岡大樹(OG), 64′ コバチッチ, 76′(PK) ハーランド, 87′ ドク, 90+3′ グバルディオル
LUT:81′ バークリー
主審:ジョン・ブルックス

ノッティンガム・フォレスト【17位】×ウォルバーハンプトン【11位】

古巣にギリギリで阻まれた3ポイント

 5-4-1で受けるウルブスに対してフォレストはボールを持つスタート。1トップのクーニャの周辺からつっつく形でボールを動かしていく。ダニーロやアイナが手前でボールを受けながらウルブスの中盤を引き出して裏のスペースを狙っていく。5-4-1ブロックを引き出して、そこから一気に加速する形でゴールを狙っていく。

 一方のウルブスは押し込まれつつもショートパスでボールを動かしていく。この辺りは前線にドリブルジャンキーな不在ゆえのスカッドの反省点である。3バックと4-4-2のギャップを使いながら間を繋いでいく。ドイルのボールの動かし方は徐々に司令塔然として来ている。

 初めはフォレスト、次にウルブスがペースを握る保持ベースのスタート。しかしながら、互いのチャンスはそうした保持からの慎重な組み立てではなく、相手のミスに漬け込むトランジッションベース。互いのミスから発生するチャンスは一度ずつ巡ってきたが、どちらも仕留めることはできなかった。

 なかなか得点を奪えない状況を解決したのはクーニャ。カウンターで左サイドを走ると一度は足止めを食らったものの、そこから2人をかわしてスーパーなシュートを仕留める。

 しかしながら、フォレストも前半終了間際にゴールをゲット。セットプレーからのギブス=ホワイトのゴールで同点に。タイスコアで試合はハーフタイムを迎える。

 後半、ボール保持からベースを作っていったのはウルブス。それこそ前半のフォレストのようにボールを動かしながら打開策を探していく。

 だが、フォレストは中盤でダニーロがこれを挫く形でカウンターを発動。前節から印象的なパフォーマンスを見せていたダニーロは今節も躍動。ボール奪取から前線に駆け上がり見事なゴールを決めて見せた。

 追いかける形となったウルブスだが、今度はこちらがセットプレーで反撃。セットプレー追いつくという前半のフォレストを見習う形でクーニャがこの日2つ目のゴールを手にする。

 試合が再び同点になってからは試合は一方的にフォレストが押し込む展開に。ブロックの外から一気に裏を取る形からなど多くの決定機を迎える展開だったが、この日はジョゼ・サのカバーとセービングが大当たりの日。DFラインの背後に君臨する守護神がなんとか同点でスコアを繋ぎ止める。

 多くのチャンスを迎えたフォレストだが、ウルブスのゴールを最後まで破ることができず。ヌーノはかつて指揮したチームを前に残留争いに必要な3ポイントを持ち帰ることができなかった。

ひとこと

 クーニャ、復帰後初スタメンだけども仕上がっていた。あとダニーロもいいね。

試合結果

2024.4.13
プレミアリーグ 第33節
ノッティンガム・フォレスト 2-2 ウォルバーハンプトン
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
NFO:45+1′ ギブス=ホワイト, 57′ ダニーロ
WOL:40′ 62′ クーニャ
主審:クレイグ・ポーソン

バーンリー【19位】×ブライトン【10位】

悔いが残るムリッチのミス

 共に保持を信条とする両チーム。そんな中でも立ち上がりから保持のスタンスを強く打ち出していたのはホームのバーンリーだった。GKを挟むようにCBが広く開く。その間にMFが降りるアクションを見せてボールを受けにいく。ブライトンはそこまで強気のプレスに出ていくわけではなかったし、CBだけでブライトンのSHと駆け引きできるくらいには広い距離を保っていたので、2列目を動かすことができていた。

 というわけでサイドからブライトンの2列目をつっつくことができていたバーンリー。だが、サイドだけでなく中央への縦パスからもチャンスメイク。楔を入れてのコンビネーションから抜け出してあわやという場面を作ることもある。中央でもサイドでも問題なく厚みのある攻撃を作り出したバーンリーだった。

 ブライトンはなかなか保持でリズムを作れない立ち上がり。バーンリーの前線からのプレスはそこまで強固ではなかったが、受け手へのチェックがハードだったため、なかなか立ち上がりはリズムを掴むことができず。さらにはエストゥピニャンの負傷など悪い流れが続く。

