右サイドから見せた推進力で奪ったゴールを守り切る
CLでのアトレティコ戦を前に迎えたリーグ戦の相手はボローニャ。インテルはレナト・ダッラーラでのアウェイゲームに臨む。
ボールを持つスタートとなったのはホームのボローニャ。前回、ラツィオ戦でみたのと同じように彼らのビルドアップの肝は枚数調整と構成人員の流動性の2点といえるだろう。4~6人くらいが状況に応じて高さを変えつつレーンをかぶらないように調整。1人が降りてきたら、1人が上がるという形を取りボールを前に進めていく。
基本的には相手に先手を取りながらフリーマンを作っていくという論理なので、ボール周辺の人数は相手より多め。ビルドアップのフェーズであれば自陣に人を多めに置く。サッカーはピッチを11人で賄うのが難しいから人体における血液と一緒というたとえ話を聞いたことがあるが、そのイメージで言えばボローニャはボールのある場所と血液循環を連動させていく感じだろうか。
中央はかなり流動的な動きを見せるボローニャ。インサイドでつまりが発生したらアウトサイドに張るSHが降りてきて助けるという形がラツィオ戦では機能していた。ザークツィーが降りて受けるフェーズにおいては加速できてはいたが、やや動きは直線的な感もある。この辺りはインテルを向こうに回して余裕を持つのが難しかった部分かもしれない。
インテルは基本的には前の5枚で伸縮をかけながらボローニャのビルドアップに対抗していたが、このサイドに置ける安全地帯を封じたところから流れが変わった感がある。WBの押し上げからインテルは敵陣への押し込みを開始する。
インテルもボローニャと同じく枚数を変化させつつ(構成人員の流動性はボローニャに比べると格段に低い)、機を見て前に人を送りこむのだが、後方の選手の縦への推進力はボローニャより上。特に右サイドの面々はこの部分でボローニャを苦しめていた。37分のビセックのゴールにおける飛び込みなどはその代表格だろう。
後半はペースを握ったのはボローニャ。ザークツィーが収めたところからの左右への展開で全体的に前半よりも押し上げた状態で勝負をかけられるように。アタッキングサードにも人数をかけられる状態をキープする。
しかしながら、ボックス付近の精度には欠けておりなかなかゴールに迫ることができない。77分のショートカウンターは大チャンスであったが、ザークツィーがこれを仕留めることができなかった。
後半のインテルはポゼッションからリズムを作りたがる素振りを見せたが、ボローニャの圧力を前に思うように展開を進められなかった。それでも交代はCLを意識してのプレータイム管理重視。キーマンを早々に下げながらの試合運びを見せる。
苦しい戦いながらも最後は粘り切ったインテル。縦への鋭さを見せた右サイドから奪った先制点を守り切って公式戦の連勝を13に伸ばした。
ひとこと
アウグストの負傷交代はかなり心配。パフォーマンスが良かっただけに。
試合結果
2024.3.9
セリエA
第28節
ボローニャ 0-1 インテル
スタディオ・レナト・ダッラーラ
【得点者】
INT:37′ ビセック
主審:ルカ・パイレット