モリニューを地獄に突き落としたコベントリー
ベスト8にコマを進めたウルブスがホームに迎えるのは2部のコベントリー。負傷で不在だが坂元が所属しているチームである。
立ち上がりにボールを持ったのはウルブス。3バックのウルブスに対して無理にプレスに出ていくことはせず、バックラインは数的優位のところからサイドからキャリーする。
一方のコベントリーも後ろからのビルドアップを行っていく。中盤がやや3センター気味になる以外はベースの配置に従った並びになっていた印象。SBから対角のパスを駆使してボールを動かしていくが、ウルブスはサイドも中央も止めるイメージを持つことができていた。
アタッキングサードに入った時の武器を準備していたのはウルブスの方。サイドからエンドライン側を抉るようにインサイドに入り込んでマイナスの折り返しはかなり繰り返しで見られていたチャンス構築は有効。決定機も創出していた。だが、ラストパスがずれてしまうのが玉に瑕。折り返しのコントロールがモタモタしたり、ズレていたりしてしまう間にコベントリーのバックラインがスペースを埋めてしまう。
対するコベントリーも決定機を作るが、シムズが仕留められない。直後にもカウンターからの決定機をジョゼ・サがなんとか食い止めるシーンが見られるなど、前半の終盤はコベントリーが押し返す流れを作り出すことができていた。
後半も主導権を握ったのはコベントリー。左右からのクロスからチャンスを作るなど、ウルブスをを自陣での守備に追いやることで殴る機会を確保する。ウルブスの攻撃をトランジッション主体に追い込むと、そのまま先制点をゲット。セットプレーからシムズがネットを揺らす。VARでのハンドのチェックも潜り抜けて見事リードを奪い取る。
失点以降、ウルブスは徐々にポゼッションを増やしていくが、前半のようなサイドを抉って折り返すといったボックス内にスペースを作り出すようなアクションはなし。単調な攻撃ばかりで苦しむ展開に。
コベントリーが逃げ切りそうなムードだったが、84分にウルブスは同点に。サイドからのクロスの対応にもたついたところをアイト=ヌーリが強襲。少ないチャンスを活かして試合を振り出しに戻す。勢いに乗ったウルブスはそのまま一気に逆転。カウンターからH.ブエノがフィニッシュを仕留めて、あっという間に試合をひっくり返す。
逆転後も落ち着いた試合運びを見せたウルブス。これで試合は決着かと思われたが、後半追加タイムの左サイドからのクロス対応でまさかの失点。あっさりと追いつかれてしまうとここから一気にペースはコベントリーに。同じく、左サイドからの崩しをライトが仕留めて、再び試合をひっくり返す。
まさにFAカップ。勝利を確信していたモリニューの観客を地獄に突き落とす逆転劇でコベントリーが準決勝に駒を進めた。
ひとこと
まさにシーソーゲーム。FAカップの魅力が詰まった一戦となった。
試合結果
2024.3.16
FA Cup
Quarter-final
ウォルバーハンプトン 2-3 コベントリー
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:83′ アイト=ヌーリ, 88′ ウーゴ・ブエノ
COV:55′ 90+7′ シムズ,90+9′ ライト
主審:サム・バロット