 それでも強引にブライトンは展開を動かす。ウェルベック、ペドロといった面々のポストから前線が一気に攻撃に加速を仕掛ける。ブライトンのこの力技でリズムを掴むと、徐々にポゼッションからの押し上げもできるように。

 押し込まれるバーンリーだったが、前半終了間際にもう一度意欲を見せて自分たちの時間を作る。保持の主導権がかなり移り変わる展開だったが、試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。

 後半、バーンリーは高い位置からのプレスでリズムを掴んでいく。それに対して、ブライトンはカウンターで縦に鋭く立ち向かう勝負。左サイドから抜け出すジョアン・ペドロの存在感が際立った展開である。保持の機会はバーンリーの方が多かったが、チャンスの数はブライトンの方が多そうな展開だった。

 バーンリーとしては成功しないハイプレスを延々と仕掛けている状態だったが、74分にその努力は実る。ブラウンヒルが仕掛けたプレスはバレバの雑なバックパスをフェルブルッヘンが処理しきれなかったところを咎めて先制ゴールにつながる。喉から手が出るほど欲しかった先制点を手にする。

 だが、バーンリーは信じられないミスでこのリードを失ってしまう。ムリッチがなんでもないところで足元にボールをトラップし損ねてしまい、これがオウンゴールに。ブライトンは全く汗をかかずに同点ゴールをもらうことができた。

 共にバックラインでのミスで勝ち試合を引けなかった両チーム。試合は1-1での痛み分けで幕を閉じることとなった。

ひとこと

 ムリッチ、やってしまった・・・、

試合結果

2024.4.13
プレミアリーグ 第33節
バーンリー 1-1 ブライトン
ターフ・ムーア
【得点者】
BUR:74′ ブラウンヒル
BHA:79′ ムリッチ(OG)
主審:サイモン・フーパー

ボーンマス【11位】×マンチェスター・ユナイテッド【6位】

クリスティのリベンジは紙一重に終わる

 チェルシーに劇的な逆転負けを喫する一方で、リバプール相手にはなんとか勝ち点を確保する。ユナイテッドの直近のリーグ戦はジェットコースターのような展開ばかり。今節はボーンマスのホームに乗り込んでの一戦。悪い意味での派手さをなくしたいところである。

 立ち上がりからボールを持つのはアウェイのユナイテッド。バックラインからの繋ぐ意識の高さに漬け込んだのがボーンマス。ユナイテッド相手に高い位置からボールを奪いにいく。中盤をきっちり噛み合わせているのがボーンマスの守備の特徴。ロングボールに逃げないユナイテッドを徐々に追い込んでいく。

 中盤より前で奪う機会が多くなったボーンマスはその勢いのまま先制点をゲット。奪った後に縦パスを受けたソランケはカンブワラに体を当てて、ズリズリと押し下げるとレンジのあるところから威力十分のシュートを放って先制。ソランケの名刺になりそうな一連のプレーで先制する。

 以降も左サイドのフリーランを軸に主導権を握るボーンマス。ソランケのいるボーンマスとは異なり、ボールを預けるターゲットがいないユナイテッドは苦戦。それでも30分過ぎにプレスから攻め込むチャンスを得ると、この流れにしがみついて波状攻撃。最後はブルーノが仕留めて同点に追いつく。

 しかしながら、左サイドへの集中砲火が直後に実ることとなったボーンマス。マークの受け渡し失敗の恩恵を完全に受けたクライファートがシュートを決めて再び勝ち越す。カンブワラが受け渡したはずのマークは誰も受け手がいなかったという切ない状況だった。

 後半、失点の起点になるなどやや不振が目立ったガルナチョをディアロに交代したユナイテッド。しかしながら、なかなか流れは変わることはなく、押し込みながら攻めるのは依然としてボーンマス。主導権を握って後半も試合を進めていく。

 だが、スコアを動かしたのはユナイテッド。ややアクシデンタルで不運な形でスミスがハンドを取られてしまい、PKを献上。これをブルーノ・フェルナンデスが仕留めて試合をフラットに引き戻す。

 終盤戦はユナイテッドも勢いに乗りながら攻める時間がようやく増えるように。しかしながら、アタッキングサードで息が合わず、ブルーノが不満げな表情をする場面もまた増えていく。

 ボーンマスもウナイにボールを集めながら攻撃を仕掛けていく。終盤のキーマンになったのはクリスティ。左サイドからの突撃でシミュレーションを取られた直後、もう一度同じ場所からの仕掛けでPKを獲得。だが、カンブワラが犯したファウルはOFRの結果、わずかに外という判定となり、決定機を生かす形にはつながらなかった。

 結局、互いに最後をこじ開けることができず。試合は引き分けのまま幕を閉じた。

ひとこと

 またしても後半ATにざわついたユナイテッド。どっちに転がるかわからないユナイテッドの後半ATには目が離せない感がある。

試合結果

2024.4.13
プレミアリーグ 第33節
ボーンマス 2-2 マンチェスター・ユナイテッド
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
BOU:16′ ソランケ, 36′ クライファート
Man Utd:31′ 65′(PK) ブルーノ・フェルナンデス
主審:トニー・ハリントン

リバプール【2位】×クリスタル・パレス【14位】

強制的な死なば諸共布陣も実らずアンフィールドで連敗

 ELではアンフィールドでアタランタにショッキングな敗戦を喫したリバプール。来週のリベンジに向けてまずはリーグ戦で立て直しの一戦と行きたいところである。

 しかしながら、アンフィールドでもパレスは積極策でリバプールに立ち向かう。トップのマテタは持ち場が遠藤を基準になっているが、プレスに出ていくとCHに受け渡し。マテタのスイッチオンにはシャドーとWBが呼応して高い位置に追い詰めていく。リバプールはこれに対して無理せずに前に蹴るアクションを見せる立ち上がりとなった。

 パレスに変化があったのはカウンターも同じ。前3枚の行ってこいという形ではなく、CHのウォートンやヒューズにボールを戻りながらきっちりとフリーマンを作っていく。やや距離感が近くポイントが多いかな?という感じもしたが、人を基準に捕まえに行きたいリバプールに対しては逆に相性が良かったのかもしれない。

 クリスタル・パレスは流れるような攻撃で先制点をゲット。サラーが気まぐれで埋めた左のハーフスペースにウォートンが顔を出すと、ここから左サイドに侵入。リバプールの3人のCHを全員引きつけて悠々と折り返しをエゼがゴールに叩き込む。

 いつもと違ってパレスが繋ぎながらフリーマンを作り、リバプールが3トップの直線的なカウンターに終始するというあべこべな展開に。セットプレーなどからディアスが惜しいシーンを作ることはできていたが、ヘンダーソンやアンデルセンといった水際でのブロックが上々。

 むしろ、出足のいい後方ブロック選手たちが遠藤からのパスをカットしてカウンターに繋げるなど、先制以降も主導権をゲット。広げながらの素晴らしい攻撃を打ち続けてハーフタイムまで走り抜けた。

 追いかけるリバプールは遠藤に代えてショボスライを投入。しかしながら、後半開始早々にブラッドリーがおそらく足首を痛めてしまい負傷交代。アレクサンダー=アーノルドの投入でリバプールは半強制的に死なば諸共状態に突入する。

 3-2-5で今季の頭のようなメンバーで一気に攻撃に出るリバプール。左はロバートソンのクロス。右はアレクサンダー=アーノルドや流れるショボスライなど少しずつ変化をつけながら攻撃に出ていく。

 特にランダム性の強い右サイドの抜け出しからリバプールはジョタが決定機を迎えるがこれを決めきれず。直後のジョーンズのカウンターでの抜け出しもフィニッシュが枠に飛ばずに観客席に吸い込まれていく。

 あとは決めるだけ!という状況をモノにできないリバプール。クリスタル・パレスは後半はほぼ出て行けず、エゼとオリーズが下がってからは専制防衛。セットプレーではダイクに先に触られまくるなど苦しい状況になったが、なんとか体を張り続ける。

 7分の追加タイムを終えてなおリバプールはネットを揺らすことができず。今季のリーグ戦3敗目はまたしてもロンドン勢。ホームでの公式戦連敗でシティと順位が入れ替わることとなってしまった。

ひとこと

 いつもなら後半のパレスが90分のはずなのだけども、素晴らしい前半の45分のおかげで守り続ける負荷を軽減することができた。

試合結果

2024.4.14
プレミアリーグ 第33節
リバプール 0-1 クリスタル・パレス
アンフィールド
【得点者】
CRY:14′ エゼ
主審:クリス・カバナフ

ウェストハム【7位】×フラム【13位】

カウンターからのゴールで悪い流れを断ち切る

 中位に佇む両チームによるロンドン・ダービー。まずはボールを持つことになったのはホームのウェストハム。枚数を合わせてこず、バックラインにプレスをかけてこないフラムに対して、ゆったりとしたポゼッションのスタートとなる。

 受けに回るフラムはミドルブロックで組むことが得意ではあるのだけども、直近の試合で見られるようなブロックのルーズさはこの試合でも垣間見えるように。どうも陣形をコンパクトに保つことができずに苦しい戦いになる。

 ボールを持つことを許されたウェストハムはピッチを大きく使う形からチャンスを作っていく。対角のコーファルを活かしてのパスなどは保持からフラムを追いやるような形を作れている。

 フラムはカウンターをベースの組み立てになっており、やや旗色が悪かったが先制点をゲット。ムニスへのロングボールに対して処理をミスってしまったマヴロパノスを咎めるように、セカンドボールを拾ったペレイラがゴールをゲット。マヴロバノスは確かにしんどい体勢になってしまったのだけども、できれば相手のいないところに処理したかったところである。

 このプレーから少しずつ流れを掴むフラム。一気に畳み掛ける流れを作っていく。プレスに意欲的なウェストハムに対して、これをひっくり返すことでカウンターが加速していくことに。得点を受けてフラムが流れを掴んだところでハーフタイムを迎える。

 後半の試合は強度ベース。前半よりも一段とトランジッション色が強めの展開となった。そうした中でもチャンスを見つけていたのはフラム。イウォビの抜け出しやセットプレーでのパリーニャなど、要所要所でシュートチャンスを作り出すことができていた。

 この流れ通りにフラムは追加点を奪う。パリーニャのボール奪取からのカウンターから2点目をゲット。またしてもゴールを決めたのはアンドレアス・ペレイラ。これで試合の行方は決定的なものになる。

 ウェストハムにとっては尻すぼみで苦しい後半戦となってしまった。終了間際にはアーシーが味方との衝突で大きなダメージを伴う形での負傷退場をしてしまうなど流れの悪さが目立つ展開に。フラムペースとなった試合の流れを捻じ曲げることができなかった。

 ホームペースの試合をカウンターを活かすことでひっくり返すことに成功したフラム。ペレイラの2ゴールでウェストハムを下してみせた。

ひとこと

 フラム、少し悪い流れを引きずっているのかなというパフォーマンスだったが、得点を機にリズムを取り戻してきた感があった。

試合結果

2024.4.14
プレミアリーグ 第33節
ウェストハム 0-2 フラム
ロンドン・スタジアム
【得点者】
FUL:9′ 72′ ペレイラ
主審:スチュアート・アットウェル

アーセナル【1位】×アストンビラ【5位】

ポゼッションフォーカスのビラが無敗記録をストップ

 レビューはこちら。

 共にラウンドの進んだ欧州カップ戦を戦っている両チーム。身体的な負荷が高い状態になっているところではあるが、いずれも大きなターンオーバーがなく、ベストに近いメンバーでこの試合に臨むこととなった。

 見応えがあったのはアストンビラの保持の局面。左サイドのパウ・トーレスからの縦パスからの組み立てを狙っていくビラだったが、アーセナルはプレスで選択肢を狭めながら、受け手にプレッシャーをかけてパスカット。左右への揺さぶりに対してもアーセナルは根性で対抗していくことで前進の局面を阻害する。

 ビラは縦パスを通して前にボールを進めることができてもアーセナルの高速プレスバックでチャンスを作れず。決定機といえばガブリエウの偶発的なミスから発生したワトキンスの1on1くらいのものであった。

 アーセナルは保持でビラのプレス外しに成功。ハヴァーツの左のハーフスペースの裏抜けや、WGを基準として手前と奥行きを使い分けるアプローチでアストンビラ陣内の細かいスペースを破壊していく。だが、ビラの球際の激しい守備に対してはなかなか決定機を多く作ることができず。ワトキンスの決定機の直後に迎えた、トロサールの大チャンスはマルティネスのファインセーブに阻まれてしまった。

 迎えた後半、劣勢だったアストンビラはワトキンスを縦パスのレシーバーとして起用。左サイドにボールの収めどころを確保する。これに伴い、右サイドにはロジャーズがスライド。左右に縦パスの収めどころを作り、まずはアーセナルのプレスを撃退することに専念。

 この方針変更がアーセナルにクリティカルヒット。前半に足を使ってしまったアーセナルは横に揺さぶるアストンビラの保持にスライドすることができず、プレスが完全に機能不全に陥ってしまう。

 押し返せないアーセナルに対して展開をフラットに持ち込むことができたアストンビラ。後半はどちらもボックス内への侵入が少ない堅い展開になったが、この状況を打開したのはアウェイチームだった。左サイドからのクロスに飛び込んだパウ・トーレスがニアで潰れたことでファーに流れたボールをベイリーが押し込み、ついに試合を動かす。

 さらには、CKで総攻撃を仕掛けるアーセナルをひっくり返す形で独走したワトキンスが追加点を決める。これで試合は完全に決着。

 2024年初陣から続いていたアーセナルの無敗記録はここでストップ。アストンビラにシーズンダブルを食らい、シティに首位の座を明け渡すこととなった。

ひとこと

 アーセナルは明らかに前半に仕留め切りたかった展開。トロサールの決定機逸が悔やまれることとなった。

試合結果

2024.4.14
プレミアリーグ 第33節
アーセナル 0-2 アストンビラ
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
AVL:84′ ベイリー, 87′ ワトキンス
主審:デビッド・クート

チェルシー【9位】×エバートン【15位】

ようやく会心の勝利

 チェルシーの保持がベースでスタートしたこの試合。エバートンはこれに対して高い位置からの積極的なプレスで対抗。ハイプレスからのショートカウンターの成立を狙っていく立ち上がりとなった。

 序盤の数回のプレスはエバートンにとって手応えのあるスタートとなったが、徐々にチェルシーはハイライン破りに成功していくように。半身でボールを受けるカイセドからサイドにボールを叩き、グストのオーバーラップを重ねることで敵陣に侵入したり、あるいはジャクソンのポストから左右に広く展開したりなど、いくつかのプレス回避のスタイルを見せていく。

 先制点はこうした前進のルートにアタッキングサードの仕上げが乗っかった形。パルマーの1枚剥がしてのシュートを仕上げとしたチェルシーが先制点を奪う。

 以降も安定したハイライン破りを見せるチェルシー。ジャクソンのポストとCHからの配球の2つを武器にアタッキングサードに侵入し、パルマーが仕上げるという形を確立し、5分後にはパルマーが追加点を奪う。エバートンとしては中央のユニットが剥がされまくっているのが気がかりである。

 何失点してでもハイプレス!そして、前にとにかく蹴る!というスタンスを貫きたい姿勢を見せていたエバートン。それだけに、自陣でのピックフォードのパスミスからあっさりとパルマーにハットトリックを許してしまったのは切なさがある。

 3点のリードが生まれた時点でチェルシーは非保持でラインを下げる。エバートンは少しずつボールを持てるようになっていた。ベトはクロスに合わせてネットを揺らすがオフサイド。徐々に攻めることができる?と思った矢先にジャクソンが4点目を仕留めたところでハーフタイムを迎える。

 3枚交代を敢行するエバートンだが、試合はチェルシーの保持ベースというところに変化はなし。エバートンのブーストに効果を出させないように試合をコントロールすると、ターコウスキの安易なプレーからPKを獲得。展開は落ち着かせることができていたが、身内では誰がPKを蹴るか揉めているのがほほえましかった。

 以降もずっとチェルシーは保持のターンが続く。エバートンの交代は試合自体のテンションを上げるものにはならず、エバートンの得意な泥試合の展開に持ち込むことはできなかった。

 若手を中心にプレータイムを与える交代を敢行したチェルシー。大量ゴールショーの締めはその交代選手の1人であるギルクリストの得点であった。

 負けこそないものの、なんとなくミソがつく試合が多かったチェルシー。ようやく会心の勝利をあげて欧州カップ戦出場権争いをまだまだ諦めない姿勢を見せた。

ひとこと

 ちょっとエバートンは軽い展開が続いてしまったかな。後方があのプレーが続いてしまうと、ハイプレスは機能しないだろうなという感じ。

試合結果

2024.4.15
プレミアリーグ 第33節
チェルシー 6-0 エバートン
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:13′ 18′ 29′ 64′(PK) パルマー, 44′ ジャクソン, 90′ ギルクリスト
主審:ポール・ティアニー

今節のベストイレブン

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